裏世界で開催されるショーに参加したら予想外の結末になりました。

まこ

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番外編

仕返し①

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※響くんが擽られてるだけのお話しです。苦手な方はご注意下さい※

◇ ◆

「朝日って嫉妬とかしねーの?」

響くんが飲み会があると言うので、俺も久しぶりに友人達とご飯を食べていた時、一人の友人に唐突にそう訊ねられた。

「え、しないけど。何で?」

「だって話聞いてると朝日の恋人って飲み会多くない?心配じゃないの?」

「別にー?酔っ払わずに帰って来るし、行動制限したくないかなぁ。俺もこうやってお前らと出掛けてるし」

言われてみれば昔から嫉妬なんてした事がなかった。

仮に誰かと仲良くしていても何も思わない。実際に放置していて乗り換えられた事だってあった。

他に好きな人が出来てもそれは仕方ない事だし、あの時もう少しこうしてたら良かった位の気持ちはあるが、去る人を追いかけようとは思わない。勿論悲しい気持ちはあるけれど。

「意外と男らしくてサバサバしてるよな。見た目は女の子みたいなのに」

「うっせーな、どうせ見た目は男らしくねーよ」

「もし今の恋人が他の人の所行ったらどーすんの?」

「はぁ?何でそんな虚しい想像しなきゃなんないんだよ。そんなの嫌だからそうならない様に日々相手を思いやるしかねーじゃん。大切にしてても去ってくならもう仕方ないし」

そんな話をしている時にスマホが鳴り、響くんから【今から帰るね。詩もゆっくり楽しんできてね】と書かれていた。

「恋人?」

「うん。もう帰るみたい。ゆっくり楽しんで来てって言われたけど、俺ももう帰るわ」

「おー、久しぶりにゆっくり話せて楽しかった。またな朝日~」

お金を渡してその場を後にし、俺は合流するために響くんに電話をかけた。

『あれ、どうしたの?』

「俺も帰る。良かったら一緒に帰ろ!響くん何処に…」

『ひーくん。電話誰?』
『ん…友達』

響くんはまだ職場の人と一緒に居るみたいで、会話が少し聞こえた。

相手はかなりのイケボだったので、今までならそっちに気がいってしまうが、その後の響くんの回答に初めてモヤっとした気持ちになった。

友達?俺が?

『…あ、詩ごめんね。今何処らへんに居る?そっち行くよ』
『え、ひーくん飲みに行くの?俺も行こうかな』
『麗くんは来ないで、ていうか近いからあっち行け』
『つめたぁい』
『あーもうこの酔っ払い!邪魔!』

「…」

ついさっき嫉妬なんてしないと言い張ったが、この二人のやりとりに初めてモヤっとした気持ちが生まれた。

『ごめんね、同僚が酔っ払っちゃって。送ったらすぐにそっちに、』

「…来なくていい。俺もやっぱりまだ帰んないから、麗くんって人と楽しんできたら?」

『え?』

響くんの驚いた声を最後に、俺はブチっと電話を切った。何だか異様に腹立たしくて、初めてこんな意地悪な対応をしてしまった。

するとすぐに響くんから着信がきたが、俺は出る事はせずに一人で夜道を歩いた。

何度も鳴る着信と、メッセージ。今見てしまうと余計モヤモヤしてしまいそうなので電源を切ってしまった。

素の口調で話す響くんの声。そしてその隣にくっついていたと思われるイケボな麗くんと呼ばれた男性。

よからぬ想像をしてしまい、ぎゅっと胸が痛くなったので俺は近くのバーに入る事にした。

「いらっしゃいませ」

入るなり格好良いバーテンダーさんが挨拶をしてくれた。昔はイケメンが大好きだった俺はそれだけでテンションが上がっていたのに戻ることはなく、モヤモヤした気持ちを吹き飛ばすためにも強い酒を注文した。

