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ケンタのピュアさをなんとかしてほしい 〜ワタル〜
02
しおりを挟むケンタの体質に気付いたのは16歳。
いつも一緒で、俺の視界のなかに必ずいたのに、突然いなくなるのは落ち着かなかった。
だがケンタだって一人でいたい時があるだろうと考えはしたのだが、どうしても気になってしまい、スッと消えてしまうケンタをあえて気付かずにしておき、こっそり付いていった時のあの衝撃は忘れられない。
あの時のケンタは、誰も通らないであろう倉庫の裏に隠れ、周囲に誰もいないかキョロキョロと確認したあと自分の胸に手を当てたのを見た時は、病気かなにかだろうかと心配したが、そうではないとすぐ気付いた。
手を当てたのではなく、あきらかに服の上から乳首を撫でていた。もう片方の手には股間のほうに。
その後物足りないと思ったのか、服の中に手を入れ、直接触れたのだろうか、うっかり漏れ出てしまった声が俺の耳に響いた時には、下半身に直撃した。
自分が隠れて見ていることをケンタに気付かれないよう、息を殺すのに必死だった。
息を弾ませながら、ズボンから性器を出して擦っている姿はとても淫靡だった。
ケンタが射精したあと、スッキリした顔で何事もなく去っていくところまで見届けてから、その場で何度も自慰しちゃったのは、まぁ、若かったんだ。うん。
それから、何度かこっそり付いてきて体質のことを大体把握して、だんだんと俺の手でイかせてやりたいと思い始めてきた。
近くで感じる姿を見れたら。
目の前でイく顔が見れたら。
もし、一緒にいるときに性欲スイッチがオンになったら、掴まえよう……とチャンスをずっと伺っていた。
『なぁ、その性処理、俺に任せてみない?』
ドキドキしていることを悟られないよう、必死に軽く対応してみた。
だが、掴まえたワタルの手首は絶対離さない——。
そんなことがあって今がある。
「…あー、いつのまにか夕方か。そういや朝も昼も食べてねぇよ」
ようやく部屋がら出て、キッチンに向かったところ食事がおいてあった。
ケンタが用意してくれたのだろう。
「うん、うまい」
ケンタは料理人をしており、食事面は全て任せている。
というか、俺はぜんぜん料理出来ないからな…その面では助かっている。
ちなみに俺は護衛をしているのだが、護衛する場所はケンタの働いている食堂からなるべく近くを選んでいる。
いまのところ、仕事中に性欲スイッチが入ることはあまりないようだが……来たとしても何が何でも対応しておくためだ。
俺が仕事中でケンタが休みだったときに、性欲スイッチが入って、自分で性処理することが出来ずに悶えながら俺を待っていたのは、申し訳ないと思いながらも心の中では歓喜していた。
ケンタの身体は俺しかイけない身体になった…こんなの最高としかないだろう。
思い出しニヤけながら食事していると、ケンタが部屋から出てきて、あわてて真顔をし声をかけてみる。
「ケンタ、身体は大丈夫なのか?」
「うん。いつもどおりだ。久々だったからちょっと腰は重いけどな」
「あぁ、すまん。今回はいつもより激しかったかもしれん」
ケンタはカァと赤くなる。羞恥心はあるくせに恋愛にはとても疎い。
体質のせいでそこまで考えられないんだろうか。
「とりあえず、身体に変化とか感じたことはないか?」
「んー…とくにないかな。空いき? っていうのか? あれは初めてだったから、いつもよりは感じてた気がする。まぁ射精したら、消えちまったけど」
「そっか。とりあえず記録に残しておく。おそらく間隔は延びるかもだからしばらくは来ないと思っていいかもしれん」
「わかった。…前回っていつ来てた?」
「んー、5日前だったかな。となると、今回は5日以上かもな」
「そうか。気にかけておく」
恋人だったらこんな会話、してないだろうな。恋人だったら、タイミングとか間隔とか考えずに欲望のままになだれこんで時間も忘れて溶け合って。
そんなときがいつか来るのだろうか。
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