222 / 378
第四章「白村江は朱に染まる」 中編
第3話
しおりを挟む
『日本書紀』では「白村」「白村江」、『旧唐書』では「白江」「熊津江口」、『三国史記』では「白江」または「伎伐浦」と記載されている。
現在の韓国忠清南道と全羅北道の境界にある錦江河口が、これにあたると云われている。
錦江は、全長約四百一キロメートルで、洛東江・漢江とともに、韓国の三大河川の一つに数えられている。
鬼室福信が立て籠もっていた周留城は、現在の錦江の右岸、韓山と考えられている。
この周留城からは、旧百済の王都があった泗沘城(中清南道扶餘郡扶餘)を北東に臨むことができ、錦江を遡れば、この城まで辿り着くことができた。
また、さらに上流に遡れば、唐軍の熊津都督府が置かれる熊津城(中清南道公州郡)に到達することができ、軍事的に需要な拠点であった。
因みに、泗沘城のあった扶餘付近では、錦江のことを白馬江と呼んでいる。
また、ここには落花台という断崖絶壁の岩山がある。
これは、六六〇年の百済滅亡時に、後宮の官女たちが唐・新羅軍の兵士に辱めを受けるよりはと身を躍らせた場所で、その数は三千人にも及んだと伝えられている。
その時、岩山から川に身を翻す女たちの姿が、まるで色取り取りの花が落ちてゆくように見えたので、落花台と名付けられたらしい。
豊璋王子が百済王となって半年、周留城は天然の要害に守られて、敵の攻撃を受けることなく過ごしていた。
当時、唐軍は北方の高句麗と睨み合い状態であったので、百済の平定は主に新羅軍が受け持っており、太主武烈王の跡を継いだ文武王の指揮により、百済の残兵が立て籠もる山城をひとつづつ陥落させていたが、新羅軍も百済の残兵には手を焼いており、おまけに倭国の援軍が到着したということで、周留城には迂闊に手が出せない状態であった。
守りは固い、しかも敵の城には迅速に侵入できる ―― 周留城は、百済にとって非常に有利な場所であったのだが、なぜか豊璋王はここを捨てて、南の避城へ退こうとしたのである。
それは、中大兄の称制元(六六二)年十二月一日のことである。
現在の韓国忠清南道と全羅北道の境界にある錦江河口が、これにあたると云われている。
錦江は、全長約四百一キロメートルで、洛東江・漢江とともに、韓国の三大河川の一つに数えられている。
鬼室福信が立て籠もっていた周留城は、現在の錦江の右岸、韓山と考えられている。
この周留城からは、旧百済の王都があった泗沘城(中清南道扶餘郡扶餘)を北東に臨むことができ、錦江を遡れば、この城まで辿り着くことができた。
また、さらに上流に遡れば、唐軍の熊津都督府が置かれる熊津城(中清南道公州郡)に到達することができ、軍事的に需要な拠点であった。
因みに、泗沘城のあった扶餘付近では、錦江のことを白馬江と呼んでいる。
また、ここには落花台という断崖絶壁の岩山がある。
これは、六六〇年の百済滅亡時に、後宮の官女たちが唐・新羅軍の兵士に辱めを受けるよりはと身を躍らせた場所で、その数は三千人にも及んだと伝えられている。
その時、岩山から川に身を翻す女たちの姿が、まるで色取り取りの花が落ちてゆくように見えたので、落花台と名付けられたらしい。
豊璋王子が百済王となって半年、周留城は天然の要害に守られて、敵の攻撃を受けることなく過ごしていた。
当時、唐軍は北方の高句麗と睨み合い状態であったので、百済の平定は主に新羅軍が受け持っており、太主武烈王の跡を継いだ文武王の指揮により、百済の残兵が立て籠もる山城をひとつづつ陥落させていたが、新羅軍も百済の残兵には手を焼いており、おまけに倭国の援軍が到着したということで、周留城には迂闊に手が出せない状態であった。
守りは固い、しかも敵の城には迅速に侵入できる ―― 周留城は、百済にとって非常に有利な場所であったのだが、なぜか豊璋王はここを捨てて、南の避城へ退こうとしたのである。
それは、中大兄の称制元(六六二)年十二月一日のことである。
0
あなたにおすすめの小説
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
桃と料理人 - 希望が丘駅前商店街 -
鏡野ゆう
ライト文芸
国会議員の重光幸太郎先生の地元にある希望が駅前商店街、通称【ゆうYOU ミラーじゅ希望ヶ丘】。
居酒屋とうてつの千堂嗣治が出会ったのは可愛い顔をしているくせに仕事中毒で女子力皆無の科捜研勤務の西脇桃香だった。
饕餮さんのところの【希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』】に出てくる嗣治さんとのお話です。饕餮さんには許可を頂いています。
【本編完結】【番外小話】【小ネタ】
このお話は下記のお話とコラボさせていただいています(^^♪
・『希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々 』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/274274583/188152339
・『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
・『希望が丘駅前商店街~黒猫のスキャット~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/813152283
・『日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃいませ)』https://www.alphapolis.co.jp/novel/177101198/505152232
・『希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~』
https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
・『Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/582141697/878154104
・『希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
※小説家になろうでも公開中※
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/7:『どろのあしあと』の章を追加。2025/12/14の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/6:『とんねるあんこう』の章を追加。2025/12/13の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/5:『ひとのえ』の章を追加。2025/12/12の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/4:『こうしゅうといれ』の章を追加。2025/12/11の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/3:『かがみのむこう』の章を追加。2025/12/10の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/2:『へびくび』の章を追加。2025/12/9の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/1:『はえ』の章を追加。2025/12/8の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
ループ25 ~ 何度も繰り返す25歳、その理由を知る時、主人公は…… ~
藤堂慎人
ライト文芸
主人公新藤肇は何度目かの25歳の誕生日を迎えた。毎回少しだけ違う世界で目覚めるが、今回は前の世界で意中の人だった美由紀と新婚1年目の朝に目覚めた。
戸惑う肇だったが、この世界での情報を集め、徐々に慣れていく。
お互いの両親の問題は前の世界でもあったが、今回は良い方向で解決した。
仕事も順調で、苦労は感じつつも充実した日々を送っている。
しかし、これまでの流れではその暮らしも1年で終わってしまう。今までで最も良い世界だからこそ、次の世界にループすることを恐れている。
そんな時、肇は重大な出来事に遭遇する。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
Zinnia‘s Miracle 〜25年目の奇跡
弘生
現代文学
なんだか優しいお話が書きたくなって、連載始めました。
保護猫「ジン」が、時間と空間を超えて見守り語り続けた「柊家」の人々。
「ジン」が天に昇ってから何度も季節は巡り、やがて25年目に奇跡が起こる。けれど、これは奇跡というよりも、「ジン」へのご褒美かもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる