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しつこいのなんとかしてほしい 〜ケンタ〜
01
しおりを挟む……まさか、ワタルから見せてくれた『おまじない』とやらを、興味本位でやってみたのが自分に追いつめられるとは思わなかったな。
「なんだよこれ、誰でも出来る?そんな呪いあるのかよ……」
解き方を知ったときにはさすがに怒り心頭に発したが、落ち着いて考えてみると連れ合いや恋人同士ならすぐ解ける良心的な呪いの方だろう。
誰でも出来ると謳ってるからには僕にも出来るんだろうな……とついつい読み込み、呪文を唱えてしまった。
「…うわっ! なんだこれ!」
目の前にオーブみたいなのが現れ、フワフワと浮いていた。するとなにやら声が聞こえてきた。
『……キミガ、モトメテイルヒト……』
「え?なに?」
『……オモイウカベヨ……』
「えっ?」
混乱しつつ、ふと思い浮かんだのがワタルだった。
『……ショウチ、シタ……』
その声と共にオーブが弾けて消えた。
「えっ、まって、ショウチシタってどういうこと」
キョロキョロするものののオーブらしきのはない。しばらく呆然と座り込んでいたら、また声が聞こえてきた。
『……ヨキ、ヨルヲ……』
呪いがかかったんだ、と直感に思った。それと同時にワタルがまさかというような顔をしながら、僕のとこへやってきた。
「あ……ワタル…。えっと、なんともないか…?」
「なんともないかと言えば、なんともないけど、かかったのは分かった」
「マジかよぉ…!」
どうしよう、本当にかかってしまったんだ。ワタルの顔がだんだんと強気な顔になってくるのが分かる。
「なんで俺にかけてみたの…? こないだのは物足りなかった…?」
「ちがっ…! どんな感じかなって思っただけ…!」
本当にかけるつもりは無かったのだ。まさか出来るとは思わなかったのだから。
「なぁ、解き方は分かってるよな? 俺はケンタが好きだし、キスしたいのも勿論ケンタだからね。分かってる……?」
「俺の性欲スイッチが入る時、ケンタとのタイミングが合うといいね…?」
僕はワタルの言われたことをただただ頷くことしか出来なかった。
覚悟を決めなきゃいけないんだと悟った。
ワタルに告白されてから、何度も好きと言われて抱きしめられて、恥ずかしさのあまりに止めろと抵抗しているけれど、本当は嬉しかったりするのだ。
心がくすぐったくなるし、もう少しだけこの時間を浸っていたい気持ちがあった。
……ワタルが律儀に守っている『ファーストキスは好きな人に』は、守らなくてもいいんだと時々言いたくなる時がある。
唇に指を擦られたときにはゾクゾクするし、その時のワタルっていつも下唇を舐める癖がある。シュッとした唇から舌をのぞかせると、色気がより増して脳まで痺れてしまいそうな気がする。
キスしたら、どんな感じなんだろう。
「そろそろ、正直に、ならなきゃな……」
この日は一睡もできなくて、大変だった。
それから悶々と過ごしていると、そろそろ性欲スイッチが入るであろう日がついにやってきた。でもあの日ワタルもそろそろ入るような気がしたんだっけ。
性欲スイッチ入る前に告白しちゃえばいいのでは!? と一回考えたが、ワタルを見かけるとついつい逃げてたら、いつの間にか当日になってしまったんだよなぁ。
「あぁ~ついにこの日が来ちゃったよぉ~どうしよ~」
両思いなのだから、どう転んでもハッピーでしかないと分かっているのに、その一歩があまりにも怖い。
「……どうしよ~と言いつつ、身は清めてんだから正直になれよもー…」
ずっと自問自答ばかりだった。
ワタルは呪いにかかってからずっと部屋に引きこもっていた。この時はまさか色々試していたのは知らなかったけれど。
「…そうだ! お互い性欲スイッチ入れば自ずと告白出来るのでは…!? 勢いに任せればなんとか…!」
それならなんとか出来そうだ。うん、これは良いかもしれない。
とりあえず気持ち落ち着かせようと、コーヒーを入れるためにリビングに向かったが、ワタルがいたら…と、つい足を止めてしまった。
そーっとリビングの方に覗いてみたら誰もおらず、安堵してコーヒーの準備しようとしたら、ワタルの部屋からドアを開ける音がした。
ビックリし思わず振り向いてみたら、確実に性欲スイッチが入ってるワタルが近づいてきたのだ。
え、性欲スイッチ入ってる状態ってあんなに色気が凄いの。どうしよう、僕まだ性欲スイッチ入ってないんだけど。
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