8 / 52
友達に会いたくない。
しおりを挟む
知りもしない男たちから人生を狂わされて数ヶ月が経ち、故郷も秋の景色に彩られてきた10月上旬。
ハルカはなんとか毎日、生きていた。まだ1人で日中の散歩をしていて男性とすれ違ったりするのはとても怖く、手が震え呼吸がしづらいと感じることはあるけれど、日中の生活ならなんとかスムーズにできるようになってきた。
基本のルーティンは変わってない。夜がとても怖いので、まだ1人で外に出るのは怖いけど、朝は決まった時間に起きて母の家事を手伝い、散歩のついでに食材の買い出しをする。夕飯を母と作る。空いてる時間はネットサーフィンをして流行の服を見たり、コスメを見たりなどの時間に使っていた。
男たちから酷い目に遭わされる前はTVドラマや小説、漫画なども大好きだったが……それらはほとんど全て見られなくなっていた。暴力的なシーンが怖い。サスペンスドラマの女性の悲鳴も男性の怒鳴るような声が怖くて見れなくなっていた。
それらがすべて”役者による演技”であることは分かっていても、あの日の自分自身の悲劇と重なってしまってダメになってしまった。恋愛もののストーリーもダメ。キスとか誰かと肉体関係を思わせる展開がつきものの恋愛系のドラマ、小説、漫画は全部ダメになっていた。
以前は週に1回の通院だったが状態が良くなったとの主治医の判断て2週に一度のメンタルクリニックの通院でよいとなった。精神を落ち着かせる薬と睡眠薬、あとは突発的な具合の悪い時に飲む頓服が処方されている。さらに大きな一歩といえば以前は母に付き添ってもらっていた通院をハルカ1人で行けるようになったことぐらいか。
バスに乗って通院すること。公共交通機関を使えるようになったことは社会復帰のためにはハルカにとって大きな一歩だった。それでもまだ車に乗るのは絶対に無理だし、電車は乗れると思うが…死にたくなった時にホームから飛び込んでしまいそうなのが怖いなと思った。
ハルカはうつ病と診断されている。どうしてもハルカの心の中には優しくひっそりとした”死”が魅力的な闇の力を放って沈殿してるような気がするのだ。
何気ない日常を送っていても突然、死にたくなる、死にたい気持ちになることがある。私がこんなに苦しい目にあっているのにレイプした犯人たちは今も幸せにどこかで暮らしているなどと思うと、そんな不平等な現実に直視出来ずにハルカは死にたくて死にたくて仕方なくなる。
それでもなんとか生きなくてはいけないと思うぐらいの気力がうっすらと溜まってきたなというのが最近の心境だった。
そんなおり母とハルカの2人で昼食を食べていたある日。母から「あやちゃん、みずきちゃん、ひなちゃんがハルカのことを凄く心配してるって、それぞれのお母さんたちから声をかけてきたの。私にね。ハルカちゃんのところにも連絡来てるんでしょ?会いたい?会いたくない?」と聞かれた。
ハルカは気まずさを感じていた。
実は田舎に戻ってきて、しばらく経つと何人かの友達からスマホのLINEに連絡が来てきたのだ。その時はとても返信できる気力がなく、そのすべての返事を”既読スルー”してしまった。
親の反対を押し切って都会に就職して、ハルカはちょっとした優越感を田舎の友達に感じていた。キラキラ光る都会の輝きは田舎だと味わうことは出来なかったと今でも思う。
そんな都会から僅か1年と数ヶ月で田舎に戻ることになってしまったハルカを見て……哀れに思われるんじゃないか?尻尾を巻いて逃げてきたと思われるんじゃないか?…と思うと状態がよくなった今でも友達に会うのに抵抗があった。
それになんといえばいいんだろうかと思った。どうしたの?何があったの?と質問責めにされて複数の男から輪姦されたとは到底、伝えられなかった。もし会うにしても母が父に言った嘘をつくしかないな……と思った。
いやでも………それでもやっぱり………友達には会いたくないなと思ってしまった。あの恐怖を何もしらない女性たち。どうして自分だけがその最悪のクジを引き当ててしまったのかと辛くなりそうだった。
