七賢聖

赤城 奏

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第一話 伝説の七人

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 かつてこの世界を創造せし七人の神がいた。神々はそれぞれ天を操り太陽を、月を、大地を、海を、風を、雷を操って世界を造った。人々は神々を崇め、奉った。長い時が過ぎ、人々は大きな国を造った。
 だが、ある時十人の神は言った。「争いしか繰り返さぬ人間など、この世界には必要無い」と。七人の神は『神の使い』と呼ばれるもの達を作り出した。『神の使い』達は神の命に従い、人間の世界を侵略した。
 人間達は神の侵略に対抗する為、『賢人』と呼ばれる力あるもの達を作った。彼らは『神の使い』と戦った。それによって蹂躙されるだけだった人間達は神と戦う決意をした。
 そして賢人達の中でも最強と呼ばれた七人のもの達がいた。人々は彼らを『七賢聖』と呼んだ。

      *

 ルナミス王国の王都ユナールから北西に離れたロザの村では旅の楽団が軽快な音を響かせていた。村の人々は作業の手を止めていたり、時折立ち止まって彼らの音に聞き入っていた。旅の楽団は七人の男女で構成されていた。人数は少ないがそれをものともしない音楽を奏でていた。
 そして彼らが演奏を終えると、村人達は盛大な拍手を送った。楽団のもの達は村人達に一礼を返し、手を振り返したりした。
 村人達の熱が冷め、彼らの前からあらかた人がいなくなった頃、彼らは自分たちの楽器を片付け始めた。楽器を軽く点検するとケースへ戻し、馬車に積み込んだ。それを何度か繰り返しあらかた片付け終え、彼らが休憩しようとした時、村の子供達が彼らに駆け寄ってきた。 
 「フレム~!」
 フレムと呼ばれた赤みがかった髪を持つ青年は子供達を見て笑みを浮かべた。
「よっ、お前ら。今日も俺たちの演奏聴いてくれたか?」
「うん!フレム達、今日もすっごかった。」
「ありがとな。」
 大きく身振り手振りですごさを表現する少年の頭をフレムは豪快に撫でた。他の子供達も緑がかった髪をした青年-グレスや白みがかった女性-サンラなど他の六人に近寄ってここが凄かった、あそこが凄かったと話しており、それを聴いた彼らも礼を言ったり子供達と戯れたりしていた。

 フレム達が休憩のために移動するのに子供達もついていった。フレム達と子供達は輪になって座っており、フレムや紫がかった髪を持つ青年-シデンが今までの旅のことを話して聞かせた。
「今日はなんの話をするの?」
「そうだな、今日は王都のことを話してやる。」
「王都ってあの王都⁉︎フレム達王都に行ったことがあるの‼︎」
「あぁ。」
 フレムの言葉に子供達は目を輝かせた。そしてすぐにフレム達に質問し始めた。多すぎる質問に、フレム達はなんとか子供達をなだめ、旅の話をした。子供達は彼らの話に目を輝かせて聞いていた。時折グレスや黒髪の青年-ルナンに突っ込まれていたり怒鳴られたりしていたが、絶えず笑い声が溢れていた。

