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一章
episode 10 夜勤日誌
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「斎藤君、あそこ歩行器で歩いて叫んでるお爺さんに会う事って出来ないかな?」
「え!金田五郎さんに会うことですか!?無理です無理です!」
斎藤は少し天然なのか簡単にフルネームで老人の名前を言ってしまった事に気づいていない。
「まぁそうだよね・・・じゃ金田五郎さんが化け物を見たって、どんな化け物を見たのか教えてもらえないかな?」
斎藤は訝しそうな目で見る。
「いったいあなた誰なんです!?」
(斎藤は心が綺麗すぎる。全部が嘘ではないが、心が汚れている俺の作り話も信じてくれるはず…これも探偵の勘だが)
「斎藤君には本当の事を言うよ。実は俺の妹がいなくなったんだ。少し先に行ったIアパートに住んでいるんだけど、片桐風子って言うんだけど知らないよね?両親が急に風子と連絡が取れなくなったって俺に連絡が来たんだよ。それで妹のアパートに来たんだけどやっぱりいなくてさ、アパートに防犯カメラついていないし、妹がどこ行ったか知りたくて、もしかしたら老人ホームなら外に防犯カメラをつけているんじゃないかって思って来たんだ」
斎藤は同情した顔で言ってきた。
「僕この辺りに住んでいないのでIアパートの事は知りませんが、妹さんがいなくなった事はお気の毒だと思います…金田さんには直接話は訊けないですけど、僕が金田さんの事でわかる範囲でいいならお話します」
(かかった!)
「本当かい!?助かるよ!じゃ早速だけど、さっきの金田さんが言っていた夜中に見た化け物とか襲いに来るとかっていつから言い出した事なの?」
「いつからって言うのは覚えていませんけど、こんな言い方はいけないんでが金田さん少し認知症なので、化け物を見たって言うのは違うものを見たんだと思います」
「違うもの?」
はいと言って斎藤は頷く。
星野は顎に手を当てた。
「そうかな?認知症の人があの雷の日に来た化け物が来るって、そこまではっきり記憶して言えるかな?」
斎藤は首を傾げた。
その姿が妙に可愛く見える。
「あっ!そうだ!夜勤日誌!」
「え?夜勤日誌?どういう事」
「夜勤の日の日誌を見れば、いつ金田さんが言ったかわかります!ちょっと待っていてください」
そう言って斎藤は玄関ロビーを駆け足で走って行き、五分も経たず手にノートを持って戻って来た。
星野は斎藤の持ってきたノートを指して訊いた。
「それが斎藤君が言っていた夜勤の日誌?」
斎藤はしーっと口に指をあて小声で言った。
「はい、今日僕は金田さんのお部屋担当じゃないし、この日誌だって他人に見せる事は駄目なんですけど……」
悪行を行ってしまったと怯えた表情をしている。
夜勤の日誌ノートの日にちを遡ってペラペラと捲っていくと、斎藤の手が止まった。
「あっ!ありました!金田さんが夜中、自分でトイレに行きたがったので歩行器を押してトイレに連れて行ったって・・・あれ?僕の字で書いてます……ああ!思い出した!僕この日、金田さんの部屋担当だったんだ!」
「いつかわかる?」
「二ヶ月ほど前ですね。トイレからの帰り雷がなって、外がピカって光ったとき玄関の方を見た金田さんが、大きな声で化け物!って叫んだの思い出しました!その雷のことを金田さんは化け物だと勘違いしたんだと思います」
「トイレってここを通っていくの?」
「そうです、この玄関ロビーを通って行かないとトイレがないんです。殆どの方が夜はおむつをして寝ているので、トイレに行くなんてことはリハビリの帰りくらいですので。でも突然トイレに行きたがったりするのは、金田さんだけとは限らないんですけどね」
「そうか、話を聞かせてくれてありがとう斎藤君」
「いいえ!早く妹さん見つかるといいですね!」
