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◯◯マーク。
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今回のカプ
親慶+義経
東儀×神楽
***
side 親慶
「チカ!!」
顔を真っ赤にしてロッカー室に飛び込んで来たのは可愛いくそガキの古河 義経。
「そんな騒いでどうしたんだよ…」
相当急いで来たらしく足を止めるなり、ぜーはーと肩でしている呼吸が収まる気配がない。
心配になってきたのでとりあえず持っていたペットボトルを渡すと勢いよく飲み干し、ご丁寧に空にして俺に返してくれた。
「……それで?なにがあったの?」
「か、神楽コーチの首に…この前…チカがふざけてオレにつけたやつ…………あった…」
「……なぞなぞか?」
「違うっ!!この前チカがオレの肩にふざけてつけた……キス、マーク…だょ…」
言いたいことが伝わらず首を傾げると、義経はますます顔を赤く染め後半は正直声が小さ過ぎてよく聞き取れないぐらいだったが微かに震えた鼓膜に、あぁ、と声をあげた。
そういえばこの前、義経がキスマークを知らないからって「お子ちゃまだ」とバカにされたって俺のところに憤慨しながら来たから「俺が教えてやるよ」ってふざけて義経の肩に吸い付いてキスマークつけてやったんだった。
言われるまで思い出さなかったのは本当にそれが日常の大した事のないイタズラだったからで。
どうやら義経はそれを見て学習したらしい…。
「虫さされの痕とかじゃなくて?」
「………分かんねぇけど首の後ろにいっぱいあった…」
いっぱい虫にさされてたら普通気付くよな…?
ってことは本当にそうなのか?
真偽を思案していたら義経に遠慮がちに服を引かれて。
「…オレ、この前チカにつけられたのみんなにひやかされたからコーチにも隠すように言ってやって…?」
恥ずかしそうに上目遣いなんかされたら今度は本気でキスマークつけてやろうかなんて無粋なことを考えてしまい、横道に逸れた思考をなんとか元の道に戻すと俺はよからぬことを考えないために義経を見ないようにしてかぐっちゃんの元へ向かった。
というか、あれは義経だからひやかされただけで、かぐっちゃんをひやかせる強者はこのリンク場内にはいないと思うんだよな…なんて自分の考えに思わず共感すると目標の姿が飛び込んできた。
義経はたしか首の後ろって言ってたよな………っ!
なるほど…。
これはたしかにヤバい…。
ハイネックのジャージ着て少しは隠せているけど少し動くだけで二、三個は見える。
「かぐっちゃん!」
少し離れたところから声を潜め小さく手招きすると気が付いたかぐっちゃんが俺の目の前まで氷上を滑ってくる。
そんな何気ない仕草まで絵になるなんて現役復帰してからの意識の高さがハンパない。
「なんだよ…」
「かぐっちゃん…これ使って首の後ろ見て…」
ロッカーから持ってきていた折り畳み式の鏡を二つかぐっちゃんに渡すと、はてなマークを浮かべながら言うとおりに首の後ろを確認したかぐっちゃんは一瞬で凍りついた。
「…あっんの野郎!!!!見えるところには付けんなって言ってんのにっ!!」
想像どおりキスマークを散りばめた相手、東儀竜太コーチに憤怒すると同時に肩を上げ首を短く隠すようにする仕草はまるで亀のようだと少し笑える。
「悪かったな、親慶…」
「俺はいいんだけどさぁ…元々、それに気付いたの俺じゃないのよ…」
苦笑しながら視線を明後日の方へ向けるとかぐっちゃんは目を見開いて驚いた表情になった。
「義経か…?」
俺は無言のまま頷く。
「………義経、キスマーク分かるような歳になったなんて…すっげぇ複雑…」
俺もかぐっちゃんも義経を小さい時から見てるから親心というか、可愛い義経が大人の階段登ってくみたいな感覚…。
涙は見えないけど、眼鏡をずらして目頭を押さえて泣くような仕草をしてるかぐっちゃんには、自分で報告をしにきていて矛盾してるけどバレる訳にはいかない。
俺はごくりの唾を飲み込む。
イタズラとはいえ、キスマークの付け方を教えたのが俺なんて絶対にバレる訳にはいかない…。
「なんなん?二人きりで内緒話なんてやらしいわぁ…」
口を尖らせ拗ねた様子で近付いて来た東儀コーチに俺は逃げ出したい衝動に駆られるが、かぐっちゃんが振り向き様に東儀コーチのみぞおちにボディブローをおみまいするとその体はリンクに崩れ落ちていった。