自分らしくない感情が表れ、今までヤキモチなんて妬いた事がなかったから振り払う術が分からなかった。

「何かありました?随分淋しそうな顔して」

「…恋人が、俺の事周りに友達って言ってるみたいでぇ。なんかモヤモヤしてお酒に頼りにきましたぁ」

「えぇ、それは淋しいですね。何か理由があるかもしれませんし、どうしても引っ掛かるなら冷静な時に話し合うのがいいんじゃないですか」

「…ん、そうですねぇ」

強い酒を勢いよく飲みながら、負の感情を取り払おうとしたが、考えれば考える程モヤモヤして仕方ない。

「…あの子だけは、誰にも渡したくないなぁ」

「ふふ、お兄さん可愛いですね。でもやけ酒はあまり良くないですし、たくさん愚痴ってお酒は控えましょうね」

「…はい」

こじんまりとしたそのバーは、俺以外のお客さんはおらず、俺は甘えてずっとバーテンダーさんに語りかけた。初対面だからこそ出来る会話に少しだけ癒された。

「お兄さん、そろそろ終電ですけど」

珍しく語りまくった俺は、バーテンダーに言われてふとスマホを見た。

「あ、電源切ってたんだっけ」

長押しして電源をつけると、不在着信とメッセージの数が表示されて少しだけ酔いが醒めた気がした。

【不在着信 8件】

【メッセージ 5件】

今から帰るね、とかそう言った事でしかお互いスマホを使わないのでこの数は俺達にとっては多い方で。

メッセージには心配の内容と、迎えに行くという内容。連絡するのを躊躇っていたら、再び着信が鳴った。

「…はい」

『詩!何処に居るの?何かあった?大丈夫?』

「麗くんは?」

『え?麗くん?…隣に居るけど、何で?』

「何でまだ一緒に居んの」

『え?だって、』

「麗くんとずっと居ればいいじゃん」

『…どうしたの?』

「…もう知らな、」

お酒の影響もあり、ぶわっと涙が溢れ出すと、バーテンダーさんがよしよしと頭を撫でてくれた。

「ぐ…っずっ、」

「泣いてちゃ分からないからきちんと言ったら?」

小さい声で俺にそう言ってくれたが、それが響くんにも届いた様で、少しだけ不機嫌な声が聞こえてきた。

『え…誰かと居るの?俺がどれだけ心配したと………あーもう。そうじゃなくて、ごめん、違くて。とにかく今何処に居るの』

何やら一人でごちゃごちゃ話す響くんに何も言う事が出来ず、ボロボロ泣いていると、バーテンダーさんが俺のスマホを手に取り、響くんに話しかけた。

「こんばんは」

『…こんばんは、どちら様ですか?』

「一丁目のバーのマスターです。…今少しお話し宜しいですか?」

『…はい』

「あなたがご友人に自分の事を友達と紹介してたのが淋しかったとご来店されて、ずっと話を聞いてました」

『…あ、すみません。バーのお名前教えてもらっていいですか?すぐに行きます』

その後何か二人で会話をしていた様で、話し終えるとバーテンダーさんはニッコリと俺に微笑みかけてくれた。

◇ ◆

「詩っ」

俺が泣きながらテーブルに突っ伏していると、響くんとその隣に麗くんと思われる超イケメンが二人でバーに入って来た。

「…良かった、すごい心配した。何もなくて良かった、ごめんね詩」

駆けつけるなり俺の所へ走ってきてくれた響くんはぎゅっと抱き締めてくれた。それが嬉しくてしがみついて泣いていると、響くんとバーテンダーさんが話をしており、俺はぼんやりとした意識の中そのやりとりを聞いていた。

「詩、帰ろ?」

やりとりを終えた響くんに手を引かれてバーを出て、街灯で明るい街を三人で歩いた。未だにこの人が誰か分からずにじっと見つめていると、ときめく程格好良い笑顔を向けられた。

「ごめんね?詩ちゃんだっけ?俺コイツとは何もないよ。俺の存在気にしてると思ったから説明のために一緒に来ただけ」

「この人は麗くんって言って、大学時代から仲良くしてる友人なんだ」

「……」

「俺が詩の事を恋人って言ってなかったのは、麗くんと会わせたくなかったから。…この人、詩の好みで凄くイケメンでしょ?恋人出来たって伝えたらきっと会いたいって言うだろうから、それだけは…嫌だった。でもそれが原因で拗れるなら…恥ずかしいけど全部伝えようと思って」

「いや、笑ったら悪いけどすげーひーくん面白かったよ。詩ちゃんと連絡取れなくなってパニックになっててさ。流石に酔いも醒めて心配だから一緒に居ちゃったわ」

「…余計な事言うな。因みに、麗くんには学生時代から付き合ってる仲良しの恋人が居るから、本当に俺とは何もない。安心して」

「…うん、俺もごめん。ちょっと酔ってたから…つい」

「良かったな、んじゃ俺帰るから二人でラブラブな時を過ごしてよ~」

ヒラヒラと手を振って帰って行った麗くんに軽く手を振ると、響くんに手を繋がれた。

「帰ろうか。終電なくなっちゃったからホテル行く?タクシーで帰るのでもいいけど」

「ホテル行きたい」

「うん、いいよ」

「そういえば響くん、前は自分のベッドしか寝れないって話してたのに俺とは色々泊まってくれるよね」

「詩の事抱き締めて寝たら何処でも安心出来るの分かったからさ」

近くにあったホテルへ入り、ソファに腰掛けるとそんな嬉しいことを言ってもらえた。

「嬉しい。じゃあ今度さ、旅行に行きたい。賞金もたくさん貰えたし」

「うん。いいよ、行こうか」

「えへへ、楽しみ」

「俺も。さっき、麗くんの事ごめんね」

「ううん、俺が勝手にヤキモチ妬いちゃった。初めてだから対処法が分かんなくてさ。……でも、一回だけお仕置きとして攻めてみていい?」

俺が可愛く見上げておねだりしてみると、響くんは明らかに顔が引き攣ったが、俺を傷つけたという意識が働いたのか、暫く悩んだ後、コクリと頷いてくれた。

(よっしゃあああ)

正直、今まで攻めたい気持ちがあったので、心の中でめちゃくちゃガッツポーズをした。

この時にはもうさっきまでのモヤモヤした気持ちは消え去っていた。

響くんの気持ちが変わらない内に服を脱いでもらい、ベッドに押し倒して両手を頭上で一纏めにしてタオルで縛り、枕を間に挟んで下ろせないようにした。

「縛らなくても別に逃げないよ」

「俺の趣味。……実は俺、一回でいいから響くんの事攻めたかったんだよね」

「…あんまいじめないでよ」

「響くんて何処が弱いかな?脇腹とかどう?」

太腿の上に座らせてもらい、適度に引き締まっている脇腹に手を添えるとピクリと反応を示してくれた。

「…弱い人多くない?詩だってくすぐったいでしょ?」

「そうだね」

脇腹からスルスルと指を動かして、俺が前暴れまくった胸の横辺りに触れると響くんもビクッと明らかに反応した。

特に指摘はしなかったが、サワサワと弱い触り方を探る様に同じ箇所を擽ると、くねくねと腰を捩り、必死に声を堪えている。

「ふふ、響くんの弱点、いっぱい攻めてあげるからね」

「…別に、ないしそんなの」

「へぇ、こんなに分かりやすく反応しといてバレてないとか思ってるの?それとも強がってる?可愛い」

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