18 / 40
17.街の散策
しおりを挟む
ノルックが満足したのか、キスの嵐から解放されると見た目が元に戻っていた。
見慣れた黒髪に見慣れたワンピース姿で、思わず自分を抱きしめてしまう。
「なんか、思ってたより用事早く済んじゃったね。」
済んだというか、強制終了みたいな帰り方だった。絶対ノルックにはもっと話あったはず。行かなきゃいけない用事があれだけの筈がない。私の話なんて枕詞みたいなものだし。
「王都を歩いてみたいんだけど、行ってきていいかな?」
運び込まれていたトランクから、袋に入った全財産を取り出す。地図と本は絶対買いたい。あと森で作れないお菓子とかも買いたいな。優先順位は低いけど。
「いいよ。行こう。」
ノルックが私に手を翳すと、キラキラと辺りが瞬く。手を伸ばすと見たことのないローブに包まれていた。ノルックが着ているものより装飾や飾りが少なくて地味だけど、触り心地がいい。
「街の中ではこの服を脱がないように。着てる間は見た目を変える魔法をかけた。」
鏡を見たけど見た目は特に変わっているように見えなかった。本当にかかってるのか疑問だけど、かけても私を知ってる人なんて誰もいないのだからどっちでも同じだ。
私を特定しにくくなるように配慮してくれているんだろうけど、どうせすぐに森へ引き篭もるつもりだからいらないのに。
満足そうに見てるから、特につっこまないでおいた。
再びの転移で街に移動する。
転移は便利だけど、道を覚えられないから迷子になった時が不安だ。
ノルックから離れないように、ローブの余ってる袖の部分をそっと掴んだ。
「どこに行きたいの?」
「あー、とりあえず街に何があるかわからないから、ぶらぶら歩いてみたいな。帰りに買い物したい。」
あちこち歩きながら、ノルックに案内してもらう。大魔術師サマをただの街ブラに付き合わせていいのかはわからないけど、看板が無かったり中が見えないお店も多くてノルックがいなかったら来ても立ち尽くしていたかもしれない。
街は人で賑わっていて、待ち合わせ場所のような大きい噴水が真ん中にあった。
意外にも、食べ物の出店がなかった。ノルックに聞くと、ここでは材料のみが売っていて、その場で魔法で調理して食べるのが主流だそう。
魔法が使えない人は素材を齧れということらしい。魔法が使えない人への差別はかなりありそうだ。途端に森が恋しくなる。
歩き回ってお腹が空いたので、ノルックに軽食を作ってもらうことになった。
お金を使ってみたかったからノルックに教えてもらって材料を買うことに挑戦する。
緊張しながらお金を払ってみたけど、無事に品物をゲットすることができた。
主食となるパンの市場価格がわかったのは大きい。
振り向くとノルックは離れた位置から見守ってくれている。初めての買い物が成功した興奮のままノルックのところに戻ると、ハグで迎えてくれた。
ベンチに座ってノルックが調理してくれたホットドッグ風のサンドイッチを頬張りながら、気になっていたことを聞いてみた。
「そういえば、ノルックってなんの仕事してるの?」
陛下とかいうあの偉そうなおじさんが、ノルックのこと『珠玉』とか言ってたし、大魔術師と言われてるくらいだからきっと普段は何かすごいことをしてるんだろう。
ソースを溢してベタベタになった手を振っていたら、一回り大きな手がそっと包んできた。
「仕事はしていないよ。魔力を上げて寝るだけ。」
魔力を?!上げて寝るだけ?!
それって、監禁実験されてた話今もまだ続いてるってこと?!
ノルックが手を離すと、ソースで汚れたはずの手は、洗いたてのようにキレイになっていた。
「あ、ありがとうだけど…それより、どういうこと?ノルックの魔力を上げて、何をしようとしてるの?」
ノルックの眉尻が少しだけ下がり、少し長くなるけどと言って淡々と話し始めた。
「僕は、元々ギルスという村で産まれた。親は知らないけど、ギルス族は昔から魔力が高くて王家と繋がりがある。
ギルス族が王家に重宝される理由は、王国を覆う結界維持のためだ。
100年毎に結界の魔力補充が必要になる。
時期が来ると、その時一族で最も魔力の強い者がその体ごと結界の守護者として取り込まれる慣わしになっている。
その日に向けて、基準以上の魔力が貯められるように、魔力を上げる。
魔力は寝れば回復するからひたすら魔力を使って食べて寝るだけ。
それで、次の結界の守護者に選ばれたのは僕だ。
陛下の呼び出しは、恐らく僕を他国に見せびらかしたかっただけだからあれでいい。どうせ政治の切り札にするために利用しようとしたんだろ。」
え?ノルック、何言ってるの?
「…ミノルのところに早く帰りたかったから、時間かかったけどたくさんがんばったんだよ?
ミノルが待っていてくれたって知って、すごくうれしかった…」
うっとりするような眼で今度はぎゅっと手を握ってきたけど、とても、握り返せなかった。
「それは、もちろんノルックとまた会いたいって思ってたけど…
そんな、それって、ノルが犠牲になってみんなが生きるってこと?」
「うん。ミノリに会うまでは他のやつのために犠牲になんてなりたくないって思ってたけど、ミノリと会って、ミノリと過ごして、ミノルリに生きてほしいなって思ったから、命を捧げることに抵抗がなくなった。」
はにかむように笑っているけど、目の前が真っ暗になってとても見れなかった。
そんなの、その日が来たらノルックがいなくなるってことじゃない。
私は、またひとりになるの?
命なんて掛けられたって、全然嬉しくないよ。
「なにそれ。なんで。なんでなの。
どうしてみんないなくなるの?
あの日、私がノルックを拾わなければ良かった?私がノルックを拾ったから、ノルックはいなくなっちゃうの?!」
「ミノリ、どうしたの。」
掴まれた手を振り払って、ノルックから距離をとる。
「どこにも行かないって、離れないって、やっぱり嘘だったんじゃん。嘘つき…。」
目の奥がジリジリと熱い。気がつけば頬が濡れていた。
「ミノリ…」
「…1人にして。今日は帰らないから。宿に泊まるし、迎えもいらない。」
走り去ろうとしたけど、腕を掴まれて逃げられなかった。
「ダメだ。宿屋なんて危険だ。1人になっていいから、家にいてほしい。」
言い返そうと口を開くと、今日何度か見た白い壁と木の床に景色が変わっていた。
「ちょっと、ノルック…!」
「食事は運ぶように言うから、ここに居て。
僕から離れないで。」
逃さないように、強く抱きしめられた。
顔も見たくないと思ったけど、ノルックの悲痛な声を聞くと突っぱねられない。
「わかった。」
考え事をするのに、場所はどこでもいい。
大人しく頷くと、ノルックがそっと腕の力を弱め、そのまま消えた。
今日は朝からバタバタして、ソニアさんとダイアさんに挨拶をしていなかった。
トランクから置物とブレスレットを取り出してから、ノロノロと部屋にある3人掛けのソファに移動してだらしなく寝転がる。
ノルックが犠牲にならなくていい方法はないのか。少しでもいい知恵をお裾分けして欲しくてソニアさんとダイアさんを撫でながら話しかけていたけど
考えもまとまらないうちに、気がつけばそのまま眠ってしまっていた。
見慣れた黒髪に見慣れたワンピース姿で、思わず自分を抱きしめてしまう。
「なんか、思ってたより用事早く済んじゃったね。」
済んだというか、強制終了みたいな帰り方だった。絶対ノルックにはもっと話あったはず。行かなきゃいけない用事があれだけの筈がない。私の話なんて枕詞みたいなものだし。
「王都を歩いてみたいんだけど、行ってきていいかな?」
運び込まれていたトランクから、袋に入った全財産を取り出す。地図と本は絶対買いたい。あと森で作れないお菓子とかも買いたいな。優先順位は低いけど。
「いいよ。行こう。」
ノルックが私に手を翳すと、キラキラと辺りが瞬く。手を伸ばすと見たことのないローブに包まれていた。ノルックが着ているものより装飾や飾りが少なくて地味だけど、触り心地がいい。
「街の中ではこの服を脱がないように。着てる間は見た目を変える魔法をかけた。」
鏡を見たけど見た目は特に変わっているように見えなかった。本当にかかってるのか疑問だけど、かけても私を知ってる人なんて誰もいないのだからどっちでも同じだ。
私を特定しにくくなるように配慮してくれているんだろうけど、どうせすぐに森へ引き篭もるつもりだからいらないのに。
満足そうに見てるから、特につっこまないでおいた。
再びの転移で街に移動する。
転移は便利だけど、道を覚えられないから迷子になった時が不安だ。
ノルックから離れないように、ローブの余ってる袖の部分をそっと掴んだ。
「どこに行きたいの?」
「あー、とりあえず街に何があるかわからないから、ぶらぶら歩いてみたいな。帰りに買い物したい。」
あちこち歩きながら、ノルックに案内してもらう。大魔術師サマをただの街ブラに付き合わせていいのかはわからないけど、看板が無かったり中が見えないお店も多くてノルックがいなかったら来ても立ち尽くしていたかもしれない。
街は人で賑わっていて、待ち合わせ場所のような大きい噴水が真ん中にあった。
意外にも、食べ物の出店がなかった。ノルックに聞くと、ここでは材料のみが売っていて、その場で魔法で調理して食べるのが主流だそう。
魔法が使えない人は素材を齧れということらしい。魔法が使えない人への差別はかなりありそうだ。途端に森が恋しくなる。
歩き回ってお腹が空いたので、ノルックに軽食を作ってもらうことになった。
お金を使ってみたかったからノルックに教えてもらって材料を買うことに挑戦する。
緊張しながらお金を払ってみたけど、無事に品物をゲットすることができた。
主食となるパンの市場価格がわかったのは大きい。
振り向くとノルックは離れた位置から見守ってくれている。初めての買い物が成功した興奮のままノルックのところに戻ると、ハグで迎えてくれた。
ベンチに座ってノルックが調理してくれたホットドッグ風のサンドイッチを頬張りながら、気になっていたことを聞いてみた。
「そういえば、ノルックってなんの仕事してるの?」
陛下とかいうあの偉そうなおじさんが、ノルックのこと『珠玉』とか言ってたし、大魔術師と言われてるくらいだからきっと普段は何かすごいことをしてるんだろう。
ソースを溢してベタベタになった手を振っていたら、一回り大きな手がそっと包んできた。
「仕事はしていないよ。魔力を上げて寝るだけ。」
魔力を?!上げて寝るだけ?!
それって、監禁実験されてた話今もまだ続いてるってこと?!
ノルックが手を離すと、ソースで汚れたはずの手は、洗いたてのようにキレイになっていた。
「あ、ありがとうだけど…それより、どういうこと?ノルックの魔力を上げて、何をしようとしてるの?」
ノルックの眉尻が少しだけ下がり、少し長くなるけどと言って淡々と話し始めた。
「僕は、元々ギルスという村で産まれた。親は知らないけど、ギルス族は昔から魔力が高くて王家と繋がりがある。
ギルス族が王家に重宝される理由は、王国を覆う結界維持のためだ。
100年毎に結界の魔力補充が必要になる。
時期が来ると、その時一族で最も魔力の強い者がその体ごと結界の守護者として取り込まれる慣わしになっている。
その日に向けて、基準以上の魔力が貯められるように、魔力を上げる。
魔力は寝れば回復するからひたすら魔力を使って食べて寝るだけ。
それで、次の結界の守護者に選ばれたのは僕だ。
陛下の呼び出しは、恐らく僕を他国に見せびらかしたかっただけだからあれでいい。どうせ政治の切り札にするために利用しようとしたんだろ。」
え?ノルック、何言ってるの?
「…ミノルのところに早く帰りたかったから、時間かかったけどたくさんがんばったんだよ?
ミノルが待っていてくれたって知って、すごくうれしかった…」
うっとりするような眼で今度はぎゅっと手を握ってきたけど、とても、握り返せなかった。
「それは、もちろんノルックとまた会いたいって思ってたけど…
そんな、それって、ノルが犠牲になってみんなが生きるってこと?」
「うん。ミノリに会うまでは他のやつのために犠牲になんてなりたくないって思ってたけど、ミノリと会って、ミノリと過ごして、ミノルリに生きてほしいなって思ったから、命を捧げることに抵抗がなくなった。」
はにかむように笑っているけど、目の前が真っ暗になってとても見れなかった。
そんなの、その日が来たらノルックがいなくなるってことじゃない。
私は、またひとりになるの?
命なんて掛けられたって、全然嬉しくないよ。
「なにそれ。なんで。なんでなの。
どうしてみんないなくなるの?
あの日、私がノルックを拾わなければ良かった?私がノルックを拾ったから、ノルックはいなくなっちゃうの?!」
「ミノリ、どうしたの。」
掴まれた手を振り払って、ノルックから距離をとる。
「どこにも行かないって、離れないって、やっぱり嘘だったんじゃん。嘘つき…。」
目の奥がジリジリと熱い。気がつけば頬が濡れていた。
「ミノリ…」
「…1人にして。今日は帰らないから。宿に泊まるし、迎えもいらない。」
走り去ろうとしたけど、腕を掴まれて逃げられなかった。
「ダメだ。宿屋なんて危険だ。1人になっていいから、家にいてほしい。」
言い返そうと口を開くと、今日何度か見た白い壁と木の床に景色が変わっていた。
「ちょっと、ノルック…!」
「食事は運ぶように言うから、ここに居て。
僕から離れないで。」
逃さないように、強く抱きしめられた。
顔も見たくないと思ったけど、ノルックの悲痛な声を聞くと突っぱねられない。
「わかった。」
考え事をするのに、場所はどこでもいい。
大人しく頷くと、ノルックがそっと腕の力を弱め、そのまま消えた。
今日は朝からバタバタして、ソニアさんとダイアさんに挨拶をしていなかった。
トランクから置物とブレスレットを取り出してから、ノロノロと部屋にある3人掛けのソファに移動してだらしなく寝転がる。
ノルックが犠牲にならなくていい方法はないのか。少しでもいい知恵をお裾分けして欲しくてソニアさんとダイアさんを撫でながら話しかけていたけど
考えもまとまらないうちに、気がつけばそのまま眠ってしまっていた。
19
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?
きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!
皇子(みこ)
恋愛
辺境の地でのんびり?過ごして居たのに、王都の舞踏会に参加なんて!あんな奴等のいる所なんて、ぜーたいに行きません!でブスなんて言われた幼少時の記憶は忘れないー!
何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています
鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。
けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。
指示を出さない。
判断を奪わない。
必要以上に関わらない。
「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。
それなのに――
いつの間にか屋敷は落ち着き、
使用人たちは迷わなくなり、
人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。
誰かに依存しない。
誰かを支配しない。
それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。
必要とされなくてもいい。
役に立たなくてもいい。
それでも、ここにいていい。
これは、
「何もしない」ことで壊れなかった関係と、
「奪わない」ことで続いていった日常を描く、
静かでやさしい結婚生活の物語。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる