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月曜日。誠一郎が復帰したと連絡をくれた。夕方現場に伺いますと。それだけで、妙に気合が入ってしまい、こういう時は逆に怪我をしたりする、と慎重に作業にあたった。
来週には六月に入る。梅雨入り間近。雨は木を扱う作業には大敵だった。サッシも入っているしあとはエアコンが動かせれば快適な作業環境なのだがそうもいかない。屋根にソーラーパネルは乗っているが、まだ電力会社と契約していない。
要は、梅雨入り前に、一刻も早く、湿気が苦手な作業を片付けねばならなかった。こういう家に限って、壁紙がビニールクロスではなく紙素材を指定していたりする。厄介だ。
「日田さん、浴室どうですか?」
「あとは水を流してみないと。」
「じゃぁ、終わりってことで。キッチンか、トイレの方見てやってくれますか?」
日田は、水回り専門だ。少し年上の彼の仕事は信頼できる。
「はいはい。了解。」
軽快に答えると、日田は一階と二階のトイレを見に行くようだった。まかせておいて大丈夫だろう。
夕方、誠一郎がやってきた。手には、缶コーヒーが一箱。
「東さん、気を使うことないのに。」
狐塚が言い、それは俺のセリフ、とため息を漏らした。
「東さん!復帰おめでとうございます。」
声を掛けると、照れ臭そうに、ご迷惑おかけしましたと、深々頭を下げた。
「思ってたより早い復帰で助かります。」
「はい。施主様にも心配おかけして・・・。」
「午前中はそちらに?」
「えぇ。平日休みがある方なので。」
やりとりをしていると、狐塚がやってきて、オレ、救急車なんて呼ぶの初めてでしたよ!と興奮気味に言った。
「勉強になって良かったろ。」
「そうっすか?あんなこと、ないに越したことありませんよ。」
「そりゃそうだ。」
相手が誠一郎ならなおさらだ。
「コンコン、そろそろ今日はお終いにしよう。」
「はい。伝えてきます。」
狐塚が小走りに行く。それを見送って、誠一郎に向き直る。
「後遺症とか・・・。」
「大丈夫です。・・・中、見せてもらっても?」
「どうぞ。」
仕事ぶりを見られるのは緊張する。
シートの貼られた廊下を、誠一郎が見て回る。
「いいですね。浴室もう仕上がってるんですね。こんな感じで、イメージ通りだと思います。施主様喜びますよ。」
「それは良かった。梅雨入り前にやりたい仕事があるので、多少段取り組み直すかもしれませんけど、期日までには上がりますから。」
「よかった。梅雨入り心配ですね。壁紙どうでしょう?」
心配するところは同じだった。
「湿気が来ないうちに貼りますよ。」
「難しい仕事ですがよろしくお願いします。」
「もちろん。」
自信満々答えると、誠一郎はほっとした顔で、屋内を見回した。
大きな鍋に、肉じゃがをたくさん作って、いったん冷ます。
味をしみ込ませるためだ。みそ汁や刺身の支度は咲江に頼んで、誠一郎を迎えに行く。
今日は、一緒にうちでご飯を食べる約束を取り付けていた。
うきうきしながら、車を走らせる。送り迎えなら、誠一郎は酒が飲める。帰りに二人でスーパーに寄ろう。好きな銘柄の酒を買って、自分はノンアル。月末の土曜の夜。そのつもりなら、泊っていってもいいように、布団の用意までしてあった。さすがにそれは、本人には言っていなかったが。
アパートの前に、誠一郎が立っているのが見えて嬉しくなった。中で待っていればいいものを、わざわざ外に出ているということは、それなり、楽しみにしてくれているということに違いない。
「やぁ。お待たせしました。」
「いえ。今出てきたところで。」
おや。今日はメガネだ。
「じゃぁ、風呂行きましょうか。」
「・・・はい。」
誠一郎は、少し恥ずかしそうにうなずいた。着替えなどが入ったバッグは結構大きい。それをセレナの後ろに積み込んで、スーパー銭湯を目指す。
「熱中症で倒れたばかりって、サウナはやめておいた方がいいんですかねぇ。」
「もう十日も立っていますよ。少しなら。」
そうか。チロが死んでから、まだ十日。いい気分転換になればいいのだが。
スーパー銭湯にはすぐについた。タオルと、お風呂バスケットを持って、車を降りる。
「孝さん、シャンプー持参ですか?」
「おいてあるのは、匂いが好かなくて。使ってみますか?」
「じゃぁ。」
何気なく誘ってみたが、これで帰りは同じシャンプーの香りだ。そんなことにドキドキしながら中へと入った。
靴をロッカーに預け、男湯の暖簾をくぐる。脱衣所は除湿が効いていて快適だ。空いている、隣り合わせのロッカーを選んで、誠一郎と服を脱ぎ始めた。誠一郎は、長袖のワイシャツを着ているので、そんなに日焼けしていない。そんな視線に気付いてか、どうしました?と問うてきた。
「いや。肌綺麗ですねぇ。」
「そんな・・・。女性に言ってあげたらどうです?」
誠一郎は、少し赤くなってしどろもどろに視線をそらした。
「・・・ドキッとしました。」
「いやぁ。あはは。」
脱ぎながら、ドキッとしたのか!と反芻する。可愛い。
そんなことしている間に、誠一郎は全裸になり、タオルでさっと股間を隠すと、先、行きますね、と中へと消えていった。
結婚した過去があるというから考えなかったが、誠一郎、ゲイじゃないよな・・・?
