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二章
episode 9 伝説 (上)
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「村がやばいって…どういう意味?」
日向は電話の向こうの成宮にききかえした。
すると携帯のスピーカーから静かに話しはじめる成宮の声が聞こえてきた。
『双山村には伝説があって現在、双山村があるのは双山山。でも実は双山山の横に、橋を挟んで瓜二つの山が並んでいるんだ。その山の名は双双山山。そしてもともとは、双双山山に村があったんだ。でもその村である悲劇が起きた・・・』
♦伝説♦
ある日、双双山村に他所から女がやって来た。その女は双双山村で出会った久遠という男と恋に落ち、女の子が産まれ小春と名付けられた。
その二年後、久遠と女の間に今度は双子の男の子が産まれた。先に産まれた子の方を武士、そしてあとに産まれた子を壮士と名付けた。
成長するにつれ、双子だから同じ顔に育っていくが、二人の性格は全く真逆に育っていく。
武士は明るく、何事にも積極的で、物怖じしない性格だったのに対し、壮士は内向的で臆病で、なおかつ引っ込み思案な性格だった。
武士と壮士が十歳になった年だった。
朝早く山に行き狩りをして肉を獲りに行く父と村人の男達は、武士と壮士を外に無理やり連れ出すと言った。
「歳が十《とう》もなれば立派な男じゃ!」
武士は喜んでついて行き、嫌がる壮士は無理やり腕を掴まれ山に連れて行かれた。
そして夕方に帰ってきた父と村人の男達と一緒に帰ってきた武士と壮士。
武士の体は土埃と獣の血で汚れていて「食い物を狩った!」と喜ぶ一方、壮士は人間よりも弱い生き物を襲う事が恐ろしく、壮士の目には、父も村人達も武士の姿も化け物に見えていた。
それからというもの、壮士は家の中から出られなくなってしまった。
月日は流れ、武士と壮士が二十歳になったある日、父は壮士を無理やり外に引っ張り出して怒鳴った。
「情けねー!お前は立派な二十の男だ!外に出て狩りの一つでもしてこい!!」
外に出ると壮士を囲むように周りには、村人達と武士が一緒に嘲笑って見ている。
父が後ろから壮士の背中を蹴とばすと、両手をついて四つん這いに倒れた。そして、無理やり散弾銃を持たせると父は言った。
「いいか!今日の日が暮れるまでに、狩りで獲物をとってこれんようじゃ、お前は武士の顔がそっくりな影だ!影はいらん!もし出来なければ殺される覚悟でいろよ!!」
しかし、それが悲劇の始まりだった。
壮士は山に一人で行くが、何度銃で獲物を狙っても人間より弱いものを撃つ事が出来なかった。
何度も…何度も…何度も…銃で狙うが引き金を引くことが出来ない。
とうとう日は暮れてしまい、壮士は村に帰るしかなかった。
村に帰ってくると、父と武士そして村人達は松明に炎を灯して手にもち待っていた。
何も持って帰らなかった壮士に全員で近づいて来る。
そして武士は怒号を放った。
「壮士!!やっぱお前は俺のただの影だ!俺に影はいらん!!この村の戦力にもならん奴は生かしておく意味がねー!影は焼き殺してやる!!!」
壮士は震えた声で武士に言った。
「父ちゃん達に…そう言えって言われたんだよな?‥なぁ武士」
「俺はずっと思ってた!お前は俺や父ちゃんや村人達が狩りをしてとってくる獲物を、ただ食ってるだけでそしてまた家の中に閉じこもる!おかしいと思わねーのか!?獲物は殺せないのに食うことは出来る!いいかげん善人ぶるなよ!食ってるってことはお前も獲物を殺してるのと何ら変わらん!!!」
武士の言葉に恐れた壮士は「違う!俺は殺せねー!殺してなんかいねー!」と、言ってその場から逃げ出した。
しかし小さな村で逃げる場所など限られている。
すると逃げてる途中、壮士は見てしまう。
自分を火刑にするため、柱とその下には薪まで用意してあった。
(なんで?なんで俺一人狩りが出来ないだけで、こんな目にあわないといけねんだ!?)
すると、武士に見つかり後ろから首根っこを掴まれた。
「みんな!壮士がここにいたぞ!!!」
村人達と父は走って武士が呼ぶ声に集まった。
そして縄で壮士の体を縛ろうとしてくる。しかし殺されたくない壮士は体や足を動かし抵抗した。
運よく壮士の足が縄を持っていた村人の顔に当たり、怯んだ隙に急いで立ち上がって逃げ出す。
すると今度は父が後ろから壮士の衣服を掴むと、武士が壮士の髪を引っ張り掴んだ。
「簡単に逃げられると思うなよ!この役立たずが!!」
そう言いながら壮士を見る武士の顔は歪んでしまい、もはや何かに憑りつかれているようだった。
(こいつらは弱い動物でもなけりゃ人間にも見えん!ただ自分の目の前にいるのは化け物だ!こんな化け物達がいるかぎり、この地獄から逃れられん!)
壮士は無我無中で父に後ろ蹴りをした。すると掴んでいた衣服がはなれて、緩んだ隙に父から離れる。そして、武士が掴んでいる髪を無視して腕を引っ張ると、ブチブチと音を立てて壮士の髪が抜け落ちたものの、力ずくで振りほどいた。
「村がやばいって…どういう意味?」
日向は電話の向こうの成宮にききかえした。
すると携帯のスピーカーから静かに話しはじめる成宮の声が聞こえてきた。
『双山村には伝説があって現在、双山村があるのは双山山。でも実は双山山の横に、橋を挟んで瓜二つの山が並んでいるんだ。その山の名は双双山山。そしてもともとは、双双山山に村があったんだ。でもその村である悲劇が起きた・・・』
♦伝説♦
ある日、双双山村に他所から女がやって来た。その女は双双山村で出会った久遠という男と恋に落ち、女の子が産まれ小春と名付けられた。
その二年後、久遠と女の間に今度は双子の男の子が産まれた。先に産まれた子の方を武士、そしてあとに産まれた子を壮士と名付けた。
成長するにつれ、双子だから同じ顔に育っていくが、二人の性格は全く真逆に育っていく。
武士は明るく、何事にも積極的で、物怖じしない性格だったのに対し、壮士は内向的で臆病で、なおかつ引っ込み思案な性格だった。
武士と壮士が十歳になった年だった。
朝早く山に行き狩りをして肉を獲りに行く父と村人の男達は、武士と壮士を外に無理やり連れ出すと言った。
「歳が十《とう》もなれば立派な男じゃ!」
武士は喜んでついて行き、嫌がる壮士は無理やり腕を掴まれ山に連れて行かれた。
そして夕方に帰ってきた父と村人の男達と一緒に帰ってきた武士と壮士。
武士の体は土埃と獣の血で汚れていて「食い物を狩った!」と喜ぶ一方、壮士は人間よりも弱い生き物を襲う事が恐ろしく、壮士の目には、父も村人達も武士の姿も化け物に見えていた。
それからというもの、壮士は家の中から出られなくなってしまった。
月日は流れ、武士と壮士が二十歳になったある日、父は壮士を無理やり外に引っ張り出して怒鳴った。
「情けねー!お前は立派な二十の男だ!外に出て狩りの一つでもしてこい!!」
外に出ると壮士を囲むように周りには、村人達と武士が一緒に嘲笑って見ている。
父が後ろから壮士の背中を蹴とばすと、両手をついて四つん這いに倒れた。そして、無理やり散弾銃を持たせると父は言った。
「いいか!今日の日が暮れるまでに、狩りで獲物をとってこれんようじゃ、お前は武士の顔がそっくりな影だ!影はいらん!もし出来なければ殺される覚悟でいろよ!!」
しかし、それが悲劇の始まりだった。
壮士は山に一人で行くが、何度銃で獲物を狙っても人間より弱いものを撃つ事が出来なかった。
何度も…何度も…何度も…銃で狙うが引き金を引くことが出来ない。
とうとう日は暮れてしまい、壮士は村に帰るしかなかった。
村に帰ってくると、父と武士そして村人達は松明に炎を灯して手にもち待っていた。
何も持って帰らなかった壮士に全員で近づいて来る。
そして武士は怒号を放った。
「壮士!!やっぱお前は俺のただの影だ!俺に影はいらん!!この村の戦力にもならん奴は生かしておく意味がねー!影は焼き殺してやる!!!」
壮士は震えた声で武士に言った。
「父ちゃん達に…そう言えって言われたんだよな?‥なぁ武士」
「俺はずっと思ってた!お前は俺や父ちゃんや村人達が狩りをしてとってくる獲物を、ただ食ってるだけでそしてまた家の中に閉じこもる!おかしいと思わねーのか!?獲物は殺せないのに食うことは出来る!いいかげん善人ぶるなよ!食ってるってことはお前も獲物を殺してるのと何ら変わらん!!!」
武士の言葉に恐れた壮士は「違う!俺は殺せねー!殺してなんかいねー!」と、言ってその場から逃げ出した。
しかし小さな村で逃げる場所など限られている。
すると逃げてる途中、壮士は見てしまう。
自分を火刑にするため、柱とその下には薪まで用意してあった。
(なんで?なんで俺一人狩りが出来ないだけで、こんな目にあわないといけねんだ!?)
すると、武士に見つかり後ろから首根っこを掴まれた。
「みんな!壮士がここにいたぞ!!!」
村人達と父は走って武士が呼ぶ声に集まった。
そして縄で壮士の体を縛ろうとしてくる。しかし殺されたくない壮士は体や足を動かし抵抗した。
運よく壮士の足が縄を持っていた村人の顔に当たり、怯んだ隙に急いで立ち上がって逃げ出す。
すると今度は父が後ろから壮士の衣服を掴むと、武士が壮士の髪を引っ張り掴んだ。
「簡単に逃げられると思うなよ!この役立たずが!!」
そう言いながら壮士を見る武士の顔は歪んでしまい、もはや何かに憑りつかれているようだった。
(こいつらは弱い動物でもなけりゃ人間にも見えん!ただ自分の目の前にいるのは化け物だ!こんな化け物達がいるかぎり、この地獄から逃れられん!)
壮士は無我無中で父に後ろ蹴りをした。すると掴んでいた衣服がはなれて、緩んだ隙に父から離れる。そして、武士が掴んでいる髪を無視して腕を引っ張ると、ブチブチと音を立てて壮士の髪が抜け落ちたものの、力ずくで振りほどいた。
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