転生した俺が触手に襲われるなんてありえない

西楓

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中央学園と専門学園

「ところでリチャードは中央学園には通っていないのはどうしてだい?優秀な人材の損失だと兄上が嘆いていたよ」
レオポルドの2番目の兄上は学園の理事をしており、一度リチャードのもとにも学園へ通うよう声をかけてきていた。

「そうですね。私は男爵家の三男ですので、将来的には領地で農業に従事しようと考えておりますので、学園での知識はそこまで必要ではありません。
それに男爵といえどもうちは貧乏男爵なので、三男である私にまで授業料を負担する余裕がございません。現在は授業料の比較的安い、隣の専門学園に通っております」

我が家の財政事情を伝えるのは恥ずかしいことだが、王家や宰相などは既にご存知であろう。
専門学園で農業を学び、卒業後は領地に戻り領地の女性と婚姻するのだろう。

「専門学園では農業は学べるが、魔法学は学べないから貴族として生活していくには不便だろう。
僕は学園で魔法の技術を習得できて満足しているよ」

「そうですね。農業に魔法を掛け合わしたらどのような化学変化が起きるのかとても興味はありますが、元々平民とそんなに変わらない貧乏男爵ですので、貴族であることにこだわりはありません」
御令嬢と結婚しなければどうせ平民になるしな。
貴族でなくてもいいって言っちゃったけどこれって不敬?

「もし、君が中央学園に通わないなら、僕が個人的に魔法を教えてあげようか?」
なぜだか、マキシミリアンが俺に息がかかるほど近くに顔を寄せて言う。
彼とと同じく研究者体質なところが気に入られたんだろうか。
それとも農業と魔法の融合に関心をもったのだろうか

「いや、リチャードに少しでも魔法学を学ぶ意思があるのなら尊重すべきだ。私の方からも推薦し、特別編入試験を受けられるように手配しよう」

特別編入試験とはいわゆる特待生となるための試験のことだ。
魔法と農業の融合をしたらどんな変化があるのか確かに関心はある。けれど、魔法自体には重きは置いてないし、どうしても中央で学びたいという意思もない。

ただの背景の俺が選択肢を変える事で、ゲームに及ぼす効果があるかもしれない。
ストーリーを変え、生死に関わる事件でも起きてはいけないし、このまま断る方が無難だろう。

ギルバートの提案に首を横に振ろうとしたときに、3人のキラキラとした期待を込めた瞳が目に入り、勢いに呑まれ頷くより仕方がなかった。

恐るべき攻略対象パワーだな。
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