もう本当にさぁ…かぐっちゃんって絶対元ヤンとしか思えないほど実戦強いよね。
なんて他人事のように東儀コーチを見下ろすと二人の痴話喧嘩に巻き込まれないように少しずつ距離を取っていたんだけど…。
「…そんなん悪いの俺だけやないやん!それ教えたん親慶やで?」
「っ!!!!」
断片的に聞こえてくる会話に、差された指に言い様のない恐怖に駆られた俺は全力で逃げ出したのだが、その目前に俺よりも速く滑って来たかぐっちゃんが立ち塞がった。
「どういう事か説明してもらおうか、親慶?」
にっこりと微笑むその顔からは殺気が隠しようのないほどだだ漏れていて…俺は大袈裟かもしれないけど死を覚悟した。
「それは…えっと…」
「アキの首についてるの何かって聞かれてコイツが実践して教えてたんや!」
ドヤ顔で説明をする東儀コーチは自分が墓穴を掘った事に気付いていないみたいで、目の前で怒りに震えているかぐっちゃんも見えてないみたい。
「結局…あんたが諸悪の根源じゃねぇかっ!!」
「ちょっ!!…ぃったぁ!!氷上での本気のラリアットは殺人行為やで!!」
「うるせぇ!俺の義経を汚しやがって!!」
「俺のってなんなんっ?!それは聞き捨てならんわっ!!」
案の定始まった痴話喧嘩に俺は止めることも出来ず傍観してたけど止まる気配はなく。
遠巻きに見てる観客達の視線は何故か俺に注がれていて…その視線全てが「はやく止めろよ」と訴えてくるようで…。
「ねぇ…かぐっちゃん…」
「うるせぇ!!」
「いって!!」
仕方なく近付いていくと怒りのおさまらないかぐっちゃんに回し蹴りをくらった。
氷上でどうやって回し蹴りしてんだよ、この人?!
「チカっ!!」
倒れ込む俺の姿を見つけて滑り寄ってくる義経だったが、俺のところへ辿り着く前にかぐっちゃんに捕まってしまった。
「…神楽コーチ…?」
「いいか、義経?東儀と親慶とは絶対に二人っきりになるんじゃないぞ?あいつらはお前に良くない影響を与えるからな」
「え?…えっ?」
混乱する義経はそのままかぐっちゃんにリンクの反対側へ連れていかれてしまった。
「…」
「…」
残された俺と東儀コーチが今度は喧嘩を始めたのはいうまでもなく。
「うるせぇっ!!」
そしてそれをかぐっちゃんに力で捩じ伏せられたのもまたいうまでもない…。
end
親慶+義経
東儀×神楽
***
side 親慶
「チカ!!」
顔を真っ赤にしてロッカー室に飛び込んで来たのは可愛いくそガキの古河 義経。
「そんな騒いでどうしたんだよ…」
相当急いで来たらしく足を止めるなり、ぜーはーと肩でしている呼吸が収まる気配がない。
心配になってきたのでとりあえず持っていたペットボトルを渡すと勢いよく飲み干し、ご丁寧に空にして俺に返してくれた。
「……それで?なにがあったの?」
「か、神楽コーチの首に…この前…チカがふざけてオレにつけたやつ…………あった…」
「……なぞなぞか?」
「違うっ!!この前チカがオレの肩にふざけてつけた……キス、マーク…だょ…」
言いたいことが伝わらず首を傾げると、義経はますます顔を赤く染め後半は正直声が小さ過ぎてよく聞き取れないぐらいだったが微かに震えた鼓膜に、あぁ、と声をあげた。
そういえばこの前、義経がキスマークを知らないからって「お子ちゃまだ」とバカにされたって俺のところに憤慨しながら来たから「俺が教えてやるよ」ってふざけて義経の肩に吸い付いてキスマークつけてやったんだった。
言われるまで思い出さなかったのは本当にそれが日常の大した事のないイタズラだったからで。
どうやら義経はそれを見て学習したらしい…。
「虫さされの痕とかじゃなくて?」
「………分かんねぇけど首の後ろにいっぱいあった…」
いっぱい虫にさされてたら普通気付くよな…?
ってことは本当にそうなのか?
真偽を思案していたら義経に遠慮がちに服を引かれて。
「…オレ、この前チカにつけられたのみんなにひやかされたからコーチにも隠すように言ってやって…?」
恥ずかしそうに上目遣いなんかされたら今度は本気でキスマークつけてやろうかなんて無粋なことを考えてしまい、横道に逸れた思考をなんとか元の道に戻すと俺はよからぬことを考えないために義経を見ないようにしてかぐっちゃんの元へ向かった。
というか、あれは義経だからひやかされただけで、かぐっちゃんをひやかせる強者はこのリンク場内にはいないと思うんだよな…なんて自分の考えに思わず共感すると目標の姿が飛び込んできた。
義経はたしか首の後ろって言ってたよな………っ!
