聖女の力を奪ったと婚約破棄されましたが、奪われたのは私のほうです。

西楓

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父と母とマリアンナ

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「旦那様、こちらがナリーヤ伯爵家のマリアンナですわ。私もレティシアも仲良くさせていただいてますの」
母が愛おしそうにマリアンナの背中を優しく押す。

「プルースト公爵、ナリーヤ伯爵家のマリアンナと申します。
レティシア様のメイドを応募されていると伺いましておばさま…奥様にお願いして旦那様へお願いに伺いました」
マリアンナは膝を曲げ礼をすると、明るいブルーの瞳を潤ませて訴える。

「グレース、其方の金色の髪とブルーの瞳はマリアンナ嬢の色はとてもよく似ているな。
ナリーヤ伯爵夫人といえば聖女の…たしか其方の再従姉妹であったな。
伯爵は分家筋なので面識はあるが…マリアンナ嬢が其方に似ているということは、ナリーヤ伯爵夫人も其方と似ておるのか?」
「旦那様、私とナリーヤ伯爵夫人も色合いは同じですが、私とマリアンナの方がより似ておりますの。
こうやって並ぶとまるで母子のようでしょう」
「ほうっ、確かに」
父は母とマリアンナを見て嬉しそうに感嘆すると、自分に似た黒髪で紫の瞳の私を一瞥する。

(父は自分のきつい容姿にコンプレックスをもっていたから、愛らしい母に惹かれたのよね。
母に似て可愛らしい妖精のようなマリアンナを気に入らないはずがないわ)

「グレースも気に入っておるようだし、希望するならレティシアのメイドとなってもらおうか。
だが、グレースがそんなに気に入っておるならグレースのメイドという方法もあるが…」

「ブルースト伯爵ありがとうございます。おばさま…奥様のお側にもいたいのですが…
私は尊敬する奥様の大切なお嬢様をどうしてもお支えしたいのです」

ちょこんと父と母へお辞儀をする愛らしい仕草に父は頬を緩ませる。

「そうか。それでは希望通りレティシアのメイドとしよう。
マリアンナはグレースのように容姿だけでなく性格もかわいらしいな。
ところで…グレースはマリアンナにおばさまと呼ばせておるのか?
グレースがおばさまなら、私のことはおじさまと呼んでおくれ。
メイドといっても同年代なんだから、娘のこともレティシアと呼んで友達のように接してやってほしい」

「ブルースト伯爵…そんな恐れ多い。でも…よろしいのですか?
嬉しいです。おじさまのことも優しくてお父様みたいに思っておりました。
こんな優しいおじさまやおばさまのいる屋敷で仕えることができるなんてとても幸せです」

「かわいいレティシア。メイドというよりも話相手のつもりでいらっしゃい。
なにか辛いことがあったらいつでも私に言うのですよ」

「いやいや、嫌なことがあったらすぐに私に言いなさい」

「おじさま、おばさまありがとうございます」

マリアンナは目をうるうるとさせて父と母の手を握りしめている。

まるでこの3人が家族で自分がメイドであるかのような疎外感を感じた。

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