      * 

数時間が経ち子供達が帰った頃、フレム達は自分たちの馬車に戻った。彼らは今日の演奏の反省会を始めた。
「今日の演奏で何か悪かったところはないか。」
 フレムが全員を見回して言った。彼を含めた七人の手には今日演奏した曲の楽譜があった。
 最初に手を挙げたのはグレスだった。
「二局目の終盤はもう少しテンポを緩めてもいいと思います。この曲自体が元々テンポの速い曲なので終わりになる程テンポが速くなっていましたので。」
「あ~確かに。俺もやっててちょっと速いなとは思ったな。」
 グレスの言葉にシデンが同意した。それに各自自分のテンポを確認し始めた。時折隣の者達とリズムを確認していた。ある程度確認し終え、全員が納得した頃、青みがかった髪の女性-ミゾレが言った。
「一曲目の中盤、アースと二人での演奏で音がずれました。」
 アースと呼ばれたオレンジがかった髪を持つ青年はミゾレの言葉を聞いて思い出すように少し考え込んだ。
「ん?あぁ。あそこは確か高い音から一気に低い音に変わるところだったな。合うように下げたつもりだったが、まだ高かったか?」
「いいえ。むしろ少し下がり過ぎなくらいです。なのであと二つほど音を上げて下さい。」
「分かった。」
 確認するアースの言葉にミゾレは訂正を入れた。それにアースは頷き、二人で音の確認を始めた。 
 二人が確認している間、他の五人もそれぞれ個人的に全体を確認した。
「他に気付いたことはないか?」
「あえて言うなら、ミゾレに変な目を向けてくる奴が多い事かな。」
 フレムが他の四人に尋ねたところサンラがいつもより低い声で言った。サンラの様子に苦笑をこぼす者や視線を遠くへ飛ばす者など反応は様々だった。だがサンラの言葉を茶化すものは一人もいなかった。
「まぁ、ミゾレを狙う奴がいんのはいつもの事だしな。」
「確かにミゾレは綺麗だから目を引くのもわかる。でも、あんな変態の目をミゾレに向けるなんて言語道断!飛び出して行って張り倒そうかと思ったわよ。まぁ、演奏中だったから睨む程度しかしなかったけど。」
 苦笑を漏らすシデンの言葉にサンラが怒りを吐き出した。近くの机を叩いてそう言ったサンラの怒りを見て、話を聞いていたアースは顔を青くさせていた。シデンの隣で笑みを浮かべていたルナンだが、内心どうやって制裁を下そうか考えていた。その考えを見抜いたフレムとシデンがルナンをなだめていた。
 確認を終えたミゾレとアースも戻り、サンラとルナンの怒りもなんとか収まった頃、フレムが全員を見回した。
「今後のことだが、明日この村を出ようと思う。」
 その言葉に全員が目を細めた。グレスが確認するように言った。
「昨日の創造神の一人が降りてきたと言う事件ですか。」
「あぁ。王都に近い村の一つが壊滅したそうだ。」
「…本格的に、神が動き出したか。」
 グレスの言葉にフレムが頷く。アースが剣呑な表情でそう言った。他の四人も話を聞いて同じような表情だった。
 全員が村を発つことを了承すると、明日のために休んだ。

     *

 翌日、七人がいつものように演奏を始める前にフレムが村を発つことを話した。それを聞いた村人達は悲しんだが、次の村でも頑張れとエールを送った。それに礼を返しいつもの様に演奏を始めた。
 一曲目、昨日アースとミゾレが合わせていた中盤のところも問題なく音が合わさっていた。同じく二曲目の終盤、テンポが早くなりがちだった部分も修正され、一定のリズムで曲を奏でていた。 
 時に力強く、時に緩やかに流れる音を響かせ、七人の最後の演奏は幕を閉じた。村人たちは今まで以上に盛大な拍手を送り、七人は揃って一礼した。

 演奏を終え各自が楽器を馬車に積み終えた頃、いつもの様に子供達が駆け寄ってきた。
「フレム、もう行っちゃうの?」
「あぁ。今日の夕方にはロザの村を出ようと思う。」
「そっかぁ。」
 悲しそうに俯く子供達。フレムは子供の頭を優しく撫でた。それに子供達は堪えていた涙を流し、フレム達に抱きついた。フレム達は子供達を受け止め、泣き止むまで抱きしめていた。
「もう大丈夫か。」
「ぐすっ。うん、ありがと。」
 ようやく泣き止んだ子供達といつものように輪になって座った。まだ目に涙を浮かべた子もいたが、ミゾレやサンラなどが涙を拭っていた。
「さて、今日は特別にお前達に『賢人』のことについて話してやる。」
 その言葉に子供達は目を輝かせた。涙を浮かべていた子も涙を引っ込ませていた。子供達が涙を止めたのを見たミゾレとサンラは微笑んだ。
「さて質問だ。お前達は『賢人』がどう言うものか知ってるか?」
「えっと、神さまと戦ってる人たちのことでしょ。」
「そうだ、よく知ってるな。」
 答えた子供は褒められたことが嬉しく、顔を赤らめた。
「それじゃあ次の質問だ。『賢人』たちが使う力のことは知ってるか?」
 フレムの問いに今度は全員が首を横に振った。フレムは子供達に答えを明かした。
「賢人達が使う力は『聖気』という。『聖気』には属性が七つある。」
「はい!火と氷と風と岩と雷でしょ。あとは、」
「光と闇だよね。」
 今度は別の子が元気良く手を上げて言った。二人の子供の言葉に正解だとシデンが頭を撫でた。フレムも頷いた。
「そう。そして賢人達が使う『聖気』は一人が一つの属性を持っている。ただ、『聖気』というのはもともと全員が持っている力で、賢人達は体と心を鍛えることで『聖気』を使えるようになったんだ。」
「じゃあ僕でも『賢人』になれる?」
 話を聞いていた子供の中である一人の子供-ラムがフレムに問いかけた。フレムはラムの頭を撫でて尋ねた。
「ラムは『賢人』になりたいのか?」
「うん。賢人になっていつか『七賢聖』くらい強くなってお母さんやこの村を守るんだ。」
 目を輝かせてそう言ったラムに、フレムは小さく「そっか、」と呟いた。フレムの様子が変わったことにラムは目を瞬くが、すぐにフレムは元の調子に戻った。
「頑張れよ、ラム。」
「そうそう。『七賢聖』みたいになるなら目一杯頑張らなきゃな。」
 応援するフレムの横からからかう様にシデンが言う。シデンの言葉に頬を膨らませたラムは「絶対強くなるもん!」と宣言する。それにフレム達は笑い、つられる様に子供達も笑った。

      *

 穏やかな日常が溢れる中、それらは唐突に訪れた。
 空が一瞬白く光った時、全身が白く頭上に光の輪を持つものたちが降りてきて空中で止まった。人型をしたそれらは片手を突き出し手のひらを村に向けた。手のひらの前に光の玉を作り出すと、村に向けて放った。
『ライトニング・バン』
 光の光弾によって家を壊され、人々は逃げ惑った。
「うわぁ。」
「キャー。」
 悲鳴を上げて逃げる村人たち。だが人型のものたちは無表情に村を破壊していった。
「我らは神の使い-メザーゴ。神の命により、人間を排除する。」
 白い人型-メザーゴは光弾を村人たちに向けて撃った。だが、剣を持つものたちによって防がれた。
「そこまでだ、メザーゴども。」
 剣を持つもの達-この村に駐在する賢人達は剣をメザーゴに向けた。剣先から炎や氷、風などが生み出されメザーゴ達を襲った。
「へっ、どうだ。」
 得意げに鼻を鳴らす一人の賢人。だが攻撃を受けたはずのメザーゴは無傷で空中に佇んでいた。
「なっ⁉︎」
「嘘、だろ。」
 驚きで動けない賢人達にメザーゴは先程よりも強い光弾を撃った。動けなかった賢人達は光弾を受けて吹っ飛ばされ地面に倒れた。動かなくなった賢人達から目を離したメザーゴ達は再び村を破壊し始めた。

