あるとれいと~絶対回避能力があるのに色々トラブルに巻き込まれちゃう男のお話~

上田るぅ

文字の大きさ
41 / 82
お城奪還編

第41話 レドルジ

しおりを挟む
「あっ、アル! はっ、早く来て! 大変なのっ!」

「おっ、落ち着けって。 今、行くからっ」

 いつも以上に焦る様子のレイを見て、アルは嫌な予感がしていた。

 アルは布団から出ると、着替えを済ませ少し急いだように居間へと向かう。

「あれ? 誰も居ないけど……」

「こっちこっち! 早く来てってば!」

 居間へ向かったアルを呼ぶ声が、玄関先から聞こえる。

 声の主であるレイの手には愛用のメイスが握られており、事態の緊迫さを予感させた。

「おっ、おいおい。 そんな物騒な物、持ち出して……」

「良いから早くっ」

 急かされるように外へと出たアルの袖を引っ張るレイ。

 引きずられるように向かった先は、レイ達が住む集落後の入り口。

「なっ…… おい。 あれって」

 アルは驚きの光景を目にした。

 甲冑を着た兵士数名が貴族達を包囲している。

 その貴族達には、兵士達の手に握られた槍の矛先が向いていた。

(マジか…… もうバレたのか? やっぱ村に行ったのが不味かったか……)

 そんな事を考えながらアルはレイと共に、兵士達の元へと向かう。

 貴族達を取り囲む兵士達とは別に、一人の男がシナモンと口論していた。

「だっ、だから言ってるのですよ! この人達は私が買ったのです」

 拳を握り胸の前でブンブンと振り、怒りを込めた口調で抗議するシナモン。

 その抗議を目を瞑り涼しい顔で聞きながら、コクコクと静かに頷く男。

 銀髪で鼻から下を布で覆った男、レドルジだった。

「おやっ。 まだ人が居たんですか? 貴方は……?」

 レドルジはアルの姿に気付くと、少し驚いたような表情を見せていた。

(ふむ。 面妖な模様が顔に描かれた男が居るとは、聞いてませんでしたねぇ……)

 驚いた様子のレドルジを他所に、アルはシナモンの襟を引っ張る。

「なっ、何するです!!」

「良いから良いから。 お前は下がってろって」

 庇うようにシナモンを自らの後ろに引っ込ませ、レドルジと対峙するアル。

「貴方は? おっと失礼。 名前を尋ねる時は自分から…… でしたね」

 レドルジは、にこやかな口調でそう言うと左手を胸に当て、右手は後ろに回す。

「私はゼニール配下、レドルジと申します。 以後、お見知りおきを……」

 深々と会釈をしながら名乗るレドルジを見て、アルも名を名乗る。

「アルって者だけど…… まぁ、こいつ等の保護者みたいなもんかな」

 アルは後ろに居るシナモンと、その傍らに居るレイに視線を向ける。

 そして不満そうな表情に変わったアルは、呆れた口調でレドルジに話しかける。

「朝っぱらから一体、何の用? 兵士に槍を向けられる覚えは無いんだけど」

(とりあえず相手の言い分を聞かん事には始まらんよな……)

 そう言うとアルは、後ろに控えるシナモンに視線を移す。

(コイツじゃさすがに、子供過ぎてナメられるだろうしなぁ)

 怒った様子のシナモンの頭をポンポンと撫でると、再びレドルジに視線を向けた。

「何、簡単な事ですよ。 そちらの奴隷を引き渡して頂きたいだけですので」

 不満そうな表情のアルとは対象的に、レドルジは涼し気な表情で答える。

 時折、笑みを交えたその口調に、アルは少し不快感を覚えていた。

「理由は? 人の物をタダで掻っ攫おうとするなら、それなりの理由があるんだろ?」

 アルの問いかけにレドルジは、表情を変えずに答える。

「ふふっ。 理由ですか? まぁ強いて言うなら、元々それは私共が買った奴隷ですので」

「うっ、嘘なのですよ! 私が買って契約書もキチンとかわしたですよ!」

 レドルジの言葉を遮るように、食い気味で反論するシナモン。

 アルは少し興奮気味なシナモンを宥めるように、ポンポンと頭を撫でると……

「って事なんだけど。 ちなみに、この人達はアンタが買ったの?」

「いえいえ。 私共はザーマスさんに頼まれましたので」

 アルは聞いた事の無い人物の名前を聞いて、シナモンへと視線を送る。

 その視線に気付いたシナモンは、懐をゴソゴソと漁り一枚の紙をアルに手渡した。

(えーっと…… うん。 確かに契約書っぽいな。 金貨三万枚で…… 署名もある)

