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二章
episode 10 伝説 (下)
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*
逃げ出せた壮士は、村に帰った時、父や武士そして村人達におびえて、村の入口辺りに散弾銃を落としたことを思い出した。
壮士は走って向かった。
「おい!壮士どこいった!?」
「こっちにはいなかったぞ!」
父と武士と村人達の前に、壮士は散弾銃を構えて、姿をあらわした。
しかし誰も怖がらない。それどころか、そこにいる全員が大笑いしている。
「ちっこい動物さえ撃てねーお前が、人間なんぞもっと撃てるわけねーだろうが!」
武士が前に出てきて壮士に近づこうとしてきた。
壮士は叫んだ。
「来るな!!これ以上近づいたら本当に撃ってやるからな!この化け物達が!!!」
しかし武士はニヤニヤと笑いながら壮士に言った。
「撃てるもんなら撃ってみろや!!化け物はお前の方だろうが!家の中に閉じこもって、外が恐い?狩りが恐い?人間が恐い?いいか!この世は弱肉強食なんじゃ!狩りで動物が人間に殺されるように、お前もまた弱いバケモンだから俺達に火刑にされるんだ!弱い者はいらん!影はいらん!この村が求めてるのは強い人間だけじゃ!!!」
すると〝ズドン!〟と散弾銃の発砲音が響いた。
村人達が一瞬静まりかえると、武士の眉間が撃たれドサッと後ろに倒れていった。
「「「うわあああああああああああ!!!!」」」
村人達は悲鳴をあげ逃げ出した。
息を荒くした壮士は、逃げ回る村人達を見ていると、狩りで追いかけて逃げ回る動物に見えてきた。するとだんだん笑いが込み上がってくる。
「ハハハ・・・こんなに引き金を引くことが簡単だったんだ・・・でも弱い動物より、目の前で逃げ回るお前ら人間という化け物を撃ち殺す方が、俺にはあってるようだ!!!」
大笑いしながら父を殺し、そして村人を追いかけ次々と殺していった。
壮士の顔も衣服も返り血を浴び血みどろになっていく。
殺した村人達と父と武士の遺体を、興奮とアドレナリンが出ていたのだろうか、火事場の馬鹿力で自分を火刑にするためにつくられた薪の下まで、ズルズルと一体ずつ引っ張って運んだ。
そして遺体がのせられた薪に火を点けると、炎は瞬く間に燃えあがり大きくなっていった。そして壮士は、自分の体にも火を点け薪の中に飛び込んでいった。
残された母は「武士を壮士を不幸にした双双山村を許さない!呪ってやる!」と、言い残し双双山と双山の間に流れる川の橋の上から身投げした。
それ以来、双双山村では雨が降り止まず生き残っている村人達は「死んだ母親の呪いなんだべか?」と、怖がりはじめていた。
雨が降り続いて二週間が経とうとしていた頃、村人達は年配者の家に集まり話し合いをした。
「死んでいった久遠の双子の母の呪いで、雨が続いているんじゃ!どうしたらいいものか…」
すると村人の中にいた、躑躅森という三十代の男が言った。
「双双山村を守る大岩が、橋を渡って双山の山頂らへんにあるんだ!皆でそこに行って雨が止むよう頼みにいくべ!」
村の一人が躑躅森に言う。
「しかしあの橋は久遠の嫁が身投げした橋だべ?・・・この村を許さん言うて死んでいったんだ、橋を渡って呪われたりでもしたら恐ろしいべや!?」
躑躅森は眉間にしわを寄せ、難しい顔をしながら言った。
「こんなに雨が続いているんだ!畑も育たんし、食べ物だっていつかは尽きてしまう!呪われるかどうかもわからんのに、このままでいたらこの村に残っている女達や子供達まで死んでしまう!俺一人でも行って来る!」
それから話し合いをした結果、村人達も一か八か双山に歩いて向かうことに決めた。
翌日、双山も大雨が降っていて道が滑るなか、なんとか大岩に辿り着いた。
村の女達と子供達は大岩の前に、残り少ない村の食べ物を捧げ物を並べて置いた。