同じ男に肌を褒められてあのリアクション。ちょっと気になる。
そう思いながら、あとを追い、誠一郎が体を洗っている隣のシャワーを陣取った。
同じシャンプーの香りに、上機嫌でスーパーにいた。誠一郎は酒を選んでいる。自分はと言えば、ノンアルのビール風飲料をかごに入れたが、家には一応ラガーを冷やしてあった。
肉じゃが美味しくなってるかな。
誠一郎の反応が楽しみで、にやついてしまう。
「日本酒の方が合いますかね?」
誠一郎が振り返る。
「お好きなものをどうぞ。」
返すと、誠一郎はにっこりして、なぜか酎ハイの棚を見始めた。
「本当は自分で作るのが好きなんですけど。」
レモンサワーを手にしている。
「ウォッカのやつは悪酔いするからやめた方がいいですよ。
焼酎と炭酸なら、家にありますから、レモン買って帰りましょう。」
「そうですか。じゃぁそうさせてもらおうかな。」
誠一郎は踵を返すと、フルーツの棚へと向かった。
国産のレモンを一つ手に取り、かごに入れる。
「奥様にお土産は?」
「いや・・・求められたことないですけど。」
お土産、と聞く誠一郎に、笑ってしまう。咲江はそういうものを求めてきたことはなかった。代わりに、記念日は大切にしたが。
「何か買って行きましょうよ。甘いものでも。」
甘いもの?咲江、何が好きだったろうか。
考え込んでいると、誠一郎がくすくすと笑った。
「本当は、それくらいの距離感の方が長続きするんですかね。」
「あー・・・。ですかね。」
思わず苦笑した。うまく、長続きしていると思う。
誠一郎は、単身赴任が長くて離婚したようなことを言っていたが、看護師なら一人で食べていくこともできたのだろうと思う。子供もいないようだし。
「そうだ。最近食べてないけど、家内は塩羊羹が好きですよ。」
「じゃぁそれ買いましょうか。」
お菓子売り場の方へと向かう誠一郎について、のんびりと歩いた。和菓子のコーナーで、塩羊羹をかごに入れ、レジへと向かう。支払いは、誠一郎がした。
「あぁ。そういえば、スマホの充電器、いくらでした?」
「レシートなんか捨てちゃいましたよ。あれはもういいです。」
答えると、じゃぁ、甘えちゃおうかな、と誠一郎が人懐こい笑みを浮かべる。思わずキュンとなって照れ隠しに頭をかいた。
俺、ホモじゃないんだけどな・・・。
さてじゃぁ行きましょう、とレジ袋を持ってやり、帰路についた。
肉じゃがは上々の出来で。咲江と三人で食卓を囲んでいた。
リビングにあるダイニングテーブルだ。以前は鈴が座っていたところに、誠一郎が座っていて、変な感じだった。
他に、咲江が切ったマグロの刺身と、あおさ汁、胡瓜の酢の物や、マカロニサラダが並んでいた。
誠一郎は、肉じゃがをつまみに、レモンサワーを二杯、ビールを開けたところだった。自分は、誠一郎を送るつもりで、ノンアルのビール風飲料を飲んでいる。咲江は下戸だった。
刺身をおかずに、丼で二杯目のご飯を食べている。誠一郎が、幸せそうに笑うので、つられて幸せな気分になっていた。
「お風呂も済んでることだし、泊っていったら?」
さりげなく誘うと、あぁ、飲みたくなっちゃいましたか?と返された。
「それもあるけど、ゆっくり話がしたくて。歳が近い人、なかなか一緒に仕事する機会ないし。」
「私と話してもつまらないと思いますよ。同年代の人見ると、ついつい卑屈な物言いになっちゃって。いけないってわかってるけど、どうも・・・ね。四十過ぎてこのポジションかぁってね。」
誠一郎は、情けなく眉尻を下げた。
「誠一郎さん、仕事じゃ信頼されてるし、何が不満です?」
「わかってるんです。嫌いじゃないんです。この仕事。勉強することもいっぱいあるし、それが即お客様のためになる。でも、そろそろ落ち着きたいかなぁ。自分の家もって、思いますよ。」
「実家、どうするんです?栃木にあるんでしょう?」
「・・・古い家です。土地だけもらって建て替えるのがしのびなくて、そのままになってますけどね。でも、そうですね。実家暮らしで、嫁さん貰って、犬でも飼えたら・・・。」
誠一郎は遠い目をしていた。
「嫁さんの候補は?」
「いやいやいませんよ。出会いがなくて。」
笑って、ビールをゴクゴクと飲んだ。淋し気なその視線の先に、何があるのだろう。あと二十年と少し。退職したら、一人になってしまわないか?
