前触れなく感じてしまう体質をなんとかしてほしい

Sui

文字の大きさ
22 / 38
素直になれないのなんとかしてほしい 〜ケンタ〜

02

しおりを挟む

 ワタルが昼食を食べにこなかったのが、思いの外ダメージを受けていた。

 あの後、同僚からしつこく聞かれたが何もない何でもないと必死に拒否したが、すればするほど引っかかってしまう。
 なんで食べにこなかった。本当にあの人とどこかへ食べにいったのか。あの人が好きなのか。そりゃ、ワタルはイケメンだし恋人がいてもおかしくはないけれど。

 ワタルは僕の性欲スイッチのことだけしか考えてないと思っていた。研究してたぐらいだし、まじないもちゃんと調べてくれている。だから、恋人つくる暇なんてないと勝手に思いこんでた。
 でも、実はつくっていた…?

 夕食作ろうにも、やる気が起きない。いつもだったら、ワタルが美味しそうに食べる顔を思いだしながら作っていたのに、今は全然思い浮かばない。
 思い浮かぶのは、ワタルがかわいらしい人と仲良さげな様子ばかり。

「あー…だめだ。手につかない」

 とりあえずキッチンに立ったら、なんとかなるだろうと思ったが、食材をぼんやり眺めてるだけになってしまった。

「あいつ、いつ帰ってくるんだよ…」

 いつもだったら気にしていなかったワタルの帰宅。それが今日はどうしても気になってしまっていた。
 もしかして二人はもう恋仲で、どこかで二人っきりでいるのか。
 その人と一緒にいた時のワタルの笑顔を思い出して、ズキンと胸が苦しくなる。うまく息が出来ない。

 大きく息を吸い込もうとすると、ふいにアレの感覚が背中に流れてきた。

「……っマジかよ。なんで今…!?」

 股間に勃ちあがりかけてると分かる膨らみを押さえ、そのまま屈んでしまった。

 前に一回だけ、ワタルが不在のときに入ったときは大変だった。何をしてもイけない。今回もきっとそうなる。

 どうしよう。はやく、帰ってきてくれワタル。

 そう願ったが、一向に帰ってくる気配はない。
 早く射精しとかないと、快感で何もかも考えられなくなってしまう。

 ズボンと下着を膝までおろし、勃ちあがりかけているのを確認する。
 いつもだったら、ワタルがすぐ触れてくれた。イかせてくれると安心してすぐに身を委ねていた。
 ずっと任せていただけに、自分でするのが久しぶりでどうしたらいいのか分からず、何故か泣きそうになる。

 とりあえず陰茎を両手でしごくと、先走りで塗れてきた。
 そういえばワタルは、いつも先端にいじってくれたなと思い出し、親指で鈴口を擦ってみた。

「ひあっ、あっ、あっ…」

 ビクンと腰が上がった。だけど足りない。イかせるほどの快感がもっと欲しい。

「あっ、ワタルぅ…、擦ってぇ」

 つい、名前を呼んでしまい、息を飲む。
 目をつむりワタルの手で擦っていると想像してみた。力加減や早さを同じようにしてみたけれど、やはり感触が違う。ワタルの手はもっとゴツくて、大きくて。
 ふと、自分とワタルの性器を擦り合ったことを思い出し、さらに感度が増したような気がした。
 あの時はお互いカリに引っかかってみたり、裏筋を重ねたり、ワタルの手と重ねながら擦ったときはとてつもなく気持ちよくてたまらなくて。

 だんだんと後孔がひくついて収縮を繰り返しているのを感じ、ワタルが欲しいと言ってるようで、恥ずかしくなる。

 人差し指の指先に力を挿れると、難なく入ってきた後孔。しかし濡らしていないからか、少しだけひきつってしまった。

 ワタルのを何度も迎え入れた後孔には、ワタルの形を覚えていて、挿れる前からすでにナカには受け入れる準備が出来ていたのはいつからだったろう。
 あいつのは大きくて、熱くて、最初に挿れる時が大変で。
 そんなことを思い出しながら抜き挿しすると、いつもより気持ちいい気がして、声が出てしまう。

「はぁ……あ、んっ」

 僕自身をしごきながら、後孔も抜き挿しするがやはり物足りない。ポケットから潤滑油の入った小ボトルを使い、指を本数増やして深く抜き挿ししても、やはりワタルのとでは比べにならない。
 はやくワタルのを挿れて、僕を抱きしめてほしい。それしか考えられなかった。

 いつのまにか、ただ『イきたい』のではなく、『ワタルでイきたい』と思うようになっていた。
 前はそんなこと考えていなかったのに。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】後悔は再会の果てへ

関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。 その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。 数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。 小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。 そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。 末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

僕と教授の秘密の遊び (終)

325号室の住人
BL
10年前、魔法学園の卒業式でやらかした元第二王子は、父親の魔法で二度と女遊びができない身体にされてしまった。 学生達が校内にいる時間帯には加齢魔法で老人姿の教授に、終業時間から翌朝の始業時間までは本来の容姿で居られるけれど陰茎は短く子種は出せない。 そんな教授の元に通うのは、教授がそんな魔法を掛けられる原因となった《過去のやらかし》である… 婚約破棄→王位継承権剥奪→新しい婚約発表と破局→王立学園(共学)に勤めて生徒の保護者である未亡人と致したのがバレて子種の出せない体にされる→美人局に引っかかって破産→加齢魔法で生徒を相手にしている時間帯のみ老人になり、貴族向けの魔法学院(全寮制男子校)に教授として勤める←今ここ を、全て見てきたと豪語する男爵子息。 卒業後も彼は自分が仕える伯爵家子息に付き添っては教授の元を訪れていた。 そんな彼と教授とのとある午後の話。

禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り

結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。 そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。 冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。 愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。 禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

処理中です...