男達は大岩の前で薪に火を点け、大きな炎にしていった。そして躑躅森と男達は上半身裸なると、運んできた川の冷たい水を頭からかぶり、躑躅森の言葉を繰り返した。
「天上様!どうかこの大雨を止ませてください!」
「「「天上様!どうかこの大雨を止ませてください!」」」
すると、不思議な事に数分も経たないで、突然ピタリと雨が止んだ。
そして雲の間から久しぶりの太陽の光が差し込んできたのだ。
村人達は喜んで双双山に帰った。
しかし、双双山だけは雨が続いている。それどころか大雨になり山の斜面から水が噴き出し、土砂崩れが起きていた。
躑躅森が考えた結果、雨が止んでいる双山に村人達は拠点を移すこととなった。
『しかし双双山からは夜な夜な母の泣き声が響いて聞こえてくるようになったそうな……』
携帯のスピーカから聞こえていた成宮の話が終わると、部屋の中がシーンと静まり返っている。
そして最初に口を開いたのは不安がる日向だった。
「久遠って…村長の名前、久遠宗一郎…って言ったよね?」
星野は不安そうな表情をした日向を見て、電話の向こう側にいる成宮に言った。
「馬鹿馬鹿しい!伝説だろう!?それに呪いや災いなんて、そんな作り話本当にあるわきゃねーだろう!今どき子供も信じるわけがない!」
すると、成宮は苛立った声で言った。
『聞いた事ない声ですね?まさかあんたか!?先生を強制的に双山村に連れて行ったのは!?』
日向はため息交じりで言う。
「先生の友人の探偵やってる星野さんよ」
『あ~その人か、片桐風子を探してるって人は・・・なんか喋り方、柄が悪いっすね』
星野は眉をピクッとあげた。
「話し方だけで人を判断するのは良くないぞ…ガキ」
『はぁ!?今ガキって言いました!?先生!本当にその人、先生の友人なんすか!?』
「言ってやれ二五!俺とお前が昔から友人で同じ柔道に通っていたことを!」
星野は横を向くと新田の姿がない。
「え?おい二五!?どこ行った!?」
『先生いなくなったんですか!?』
日向は呆れ声で言った。
「先生って怖がりなんですね」
新田はいつの間にか押入れから掛布団を出し、日向の後ろですっぽり頭から被って隠れていた。
逃げ出せた壮士は、村に帰った時、父や武士そして村人達におびえて、村の入口辺りに散弾銃を落としたことを思い出した。
壮士は走って向かった。
「おい!壮士どこいった!?」
「こっちにはいなかったぞ!」
父と武士と村人達の前に、壮士は散弾銃を構えて、姿をあらわした。
しかし誰も怖がらない。それどころか、そこにいる全員が大笑いしている。
「ちっこい動物さえ撃てねーお前が、人間なんぞもっと撃てるわけねーだろうが!」
武士が前に出てきて壮士に近づこうとしてきた。
壮士は叫んだ。
「来るな!!これ以上近づいたら本当に撃ってやるからな!この化け物達が!!!」
しかし武士はニヤニヤと笑いながら壮士に言った。
「撃てるもんなら撃ってみろや!!化け物はお前の方だろうが!家の中に閉じこもって、外が恐い?狩りが恐い?人間が恐い?いいか!この世は弱肉強食なんじゃ!狩りで動物が人間に殺されるように、お前もまた弱いバケモンだから俺達に火刑にされるんだ!弱い者はいらん!影はいらん!この村が求めてるのは強い人間だけじゃ!!!」
すると〝ズドン!〟と散弾銃の発砲音が響いた。
村人達が一瞬静まりかえると、武士の眉間が撃たれドサッと後ろに倒れていった。
「「「うわあああああああああああ!!!!」」」
村人達は悲鳴をあげ逃げ出した。
息を荒くした壮士は、逃げ回る村人達を見ていると、狩りで追いかけて逃げ回る動物に見えてきた。するとだんだん笑いが込み上がってくる。
「ハハハ・・・こんなに引き金を引くことが簡単だったんだ・・・でも弱い動物より、目の前で逃げ回るお前ら人間という化け物を撃ち殺す方が、俺にはあってるようだ!!!」
大笑いしながら父を殺し、そして村人を追いかけ次々と殺していった。
壮士の顔も衣服も返り血を浴び血みどろになっていく。
