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8話 発覚
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やった!とうとう掴んだぞ!藤田京平の怪しいネタをしかも、二つも手に入れた!
俺は藤田京平の怪しい噂を入手した。一つは汚職事件に関して、ヤツはやっぱりまだ汚い取り引きから、足を洗っていなかった。
人はそんなに簡単には変わらないのだ。
甘い汁を吸っておいしい思いしたヤツは、また同じ甘い汁を啜りたくなるもんなのだ。
藤田京平の汚職に関した噂は、今年、市内の老朽化した図書館の建て直しを巡って、建築業者の斡旋に藤田京平が便宜をはかったのではないか?というものだった。
そしてもちろん藤田京平は便宜をはかった見返りに、建築業者から賄賂を受け取った可能性がある。
これはなかなかデカい事件になるかもしれないぞ。
俺は自分で仕入れたきたネタが、大きなスクープの兆しに見えて興奮が高まった。
そしてもう一つの噂は、藤田京平の前妻殺害容疑についてだ。
これは前妻の死因を自殺と断定した、当時の担当刑事の部署には、なんと!藤田京平の従兄弟が勤務していたことが判明した。
従兄弟に金を握らせて他殺の疑いがあったものを、自殺にしたんじゃないだろうか?いや、まだそこまでは分からない。これにはもう少し情報が必要だ。だが、警察署内部に親戚がいた というのは情報としてはデカいと思った。
なにより凄いのが、前妻は夫の藤田京平の家庭内暴力で精神を病んで精神科に通院していた。いわいるDVというやつだ。これが決め手となって自殺と判断された可能性はあるが、
藤田京平は暴力を振るう男だったというのは、志穂をあいつから引き離すための理由に、相応しい。いやいやいやいやいや……もしかしたら時すでに遅しの可能性だってある。
何度もでも言おうーーー
人はそんなに簡単には変わらないのだ。
昔の妻に暴力を振るっていたなら、今の妻である志穂にだって、アイツの牙が向くかもしれない。
「ああああああああーーーーーっ!!!」
た、大変だ!これは大変だ!!すぐに志穂を救わなければ!!間に合わないかもしれない!!毎晩、暴力を振るわれて志穂が精神的に病んだところで、自殺に見せかけて殺害してしまうかもしれない!
こうしてはいられない!なんとしても!
藤田京平の図書館老朽化による業者斡旋の汚職事件の証拠を掴み、それを世間に公表したタイミングで、前妻の殺害容疑があったこと志穂に伝えなくてはっ!
志穂の窮地を救えるのは俺が掴んだ情報だけだ。
明後日はちょうど伊丹のところに顔を出しに行く予定だった。よし!スクープの形としては上々の出来だ。
伊丹に俺が掴んだネタを話して、汚職事件の証拠を捕まえるために協力の要請をしよう。俺を入れたチームを組んでカメラマンも入れてもらう。
24時間、藤田京平をマークする環境を作って、今度こそ、アイツを捕まえる。そして志穂を俺のものにする。
そう思うと俺は、興奮が収まらなかった。何もなかった俺の人生に再びこんな興奮が巡ってくるなんて、スクープの臨場感、悪党を追い詰める正義感、全てが今の俺という存在を肯定し、奮い立たせた。
「うぉぉぉぉぉーーーー!!!」
とまた俺は雄叫びをあげ、隣りの壁から
「うっせーーーーーーっ!って言っただろうがぁぁぁぁーーーー!!!」
とあの小林と名乗った青年の怒号が聞こえた。
俺はその小林の怒った声にひぃぃぃとなって、家の中で萎縮して丸まった。怖い。隣りの小林くんはちょっと怖い人だ、というか本当に壁薄いんだな……などと思いながら、明日、伊丹にこのネタを披露するのが楽しみで仕方なかった。
その夜、俺は興奮と少しの緊張とでなかなか眠れなかった。そして近い未来、志穂を救う自分の姿を想像してはニヤニヤして、
