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Live
gator
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「ライブの告知早速HPにでもしてくれて有り難う」
「いえいえ、ウチのサイトなんかではどの程度宣伝効果があるのか分かりませんが、ここでkanjiさんのファンになった方がライブに行く足掛かりになればと思って」
黒猫に出勤するとjazzピアニストのkanjiさんと透さんが会話していた。俺は二人に挨拶して俺の控室にもなっている楽屋で着替えるため向かう。
店には音楽もかかっていないし人もいないので二人の会話は控室にも聞こえる。
透さんは繊細そうで内気なタイプに見えるのに、結構社交的である。いや社交的というのは違うのかもしれない。話しかけやすく、そういった人からのアクションを柔らかく受け入れてくれる。気構えず自然と接することの出来る不思議な空気感をもった人である。プロの奏者と学生バンド人達、ジャズ奏者とお客さんといった人との縁を然り気無く繋いでいる。
そんな感じだから、プロの演奏家から信頼され、学生Jazzバンドのメンバーからも慕われているのだろうか。
「そうそうKenjiさんのファンという方も最近ウチによく来られるんですよ」
「ライブでよく素敵なJazzBarがあるよって会話しているからね~」
「あっありがとうございます! でもそんな言われ方してしまうとハードル高くなって来られた方がガッカリされそうで」
「いやいや、JazzBarって本来こういう日常生活に自然の音楽が解けこんだ場所なんだ。そしてプロも学生バンドも垣根なく舞台が用意されて俺にとっても良い刺激のある店だから」
制服に着替えながらその会話を聞きながら、改めてこのお店というものを考える。俺自身Jazzというものをこの店にくるまで知らなかったけれど、他の音楽とは異なりJazzってかなり自由な音楽なようだ。あらゆるジャンルの音楽をも取り込み、そして周囲の環境をも取り込み完成するのがJazzだとか。有名なJazz奏者の演奏レコードでも観客の食事のする音とか会話の音とかが入っているものがある。そういった空気も含めてJazzだといってしまう大らかさがある。
商店街にいる個性豊かで様々な年齢の人達が遊びに来てもシックリ馴染んでしまう黒猫。確かにそれこそがJazzという世界なのかもしれない。
「確かに楽しい刺激ですよね。他のライブ会場ではみることの出来ないKenjiさんの顔を見る事もできますし」
二人の楽し気な笑い声が聞こえる。
俺が準備してお店の方に行くとカウンターの中では澄ママは俺にニッコリ笑い、すぐに仕込み作業を再開させる。透さんはというと店内用と外用看板にオススメメニューを書いている。そしてkanjiさんは椅子を寄せて透さんの手元を覗き込むようにピッタリ張り付くように座っている。
「前から言ってるように俺のマネージャーになってくれたら、もっと色んな俺楽しめるよ」
そう言って透さんに更に近付く。kanjiさん顔近いよ。真面目な顔で看板を見ている透さんは気付いてないようだ。
「音楽センスのない俺にはムリですって。あっ小野くん」
透さんは、キスするかのように顔近付けていたkanjiさんからスッと離れて俺の方に近づいてくる。ニコニコしている透さんと、面白くなさそうに軽く睨んでくるkanjiさんをみてどうしたものかと思う。俺も透さんのようにスルーすることにする。
「今日のメニューはコチラになっているから。そしてすごく美味しいカサルバのベジョータが入ったからソレをお薦めしてね」
そしてユキさんが紙を手に俺の方に近づいてくる。このお店の料理はママの気分と手に入った素材の関係でその日によって異なる。だから最初にすべき事がその確認となる。
その話を聞いていたKenjiさんが近づいて、透さんの肩に腕をのせて、手元を覗き込む。
「いいねぇ。旨そうだ! 俺も喰いたいな」
前々から気になっていたのだけど、この人ってユキさんにやたらベタベタしてくる。
「ちゃんとKenjiさんの分はとっておきますから。ビールとワイン今日の気分はどちらですか?」
透さんは気にならないのかニッコリと笑い普通に返事を返している。
「ワインかな~演奏した後にキンキンに冷えた白が飲みたい」
「分かりました、ならばベジョータに合いそうなモノと一緒に後でもっていきますね」
腕ならしでピアノを弾くためKenjiさんが離れて少しホッとする。
俺はノートパソコンで作業しているユキさんの隣で、今日の料理をテーブル用のメニューに挟みこんでいく。
「あの、Kenjiさんって、なんかボディータッチ多いですよね」
小さい声でそう透さんについ話しかけてしまう。気になる事はどうもそのままにしておけない質だから。
「ああ。俺も最初は少し戸惑ったけれど、やはり芸術家だからかな感情表現とかがストレートなんだろうね。あの人なりの友情表現だから小野くんもそうされても気にしないで、フランクというのかな」
透さんは俺に対して気を使うようにニコリと笑うけど、俺はハハっと乾いた笑いを返してしまう。フランクな人ってベタベタしてくる事ではないのでは?
それにKenjiさんがそういう行動してくるのって透さんにだけだというのを気がついていない。俺には明らかに口説こうとしているようにしか見えないというのに。
真面目なだけでなく、純粋な人なんだなと思う。そう言った邪な目で人から見られているという発想がないのだろう。
そう言うピュアさって良い事だと思うけれど、このままで大丈夫なのかな? なんか心配になってきた。
※ ※ ※
gator ジャズ演奏者、もしくはジャズ愛好家。ゲイの人という意味ではないですので!