「じゃぁ犬は?」
「この環境じゃ飼えません。アパート転々としてるし。実家に帰るのは盆と正月だけですから。」
「・・・うちで飼いましょうか。散歩の楽な犬種になっちゃいますけど・・・。」
「えっ?」
誠一郎がこちらをしげしげと見、咲江も目を丸くしている。
「散歩は朝して、出勤すればいいし、帰ってから夜でもいいし。小さい犬なら、毎日じゃなくてもいいみたいだし。」
「チワワとか、トイプードルとか、ですか?」
「そこらへんになっちゃうかなぁ。」
誠一郎が箸を止めている。
「孝さん、私のために飼ってくれるんですか?」
「毎日メール送りますよ。写真の。」
「ほんとですか?」
頷いてやると、誠一郎は、目を潤ませた。
「じゃぁ、明日の休みは、ペットショップへ行きましょう。」
「いいですよ。楽しみですね。」
誠一郎は、飛び上がらんばかりに喜んだ。
「チロは、先日業者に遺骨を送ったんです。帰ってくるってわかっていても、淋しくて。」
それに頷いて、こんなに早く次の子探して、チロちゃん化けて出ませんかね、と言ってみる。
「わかってくれると思います。・・・はしゃいだら酔いが回ったみたいです。」
「泊まっていきますか?」
「さすがにそれは・・・。」
「布団用意してるんですよ。この人ったら、ずいぶん楽しみにしてたみたいで。」
咲江が口を滑らせる。
「咲江。」
「ふふ。」
目でやり取りをして、誠一郎に向き直る。
「泊まっても大丈夫です。」
「じゃぁ、明日は朝からペットショップ巡りましょうか。」
お酒はここで止めておきます、と誠一郎が笑う。
「いいですよ。日曜なら譲渡会やってないかな。保健所にも聞いてみますか?」
「あぁ。そうですね。可哀想な犬は少ない方がいい。」
誠一郎は、目を細めて、また肉じゃがをつついた。
翌日曜日。区役所と、保健所に電話を掛ける。欲しい小型犬がいないのを確認して、ペットショップを巡ることになった。
誠一郎は、今日はコンタクトだった。使い捨てのものを使っているらしい。眼鏡を荷物の中に入れて、セレナに積み込んだ。
「犬飼うって、何が必要なんでしたっけ。室内犬って飼ったことなくて。」
「トイレと餌と、餌の器と寝床じゃないですか?」
首輪とリードと・・・と誠一郎が続ける。結構な出費になりそうだ。
「費用は私が出しますから、心配しないでください。これでも、貯金だけはあるんです。」
扶養家族がいないから、とまた自分を卑下した。
「月に一回は最低でも会いに来られるようにしますね。
餌代と、薬、病院にかかるお金を払わないと。チロの時みたいになったら大変だ。」
「わかってます。可哀想なことにはなりませんよ。」
応えて、一件目のショップに着いた。
子犬が、ケースや、ケージの中で、キャンキャンと鳴いている。そんな中、お構いなしに良く寝ているミニチュアシュナウザーがいた。
「大人しそうですね。」
「あんまり大人しいのも・・・。体が弱いだけかもしれませんから。」
なるほど。そういう見方もできるのか。
「長毛の子も、トリミング代かかりますし・・・。やっぱり、豆芝みたいなやつが経費はかからないかなって思います。」
孝さんの手間ですし、と誠一郎が日本犬の策の中に手を伸ばした。静かに頭を撫でさせている犬がいた。チロによく似た赤の豆芝だった。
思い出しているのだろう。
「はは。やっぱり、可愛いですねぇ。」
小指の先で涙を拭う仕草に、ドキリとする。まだ、早すぎたろうか。チロを失って、一月も経っていない。思い出さないわけがなかった。
女性店員がやってきて、抱っこ出来ますよ、と誘う。誠一郎は、じゃぁ、と慣れた手つきで子犬のお尻を持って抱き上げた。
ぺろ、と豆芝か誠一郎の口元を舐める。なんだか羨ましくて、そっと近づき、後からそっと、耳に口づけた。
「わっ?」
「・・・ちょっと、わんこにやきもちです。」
「・・・びっくりしました。」
「俺もです。」
「・・・ドキドキ、するじゃないですか。あぁもう・・・。」
誠一郎は、頬を染めて、俯いた。豆芝が、くぅん、と鳴いた。
ずんぐりむっくりとした、可愛い豆芝。それに比べて、四十を過ぎた男が、何をしているんだと赤面する。
「その子にするんですか?」
「・・・可愛い、ですよね。でも、似すぎていて思い出すから、別の子にします。」
そんな様子を見て取ってか、店員が、黒い子もいますよ、と声をかけてきた。
「あぁ、いいですね。」
「出してきますね。抱っこしてみてください。」
店員が、ケージから黒の、まだ生後間もない豆芝を連れてきた。
「今日来たばかりの子で、まだミルクです。決めていただけたら、ミルクと哺乳瓶サービスしますよ。ワクチンもまだなので、早めにかかりつけの獣医さんを、決めていただきたいです。うちで、提携している先生もいますけど。」
「あぁ。可愛い。外に出せるようになるまで、どれくらいかかります?」
誠一郎は乗り気だが、ミルクから育てるとなると、咲江の負担が増える。どうしたものか。
「ワクチンを済ませてからになりますので、タイミングは先生と相談してみてください。」
店員はそう言うと、指、吸いますよ、と口元に指を近づけた。
きゅーきゅーと鳴いていた豆芝が、ちゅ、と指先を吸う。可愛くて、誠一郎が真似て指先を吸わせるのをじっと見ていた。
子供のいない誠一郎だ。ミルクを飲ませたりするのも、経験のうちかもしれない。咲江には悪いが、もう一度子育てを頑張ってもらおう。
そんなことを考えていると、店員が売約済みにしておきますか?と言った。
「世話が大変でしょうし、もう少し大きくなるまで預かれますよ。」
「それは是非。」
思わず口を挟んでしまっていた。誠一郎も、さすがに赤ちゃんわんこをうちに託すのは気が引けたのか、そうですね、と同意した。
「じゃぁ、離乳食になったら連絡しますので、こちらのカードに飼う方の連絡先と、あと内金を入れていただいて・・・。」
話が進んでいく。
どうやら、うちで飼うのは黒の豆芝になったようだった。
帰り道。誠一郎を家まで送りながら、名前なんて付けるんです?と問うた。
「ハナにしようかと。雌ですし、黒いから、名前だけでも華やかな方がいいかと思って。」
「いいですね。可愛い。」
「狂犬病の予防注射とか、最初はいろいろ大変ですが、よろしくお願いします。ショップから連絡があったら、お手数ですが連絡いただけますか?」
「もちろん。」
アパートには、思っていたより早く着いた。別れ際、誠一郎がもじもじしながら、何かもの言いたげに目を伏せた。
「なんです?」
「・・・いや、あの・・・。なんで、私にこんなに良くしてくれるんです?」
そう来たか。言わないつもりでいたけれど・・・。
「・・・泣き顔見ちゃったからですかね。可愛く思えちゃって・・・。惚れちゃったんですよ。」
誠一郎が、目を丸くする。
「あ、俺、その・・・ゲイとかじゃないんで安心してください。人として、誠一郎さんが好きなんですよ。」
だからです。と早口に言って、車に乗り込む。
「忘れ物ないですか?」
「ない・・・と思います。大丈夫です。はい。」
「来週には引き渡しですねぇ。完成検査は何度やってもドキドキする。お客さん、満足してくれるといいけど。」
「大丈夫です。細かく見てますけど、いい仕事してもらってます。もう少しですね。頑張ってください。」
「もちろん。」
頷いて、手を振った。
現場仕事が終わっても、ハナが自分たちを繋いでくれる。
期限付きの夢の様な出来事かと思っていたが、どうやらそうではないらしい。自分で仕向けたこととはいえ、こうも順調に事が運ぶとは。咲江には本当に申し訳ない。
しばらくはこの気持ちで、浮ついた日々を送るのだろう。
誠一郎と、もっと思い出を増やしたい。とりあえずはお盆休みか。また、肉じゃがをつつきながら、酒を飲みたい。
夏が待ち遠しかった。
無事に、引き渡しを終え、誠一郎の出張が終わる頃、ハナがうちにやってきた。まだ、ミルクと離乳食併用らしいが、とりあえず手間は少し減ったようだ。誠一郎も喜んで、赤いバンダナを作り直したのだという首輪をハナに巻いてやっていた。なんとも手先が器用なことで。
「すぐ大きくなりますから。成長止まったら、長く使えるちゃんとした首輪買ってきますね。それと、初期費用。病院の健康診断とかで、お金かかるので、とりあえず現金を用意しました。」
律儀なことで。
「足りなかったら連絡ください。」
「足りなくなくても、連絡はしますよ。言ったでしょう?
写真付きのメールを毎日送ります。楽しみにしていてください。」
「ありがとうございます。・・・今日の分は撮影して帰りますね!」
ハナを動画で取り始めた誠一郎をクックと笑う。
ペットロスからは立ち直ったようで。
チロの遺骨のアクセサリーは三か月待ちなのだそうだ。しばらく手元には来ない。その分、ハナを可愛がればいいと目を細めた。
END
来週には六月に入る。梅雨入り間近。雨は木を扱う作業には大敵だった。サッシも入っているしあとはエアコンが動かせれば快適な作業環境なのだがそうもいかない。屋根にソーラーパネルは乗っているが、まだ電力会社と契約していない。
要は、梅雨入り前に、一刻も早く、湿気が苦手な作業を片付けねばならなかった。こういう家に限って、壁紙がビニールクロスではなく紙素材を指定していたりする。厄介だ。
「日田さん、浴室どうですか?」
「あとは水を流してみないと。」
「じゃぁ、終わりってことで。キッチンか、トイレの方見てやってくれますか?」
日田は、水回り専門だ。少し年上の彼の仕事は信頼できる。
「はいはい。了解。」
軽快に答えると、日田は一階と二階のトイレを見に行くようだった。まかせておいて大丈夫だろう。
夕方、誠一郎がやってきた。手には、缶コーヒーが一箱。
「東さん、気を使うことないのに。」
狐塚が言い、それは俺のセリフ、とため息を漏らした。
「東さん!復帰おめでとうございます。」
声を掛けると、照れ臭そうに、ご迷惑おかけしましたと、深々頭を下げた。
「思ってたより早い復帰で助かります。」
「はい。施主様にも心配おかけして・・・。」
「午前中はそちらに?」
「えぇ。平日休みがある方なので。」
やりとりをしていると、狐塚がやってきて、オレ、救急車なんて呼ぶの初めてでしたよ!と興奮気味に言った。
「勉強になって良かったろ。」
「そうっすか?あんなこと、ないに越したことありませんよ。」
「そりゃそうだ。」
相手が誠一郎ならなおさらだ。
「コンコン、そろそろ今日はお終いにしよう。」
「はい。伝えてきます。」
狐塚が小走りに行く。それを見送って、誠一郎に向き直る。
「後遺症とか・・・。」
「大丈夫です。・・・中、見せてもらっても?」
「どうぞ。」
仕事ぶりを見られるのは緊張する。
シートの貼られた廊下を、誠一郎が見て回る。
「いいですね。浴室もう仕上がってるんですね。こんな感じで、イメージ通りだと思います。施主様喜びますよ。」
「それは良かった。梅雨入り前にやりたい仕事があるので、多少段取り組み直すかもしれませんけど、期日までには上がりますから。」
「よかった。梅雨入り心配ですね。壁紙どうでしょう?」
心配するところは同じだった。
「湿気が来ないうちに貼りますよ。」
「難しい仕事ですがよろしくお願いします。」
「もちろん。」
自信満々答えると、誠一郎はほっとした顔で、屋内を見回した。
大きな鍋に、肉じゃがをたくさん作って、いったん冷ます。
味をしみ込ませるためだ。みそ汁や刺身の支度は咲江に頼んで、誠一郎を迎えに行く。
今日は、一緒にうちでご飯を食べる約束を取り付けていた。
うきうきしながら、車を走らせる。送り迎えなら、誠一郎は酒が飲める。帰りに二人でスーパーに寄ろう。好きな銘柄の酒を買って、自分はノンアル。月末の土曜の夜。そのつもりなら、泊っていってもいいように、布団の用意までしてあった。さすがにそれは、本人には言っていなかったが。
アパートの前に、誠一郎が立っているのが見えて嬉しくなった。中で待っていればいいものを、わざわざ外に出ているということは、それなり、楽しみにしてくれているということに違いない。
「やぁ。お待たせしました。」
「いえ。今出てきたところで。」
おや。今日はメガネだ。
「じゃぁ、風呂行きましょうか。」
「・・・はい。」
誠一郎は、少し恥ずかしそうにうなずいた。着替えなどが入ったバッグは結構大きい。それをセレナの後ろに積み込んで、スーパー銭湯を目指す。
「熱中症で倒れたばかりって、サウナはやめておいた方がいいんですかねぇ。」
「もう十日も立っていますよ。少しなら。」
そうか。チロが死んでから、まだ十日。いい気分転換になればいいのだが。
スーパー銭湯にはすぐについた。タオルと、お風呂バスケットを持って、車を降りる。
「孝さん、シャンプー持参ですか?」
「おいてあるのは、匂いが好かなくて。使ってみますか?」
「じゃぁ。」
何気なく誘ってみたが、これで帰りは同じシャンプーの香りだ。そんなことにドキドキしながら中へと入った。
靴をロッカーに預け、男湯の暖簾をくぐる。脱衣所は除湿が効いていて快適だ。空いている、隣り合わせのロッカーを選んで、誠一郎と服を脱ぎ始めた。誠一郎は、長袖のワイシャツを着ているので、そんなに日焼けしていない。そんな視線に気付いてか、どうしました?と問うてきた。
「いや。肌綺麗ですねぇ。」
「そんな・・・。女性に言ってあげたらどうです?」
誠一郎は、少し赤くなってしどろもどろに視線をそらした。
「・・・ドキッとしました。」
「いやぁ。あはは。」
脱ぎながら、ドキッとしたのか!と反芻する。可愛い。
そんなことしている間に、誠一郎は全裸になり、タオルでさっと股間を隠すと、先、行きますね、と中へと消えていった。
結婚した過去があるというから考えなかったが、誠一郎、ゲイじゃないよな・・・?