 メザーゴ達を見たフレム達も子供達を安全な場所へ避難させていた。だが賢人達がやられるのを見たラムはメザーゴに向かって駆け出した。
「待て、ラム!」
 ラムは静止を聞かず、石を拾ってメザーゴに投げつけた。石が当たったメザーゴはラムの方を向いた。ラムは荒い息を吐きながらメザーゴに向かって叫んだ。
「お前らなんか『七賢聖』があっという間に倒しちゃうんだ!神さまなんかこれっぽっちも敵わないんだ!」
 涙をこらえてメザーゴを睨むらむ。それになんの感情も持たず、メザーゴは光弾を放った。ラムに光弾が迫った時、誰かがラムを抱えて横に飛んだ。光弾はラムにあたることなく地面を抉った。
 ラムは自分を抱える者を見上げると笑顔を浮かべた。
「フレム!」
 フレムはメザーゴを睨んでいた目を和らげ、ラムを見て大丈夫かと尋ねた。それに頷いたラムはフレムから降ろされた。
「もう無茶すんなよ。ほら、早く逃げろ。」
「うん。フレムは?」
「俺は、こいつらに用がある。だから先に行け。」
「分かった。」
 逃げていくラムを見たフレムはメザーゴを振り向いた。無表情のままそこにいるメザーゴをフレムは再度睨み付けた。メザーゴは今度はフレムに向かって光弾を放った。動かないフレムに光弾が迫った時、後ろから二人が飛び出し、光弾を防いだ。同時にメザーゴに向かって氷の矢が放たれた。撃ち落とされたメザーゴは地面に降り立った。
 フレムは自分の目の前にいる二人に笑みを浮かべた。
「サンキュ。サンラ、シデン。」
 フレムを助けた二人-サンラとシデンは両手にそれぞれ短剣と銃を持っていた。彼らの後方ではミゾレが弓を構えていた。手に剣を持ったグレスがフレムの横に並ぶと持っていた剣を彼に渡しながら無茶を咎めた。
「全く、なんで避けようとしないんですか。ラムを助けたのは良かったとしても、自分が狙われたなら回避くらいして下さい。」
「悪かったって。でも良いじゃねえか、サンラとシデンが間に合ったんだから。」
 苦笑をこぼしながら言ったフレムの言葉にグレスの隣に並んでいたルナンがため息をこぼした。改めようとしないフレムの様子に彼らは諦めを浮かべるしかなかった。
 剣を腰に刺したフレムの横に全員が並んだ。彼らは各々の武器を上空で周りを囲むメザーゴ達に向けて構えた。フレムが剣を鞘から抜くと同時に、メザーゴが動いた。
 正面にいるメザーゴが光弾を放つと、上空にいるメザーゴ達もフレム達に向かって光弾を放った。フレム達は自身の武器で光弾を防ぐと、バラバラに分かれそれぞれメザーゴに向かっていった。

      *

「はぁっ。」
 グレスは細身の剣-細剣を振るい斬撃を生み出した。斬撃を受けて体勢が崩れたところへ、グレスは自身の聖気である風を剣に纏わせると数十もの突きを叩き込んだ。見えない程早く打ち込まれた突きにメザーゴは光のカケラとなって消滅した。
「ふっ。」
 ミゾレは自身の聖気である氷で矢を作り、それをメザーゴに打ち込んだ。矢は全てメザーゴの体を射抜き、腕や足、肩などを貫いた。矢に貫かれた部分は聖気で出来た氷に覆われてメザーゴは身動きできなくなっていた。そして最後の矢が胸を貫いた時、メザーゴは光のカケラとなって消滅した。
「おりゃっ。」
 アースはその身に似合わぬ大斧を振るっていた。彼が斧を振るうと、彼の聖気である岩がメザーゴを襲った。大小様々な岩が地上から襲ってきて身動きの取れなくなったメザーゴは目の前にアースがいることに気付かなかった。気付いた時にはアースの斧は振るわれていた。斧によって真っ二つにされたメザーゴは光のカケラとなって消滅した。
「ほらほら、こっちだよ。」
 シデンは軽快な動きをしながら両手に持つ銃でメザーゴを撃っていた。離れたところから銃を撃っていたシデンだが、素早く屋根に駆け上がり、メザーゴに近づくと蹴りを放った。重い蹴りを受けたメザーゴは後ずさったがすかさずシデンは追撃の拳を見舞った。体勢が崩れていたところをモロに食らったメザーゴは地面に叩きつけられ、数回転がった。シデンは屋根の上からメザーゴを見下ろすと右手に銃を持ち、自身の聖気である雷を纏わせた一発を放った。それを受けたメザーゴは光のカケラになって消滅した。
「やぁっ。」
 サンラは両手に短剣を逆手に持ち振るっていた。メザーゴが放つ光弾を短剣を振るって捌きながら、確実に相手に近づいていった。ある程度まで近付いた時、サンラは蹴りを放った。それにメザーゴは光弾を撃つのをやめた。素早く短剣を振るい、意識がそちらに向いたタイミングで蹴り上げる。手数の多さに防戦一方となったメザーゴ。そして懐に入り込んだサンラは自身の聖気である光を纏わせた短剣を胸に突き立てた。刺されたメザーゴは光のカケラとなって消滅した。
「ふん。」
 ルナンは両手にそれぞれ剣を持ち、流れるように振るった。片方の剣が振るわれたかと思うとすぐにもう一つの剣で突きを入れられる。一つ目の剣を避けたメザーゴだが、突きを避けることはできず後ずさった。だがすぐに交差するように振るわれた双つの剣を受け倒れた。ルナンは左手に持つ剣に自身の聖気である闇を纏わせ振り下ろした。斬られたメザーゴは光のカケラとなって消滅した。