「いえいえ、ウチのサイトなんかではどの程度宣伝効果があるのか分かりませんが、ここでkanjiさんのファンになった方がライブに行く足掛かりになればと思って」
黒猫に出勤するとjazzピアニストのkanjiさんと透さんが会話していた。俺は二人に挨拶して俺の控室にもなっている楽屋で着替えるため向かう。
店には音楽もかかっていないし人もいないので二人の会話は控室にも聞こえる。
透さんは繊細そうで内気なタイプに見えるのに、結構社交的である。いや社交的というのは違うのかもしれない。話しかけやすく、そういった人からのアクションを柔らかく受け入れてくれる。気構えず自然と接することの出来る不思議な空気感をもった人である。プロの奏者と学生バンド人達、ジャズ奏者とお客さんといった人との縁を然り気無く繋いでいる。
そんな感じだから、プロの演奏家から信頼され、学生Jazzバンドのメンバーからも慕われているのだろうか。
「そうそうKenjiさんのファンという方も最近ウチによく来られるんですよ」
「ライブでよく素敵なJazzBarがあるよって会話しているからね~」
「あっありがとうございます! でもそんな言われ方してしまうとハードル高くなって来られた方がガッカリされそうで」
「いやいや、JazzBarって本来こういう日常生活に自然の音楽が解けこんだ場所なんだ。そしてプロも学生バンドも垣根なく舞台が用意されて俺にとっても良い刺激のある店だから」
制服に着替えながらその会話を聞きながら、改めてこのお店というものを考える。俺自身Jazzというものをこの店にくるまで知らなかったけれど、他の音楽とは異なりJazzってかなり自由な音楽なようだ。あらゆるジャンルの音楽をも取り込み、そして周囲の環境をも取り込み完成するのがJazzだとか。有名なJazz奏者の演奏レコードでも観客の食事のする音とか会話の音とかが入っているものがある。そういった空気も含めてJazzだといってしまう大らかさがある。
商店街にいる個性豊かで様々な年齢の人達が遊びに来てもシックリ馴染んでしまう黒猫。確かにそれこそがJazzという世界なのかもしれない。
「確かに楽しい刺激ですよね。他のライブ会場ではみることの出来ないKenjiさんの顔を見る事もできますし」
二人の楽し気な笑い声が聞こえる。
俺が準備してお店の方に行くとカウンターの中では澄ママは俺にニッコリ笑い、すぐに仕込み作業を再開させる。透さんはというと店内用と外用看板にオススメメニューを書いている。そしてkanjiさんは椅子を寄せて透さんの手元を覗き込むようにピッタリ張り付くように座っている。
「前から言ってるように俺のマネージャーになってくれたら、もっと色んな俺楽しめるよ」
そう言って透さんに更に近付く。kanjiさん顔近いよ。真面目な顔で看板を見ている透さんは気付いてないようだ。
「音楽センスのない俺にはムリですって。あっ小野くん」
透さんは、キスするかのように顔近付けていたkanjiさんからスッと離れて俺の方に近づいてくる。ニコニコしている透さんと、面白くなさそうに軽く睨んでくるkanjiさんをみてどうしたものかと思う。俺も透さんのようにスルーすることにする。
「今日のメニューはコチラになっているから。そしてすごく美味しいカサルバのベジョータが入ったからソレをお薦めしてね」
そしてユキさんが紙を手に俺の方に近づいてくる。このお店の料理はママの気分と手に入った素材の関係でその日によって異なる。だから最初にすべき事がその確認となる。
その話を聞いていたKenjiさんが近づいて、透さんの肩に腕をのせて、手元を覗き込む。
「いいねぇ。旨そうだ! 俺も喰いたいな」
前々から気になっていたのだけど、この人ってユキさんにやたらベタベタしてくる。
「ちゃんとKenjiさんの分はとっておきますから。ビールとワイン今日の気分はどちらですか?」
透さんは気にならないのかニッコリと笑い普通に返事を返している。
「ワインかな~演奏した後にキンキンに冷えた白が飲みたい」
「分かりました、ならばベジョータに合いそうなモノと一緒に後でもっていきますね」
腕ならしでピアノを弾くためKenjiさんが離れて少しホッとする。
俺はノートパソコンで作業しているユキさんの隣で、今日の料理をテーブル用のメニューに挟みこんでいく。
「あの、Kenjiさんって、なんかボディータッチ多いですよね」
小さい声でそう透さんについ話しかけてしまう。気になる事はどうもそのままにしておけない質だから。
「ああ。俺も最初は少し戸惑ったけれど、やはり芸術家だからかな感情表現とかがストレートなんだろうね。あの人なりの友情表現だから小野くんもそうされても気にしないで、フランクというのかな」
透さんは俺に対して気を使うようにニコリと笑うけど、俺はハハっと乾いた笑いを返してしまう。フランクな人ってベタベタしてくる事ではないのでは?
それにKenjiさんがそういう行動してくるのって透さんにだけだというのを気がついていない。俺には明らかに口説こうとしているようにしか見えないというのに。
真面目なだけでなく、純粋な人なんだなと思う。そう言った邪な目で人から見られているという発想がないのだろう。
そう言うピュアさって良い事だと思うけれど、このままで大丈夫なのかな? なんか心配になってきた。
※ ※ ※
gator ジャズ演奏者、もしくはジャズ愛好家。ゲイの人という意味ではないですので!
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