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波乱の幕開け

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久々の登校日は波乱の幕開けだった。

教室へ行くと僕の席はなかった。
扉前で戸惑う僕のもとへ、メテオが駆け寄ってきた。
メテオは隣席の子爵子息でよく見舞いにきてくれた。目が合うと赤面する照れ屋さん。

「おはよう、メテオ様。席替え?」
「おはよう、ユラン様。??お荷物を取りに来られたんですか?」
話が噛み合わない。

「ん?荷物?僕の荷物がどうかしたの?」
「ユラン様、転科されたんですよね?教室向かわれるなら荷物は僕がお持ちします」

「…てんか?教室?何のこと?」
僕は昨日付で騎士科に転科となっているらしい。騒動で居辛くなった伯爵家が転科を申し出て受理されたとのことだった。

(僕聞いてないんだけど…どうしてなんだろう?
父上が僕のことを心配して申し出たの?
でも、それなら僕に言ってくれそうなものだけど…)

俯く僕を心配そうに見守るメテオの向こうで、ニヤニヤとこっちをイザベラが見ながら、取り巻きとヒソヒソ話している。

(関わりあっちゃダメだ!ここからすぐに離れよう)

メテオの手を取り教室を足早に後にした。
後ろで微かに、「あんたが脱線するから王子もいなくなったのよ。今度はストーリー通り動いてね」と叫ぶ声が聞こえた。



「ユラン様、もしかして転科のことご存知なかったのですか?顔色が…」
耳元で小声でメテオが言う。

「う…うん。行き違いがあったのかな?(確認しなきゃ)…それよりもイザベラ嬢の様子…」

「そうなんです。前から言動におかしなところがあったのですが、ユラン様が静養されてからは益々妙な発言を繰り返すようになって…ユラン様のお怪我のことも自分は被害者なんだと言い張っていて…
イザベラ嬢と話した奴らもイザベラ嬢の言うことを聞くようになっていって、どこか異様です」
唇を噛み締め悔しそうに俯くメテオの頬に手を当てる。

「ごめんね。僕のせいで辛い思いさせて」

「いいえ、ユラン様の所為ではありません。アイツらは何処か異様です。ユラン様にとってこうやって距離を置けることはよいことなのかもしれません。
慣れぬ騎士科はお辛いかもしれませんがくれぐれも無理をなさらないでください。
あまり会えなくなりますが、アイツらが変なことをしないように見張っておきますので」

首を横に振りながら話すメテオの目は少し潤んでいる。

「ありがとう、メテオ様と同じクラスでよかった。でも、メテオ様も無理して僕の味方をしないで。メテオ様にも迷惑がかかってしまうよ」
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