 次々と倒されていくメザーゴ達。そして、フレムの正面にいる一体だけを残し、全て倒されてしまった。残る一体のメザーゴはそのことになんの感情を持つこともなく、目の前にいる人間を排除しようとする。自身に向かって放たれた光弾をフレムは一刀両断した。そして、剣に自身の聖気である炎を纏わせ、斬撃を放った。斬撃を受けたメザーゴは光のカケラとなって消滅した。
 最後の一体を倒したフレムは空を見上げ、宣言するように言った。
「人間は、俺たちは神を倒す。」
 グレス達も空を睨むように見上げていた。

 彼らの戦いを見ていた村人達は、彼らが持つ武器にある紋章に気が付いた。七つの花弁を持つツマトリソウ。黒い六つの花弁の中に一つだけあるそれぞれ赤・緑・青・黄・紫・白・藍の色をした花弁。その紋章は彼らが誰かを示していた。
「あの花の紋章は、『七賢聖』の、」
「…フレム達が、『七賢聖』。」
 村人達の言葉を聞いたラムはフレム達を見たまま、呆然と呟いた。
 武器を収めたフレム達は大きく息をついた。緊張を解く彼らの様子に、村人達は少しずつ我に返っていき、村は喜びに包まれた。村人達は近くのものと抱き合ったり、座り込んだりして生きていることを喜び、村を守ってくれたフレム達に感謝の思いでいっぱいだった。

      *

 村人達にたくさんの感謝を言われたフレム達は何かお礼をしたいという村人達に気持ちだけで十分だと言い、自分たちの馬車に戻った。フレム達は当初の予定より遅くなったが、馬車を出し村を出ようとした。
 もうすぐ村を出るというところで誰かが馬車を追ってきていた。
「フレム~!」
「ラム!ちょっと止まってくれ。」
 追いかけてくるラムを見て、フレムは馬車を止めるように言った。止まった馬車に追いついたラムは膝に手をついていた。だが降りてきたフレムを見ると顔を上げた。
「どうしたんだ、ラム。」
「あのね、フレムは『七賢聖』なんだよね。」
「あぁ。あいつらもな。」
 片膝をついて目線を合わせたフレムに、ラムは叫ぶように宣言した。
「僕大きくなったら賢人になって『七賢聖』みたいに、フレム達みたいに強くなる!それでこの村を守る!」
 ラムの言葉に一瞬だけ目を見開いたフレムはすぐに口元に笑みを浮かべると、ラムの頭を力強く撫でた。
「なれるさ。いつかお前が、ラムが大きくなったらな。」
 そう言ってフレムは笑った。同じようにラムも笑い、二人の様子を馬車から見ていたグレス達も微笑んでいた。
 フレムはラムと別れをすませると立ち上がって馬車に乗った。村を出ていく馬車にラムは大きく手を振った。
「またね~皆。村を守ってくれてありがとう。」
 馬車の中からラムを見た七人は笑みを浮かべた。そして彼らは次の村へと旅立っていった。

続く
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