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第四章「白村江は朱に染まる」 前編
第9話
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六六〇年、唐の高宗は新羅の武烈王の再三の要請を受け、百済征伐に乗り出す。
これは、唐の宿敵である高句麗と関係が深い百済を征し、半島の南部を勢力下に置くことによって、高句麗制圧を有利に進めようとするものであった。
六月、神丘道行軍大総管蘇定方は、十三万の唐軍を率いて黄海を渡り、徳物島(徳積島)に上陸、また武烈王も大将軍金庾信に五万の兵を率いて進軍させて、唐軍に呼応させた。
一方、百済の義慈王は、唐・新羅軍の進軍報告に際し、如何に対処すべきかを群臣に問うた。
佐平義直は、
『唐軍は、遥々海を渡って来たために疲れ切っているでしょう。そのため、半島に上陸する前にこれを急襲すれば、勝利することができます。また、新羅も頼みの唐軍が崩れれば、容易に百済には進軍しては来ないでしょう』
と、まず唐軍を攻撃すべしであると主張した。
これに対して達率常永は、
『遠征軍である唐軍は速戦を好み、戦力は鋭鋒でしょう。それよりは、再三に渡って我が軍に破れている新羅軍の方が、攻撃しやすいでしょう』
と、唐軍の進路を封鎖し、まず新羅を叩いてから、その後の情勢を見て唐軍と戦うべしと主張した。
しかし、義慈王は何れの案を取るか決められず、なぜか流配の憂き目にあっていた佐平興首に意見を求める。
この時の興首の答えは、
『唐軍は、数も多く、軍律も行き届いております。新羅軍と合流して、平野で対陣すればおそらくは負けるでしょう。しかし、白江(伎伐浦)と炭峴は我が国の険所。ここを精鋭に守らせ、王城の門を固く閉ざせば、唐・新羅軍は疲弊し、それを討ち取るのは容易でしょう』
と言うものであった。
これに対して大臣たちは、興首は流配になったのを怨んでいるので信用すべきではないとして、
『白江に唐軍を、炭峴に新羅軍を入れて、敵の進退を封じ込めましょう』
と、逆の意見を出した。
結局、義慈王は大臣たちの意見を採用するのだが、この小田原評定の間に、唐・新羅軍は易々と白江・炭峴を通過して、百済領内に入って来たのである。
これは、唐の宿敵である高句麗と関係が深い百済を征し、半島の南部を勢力下に置くことによって、高句麗制圧を有利に進めようとするものであった。
六月、神丘道行軍大総管蘇定方は、十三万の唐軍を率いて黄海を渡り、徳物島(徳積島)に上陸、また武烈王も大将軍金庾信に五万の兵を率いて進軍させて、唐軍に呼応させた。
一方、百済の義慈王は、唐・新羅軍の進軍報告に際し、如何に対処すべきかを群臣に問うた。
佐平義直は、
『唐軍は、遥々海を渡って来たために疲れ切っているでしょう。そのため、半島に上陸する前にこれを急襲すれば、勝利することができます。また、新羅も頼みの唐軍が崩れれば、容易に百済には進軍しては来ないでしょう』
と、まず唐軍を攻撃すべしであると主張した。
これに対して達率常永は、
『遠征軍である唐軍は速戦を好み、戦力は鋭鋒でしょう。それよりは、再三に渡って我が軍に破れている新羅軍の方が、攻撃しやすいでしょう』
と、唐軍の進路を封鎖し、まず新羅を叩いてから、その後の情勢を見て唐軍と戦うべしと主張した。
しかし、義慈王は何れの案を取るか決められず、なぜか流配の憂き目にあっていた佐平興首に意見を求める。
この時の興首の答えは、
『唐軍は、数も多く、軍律も行き届いております。新羅軍と合流して、平野で対陣すればおそらくは負けるでしょう。しかし、白江(伎伐浦)と炭峴は我が国の険所。ここを精鋭に守らせ、王城の門を固く閉ざせば、唐・新羅軍は疲弊し、それを討ち取るのは容易でしょう』
と言うものであった。
これに対して大臣たちは、興首は流配になったのを怨んでいるので信用すべきではないとして、
『白江に唐軍を、炭峴に新羅軍を入れて、敵の進退を封じ込めましょう』
と、逆の意見を出した。
結局、義慈王は大臣たちの意見を採用するのだが、この小田原評定の間に、唐・新羅軍は易々と白江・炭峴を通過して、百済領内に入って来たのである。
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