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スクープ
しおりを挟む「義経ぇ~!起きてぇ~!!」
…母さんは朝からテンションが高い。
逆に俺はいつまでも目が覚めなくて朝飯食っても寝ながら食べているときがあるらしくその記憶がないときもある。
「チカ君すごいね。あの有名女優と熱愛だなんて!!」
テーブルの向かいに座ってる姉ちゃんがニヤニヤしながらスポーツ新聞を差し出してきた。
熱愛…?
誰が?……チカ?
…………チ、カ…………熱愛………。
「熱愛っ?!」
イスに座ったとたん夢の中へ戻される意識はそれ以上の衝撃をもって現実に引き戻された。
置かれたスポーツ新聞には二人の写真とでかでかと書かれたチカの名前に有名女優の名前が熱愛の文字と一緒に並んでいる。
あまりテレビを見ないオレですら相手の女優は知っていた。それぐらい有名な人だった。
「こう並んでるとなかなかお似合いだよね」
姉ちゃんの言葉になんでか分かんないけどイライラしてオレはカバンを持って家を飛び出した。
母さんの引き留める声が聞こえたけどオレは止まらなかった。
イライラする。
理由は分からないけど。
そうだ。
理由が分からないのが余計にイライラを募らせる。
彼女がいることを知らなかったから?
チカが教えてくれなかったから?
自分がチカの『特別』だと思っていたから…?
イライラの原因を探している途中の思わぬ答え。
いや、これが答えなのか…?
「…」
なんで自分がチカの『特別』だと思うんだ?
学校に向かう足をぴたりと止めて道端ということも忘れて考え込む。
昨日、ふざけてたとはいえ抱きしめられた。
チカが誰かにじゃれて抱きついてるなんて日常茶飯事じゃないか…。
この前ふざけてたとはいえ…キス、された…。
「……」
…それは…日常茶飯事じゃない気がする。
オレは右手で自分の唇に触れるとあの日の柔らかい感触が一気にフィードバックして顔が熱くなった。
チカはからかっただけだ。
だからオレも特に意識しないように、いつもどおりって思ってたけど……名前を呼ばれるたびに、チカの大きな手で触れられるたびに…心臓が壊れるんじゃないかと思うくらいうるさく騒ぐのを隠してた。
「オレ…どうすりゃいいんだろ…」
頭ん中ぐちゃぐちゃで…それでもチカと離れたくないなんてバカなことを考えてた。
*
*
*
とりあえず学校終わったらすぐにスケート場に行ってなにも考えなくていいくらい難しいプログラム飛び続けたい。
そうすれば少しでも頭がすっきりするはずだ…。
「ねぇ見て見て!チカが記者会見してる」
給食を食べ終わって机に突っ伏して寝てしまおうと思っていたら女子のそんな会話が聞こえてきて、オレはつっぷした格好のまま耳だけはダンボにしてその会話を盗み聞いた。
「朝からすごいテレビやってたよねぇ」
「本当に付き合ってるの?」
そんな話いいからチカがなに言ってるのか教えてくれ!
オレは焦る気持ちを必死に隠しながら身じろぎしないようにじっと耐える。
「それがさぁ、この写真チカじゃないらしいよ?」
「そうなの?」
「うん。チカ、この子と会った事もないんだってぇ」
「なぁ~んだ。この子だったらチカを渡してもいいと思ったのに」
大騒ぎで盛り上がる女子を尻目にオレはほっと胸を撫で下ろした。
あれはチカじゃなかった。
じゃあ……オレはまだチカの『特別』でいれるのかな…。
end
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