「あの人の暴力から救ってくれて
ありがとうございます。」
と志穂に言われると思うとドキドキが止まらなかった。
俺は藤田京平の怪しい噂を入手した。一つは汚職事件に関して、ヤツはやっぱりまだ汚い取り引きから、足を洗っていなかった。
人はそんなに簡単には変わらないのだ。
甘い汁を吸っておいしい思いしたヤツは、また同じ甘い汁を啜りたくなるもんなのだ。
藤田京平の汚職に関した噂は、今年、市内の老朽化した図書館の建て直しを巡って、建築業者の斡旋に藤田京平が便宜をはかったのではないか?というものだった。
そしてもちろん藤田京平は便宜をはかった見返りに、建築業者から賄賂を受け取った可能性がある。
これはなかなかデカい事件になるかもしれないぞ。
俺は自分で仕入れたきたネタが、大きなスクープの兆しに見えて興奮が高まった。
そしてもう一つの噂は、藤田京平の前妻殺害容疑についてだ。
これは前妻の死因を自殺と断定した、当時の担当刑事の部署には、なんと!藤田京平の従兄弟が勤務していたことが判明した。
従兄弟に金を握らせて他殺の疑いがあったものを、自殺にしたんじゃないだろうか?いや、まだそこまでは分からない。これにはもう少し情報が必要だ。だが、警察署内部に親戚がいた というのは情報としてはデカいと思った。
なにより凄いのが、前妻は夫の藤田京平の家庭内暴力で精神を病んで精神科に通院していた。いわいるDVというやつだ。これが決め手となって自殺と判断された可能性はあるが、
藤田京平は暴力を振るう男だったというのは、志穂をあいつから引き離すための理由に、相応しい。いやいやいやいやいや……もしかしたら時すでに遅しの可能性だってある。
何度もでも言おうーーー
人はそんなに簡単には変わらないのだ。
昔の妻に暴力を振るっていたなら、今の妻である志穂にだって、アイツの牙が向くかもしれない。
「ああああああああーーーーーっ!!!」
た、大変だ!これは大変だ!!すぐに志穂を救わなければ!!間に合わないかもしれない!!毎晩、暴力を振るわれて志穂が精神的に病んだところで、自殺に見せかけて殺害してしまうかもしれない!
こうしてはいられない!なんとしても!
藤田京平の図書館老朽化による業者斡旋の汚職事件の証拠を掴み、それを世間に公表したタイミングで、前妻の殺害容疑があったこと志穂に伝えなくてはっ!
志穂の窮地を救えるのは俺が掴んだ情報だけだ。
明後日はちょうど伊丹のところに顔を出しに行く予定だった。よし!スクープの形としては上々の出来だ。
伊丹に俺が掴んだネタを話して、汚職事件の証拠を捕まえるために協力の要請をしよう。俺を入れたチームを組んでカメラマンも入れてもらう。
24時間、藤田京平をマークする環境を作って、今度こそ、アイツを捕まえる。そして志穂を俺のものにする。
そう思うと俺は、興奮が収まらなかった。何もなかった俺の人生に再びこんな興奮が巡ってくるなんて、スクープの臨場感、悪党を追い詰める正義感、全てが今の俺という存在を肯定し、奮い立たせた。
「うぉぉぉぉぉーーーー!!!」
とまた俺は雄叫びをあげ、隣りの壁から
「うっせーーーーーーっ!って言っただろうがぁぁぁぁーーーー!!!」
とあの小林と名乗った青年の怒号が聞こえた。
俺はその小林の怒った声にひぃぃぃとなって、家の中で萎縮して丸まった。怖い。隣りの小林くんはちょっと怖い人だ、というか本当に壁薄いんだな……などと思いながら、明日、伊丹にこのネタを披露するのが楽しみで仕方なかった。
その夜、俺は興奮と少しの緊張とでなかなか眠れなかった。そして近い未来、志穂を救う自分の姿を想像してはニヤニヤして、
「あの人の暴力から救ってくれて
ありがとうございます。」
と志穂に言われると思うとドキドキが止まらなかった。
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