同じ男に肌を褒められてあのリアクション。ちょっと気になる。
そう思いながら、あとを追い、誠一郎が体を洗っている隣のシャワーを陣取った。
同じシャンプーの香りに、上機嫌でスーパーにいた。誠一郎は酒を選んでいる。自分はと言えば、ノンアルのビール風飲料をかごに入れたが、家には一応ラガーを冷やしてあった。
肉じゃが美味しくなってるかな。
誠一郎の反応が楽しみで、にやついてしまう。
「日本酒の方が合いますかね?」
誠一郎が振り返る。
「お好きなものをどうぞ。」
返すと、誠一郎はにっこりして、なぜか酎ハイの棚を見始めた。
「本当は自分で作るのが好きなんですけど。」
レモンサワーを手にしている。
「ウォッカのやつは悪酔いするからやめた方がいいですよ。
焼酎と炭酸なら、家にありますから、レモン買って帰りましょう。」
「そうですか。じゃぁそうさせてもらおうかな。」
誠一郎は踵を返すと、フルーツの棚へと向かった。
国産のレモンを一つ手に取り、かごに入れる。
「奥様にお土産は?」
「いや・・・求められたことないですけど。」
お土産、と聞く誠一郎に、笑ってしまう。咲江はそういうものを求めてきたことはなかった。代わりに、記念日は大切にしたが。
「何か買って行きましょうよ。甘いものでも。」
甘いもの?咲江、何が好きだったろうか。
考え込んでいると、誠一郎がくすくすと笑った。
「本当は、それくらいの距離感の方が長続きするんですかね。」
「あー・・・。ですかね。」
思わず苦笑した。うまく、長続きしていると思う。
誠一郎は、単身赴任が長くて離婚したようなことを言っていたが、看護師なら一人で食べていくこともできたのだろうと思う。子供もいないようだし。
「そうだ。最近食べてないけど、家内は塩羊羹が好きですよ。」
「じゃぁそれ買いましょうか。」
お菓子売り場の方へと向かう誠一郎について、のんびりと歩いた。和菓子のコーナーで、塩羊羹をかごに入れ、レジへと向かう。支払いは、誠一郎がした。
「あぁ。そういえば、スマホの充電器、いくらでした?」
「レシートなんか捨てちゃいましたよ。あれはもういいです。」
答えると、じゃぁ、甘えちゃおうかな、と誠一郎が人懐こい笑みを浮かべる。思わずキュンとなって照れ隠しに頭をかいた。
俺、ホモじゃないんだけどな・・・。
さてじゃぁ行きましょう、とレジ袋を持ってやり、帰路についた。
肉じゃがは上々の出来で。咲江と三人で食卓を囲んでいた。
リビングにあるダイニングテーブルだ。以前は鈴が座っていたところに、誠一郎が座っていて、変な感じだった。
他に、咲江が切ったマグロの刺身と、あおさ汁、胡瓜の酢の物や、マカロニサラダが並んでいた。
誠一郎は、肉じゃがをつまみに、レモンサワーを二杯、ビールを開けたところだった。自分は、誠一郎を送るつもりで、ノンアルのビール風飲料を飲んでいる。咲江は下戸だった。
刺身をおかずに、丼で二杯目のご飯を食べている。誠一郎が、幸せそうに笑うので、つられて幸せな気分になっていた。
「お風呂も済んでることだし、泊っていったら?」
さりげなく誘うと、あぁ、飲みたくなっちゃいましたか?と返された。
「それもあるけど、ゆっくり話がしたくて。歳が近い人、なかなか一緒に仕事する機会ないし。」
「私と話してもつまらないと思いますよ。同年代の人見ると、ついつい卑屈な物言いになっちゃって。いけないってわかってるけど、どうも・・・ね。四十過ぎてこのポジションかぁってね。」
誠一郎は、情けなく眉尻を下げた。
「誠一郎さん、仕事じゃ信頼されてるし、何が不満です?」
「わかってるんです。嫌いじゃないんです。この仕事。勉強することもいっぱいあるし、それが即お客様のためになる。でも、そろそろ落ち着きたいかなぁ。自分の家もって、思いますよ。」
「実家、どうするんです?栃木にあるんでしょう?」
「・・・古い家です。土地だけもらって建て替えるのがしのびなくて、そのままになってますけどね。でも、そうですね。実家暮らしで、嫁さん貰って、犬でも飼えたら・・・。」
誠一郎は遠い目をしていた。
「嫁さんの候補は?」
「いやいやいませんよ。出会いがなくて。」
笑って、ビールをゴクゴクと飲んだ。淋し気なその視線の先に、何があるのだろう。あと二十年と少し。退職したら、一人になってしまわないか?