殺した村人達と父と武士の遺体を、興奮とアドレナリンが出ていたのだろうか、火事場の馬鹿力で自分を火刑にするためにつくられた薪の下まで、ズルズルと一体ずつ引っ張って運んだ。
そして遺体がのせられた薪に火を点けると、炎は瞬く間に燃えあがり大きくなっていった。そして壮士は、自分の体にも火を点け薪の中に飛び込んでいった。
残された母は「武士を壮士を不幸にした双双山村を許さない!呪ってやる!」と、言い残し双双山と双山の間に流れる川の橋の上から身投げした。
それ以来、双双山村では雨が降り止まず生き残っている村人達は「死んだ母親の呪いなんだべか?」と、怖がりはじめていた。
雨が降り続いて二週間が経とうとしていた頃、村人達は年配者の家に集まり話し合いをした。
「死んでいった久遠の双子の母の呪いで、雨が続いているんじゃ!どうしたらいいものか…」
すると村人の中にいた、躑躅森という三十代の男が言った。
「双双山村を守る大岩が、橋を渡って双山の山頂らへんにあるんだ!皆でそこに行って雨が止むよう頼みにいくべ!」
村の一人が躑躅森に言う。
「しかしあの橋は久遠の嫁が身投げした橋だべ?・・・この村を許さん言うて死んでいったんだ、橋を渡って呪われたりでもしたら恐ろしいべや!?」
躑躅森は眉間にしわを寄せ、難しい顔をしながら言った。
「こんなに雨が続いているんだ!畑も育たんし、食べ物だっていつかは尽きてしまう!呪われるかどうかもわからんのに、このままでいたらこの村に残っている女達や子供達まで死んでしまう!俺一人でも行って来る!」
それから話し合いをした結果、村人達も一か八か双山に歩いて向かうことに決めた。
翌日、双山も大雨が降っていて道が滑るなか、なんとか大岩に辿り着いた。
村の女達と子供達は大岩の前に、残り少ない村の食べ物を捧げ物を並べて置いた。
男達は大岩の前で薪に火を点け、大きな炎にしていった。そして躑躅森と男達は上半身裸なると、運んできた川の冷たい水を頭からかぶり、躑躅森の言葉を繰り返した。
「天上様!どうかこの大雨を止ませてください!」
「「「天上様!どうかこの大雨を止ませてください!」」」
すると、不思議な事に数分も経たないで、突然ピタリと雨が止んだ。
そして雲の間から久しぶりの太陽の光が差し込んできたのだ。
村人達は喜んで双双山に帰った。
しかし、双双山だけは雨が続いている。それどころか大雨になり山の斜面から水が噴き出し、土砂崩れが起きていた。
躑躅森が考えた結果、雨が止んでいる双山に村人達は拠点を移すこととなった。
『しかし双双山からは夜な夜な母の泣き声が響いて聞こえてくるようになったそうな……』
携帯のスピーカから聞こえていた成宮の話が終わると、部屋の中がシーンと静まり返っている。
そして最初に口を開いたのは不安がる日向だった。
「久遠って…村長の名前、久遠宗一郎…って言ったよね?」
星野は不安そうな表情をした日向を見て、電話の向こう側にいる成宮に言った。
「馬鹿馬鹿しい!伝説だろう!?それに呪いや災いなんて、そんな作り話本当にあるわきゃねーだろう!今どき子供も信じるわけがない!」
すると、成宮は苛立った声で言った。
『聞いた事ない声ですね?まさかあんたか!?先生を強制的に双山村に連れて行ったのは!?』
日向はため息交じりで言う。
「先生の友人の探偵やってる星野さんよ」
『あ~その人か、片桐風子を探してるって人は・・・なんか喋り方、柄が悪いっすね』
星野は眉をピクッとあげた。
「話し方だけで人を判断するのは良くないぞ…ガキ」
『はぁ!?今ガキって言いました!?先生!本当にその人、先生の友人なんすか!?』
「言ってやれ二五!俺とお前が昔から友人で同じ柔道に通っていたことを!」
星野は横を向くと新田の姿がない。
「え?おい二五!?どこ行った!?」
『先生いなくなったんですか!?』
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