 書かれていた内容に目を通したアルは、レドルジに視線を向ける。

「不備は無いようだけど。 言い分は?」

「こちらにも契約書があるのですが…… ご覧になりますか?」

「そんな訳無いのです! わっ、私はそんなの交わした覚え無いのですよ」

 レドルジの発言を聞いて、焦るように反論するシナモン。 

 そのシナモンの様子を見ていたアルは「はぁ……」と小さく溜息を吐く。

(やっぱ、おこちゃまだなぁ。 こんなのまともに相手にしてたら駄目だろ)

 そして少し呆れたようにレドルジに視線を送る。

(というか、問答無用で連れて行かないって事は…… 何か裏でもあるのか?)

 アルは少し思案するように右拳を口元に当てる。

(まぁ…… 何をするにせよ、今日の所は帰って貰わんとなぁ……)

 チラッと兵士に囲まれた貴族達に視線を送ると、アルは改めてレドルジを見た。

「話が平行線だからさ。 とりあえず、そのゼニールっての連れてきて貰えるかな?」

 その言葉を聞いたレドルジは、少し苦笑いするような口調に変わる。

「それは難しいですねぇ。 そうだ! これならどうです?」

 レドルジはパンっと両手を叩くと、後ろに控えていた兵士が大きめの革袋を差し出す。

 それを受け取ったレドルジは、中身を見せるように袋の口を開け、アルの前に投げた。

 ドサッ…… 

 口の開いた袋からは、大量の金貨が溢れていた。

「何これ?」

 アルは袋に視線を送るとすぐに、レドルジの目を不満そうな表情で見つめる。

「売っていただけませんか? 六万枚の金貨で。 それは少ないですが前金という事で」

 涼し気な口調で話すレドルジの表情を見たアルは、少し笑顔に変わった。

(やっぱ、あの契約書は偽物って事か。 じゃ交渉次第では引き下がって貰えそうだな)

 アルの笑顔を見たレドルジは、少し嬉しそうな声で話を続ける。

「売って頂けるんですね? 良かった良かった」

「ちょっ、アル!」

 レドルジの言葉を聞いたレイは不安そうな表情で、アルに声をかける。

 そんなレイを制止するように右手をレイの前に出したアルは、レドルジに声をかけた。

「生憎だけど、それは無理かな。 あれは俺の物だからさ」

 キッと睨みつけるように話すアルの言葉を聞いて、レドルジは突然声を上げて笑い出す。

「クククッ。 ハハハッ。 そうですか。 売って頂けない…… っと」

 レドルジは軽く拍手をしながら、アルへ言葉を続けた。

「あの奴隷達は貴方の物。 貴方の財産…… という認識で構いませんか?」

 笑いながら話すレドルジの言葉を聞いたアルは、少し胸がざわつく。

(あれ…… 何か不味い事言ったかな? えーっと……)

「そうなのですよ! この方達は全員、アルさんの物なのですよ!」

「そっ、そうなんだから! だから、絶対に渡さないんだからねっ!」

「ちょっ…… お前らっ」

 アルの懸念を他所にシナモンとレイが、怒ったような口調でレドルジに返答する。

 レドルジは笑い終えると、落ち着いた口調でアルに話しかけた。

「それでは所有物に掛かる税として、金貨二万四千枚。 お納め頂けますか?」

 突然のレドルジの発言にアルは絶句する。

(そういう事…… 何が何でも連れてこうって魂胆ね……)

 アルはシナモンとレイに視線を送ると、二人は気不味そうな表情で俯く。

(とは言え…… 強引に連れて行かないって事は、それなりの理由が必要って事か……)

 押し黙ったまま思案するアルの様子を見て、レドルジは表情を変えずに言葉をかける。

「現金が無いのであれば、財産でお支払い頂いても構いませんよ?」

 その言葉を聞いたアルの表情が笑顔に変わると

「そうだな。 税金は納めないといけないよなっ」

「ちょっ! 何言ってるですか」

「アルっ!」

 アルの言葉を聞いたレイとシナモンが、焦ったような口調で声を荒げる。

 そんな二人の様子を他所に、アルはレドルジへと言葉を続ける。

「とは言え、今は手持ちが無いからな。 この人達を売った金で払うから」

「そうですか。 それでは、私共に売って頂けるのですね?」

 レドルジの言葉を聞いたアルは、目の前に落ちていた金貨の入った革袋を手にする。

(重っ…… 幾ら入ってるか知らんけど…… 重すぎだろ……)

