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ハッキリしないのなんとかしてほしい 〜ケンタ〜
02
しおりを挟む「呪いのことなんだが…」
夕食を済ませ、食後のコーヒーを用意しているとワタルが思い出したかのように話しかけた。
「うん? なんだ?」
「呪いをかけた人が分からないとなると、『ある事』または『キーワード』が必要になる。しかし、未だに解けないということはまだ致していないか、発してないことになるよな…」
「…だよな。今までしてることは射精して一時的に解放してるだけだもんな……」
うっかり数日前の空イキしたときを思い出し、少し赤面してしまったが、ワタルは気付かずに眉をひそめて考えていた。真面目だなぁ。
マグカップをワタルの分にも入れて、渡しておく。
「…なぁ、ケンタは今まで性欲スイッチが入ってから射精してたよな? 性欲スイッチオフのときに試したことはあるのか?」
「なかったな。というか性欲スイッチオフのときに『したい』なんて思うことあるのか?」
性欲がなくてもキッカケがあれば欲情することがあるのは知っているが、僕には経験がなかった。
この体質のせいでバレるのは避けたいあまりに、人とは交流していなかったからか、好きな人や気になる人というのも今までいなかった。
幼なじみであるワタルは気の知れた人で、色々話せるのだけど。
ともあれ、そんな環境で性欲スイッチオフでえっちしてみたいという考えなんてなかなか出来ないんじゃないだろうか?
「性欲スイッチオフにあえてセックスするっていうのも、もしかしたらありえるのかもしれない」
真面目な顔をしてワタルは言う。
「でもさ、性欲スイッチオフになったあとに後処理で、ゆ……、指入れても、全然、感じなかった、ぞ?」
さすがに後処理を話すのは恥ずかしい。だが、これは話したほうがいいだろう。だって後処理のときに僕自身が勃ったこと一度もないんだ。
「それは直後だからなのかもしれない。たとえば今のようにしばらくたってからの状態だとまた違うかもしれないぞ?」
確かに違うかもしれない。だが、そうとなるとなんか気持ちが落ち着かない。
性欲スイッチが入るとただ射精したくて理性を失っているし、すがるようにワタルを求めてはいるけれど、理性がある状態でワタルとセックスなんて、出来るのか…?
じっとワタルを見た。セックスするときのワタルはおっさんくさいのはあれど、色気は半端ない。
欲情したときの眼差しや、汗ばんだ身体。
抜き差しされるときの力強さ。
だが、それは性欲スイッチが入っている時でアリだと思っている。
それなら今はどう思ってる?
……少なくとも嫌悪感はない。
「やっぱり性欲スイッチが入っていない状態だと、セックスするとか考えられないよなぁ。まぁこれが決め手っていうわけじゃないしな」
と、ワタルは申し訳ない顔して、他の方法にはないか考え始めた。
ワタルは僕の体質のことをちゃんと考えてくれている。戸惑っていた僕に、無理はするなと言ってくれる。
数日前、自分に何が出来ないか考えたばかりじゃないか。怖じ気ついてどうするんだ。
「……わかった! やってみようぜ! 今から!」
駄目なら駄目で他の方法を探せばいい。今ここでやらないとずっとやらない気がする。
「え? 今から?? いや、待てって。ちゃんと他の方法考えてやるから…」
「何言ってんだよ。物は試しだ。思い立ったが吉日」
突然の提案にワタルは押され気味になっている。
ワタルって大雑把そうで案外慎重なんだよな。そして僕はかなりの大雑把だったりする。
この呪いだってまぁいいやって放置したぐらいだし。
さっさと自分のシャツを脱ぎ上半身裸になり、ワタルに迫ってみた。
「まてまてまて! とりあえず準備をだな!」
ワタルはあわてて立ち上がって自分の部屋に引っ込んだ。
準備? いつでもどこでも出来るようにスタンバイしてるんじゃなかったっけ。潤滑油だってあちこちあるし、ズボンのポケットには潤滑油が入ってる小ボトルもある。たしかワタルもポケットに常時入ってなかったっけ?
ワタルの狼狽ぶりの理由が分からないケンタであった。
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