なるほど…。
これはたしかにヤバい…。
ハイネックのジャージ着て少しは隠せているけど少し動くだけで二、三個は見える。
「かぐっちゃん!」
少し離れたところから声を潜め小さく手招きすると気が付いたかぐっちゃんが俺の目の前まで氷上を滑ってくる。
そんな何気ない仕草まで絵になるなんて現役復帰してからの意識の高さがハンパない。
「なんだよ…」
「かぐっちゃん…これ使って首の後ろ見て…」
ロッカーから持ってきていた折り畳み式の鏡を二つかぐっちゃんに渡すと、はてなマークを浮かべながら言うとおりに首の後ろを確認したかぐっちゃんは一瞬で凍りついた。
「…あっんの野郎!!!!見えるところには付けんなって言ってんのにっ!!」
想像どおりキスマークを散りばめた相手、東儀竜太コーチに憤怒すると同時に肩を上げ首を短く隠すようにする仕草はまるで亀のようだと少し笑える。
「悪かったな、親慶…」
「俺はいいんだけどさぁ…元々、それに気付いたの俺じゃないのよ…」
苦笑しながら視線を明後日の方へ向けるとかぐっちゃんは目を見開いて驚いた表情になった。
「義経か…?」
俺は無言のまま頷く。
「………義経、キスマーク分かるような歳になったなんて…すっげぇ複雑…」
俺もかぐっちゃんも義経を小さい時から見てるから親心というか、可愛い義経が大人の階段登ってくみたいな感覚…。
涙は見えないけど、眼鏡をずらして目頭を押さえて泣くような仕草をしてるかぐっちゃんには、自分で報告をしにきていて矛盾してるけどバレる訳にはいかない。
俺はごくりの唾を飲み込む。
イタズラとはいえ、キスマークの付け方を教えたのが俺なんて絶対にバレる訳にはいかない…。
「なんなん?二人きりで内緒話なんてやらしいわぁ…」
口を尖らせ拗ねた様子で近付いて来た東儀コーチに俺は逃げ出したい衝動に駆られるが、かぐっちゃんが振り向き様に東儀コーチのみぞおちにボディブローをおみまいするとその体はリンクに崩れ落ちていった。
もう本当にさぁ…かぐっちゃんって絶対元ヤンとしか思えないほど実戦強いよね。
なんて他人事のように東儀コーチを見下ろすと二人の痴話喧嘩に巻き込まれないように少しずつ距離を取っていたんだけど…。
「…そんなん悪いの俺だけやないやん!それ教えたん親慶やで?」
「っ!!!!」
断片的に聞こえてくる会話に、差された指に言い様のない恐怖に駆られた俺は全力で逃げ出したのだが、その目前に俺よりも速く滑って来たかぐっちゃんが立ち塞がった。
「どういう事か説明してもらおうか、親慶?」
にっこりと微笑むその顔からは殺気が隠しようのないほどだだ漏れていて…俺は大袈裟かもしれないけど死を覚悟した。
「それは…えっと…」
「アキの首についてるの何かって聞かれてコイツが実践して教えてたんや!」
ドヤ顔で説明をする東儀コーチは自分が墓穴を掘った事に気付いていないみたいで、目の前で怒りに震えているかぐっちゃんも見えてないみたい。
「結局…あんたが諸悪の根源じゃねぇかっ!!」
「ちょっ!!…ぃったぁ!!氷上での本気のラリアットは殺人行為やで!!」
「うるせぇ!俺の義経を汚しやがって!!」
「俺のってなんなんっ?!それは聞き捨てならんわっ!!」
案の定始まった痴話喧嘩に俺は止めることも出来ず傍観してたけど止まる気配はなく。
遠巻きに見てる観客達の視線は何故か俺に注がれていて…その視線全てが「はやく止めろよ」と訴えてくるようで…。
「ねぇ…かぐっちゃん…」
「うるせぇ!!」
「いって!!」
仕方なく近付いていくと怒りのおさまらないかぐっちゃんに回し蹴りをくらった。
氷上でどうやって回し蹴りしてんだよ、この人?!
「チカっ!!」
倒れ込む俺の姿を見つけて滑り寄ってくる義経だったが、俺のところへ辿り着く前にかぐっちゃんに捕まってしまった。
「…神楽コーチ…?」
「いいか、義経?東儀と親慶とは絶対に二人っきりになるんじゃないぞ?あいつらはお前に良くない影響を与えるからな」
「え?…えっ?」
混乱する義経はそのままかぐっちゃんにリンクの反対側へ連れていかれてしまった。
「…」
「…」
残された俺と東儀コーチが今度は喧嘩を始めたのはいうまでもなく。
「うるせぇっ!!」
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