星野はニコッと笑いありがとうと言って老人ホームを出た。
「斎藤君、あそこ歩行器で歩いて叫んでるお爺さんに会う事って出来ないかな?」
「え!金田五郎さんに会うことですか!?無理です無理です!」
斎藤は少し天然なのか簡単にフルネームで老人の名前を言ってしまった事に気づいていない。
「まぁそうだよね・・・じゃ金田五郎さんが化け物を見たって、どんな化け物を見たのか教えてもらえないかな?」
斎藤は訝しそうな目で見る。
「いったいあなた誰なんです!?」
(斎藤は心が綺麗すぎる。全部が嘘ではないが、心が汚れている俺の作り話も信じてくれるはず…これも探偵の勘だが)
「斎藤君には本当の事を言うよ。実は俺の妹がいなくなったんだ。少し先に行ったIアパートに住んでいるんだけど、片桐風子って言うんだけど知らないよね?両親が急に風子と連絡が取れなくなったって俺に連絡が来たんだよ。それで妹のアパートに来たんだけどやっぱりいなくてさ、アパートに防犯カメラついていないし、妹がどこ行ったか知りたくて、もしかしたら老人ホームなら外に防犯カメラをつけているんじゃないかって思って来たんだ」
斎藤は同情した顔で言ってきた。
「僕この辺りに住んでいないのでIアパートの事は知りませんが、妹さんがいなくなった事はお気の毒だと思います…金田さんには直接話は訊けないですけど、僕が金田さんの事でわかる範囲でいいならお話します」
(かかった!)
「本当かい!?助かるよ!じゃ早速だけど、さっきの金田さんが言っていた夜中に見た化け物とか襲いに来るとかっていつから言い出した事なの?」
「いつからって言うのは覚えていませんけど、こんな言い方はいけないんでが金田さん少し認知症なので、化け物を見たって言うのは違うものを見たんだと思います」
「違うもの?」
はいと言って斎藤は頷く。
星野は顎に手を当てた。
「そうかな?認知症の人があの雷の日に来た化け物が来るって、そこまではっきり記憶して言えるかな?」
斎藤は首を傾げた。
その姿が妙に可愛く見える。
「あっ!そうだ!夜勤日誌!」
「え?夜勤日誌?どういう事」
「夜勤の日の日誌を見れば、いつ金田さんが言ったかわかります!ちょっと待っていてください」
そう言って斎藤は玄関ロビーを駆け足で走って行き、五分も経たず手にノートを持って戻って来た。
星野は斎藤の持ってきたノートを指して訊いた。
「それが斎藤君が言っていた夜勤の日誌?」
斎藤はしーっと口に指をあて小声で言った。
「はい、今日僕は金田さんのお部屋担当じゃないし、この日誌だって他人に見せる事は駄目なんですけど……」
悪行を行ってしまったと怯えた表情をしている。
夜勤の日誌ノートの日にちを遡ってペラペラと捲っていくと、斎藤の手が止まった。
「あっ!ありました!金田さんが夜中、自分でトイレに行きたがったので歩行器を押してトイレに連れて行ったって・・・あれ?僕の字で書いてます……ああ!思い出した!僕この日、金田さんの部屋担当だったんだ!」
「いつかわかる?」
「二ヶ月ほど前ですね。トイレからの帰り雷がなって、外がピカって光ったとき玄関の方を見た金田さんが、大きな声で化け物!って叫んだの思い出しました!その雷のことを金田さんは化け物だと勘違いしたんだと思います」
「トイレってここを通っていくの?」
「そうです、この玄関ロビーを通って行かないとトイレがないんです。殆どの方が夜はおむつをして寝ているので、トイレに行くなんてことはリハビリの帰りくらいですので。でも突然トイレに行きたがったりするのは、金田さんだけとは限らないんですけどね」
「そうか、話を聞かせてくれてありがとう斎藤君」
「いいえ!早く妹さん見つかるといいですね!」
星野はニコッと笑いありがとうと言って老人ホームを出た。
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