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公爵視点
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(公爵視点)
艶々とした黒髪に、陶器のような白い肌、理知的なグリーンの瞳をしたその少年は、とても端正な顔立ちで中性的な色気を放っていた。
跡取りとなるこの大人しく従順な少年に対して、特に何の感情も抱かなかった。
優秀で問題さえ起こさなければどうでもよかった。
その意味ではサミュエルは最適な人選だった。
これまで誰にも興味を抱いたことはなく、今は亡き妻や娘に対しても特別な感情は持てなかった。
アマーリエの子育ては使用人に丸投げし、請われるままに物でも何でも与えていた。
ある時、アマーリエのサロンからサミュエルが駆け出すところを目撃した。
(必死の形相をしているが、あの子でもこんなに焦ることがあるんだな)
一体何があったのか…
アマーリエが何かサミュエルに悪戯でもしたのだろうか…
アマーリエとサミュエルは上手くいっていないのだろうか
それまで全く気にかけたこともなかったのに、ふと抱いた疑問を確認するため、サミュエルを呼び出した。
「旦那様、アマーリエお嬢様には良くしていただいており何も問題はございません」
口元に笑みを浮かべ完璧に取り繕う。
サミュエルの笑みには私への拒絶があった。
感情を表に表さない彼にどこか自分を重ねていたらしい。彼の拒絶は私の心に小さな棘となった。
隔たりを淋しく思うとともに、拒絶というマイナスの感情でさえも感じる事が出来て嬉しくなった。
ジッと私を見つめる彼を愛おしく感じ、思わず笑みが溢れた。気がつけば彼の頬を撫でていた。
公爵家に養子となったことは彼にとって負担だったのだろうか。
家庭教師は彼を優秀だと褒め称えていたが、無理をしていたのだろうか。
同い年の義姉というのはプレッシャーだったのだろうか。
今までアマーリエに抱いたことのない感情をサミュエルに感じた。
その時からいつのまにか彼を目で追うようになった。
アマーリエとサミュエルの様子を観察していたが、親密ではないが不仲というほどでもなく見えた。
後から思えば、アマーリエによって上手く取り繕った表面しか見ていなかった。彼が平然と虐めに耐えて完璧に装っていたために、そこにある陰湿な嫌がらせに気がつく事ができなかった。
私と目が合うと紅潮して俯く彼は愛らしかった。
でも時々全てを諦めたような、落胆したような表情を見せることがあった。
(その苦しみを全部拭い去ってあげられたら良いのだが…)
公務が早く終わり屋敷に戻った私は、その足でアマーリエのサロンに向かった。
いつもはサロンになど足を向けない。サミュエルの姿が見えないことが気になり、ひょっとしたらと思いサロンへ向かうことにしたのだ。
虫の知らせだったのかもしれない。
部屋に近づくとバタバタと暴れる音とサミュエルの叫び声が響いてきた。
荒々しくドアを開けると、顔を紅潮させ艶かしい表情をしたサミュエルに従者が乗っかっている光景が飛び込んできた。
「サミュエルっ‼︎」
頭が真っ白になり思わずサミュエルに駆け寄り抱き上げる。
執事にサロンの後始末とアマーリエを反省室へと連れて行くように指示した。
艶々とした黒髪に、陶器のような白い肌、理知的なグリーンの瞳をしたその少年は、とても端正な顔立ちで中性的な色気を放っていた。
跡取りとなるこの大人しく従順な少年に対して、特に何の感情も抱かなかった。
優秀で問題さえ起こさなければどうでもよかった。
その意味ではサミュエルは最適な人選だった。
これまで誰にも興味を抱いたことはなく、今は亡き妻や娘に対しても特別な感情は持てなかった。
アマーリエの子育ては使用人に丸投げし、請われるままに物でも何でも与えていた。
ある時、アマーリエのサロンからサミュエルが駆け出すところを目撃した。
(必死の形相をしているが、あの子でもこんなに焦ることがあるんだな)
一体何があったのか…
アマーリエが何かサミュエルに悪戯でもしたのだろうか…
アマーリエとサミュエルは上手くいっていないのだろうか
それまで全く気にかけたこともなかったのに、ふと抱いた疑問を確認するため、サミュエルを呼び出した。
「旦那様、アマーリエお嬢様には良くしていただいており何も問題はございません」
口元に笑みを浮かべ完璧に取り繕う。
サミュエルの笑みには私への拒絶があった。
感情を表に表さない彼にどこか自分を重ねていたらしい。彼の拒絶は私の心に小さな棘となった。
隔たりを淋しく思うとともに、拒絶というマイナスの感情でさえも感じる事が出来て嬉しくなった。
ジッと私を見つめる彼を愛おしく感じ、思わず笑みが溢れた。気がつけば彼の頬を撫でていた。
公爵家に養子となったことは彼にとって負担だったのだろうか。
家庭教師は彼を優秀だと褒め称えていたが、無理をしていたのだろうか。
同い年の義姉というのはプレッシャーだったのだろうか。
今までアマーリエに抱いたことのない感情をサミュエルに感じた。
その時からいつのまにか彼を目で追うようになった。
アマーリエとサミュエルの様子を観察していたが、親密ではないが不仲というほどでもなく見えた。
後から思えば、アマーリエによって上手く取り繕った表面しか見ていなかった。彼が平然と虐めに耐えて完璧に装っていたために、そこにある陰湿な嫌がらせに気がつく事ができなかった。
私と目が合うと紅潮して俯く彼は愛らしかった。
でも時々全てを諦めたような、落胆したような表情を見せることがあった。
(その苦しみを全部拭い去ってあげられたら良いのだが…)
公務が早く終わり屋敷に戻った私は、その足でアマーリエのサロンに向かった。
いつもはサロンになど足を向けない。サミュエルの姿が見えないことが気になり、ひょっとしたらと思いサロンへ向かうことにしたのだ。
虫の知らせだったのかもしれない。
部屋に近づくとバタバタと暴れる音とサミュエルの叫び声が響いてきた。
荒々しくドアを開けると、顔を紅潮させ艶かしい表情をしたサミュエルに従者が乗っかっている光景が飛び込んできた。
「サミュエルっ‼︎」
頭が真っ白になり思わずサミュエルに駆け寄り抱き上げる。
執事にサロンの後始末とアマーリエを反省室へと連れて行くように指示した。
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