「じゃぁ犬は?」
「この環境じゃ飼えません。アパート転々としてるし。実家に帰るのは盆と正月だけですから。」
「・・・うちで飼いましょうか。散歩の楽な犬種になっちゃいますけど・・・。」
「えっ?」
誠一郎がこちらをしげしげと見、咲江も目を丸くしている。
「散歩は朝して、出勤すればいいし、帰ってから夜でもいいし。小さい犬なら、毎日じゃなくてもいいみたいだし。」
「チワワとか、トイプードルとか、ですか?」
「そこらへんになっちゃうかなぁ。」
誠一郎が箸を止めている。
「孝さん、私のために飼ってくれるんですか?」
「毎日メール送りますよ。写真の。」
「ほんとですか?」
頷いてやると、誠一郎は、目を潤ませた。
「じゃぁ、明日の休みは、ペットショップへ行きましょう。」
「いいですよ。楽しみですね。」
誠一郎は、飛び上がらんばかりに喜んだ。
「チロは、先日業者に遺骨を送ったんです。帰ってくるってわかっていても、淋しくて。」
それに頷いて、こんなに早く次の子探して、チロちゃん化けて出ませんかね、と言ってみる。
「わかってくれると思います。・・・はしゃいだら酔いが回ったみたいです。」
「泊まっていきますか?」
「さすがにそれは・・・。」
「布団用意してるんですよ。この人ったら、ずいぶん楽しみにしてたみたいで。」
咲江が口を滑らせる。
「咲江。」
「ふふ。」
目でやり取りをして、誠一郎に向き直る。
「泊まっても大丈夫です。」
「じゃぁ、明日は朝からペットショップ巡りましょうか。」
お酒はここで止めておきます、と誠一郎が笑う。
「いいですよ。日曜なら譲渡会やってないかな。保健所にも聞いてみますか?」
「あぁ。そうですね。可哀想な犬は少ない方がいい。」
誠一郎は、目を細めて、また肉じゃがをつついた。
翌日曜日。区役所と、保健所に電話を掛ける。欲しい小型犬がいないのを確認して、ペットショップを巡ることになった。
誠一郎は、今日はコンタクトだった。使い捨てのものを使っているらしい。眼鏡を荷物の中に入れて、セレナに積み込んだ。
「犬飼うって、何が必要なんでしたっけ。室内犬って飼ったことなくて。」
「トイレと餌と、餌の器と寝床じゃないですか?」
首輪とリードと・・・と誠一郎が続ける。結構な出費になりそうだ。
「費用は私が出しますから、心配しないでください。これでも、貯金だけはあるんです。」
扶養家族がいないから、とまた自分を卑下した。
「月に一回は最低でも会いに来られるようにしますね。
餌代と、薬、病院にかかるお金を払わないと。チロの時みたいになったら大変だ。」
「わかってます。可哀想なことにはなりませんよ。」
応えて、一件目のショップに着いた。
子犬が、ケースや、ケージの中で、キャンキャンと鳴いている。そんな中、お構いなしに良く寝ているミニチュアシュナウザーがいた。
「大人しそうですね。」
「あんまり大人しいのも・・・。体が弱いだけかもしれませんから。」
なるほど。そういう見方もできるのか。
「長毛の子も、トリミング代かかりますし・・・。やっぱり、豆芝みたいなやつが経費はかからないかなって思います。」
孝さんの手間ですし、と誠一郎が日本犬の策の中に手を伸ばした。静かに頭を撫でさせている犬がいた。チロによく似た赤の豆芝だった。
思い出しているのだろう。
「はは。やっぱり、可愛いですねぇ。」
小指の先で涙を拭う仕草に、ドキリとする。まだ、早すぎたろうか。チロを失って、一月も経っていない。思い出さないわけがなかった。
女性店員がやってきて、抱っこ出来ますよ、と誘う。誠一郎は、じゃぁ、と慣れた手つきで子犬のお尻を持って抱き上げた。
ぺろ、と豆芝か誠一郎の口元を舐める。なんだか羨ましくて、そっと近づき、後からそっと、耳に口づけた。
「わっ?」
「・・・ちょっと、わんこにやきもちです。」
「・・・びっくりしました。」
「俺もです。」
「・・・ドキドキ、するじゃないですか。あぁもう・・・。」
誠一郎は、頬を染めて、俯いた。豆芝が、くぅん、と鳴いた。
ずんぐりむっくりとした、可愛い豆芝。それに比べて、四十を過ぎた男が、何をしているんだと赤面する。
「その子にするんですか?」
「・・・可愛い、ですよね。でも、似すぎていて思い出すから、別の子にします。」
そんな様子を見て取ってか、店員が、黒い子もいますよ、と声をかけてきた。
「あぁ、いいですね。」
「出してきますね。抱っこしてみてください。」
店員が、ケージから黒の、まだ生後間もない豆芝を連れてきた。
「今日来たばかりの子で、まだミルクです。決めていただけたら、ミルクと哺乳瓶サービスしますよ。ワクチンもまだなので、早めにかかりつけの獣医さんを、決めていただきたいです。うちで、提携している先生もいますけど。」
「あぁ。可愛い。外に出せるようになるまで、どれくらいかかります?」
誠一郎は乗り気だが、ミルクから育てるとなると、咲江の負担が増える。どうしたものか。
「ワクチンを済ませてからになりますので、タイミングは先生と相談してみてください。」
店員はそう言うと、指、吸いますよ、と口元に指を近づけた。
きゅーきゅーと鳴いていた豆芝が、ちゅ、と指先を吸う。可愛くて、誠一郎が真似て指先を吸わせるのをじっと見ていた。
子供のいない誠一郎だ。ミルクを飲ませたりするのも、経験のうちかもしれない。咲江には悪いが、もう一度子育てを頑張ってもらおう。
そんなことを考えていると、店員が売約済みにしておきますか?と言った。
「世話が大変でしょうし、もう少し大きくなるまで預かれますよ。」
「それは是非。」
思わず口を挟んでしまっていた。誠一郎も、さすがに赤ちゃんわんこをうちに託すのは気が引けたのか、そうですね、と同意した。
「じゃぁ、離乳食になったら連絡しますので、こちらのカードに飼う方の連絡先と、あと内金を入れていただいて・・・。」
話が進んでいく。
どうやら、うちで飼うのは黒の豆芝になったようだった。
帰り道。誠一郎を家まで送りながら、名前なんて付けるんです?と問うた。
「ハナにしようかと。雌ですし、黒いから、名前だけでも華やかな方がいいかと思って。」
「いいですね。可愛い。」
「狂犬病の予防注射とか、最初はいろいろ大変ですが、よろしくお願いします。ショップから連絡があったら、お手数ですが連絡いただけますか?」
「もちろん。」
アパートには、思っていたより早く着いた。別れ際、誠一郎がもじもじしながら、何かもの言いたげに目を伏せた。
「なんです?」
「・・・いや、あの・・・。なんで、私にこんなに良くしてくれるんです?」
そう来たか。言わないつもりでいたけれど・・・。
「・・・泣き顔見ちゃったからですかね。可愛く思えちゃって・・・。惚れちゃったんですよ。」
誠一郎が、目を丸くする。
「あ、俺、その・・・ゲイとかじゃないんで安心してください。人として、誠一郎さんが好きなんですよ。」
だからです。と早口に言って、車に乗り込む。
「忘れ物ないですか?」
「ない・・・と思います。大丈夫です。はい。」
「来週には引き渡しですねぇ。完成検査は何度やってもドキドキする。お客さん、満足してくれるといいけど。」
「大丈夫です。細かく見てますけど、いい仕事してもらってます。もう少しですね。頑張ってください。」
「もちろん。」
頷いて、手を振った。
現場仕事が終わっても、ハナが自分たちを繋いでくれる。
期限付きの夢の様な出来事かと思っていたが、どうやらそうではないらしい。自分で仕向けたこととはいえ、こうも順調に事が運ぶとは。咲江には本当に申し訳ない。
しばらくはこの気持ちで、浮ついた日々を送るのだろう。
誠一郎と、もっと思い出を増やしたい。とりあえずはお盆休みか。また、肉じゃがをつつきながら、酒を飲みたい。
夏が待ち遠しかった。
無事に、引き渡しを終え、誠一郎の出張が終わる頃、ハナがうちにやってきた。まだ、ミルクと離乳食併用らしいが、とりあえず手間は少し減ったようだ。誠一郎も喜んで、赤いバンダナを作り直したのだという首輪をハナに巻いてやっていた。なんとも手先が器用なことで。
「すぐ大きくなりますから。成長止まったら、長く使えるちゃんとした首輪買ってきますね。それと、初期費用。病院の健康診断とかで、お金かかるので、とりあえず現金を用意しました。」
律儀なことで。
「足りなかったら連絡ください。」
「足りなくなくても、連絡はしますよ。言ったでしょう?
写真付きのメールを毎日送ります。楽しみにしていてください。」
「ありがとうございます。・・・今日の分は撮影して帰りますね!」
ハナを動画で取り始めた誠一郎をクックと笑う。
ペットロスからは立ち直ったようで。
チロの遺骨のアクセサリーは三か月待ちなのだそうだ。しばらく手元には来ない。その分、ハナを可愛がればいいと目を細めた。
END
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