 そんな事を考えつつ、アルはレドルジの傍らに居た兵士に手渡す。

「いや、悪いけど他にアテがあるんでね。 アンタ達には売れないな」 

 アルの言葉を聞いたレドルジは、少し思案するように左手で鼻を触る。

(ふむ。 強引に連れて行っても構いませんが…… この男が何者か今は分かりませんし……)

 そしてチラッと兵士に囲まれた貴族達へ視線を向ける。

(予定には無い事ですが…… ここは一つ、泳がせてみるとしますか)

 考えが纏まった様子のレドルジは、再び涼し気な表情に変わり

「良いでしょう。 では十日待つ事にします。 それまでにお支払い頂けますか?」

 レドルジの言葉を聞いたアルは少し安堵した表情に変わる。

「あぁ。 十日後ね」

「もしそれまでにお支払い頂けない場合は…… 彼女達は連れて行きますので」

 アルはレドルジの言葉を聞いて静かに頷く。

 その様子を見たレドルジは両手をパンっと鳴らし、貴族達を取り囲む兵士達に声をかけた。

「皆さん。 今日のところは引き上げますよ」

 その言葉を聞いた兵士達は、無言のまま槍を引くと集落の入り口へと移動していく。

(とりあえず…… 時間は稼げたか……)

 アルは小さく「ふぅ」っと溜息を吐くと、改めてレドルジに視線を向ける。

「それは今日は、この辺で失礼するとしましょう」

「あぁ。 そうしてくれ……」

 少し疲れたように話すアルに、レドルジは涼し気な表情のまま話を続けた。

「余計な事かも知れませんが、奴隷を売るには奴隷達の身分証が必要となりますが、お持ちですか?」

「なっ、それはゼニール達に取られたですよ! 返して欲しいのです!」

 怒るシナモンの頭をポンポンと撫でたアルは、呆れた表情でレドルジに返答する。

「まぁ、アンタは十日後に来てくれれば良いから」

「そうですか。 分かりました」

 レドルジはそう返事をすると、思い出したようにハッとした表情に変わり話を続けた。

「そうそう。 言い忘れましたが現在、旧アストリナ領に続く街道は全て私共が封鎖しております」

(マジかよっ…… 逃さないって事か?)

 アルの不満そうな表情を見て、レドルジは逆に満足そうな表情へと変わる。

「もし貴方が他国、例えばウルスラから身分証を調達しようとしても、無理だと思いますので」

 そう言うとレドルジは少し「ふふっ」と小さく笑い声を上げた。

「まぁ余計なお世話でしたかね。 それでは十日後に。 御機嫌よう」

 そう言うとレドルジは、兵達を引き連れてレイ達の住む集落を後にした。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 レドルジ達が小さくなるのを確認したアルは「ふぅ……」と小さく溜息を吐く。

(場所だけじゃなく、身分証の事も筒抜けか…… まぁ相手は領主だし当然っちゃ当然か……)

 右手で顎を触りながら思案するように佇むアルに、不安そうな表情のレイが言葉をかけた。

「あっ、アルぅぅ。 どーーするのぉ?」

 レイは余計な事を言った気がした罪悪感と気不味さ、そして不安が入り混じった表情をしている。

 そんなレイの頭をポンポンと撫でると、アルは気の抜けた表情で答える。

「まぁ任せておけって。 ちゃんと考えがあるからさっ」

「アルぅぅぅぅ」

 今にも泣き出しそうなレイを慰めつつ、アルはシナモンに声をかけた。

「とりあえず何とかするから、お前は皆を集会場にな。 安心するように言っておけよーー」

「はっ、はいなのです」

 呆けてたシナモンはアルの言葉を聞いてハッとした表情に変わると、貴族達の元へ向かう。

 そして貴族達を集会場へと案内するのを見届けたアルは、改めてレイに言葉をかけた。

「レイも安心して良いから。 とりあえず、家に戻ってろよ」

「アルぅぅ。 うん、分かった……」

 少し泣きそうな表情のレイは、言われるがままに家へと戻っていった。

 そして集落の入り口にただ一人残ったアルは、改めて腕を組み目を瞑る。

「うぅーーん。 マジでどうしよ…… 何も良い案が浮かばないんだけど……」

 そう呟きながら考えこむアル。

 そんなアルの姿を木陰から覗く人影が居た事に、アルは気付かなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...