LINEの返信は既読スルーにしてからそのあとの返事はみな途絶えている。レイプではないにしても何かを察したそっとしておいてくれているのかもしれないと思った。
友達に会うのは………こんなみんなが心配してるのにずっと連絡を放置してるような私でもまた会ってくれる友達が残っているなら……うつ病をもう少しよくして社会復帰してからにしようと心に決めたのだった。
ハルカはなんとか毎日、生きていた。まだ1人で日中の散歩をしていて男性とすれ違ったりするのはとても怖く、手が震え呼吸がしづらいと感じることはあるけれど、日中の生活ならなんとかスムーズにできるようになってきた。
基本のルーティンは変わってない。夜がとても怖いので、まだ1人で外に出るのは怖いけど、朝は決まった時間に起きて母の家事を手伝い、散歩のついでに食材の買い出しをする。夕飯を母と作る。空いてる時間はネットサーフィンをして流行の服を見たり、コスメを見たりなどの時間に使っていた。
男たちから酷い目に遭わされる前はTVドラマや小説、漫画なども大好きだったが……それらはほとんど全て見られなくなっていた。暴力的なシーンが怖い。サスペンスドラマの女性の悲鳴も男性の怒鳴るような声が怖くて見れなくなっていた。
それらがすべて”役者による演技”であることは分かっていても、あの日の自分自身の悲劇と重なってしまってダメになってしまった。恋愛もののストーリーもダメ。キスとか誰かと肉体関係を思わせる展開がつきものの恋愛系のドラマ、小説、漫画は全部ダメになっていた。
以前は週に1回の通院だったが状態が良くなったとの主治医の判断て2週に一度のメンタルクリニックの通院でよいとなった。精神を落ち着かせる薬と睡眠薬、あとは突発的な具合の悪い時に飲む頓服が処方されている。さらに大きな一歩といえば以前は母に付き添ってもらっていた通院をハルカ1人で行けるようになったことぐらいか。
バスに乗って通院すること。公共交通機関を使えるようになったことは社会復帰のためにはハルカにとって大きな一歩だった。それでもまだ車に乗るのは絶対に無理だし、電車は乗れると思うが…死にたくなった時にホームから飛び込んでしまいそうなのが怖いなと思った。
ハルカはうつ病と診断されている。どうしてもハルカの心の中には優しくひっそりとした”死”が魅力的な闇の力を放って沈殿してるような気がするのだ。
何気ない日常を送っていても突然、死にたくなる、死にたい気持ちになることがある。私がこんなに苦しい目にあっているのにレイプした犯人たちは今も幸せにどこかで暮らしているなどと思うと、そんな不平等な現実に直視出来ずにハルカは死にたくて死にたくて仕方なくなる。
それでもなんとか生きなくてはいけないと思うぐらいの気力がうっすらと溜まってきたなというのが最近の心境だった。
そんなおり母とハルカの2人で昼食を食べていたある日。母から「あやちゃん、みずきちゃん、ひなちゃんがハルカのことを凄く心配してるって、それぞれのお母さんたちから声をかけてきたの。私にね。ハルカちゃんのところにも連絡来てるんでしょ?会いたい?会いたくない?」と聞かれた。
ハルカは気まずさを感じていた。
実は田舎に戻ってきて、しばらく経つと何人かの友達からスマホのLINEに連絡が来てきたのだ。その時はとても返信できる気力がなく、そのすべての返事を”既読スルー”してしまった。
親の反対を押し切って都会に就職して、ハルカはちょっとした優越感を田舎の友達に感じていた。キラキラ光る都会の輝きは田舎だと味わうことは出来なかったと今でも思う。
そんな都会から僅か1年と数ヶ月で田舎に戻ることになってしまったハルカを見て……哀れに思われるんじゃないか?尻尾を巻いて逃げてきたと思われるんじゃないか?…と思うと状態がよくなった今でも友達に会うのに抵抗があった。
それになんといえばいいんだろうかと思った。どうしたの?何があったの?と質問責めにされて複数の男から輪姦されたとは到底、伝えられなかった。もし会うにしても母が父に言った嘘をつくしかないな……と思った。
