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第三章「皇女たちの憂鬱」 後編
第3話
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宮が難波に移されたために、飛鳥の里はひっそりと静まり返っていたが、斑鳩の里の人々は、然して変化もない毎日を送っていた。
弟成も、昼間は単調な生活を送っていたのだが、夜は遅くまで起きて、ひとりでこそこそやっていた。
あまりに根詰めているので、母親の黒女は何をやっているのだろうと、寝た隙に彼の枕元を覗いた。
そこには、何箇所か傷の入った木片がひとつ転がっている。
彼女には、それが何を意味するのか全く分からなかった。
全く変なことに興味を持ち出したねと思いながら、彼女も床に就くのだった。
弟成が夜遅くまで何をやっていたかというと、彼は三成の魂を鎮めるために、ひとりで彼に似せた像を作っていた。
彼は、あれ以来、三成の魂と、塔内に置かれた像が気になっていた。
自分も、兄のさ迷える魂を鎮めたいと考えていた。
だが、彼には像を作らせるだけの権力も財力もない。
では、如何するか?
―― 自分で作ればいいではないか!
と言うことで、彼は、山から適当な木材を拾って来て、石刀で三成の姿を彫っていたのである。
しかし、これが思っていた以上に難しかった。
どうも、塔内にあったような、本物の人間に近いような像が彫れない。
彼は、何度も山に入って、材木を拾って来ては、納得のいくまで彫り続けていたのである。
それでも、ようやく彼の納得いくものができ上がったのが、彫り始めてから半年以上過ぎた頃のことであった。
だが、できたは良いが、今度はこれを置く所がない。
長屋に置いておいたら、騒がしくて兄の魂も休まらないだろう。
どこか静かな所はないか?
兄が亡くなった東の屋敷跡は如何だろう?
あそこだと野晒しになるか………………
静かで、雨よけがあるような所 ―― そんな好都合な場所があろうか?
いや、ある!
―― 塔の中だ!
塔には、あまり人が出入りしないようだし、あの像たちと一緒に置いておいたら、見つかることもないだろう。
それに、兄は、あの塔が好きだったのだから………………
彼は、夜塔に忍び込み、彫り上げた像を納めることにした。
弟成も、昼間は単調な生活を送っていたのだが、夜は遅くまで起きて、ひとりでこそこそやっていた。
あまりに根詰めているので、母親の黒女は何をやっているのだろうと、寝た隙に彼の枕元を覗いた。
そこには、何箇所か傷の入った木片がひとつ転がっている。
彼女には、それが何を意味するのか全く分からなかった。
全く変なことに興味を持ち出したねと思いながら、彼女も床に就くのだった。
弟成が夜遅くまで何をやっていたかというと、彼は三成の魂を鎮めるために、ひとりで彼に似せた像を作っていた。
彼は、あれ以来、三成の魂と、塔内に置かれた像が気になっていた。
自分も、兄のさ迷える魂を鎮めたいと考えていた。
だが、彼には像を作らせるだけの権力も財力もない。
では、如何するか?
―― 自分で作ればいいではないか!
と言うことで、彼は、山から適当な木材を拾って来て、石刀で三成の姿を彫っていたのである。
しかし、これが思っていた以上に難しかった。
どうも、塔内にあったような、本物の人間に近いような像が彫れない。
彼は、何度も山に入って、材木を拾って来ては、納得のいくまで彫り続けていたのである。
それでも、ようやく彼の納得いくものができ上がったのが、彫り始めてから半年以上過ぎた頃のことであった。
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塔には、あまり人が出入りしないようだし、あの像たちと一緒に置いておいたら、見つかることもないだろう。
それに、兄は、あの塔が好きだったのだから………………
彼は、夜塔に忍び込み、彫り上げた像を納めることにした。
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