いやでも………それでもやっぱり………友達には会いたくないなと思ってしまった。あの恐怖を何もしらない女性たち。どうして自分だけがその最悪のクジを引き当ててしまったのかと辛くなりそうだった。
LINEの返信は既読スルーにしてからそのあとの返事はみな途絶えている。レイプではないにしても何かを察したそっとしておいてくれているのかもしれないと思った。
友達に会うのは………こんなみんなが心配してるのにずっと連絡を放置してるような私でもまた会ってくれる友達が残っているなら……うつ病をもう少しよくして社会復帰してからにしようと心に決めたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
不器用な大富豪社長は、闇オクで買った花嫁を寵愛する
獅月@体調不良
恋愛
「 御前を幸せにする為に、俺は買ったんだ 」
〜 闇オク花嫁 〜
毒親である母親の為だけに生きてきた彼女は、
借金を得た母の言葉を聞き、
闇オークションへ売られる事になった。
どんな形にしろ借金は返済出来るし、
母の今後の生活面も確保出来る。
そう、彼女自身が生きていなくとも…。
生きる希望を無くし、
闇オークションに出品された彼女は
100億で落札された。
人食を好む大富豪か、
それとも肉体を求めてか…。
どちらにしろ、借金返済に、
安堵した彼女だが…。
いざ、落札した大富豪に引き渡されると、
その容姿端麗の美しい男は、
タワマンの最上階から5階部分、全てが自宅であり、
毎日30万のお小遣いですら渡し、
一流シェフによる三食デザート付きの食事、
なにより、彼のいない時間は好きにしていいという自由時間を言い渡した。
何一つ手を出して来ない男に疑問と不満を抱く日々……だが……?
表紙 ニジジャーニーから作成
エブリスタ同時公開
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
敵国に嫁いだ姫騎士は王弟の愛に溶かされる
今泉 香耶
恋愛
王女エレインは隣国との戦争の最前線にいた。彼女は千人に1人が得られる「天恵」である「ガーディアン」の能力を持っていたが、戦況は劣勢。ところが、突然の休戦条約の条件により、敵国の国王の側室に望まれる。
敵国で彼女を出迎えたのは、マリエン王国王弟のアルフォンス。彼は前線で何度か彼女と戦った勇士。アルフォンスの紳士的な対応にほっとするエレインだったが、彼の兄である国王はそうではなかった。
エレインは王城に到着するとほどなく敵国の臣下たちの前で、国王に「ドレスを脱げ」と下卑たことを強要される。そんなエレインを庇おうとするアルフォンス。互いに気になっていた2人だが、王族をめぐるごたごたの末、結婚をすることになってしまい……。
敵国にたった一人で嫁ぎ、奇異の目で見られるエレインと、そんな彼女を男らしく守ろうとするアルフォンスの恋物語。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る
ラヴ KAZU
恋愛
ある日、まゆは父親からお見合いを進められる。
義兄を慕ってきたまゆはお見合いを阻止すべく、車に引かれそうになったところを助けてくれた、祐志に恋人の振りを頼む。
そこではじめてを経験する。
まゆは三十六年間、男性経験がなかった。
実は祐志は父親から許嫁の存在を伝えられていた。
深海まゆ、一夜を共にした女性だった。
それからまゆの身が危険にさらされる。
「まゆ、お前は俺が守る」
偽りの恋人のはずが、まゆは祐志に惹かれていく。
祐志はまゆを守り切れるのか。
そして、まゆの目の前に現れた工藤飛鳥。
借金の取り立てをする工藤組若頭。
「俺の女になれ」
工藤の言葉に首を縦に振るも、過去のトラウマから身体を重ねることが出来ない。
そんなまゆに一目惚れをした工藤飛鳥。
そして、まゆも徐々に工藤の優しさに惹かれ始める。
果たして、この恋のトライアングルはどうなるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる