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2巻
2-2
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「しかし、村の名前かぁ。従魔の名前と違って、種族に寄せた名前が付けられないからなぁ」
何か方向性の軸があったら、考えやすいんだけどなぁ。
俺がそう呟くと、ナイルさんが穏やかな笑みを浮かべる。
「それだったら、リドル君の名前を取るのはどうかな?」
「お、俺の名前ですか?」
いや、それはさすがに恥ずかしいんだけど。
「この村はリドル君のおかげで立派な村に生まれ変わったんだから、そうするべきじゃないか?」
俺のおかげというわけではないけど、そう思ってくれていたというのは純粋に嬉しいな。
……まあ、村の名前に使うかどうかは別だけど。
「いや、俺の名前を使うだなんて……」
「さっきも言ったが、リドル君がいなければ、この村の発展はなかった。ならば、初めて付ける村の名前にリドル君の名前を使うのは、当然だろう?」
「当然じゃないですよ!」
俺が少しムキになって答えると、今度はルッツさんが割り込んでくる。
「いいえ、リドル様。それは当然ですよ!」
何をどう思って当然、だと考えたんですか!
そんなことを思っていると、ナイルさんが穏やかな様子で告げる。
「何もリドル君の名前をそのまま使うわけではない。例えば、名前を崩すのはどうだろうか」
「……名前を崩す、ですか。あの、ナイルさん? もしかして、希望の名前が既にあったりしませんか?」
話し方からして、ナイルさんは具体的な名前を思いついているような気がしてならないな。
「……バレたかい?」
「やっぱり! 教えてくださいよ、その名前!」
ナイルさんの考えている名前が良ければ、そのまま採用してしまいたい!
「私が考えていた名前は――リディアル」
「……リディアル、ですか?」
「あぁ。どうだろうか、リドル君?」
……リディアル……リディアル……リディアル……。
「……とても、良いと思います!」
俺がそう答えると、ルッツさんも大きく頷く。
「えぇ! 私もそう思いますよ、ナイル様!」
「そ、そうですか? それならば嬉しいのですが」
俺とルッツさんが褒めていると、ナイルさんは照れたように笑った。
「それじゃあ、村の名前はリディアルで決定しましょう!」
「ありがとうございます、ナイル様。これで今後、作物を売りに出す際に、未開地の近くにある村、リディアルの名産だと伝えることができますよ」
笑顔でそう口にしたルッツさんに、俺は思わず声を掛ける。
「今まではどのように伝えていたんですか?」
「未開地の近くにある村で採れた作物だと、伝えておりました」
「なるほど。確かに、産地を言うだけで、なんというか、響きが変わりますね」
「そうなのですよ、ナイル様! 相手の記憶に残るように商品を売るというのも、商人にとっては大事なことですからね」
満足気にそう口にしたルッツさん。
彼は彼なりにこの村のことを……いいや、リディアルのことを広めようとしてくれているんだな。
「それとですね、ナイル様」
「どうしたんですか、ルッツさん?」
「他にもリドル様が作り出した、新たな名産品などはありませんでしょうか? あればそれも是非売っていただきたいのですが!」
「それには私も興味があります!」
ルッツさんのお願いを聞いたアグリコさんも乗っかり、ナイルさんは苦笑する。
「そうですね。名産品になるかどうかは分かりませんが、魔導具師の方がいらっしゃいます」
「「ご紹介願えませんでしょうか‼」」
「……わ、分かりました。リドル君、すまないが明星の皆さんをよろしく頼むよ」
ナイルさんは商人二人の勢いに負けて、そのまま自分の屋敷に移動してしまう。
そうして、残されたのは……。
「……あの、俺たちは、どうしたらいいんだろうか?」
「……ついていった方が良くね? 一応、護衛なんだし?」
「……でも、村長さんが私たちのことは、領主様に頼むって言っていたけど?」
残されたガズンさん、オルフェンさん、ミシャさんが困惑顔で話し合いを始め、最終的にはこちらに視線を向けてきた。
「……もしよかったら、腹ごしらえでもしますか? 村で採れる作物、とても美味しいですよ?」
「え! いいの! やったー!」
俺の提案に即反応してくれたのは、ミシャさんだ。
「こら、ミシャ!」
ガズンさんは怒るが、彼女は気にした様子を見せない。
「だってー! ルッツさんが食べさせてくれた作物、とっても美味しかったんだもーん!」
「そういやぁ、この村の作物だってルッツさん言ってたな!」
オルフェンさんも期待した様子だったので、リーダーのガズンさんに確認を取ってみる。
「どうですか、ガズンさん? 皆さんに食べてもらえると、俺も嬉しいのですが」
オルフェンさんとミシャさんは、まっすぐガズンさんを見つめている。
「…………だあぁぁ~。分かったから、その目を止めろ! お願いできるだろうか……領主様」
「リドルでいいですよ」
「……リドル、様?」
「様もいりません」
どうにも態度が崩れてくれないガズンさんを見かねてか、ミシャさんが口を挟んでくる。
「もー! ガズンは堅いんだよ! リドル君でいいんじゃない?」
「いや、さすがに君付けは」
「これはもういっそのこと、リドルでいいんじゃね?」
オルフェンさんがそう言うが、ガズンさんは首を大きく横に振る。
「呼び捨てはもっとダメだろう!」
「いいですよ、呼び捨てでも」
「そ、そんなことが⁉」
さてさて、ガズンさんの呼び方はどうなるのかな。
ガズンさんには悪いんだけど、少しだけ楽しみだ。
「……よ、よろしく頼む、リドル殿」
「うーん……まあ、それでいいですよ」
多少は砕けたし、ひとまずこれでいいだろう。
「はいはいはーい! 私はリドル君にしまーす!」
「俺はリドルだな! よろしくな、リドル!」
「よろしくお願いします、皆さん。すぐに準備してくるので、少しだけ待っていてくださいね」
こうして俺は、少しだけ冒険者の三人と心を通わせることができたのだった。
それからすぐにご飯の準備を始めたのだが、ここでもガズンさんは驚いたように口を開く。
「リ、リドル殿が料理をするのか?」
「はい。これでも結構得意だったりするんですよ?」
俺の答えを聞き、オルフェンさんとミシャさんも感心しているようだった。
「へぇー。領主自らが料理だなんて、珍しいもんだな」
「本当だよね。偉い人って、料理人を雇って作らせているイメージしかなかったよ」
それは俺も同意です。
それに、俺が前世の記憶もなく、ブリード家に可愛がられていたなら、料理なんてできていなかったと思うしね。
「俺は家では立場が微妙でしたし、いずれ自立しなきゃいけないと思っていたので、勉強していたんですよ」
そんな話をしながらも、俺は料理を作り始めていく。
とはいえ、村で採れた作物は生で食べても美味しいものしかない。
変に味付けをするよりも、簡単に調理して出す方がいいに決まっている。
というわけで俺は、カブの皮を剥いて薄くスライスしたものと、千切りにしたものとで食感を楽しんでもらおうと、お皿に盛りつけていく。
みずみずしいトマトは生で食べてもらおうと、くし切りにするだけだ。
ニンジンは軽く炒めて火を通し、レタスの葉の上に乗せ、包んでから盛りつけた。
今では他にも多くの作物を育てており、それらも簡単な調理でお皿に盛りつけ、ガズンさんたちの前に出していった。
それを見て、ガズンさんが口を開く。
「豪華だな。これほどの食事を出してもらって、本当にいいのか?」
「ゴンコが作る土のおかげで、作物の育ちがいいんですよ。余るくらいにたくさんあるので、構いませんよ」
「どれも生だったり、ただ火を通しただけのはずなのに……めっちゃ良い匂いだな!」
「ねえねえ、もう食べていいかな? 食べていいよね!」
料理の香りに食欲をそそられたのか、オルフェンさんとミシャさんが我慢できなさそうにうずうずしている。
「はい、もちろんですよ」
それが嬉しく、俺は笑顔で答えた。
「やったぜ!」
「早く食べようよ、ガズン!」
「そうだな。それではありがたくいただくとしよう」
それからガズンさんたちは料理を口に運んだ。
最初はゆっくりと咀嚼を繰り返していたのだが、途中からその勢いが増し、三人とも無我夢中で食べ進めていく。
その様子を俺が満足気に眺めていると、用意した料理はあっという間に三人の胃袋の中に消えていってしまった。
「あぁー! マジで美味かった!」
「ごちそうさまでーす!」
「こんなにも美味しい料理は初めてかもしれないな。ありがとう、リドル殿」
「いえいえ。皆さんの食べっぷりを見ていたら、こっちが嬉しくなっちゃいました」
俺だけではなく、三人もとても満足してくれたようだ。
しかし、三人が食事を終えたものの、ナイルさんたちはいまだ戻ってこない。
「しかし、リドル殿と関われば関わるほど、ブリード家の次期当主とは違うのだと思わされるな」
ここでガズンさんから、何故か俺の実家のブリード家の話題が飛び出した。
ちなみに屋敷に来る途中で聞いたのだが、三人も、俺が追放されたことは知っているらしい。
まぁ、追放された直後から話題になっていたからな。
「ブリード家の次期当主って、アヴィドのことですか? あいつ、何かしたんですか?」
俺が弟について問い掛けると、ガズンさんは渋面になりながら答えてくれる。
「どうにも、ブリード領にある各地の冒険者ギルドで、問題を起こしているようなのだ」
「えぇっ⁉ いったいどうしてそんなことに?」
「ブリード家ってよ、スキルを授かったら本来、一人で従魔をテイムしに行くんだろ?」
「そのアヴィドって子は、冒険者に依頼を出して一緒にテイムしに行こうとしているみたいなの」
オルフェンさんとミシャさんの説明を聞き、俺は父上が何やら話をしていたことを思い出した。
「あー……確か、最低でも中型魔獣を一人でテイムできるだけの力がなければ、ブリード家当主にはなれないとか、なんとか。そんな話がありましたね」
俺は昔から家での待遇が悪かったので詳しい話は知らないのだが、そんな話を聞いたことがある。
「だがアヴィドは先ほども言った通り、冒険者ギルドに依頼を出していて、しかもそのギルドでもトラブルを起こしているのだ」
改めてガズンさんが説明してくれ、俺は納得したように頷く。
「たぶんですけど、中型ではなく、大型魔獣を一人でテイムしろとか言われた可能性がありますね。『上級テイム』を授かったアヴィドは、俺の反動もあって父上の期待が大きいんだと思います」
大型魔獣ともなれば、冒険者が集団で狩るような凶暴な魔獣が多い。
それを一人で、さらにただ狩るのではなくテイムするとなれば、より難度は上がるはずだ。
だからこそ冒険者ギルドで依頼を出し、冒険者に協力してもらおうと考えているのだろう。
父上が市井のことに興味がないのはアヴィドも知っているだろうし、父上にはバレないと思っているのかもしれない。
父上も父上なら、アヴィドもアヴィドだ。
言いつけを守らないなら守らないなりに、やりようがあるだろう。
「なんだか、お騒がせして申し訳ございません」
正直なところ、俺はブリード家を追放された身だ。気にする必要はどこにもないと思う。
だけど、父上やアヴィドが誰かに迷惑を掛けている、それがお世話になっている人に関わる人であれば、謝罪はしておくべきだと思ってしまった。
「どうしてリドル殿が謝るんだ?」
「面倒ごとを起こしているのは、そのアヴィドって奴だろう?」
「リドル君は気にしちゃダメだよ」
しかしガズンさんたちはそう言ってくれ、俺は少しだけ心が軽くなる。
「……ありがとうございます」
お礼を口にした俺は、このままここにいてもガズンさんたちが暇を持て余すと考え、一つの提案を口にする。
「せっかくリディアルまで足を運んでくださったわけですし、ちょっと魔獣狩りにでも行ってみませんか?」
魔の森には、強い魔獣が比較的多く生息している。
冒険者といえば、魔獣の素材の売却も稼ぎの一つだろうし、上手く素材を持ち帰ることができれば、ガズンさんたちの懐の足しになるのではないかと考えたのだ。
「俺たちは構わないが、いいのか?」
「リドルはここの領主だろう?」
「忙しいんじゃないの?」
ガズンさんたちから心配の声が上がったが、俺は苦笑しながら答えた。
「俺の仕事には、レオやルナと一緒に森に入っての魔獣狩りもありますからね。村のことは基本、ナイルさんにも任せてありますし。魔の森の魔獣は強いですから、皆さんの生活の足しになるかなと思ったんです。どうですか?」
俺がそう続けると、ガズンさん、オルフェンさん、ミシャさんは一度顔を見合わせたあと、大きく頷いてくれた。
「案内を頼めるだろうか」
「レオとルナの実力も見てみたいしな!」
「よろしくね、リドル君!」
「それじゃあ、念のためナイルさんたちにも行き先を伝えておきましょう」
そう口にした俺たちは、屋敷を出てすぐ隣にあるナイルさんの屋敷へ向かう。
到着してすぐに扉をノックして声を掛けると、中から足音が近づいてきた。
「はーい! あっ、リドルだ! どうしたの?」
出迎えてくれたのは、ナイルさんの一人娘であるティナだった。
「こんにちは、ティナ。ちょっと森まで行こうと思って、ナイルさんに報告しに来たんだ」
「そうなんだ! お父さん、呼んでこようか?」
「ううん。伝えてくれるだけでいいよ。俺たちはそのまま森に向か――」
「リドルくううううん‼」
俺が「森に向かう」と言おうとしたところで、屋敷の奥から女性の声が響いてきた。
「はぁ。どうしたんですか、アニータさん?」
奥の部屋から姿を現したのは、自称天才魔導具師のアニータさんだ。
魔導具師とは、魔導具の開発をする人のことで、彼女の魔導具には、魔獣が襲来してきた時にとても助けられた。
彼女は本当に天才魔導具師だが、言動が色々と残念なので、あえて自称と言わせてもらっている。
アニータさんは俺をじっと見つめて口を開く。
「森に行くって聞こえたわよ!」
「えっと、まあ、はい。行きますけど?」
「魔導具に使えそうな素材の確保、よろしくね!」
そうウインクをしながら口にしたアニータさんは、踵を返して屋敷の奥へと姿を消してしまった。
ガズンさんたちはその様子を見て、呆気に取られていた。
「……なんだったのだ、今のは?」
「……魔導具って言ってたし、魔導具師なんじゃねぇか?」
「……領主相手に、すごい態度だったわね」
確かに、ミシャさんが言ったように領主に対しての態度ではないよな。
でもまあ、あれがリディアルでの普通なわけで、俺も特段文句を言うつもりはない。
……素材を確保するかどうかは別としてね。
「とりあえず、行きましょうか」
気を取り直した俺は、振り返りながらガズンさんに声を掛けた。
「いいのか?」
「大丈夫です。レオとルナもよろしくな」
「ガウ!」
「ミー!」
レオとルナからも元気な返事をもらえたところで、そのまま屋敷を出ようとする。
「気をつけてね、リドル!」
「あぁ! 行ってくるよ、ティナ!」
最後まで見送ってくれたティナに手を振りながら、俺たちは魔の森へと向かった。
魔の森の魔獣は強いものの、村の周囲に関しては正直、そこまで強い魔獣はいないと思っている。
レオとルナと一緒に定期的に魔獣狩りをしているのだが、二匹が警戒するような魔獣には、村の周辺では出会ったことがないからだ。
ガズンさんたちがどれだけ強いのかは分からないが、様子を見ながらなら、多少森の奥に入っても大丈夫だろう。
そんなことを考えながら歩いていると、先頭を進んでいたレオとルナが立ち止まる。
「……どうやら魔獣を発見したようです」
レオとルナの様子からガズンさんたちに伝えると、彼らは驚きの表情をしていた。
「……どうしたんですか?」
「いや、マジで? 俺の索敵範囲にはまだ引っ掛かってないんだけど?」
特に驚いた表情をしていたオルフェンさんが声を掛けてきた。
「そうだと思います。だよな、レオ?」
「ガウアッ!」
俺の問い掛けにレオが元気よく返事をしたので、ガズンさんたちはすぐに臨戦態勢を整える。
三人を見てみると、ガズンさんは腰に提げていた大剣を、オルフェンさんは短剣を、そしてミシャさんは杖を構え始めた。
この世界の冒険者がどのような戦い方をするのかは分からないけど、武器から察するに、ガズンさんが前衛、オルフェンさんが中衛、ミシャさんが後衛って感じかな。
「……おいおい、マジで来たぞ! こっちに向かってすごい勢いで近づいてきてる! あと五秒もしたら見えるぞ!」
おぉ、すごいな、オルフェンさん。
レオとルナは魔獣だから、同じ魔獣の気配を感じ取れていても不思議じゃないけど、人間のオルフェンさんも何かしらの手段で魔獣との距離を正確に把握しているようだ。
「…………見えたぞ! ミシャ!」
「はいはーい! アイスショット!」
ガズンさんが叫ぶと同時に、ミシャさんが杖を振り上げる。
すると、杖の先端にはめられている青色の宝玉が光を放ち、その上空に氷の塊が現れた。
「おぉっ! これはもしかして、魔法!」
俺が感動の声を上げていると、ミシャさんが杖を振り下ろした。
「いっけー!」
同時に氷の塊が、見えてきた魔獣めがけて飛んでいく。
近づいてきていたのは鹿に似た中型魔獣、ワイルドディアだ。
額から生えた巨大な二本の角で敵を薙ぎ払い投げ飛ばす魔獣で、強靭な脚力も備えている。
氷の塊は、そんなワイルドディアの眉間に命中し、止まりはしなかったが、突進の勢いがやや減退した。
「オルフェン、いくぞ!」
「あいよ!」
直後、ガズンさんとオルフェンさんが前に出た。
中衛だと思っていたオルフェンさんが一番前に飛び出すと、華麗な身のこなしでワイルドディアの右の前足と後ろ足を、すれ違いざまに短剣で切りつける。
『ギャルフフゥゥッ⁉』
傷を負ったことで右側にバランスを崩したワイルドディアは、そのまま地面に跡を残しながら転がっていく。
そこへ大剣を上段に構えたガズンさんが飛び掛かると、一気に振り下ろす。
「うおおおおおおおおっ‼」
――ザシュッ!
鋭く振り下ろされた大剣によって、ワイルドディアの首が一振りで切り落とされた。
「……おぉ……おおっ! すごいですね、皆さん‼」
冒険者の戦い方を初めて目の当たりにした俺は、思わず歓喜の声と共に拍手を送った。
「どーよ、俺たちの連係は!」
「ワイルドディア、仕留めたりー! ってね!」
「あまり調子に乗るなよ。すぐに解体をするぞ」
ドヤ顔のオルフェンさんとミシャさんを諫めながら、ガズンさんは手際よくワイルドディアの解体を始めていく。
何か方向性の軸があったら、考えやすいんだけどなぁ。
俺がそう呟くと、ナイルさんが穏やかな笑みを浮かべる。
「それだったら、リドル君の名前を取るのはどうかな?」
「お、俺の名前ですか?」
いや、それはさすがに恥ずかしいんだけど。
「この村はリドル君のおかげで立派な村に生まれ変わったんだから、そうするべきじゃないか?」
俺のおかげというわけではないけど、そう思ってくれていたというのは純粋に嬉しいな。
……まあ、村の名前に使うかどうかは別だけど。
「いや、俺の名前を使うだなんて……」
「さっきも言ったが、リドル君がいなければ、この村の発展はなかった。ならば、初めて付ける村の名前にリドル君の名前を使うのは、当然だろう?」
「当然じゃないですよ!」
俺が少しムキになって答えると、今度はルッツさんが割り込んでくる。
「いいえ、リドル様。それは当然ですよ!」
何をどう思って当然、だと考えたんですか!
そんなことを思っていると、ナイルさんが穏やかな様子で告げる。
「何もリドル君の名前をそのまま使うわけではない。例えば、名前を崩すのはどうだろうか」
「……名前を崩す、ですか。あの、ナイルさん? もしかして、希望の名前が既にあったりしませんか?」
話し方からして、ナイルさんは具体的な名前を思いついているような気がしてならないな。
「……バレたかい?」
「やっぱり! 教えてくださいよ、その名前!」
ナイルさんの考えている名前が良ければ、そのまま採用してしまいたい!
「私が考えていた名前は――リディアル」
「……リディアル、ですか?」
「あぁ。どうだろうか、リドル君?」
……リディアル……リディアル……リディアル……。
「……とても、良いと思います!」
俺がそう答えると、ルッツさんも大きく頷く。
「えぇ! 私もそう思いますよ、ナイル様!」
「そ、そうですか? それならば嬉しいのですが」
俺とルッツさんが褒めていると、ナイルさんは照れたように笑った。
「それじゃあ、村の名前はリディアルで決定しましょう!」
「ありがとうございます、ナイル様。これで今後、作物を売りに出す際に、未開地の近くにある村、リディアルの名産だと伝えることができますよ」
笑顔でそう口にしたルッツさんに、俺は思わず声を掛ける。
「今まではどのように伝えていたんですか?」
「未開地の近くにある村で採れた作物だと、伝えておりました」
「なるほど。確かに、産地を言うだけで、なんというか、響きが変わりますね」
「そうなのですよ、ナイル様! 相手の記憶に残るように商品を売るというのも、商人にとっては大事なことですからね」
満足気にそう口にしたルッツさん。
彼は彼なりにこの村のことを……いいや、リディアルのことを広めようとしてくれているんだな。
「それとですね、ナイル様」
「どうしたんですか、ルッツさん?」
「他にもリドル様が作り出した、新たな名産品などはありませんでしょうか? あればそれも是非売っていただきたいのですが!」
「それには私も興味があります!」
ルッツさんのお願いを聞いたアグリコさんも乗っかり、ナイルさんは苦笑する。
「そうですね。名産品になるかどうかは分かりませんが、魔導具師の方がいらっしゃいます」
「「ご紹介願えませんでしょうか‼」」
「……わ、分かりました。リドル君、すまないが明星の皆さんをよろしく頼むよ」
ナイルさんは商人二人の勢いに負けて、そのまま自分の屋敷に移動してしまう。
そうして、残されたのは……。
「……あの、俺たちは、どうしたらいいんだろうか?」
「……ついていった方が良くね? 一応、護衛なんだし?」
「……でも、村長さんが私たちのことは、領主様に頼むって言っていたけど?」
残されたガズンさん、オルフェンさん、ミシャさんが困惑顔で話し合いを始め、最終的にはこちらに視線を向けてきた。
「……もしよかったら、腹ごしらえでもしますか? 村で採れる作物、とても美味しいですよ?」
「え! いいの! やったー!」
俺の提案に即反応してくれたのは、ミシャさんだ。
「こら、ミシャ!」
ガズンさんは怒るが、彼女は気にした様子を見せない。
「だってー! ルッツさんが食べさせてくれた作物、とっても美味しかったんだもーん!」
「そういやぁ、この村の作物だってルッツさん言ってたな!」
オルフェンさんも期待した様子だったので、リーダーのガズンさんに確認を取ってみる。
「どうですか、ガズンさん? 皆さんに食べてもらえると、俺も嬉しいのですが」
オルフェンさんとミシャさんは、まっすぐガズンさんを見つめている。
「…………だあぁぁ~。分かったから、その目を止めろ! お願いできるだろうか……領主様」
「リドルでいいですよ」
「……リドル、様?」
「様もいりません」
どうにも態度が崩れてくれないガズンさんを見かねてか、ミシャさんが口を挟んでくる。
「もー! ガズンは堅いんだよ! リドル君でいいんじゃない?」
「いや、さすがに君付けは」
「これはもういっそのこと、リドルでいいんじゃね?」
オルフェンさんがそう言うが、ガズンさんは首を大きく横に振る。
「呼び捨てはもっとダメだろう!」
「いいですよ、呼び捨てでも」
「そ、そんなことが⁉」
さてさて、ガズンさんの呼び方はどうなるのかな。
ガズンさんには悪いんだけど、少しだけ楽しみだ。
「……よ、よろしく頼む、リドル殿」
「うーん……まあ、それでいいですよ」
多少は砕けたし、ひとまずこれでいいだろう。
「はいはいはーい! 私はリドル君にしまーす!」
「俺はリドルだな! よろしくな、リドル!」
「よろしくお願いします、皆さん。すぐに準備してくるので、少しだけ待っていてくださいね」
こうして俺は、少しだけ冒険者の三人と心を通わせることができたのだった。
それからすぐにご飯の準備を始めたのだが、ここでもガズンさんは驚いたように口を開く。
「リ、リドル殿が料理をするのか?」
「はい。これでも結構得意だったりするんですよ?」
俺の答えを聞き、オルフェンさんとミシャさんも感心しているようだった。
「へぇー。領主自らが料理だなんて、珍しいもんだな」
「本当だよね。偉い人って、料理人を雇って作らせているイメージしかなかったよ」
それは俺も同意です。
それに、俺が前世の記憶もなく、ブリード家に可愛がられていたなら、料理なんてできていなかったと思うしね。
「俺は家では立場が微妙でしたし、いずれ自立しなきゃいけないと思っていたので、勉強していたんですよ」
そんな話をしながらも、俺は料理を作り始めていく。
とはいえ、村で採れた作物は生で食べても美味しいものしかない。
変に味付けをするよりも、簡単に調理して出す方がいいに決まっている。
というわけで俺は、カブの皮を剥いて薄くスライスしたものと、千切りにしたものとで食感を楽しんでもらおうと、お皿に盛りつけていく。
みずみずしいトマトは生で食べてもらおうと、くし切りにするだけだ。
ニンジンは軽く炒めて火を通し、レタスの葉の上に乗せ、包んでから盛りつけた。
今では他にも多くの作物を育てており、それらも簡単な調理でお皿に盛りつけ、ガズンさんたちの前に出していった。
それを見て、ガズンさんが口を開く。
「豪華だな。これほどの食事を出してもらって、本当にいいのか?」
「ゴンコが作る土のおかげで、作物の育ちがいいんですよ。余るくらいにたくさんあるので、構いませんよ」
「どれも生だったり、ただ火を通しただけのはずなのに……めっちゃ良い匂いだな!」
「ねえねえ、もう食べていいかな? 食べていいよね!」
料理の香りに食欲をそそられたのか、オルフェンさんとミシャさんが我慢できなさそうにうずうずしている。
「はい、もちろんですよ」
それが嬉しく、俺は笑顔で答えた。
「やったぜ!」
「早く食べようよ、ガズン!」
「そうだな。それではありがたくいただくとしよう」
それからガズンさんたちは料理を口に運んだ。
最初はゆっくりと咀嚼を繰り返していたのだが、途中からその勢いが増し、三人とも無我夢中で食べ進めていく。
その様子を俺が満足気に眺めていると、用意した料理はあっという間に三人の胃袋の中に消えていってしまった。
「あぁー! マジで美味かった!」
「ごちそうさまでーす!」
「こんなにも美味しい料理は初めてかもしれないな。ありがとう、リドル殿」
「いえいえ。皆さんの食べっぷりを見ていたら、こっちが嬉しくなっちゃいました」
俺だけではなく、三人もとても満足してくれたようだ。
しかし、三人が食事を終えたものの、ナイルさんたちはいまだ戻ってこない。
「しかし、リドル殿と関われば関わるほど、ブリード家の次期当主とは違うのだと思わされるな」
ここでガズンさんから、何故か俺の実家のブリード家の話題が飛び出した。
ちなみに屋敷に来る途中で聞いたのだが、三人も、俺が追放されたことは知っているらしい。
まぁ、追放された直後から話題になっていたからな。
「ブリード家の次期当主って、アヴィドのことですか? あいつ、何かしたんですか?」
俺が弟について問い掛けると、ガズンさんは渋面になりながら答えてくれる。
「どうにも、ブリード領にある各地の冒険者ギルドで、問題を起こしているようなのだ」
「えぇっ⁉ いったいどうしてそんなことに?」
「ブリード家ってよ、スキルを授かったら本来、一人で従魔をテイムしに行くんだろ?」
「そのアヴィドって子は、冒険者に依頼を出して一緒にテイムしに行こうとしているみたいなの」
オルフェンさんとミシャさんの説明を聞き、俺は父上が何やら話をしていたことを思い出した。
「あー……確か、最低でも中型魔獣を一人でテイムできるだけの力がなければ、ブリード家当主にはなれないとか、なんとか。そんな話がありましたね」
俺は昔から家での待遇が悪かったので詳しい話は知らないのだが、そんな話を聞いたことがある。
「だがアヴィドは先ほども言った通り、冒険者ギルドに依頼を出していて、しかもそのギルドでもトラブルを起こしているのだ」
改めてガズンさんが説明してくれ、俺は納得したように頷く。
「たぶんですけど、中型ではなく、大型魔獣を一人でテイムしろとか言われた可能性がありますね。『上級テイム』を授かったアヴィドは、俺の反動もあって父上の期待が大きいんだと思います」
大型魔獣ともなれば、冒険者が集団で狩るような凶暴な魔獣が多い。
それを一人で、さらにただ狩るのではなくテイムするとなれば、より難度は上がるはずだ。
だからこそ冒険者ギルドで依頼を出し、冒険者に協力してもらおうと考えているのだろう。
父上が市井のことに興味がないのはアヴィドも知っているだろうし、父上にはバレないと思っているのかもしれない。
父上も父上なら、アヴィドもアヴィドだ。
言いつけを守らないなら守らないなりに、やりようがあるだろう。
「なんだか、お騒がせして申し訳ございません」
正直なところ、俺はブリード家を追放された身だ。気にする必要はどこにもないと思う。
だけど、父上やアヴィドが誰かに迷惑を掛けている、それがお世話になっている人に関わる人であれば、謝罪はしておくべきだと思ってしまった。
「どうしてリドル殿が謝るんだ?」
「面倒ごとを起こしているのは、そのアヴィドって奴だろう?」
「リドル君は気にしちゃダメだよ」
しかしガズンさんたちはそう言ってくれ、俺は少しだけ心が軽くなる。
「……ありがとうございます」
お礼を口にした俺は、このままここにいてもガズンさんたちが暇を持て余すと考え、一つの提案を口にする。
「せっかくリディアルまで足を運んでくださったわけですし、ちょっと魔獣狩りにでも行ってみませんか?」
魔の森には、強い魔獣が比較的多く生息している。
冒険者といえば、魔獣の素材の売却も稼ぎの一つだろうし、上手く素材を持ち帰ることができれば、ガズンさんたちの懐の足しになるのではないかと考えたのだ。
「俺たちは構わないが、いいのか?」
「リドルはここの領主だろう?」
「忙しいんじゃないの?」
ガズンさんたちから心配の声が上がったが、俺は苦笑しながら答えた。
「俺の仕事には、レオやルナと一緒に森に入っての魔獣狩りもありますからね。村のことは基本、ナイルさんにも任せてありますし。魔の森の魔獣は強いですから、皆さんの生活の足しになるかなと思ったんです。どうですか?」
俺がそう続けると、ガズンさん、オルフェンさん、ミシャさんは一度顔を見合わせたあと、大きく頷いてくれた。
「案内を頼めるだろうか」
「レオとルナの実力も見てみたいしな!」
「よろしくね、リドル君!」
「それじゃあ、念のためナイルさんたちにも行き先を伝えておきましょう」
そう口にした俺たちは、屋敷を出てすぐ隣にあるナイルさんの屋敷へ向かう。
到着してすぐに扉をノックして声を掛けると、中から足音が近づいてきた。
「はーい! あっ、リドルだ! どうしたの?」
出迎えてくれたのは、ナイルさんの一人娘であるティナだった。
「こんにちは、ティナ。ちょっと森まで行こうと思って、ナイルさんに報告しに来たんだ」
「そうなんだ! お父さん、呼んでこようか?」
「ううん。伝えてくれるだけでいいよ。俺たちはそのまま森に向か――」
「リドルくううううん‼」
俺が「森に向かう」と言おうとしたところで、屋敷の奥から女性の声が響いてきた。
「はぁ。どうしたんですか、アニータさん?」
奥の部屋から姿を現したのは、自称天才魔導具師のアニータさんだ。
魔導具師とは、魔導具の開発をする人のことで、彼女の魔導具には、魔獣が襲来してきた時にとても助けられた。
彼女は本当に天才魔導具師だが、言動が色々と残念なので、あえて自称と言わせてもらっている。
アニータさんは俺をじっと見つめて口を開く。
「森に行くって聞こえたわよ!」
「えっと、まあ、はい。行きますけど?」
「魔導具に使えそうな素材の確保、よろしくね!」
そうウインクをしながら口にしたアニータさんは、踵を返して屋敷の奥へと姿を消してしまった。
ガズンさんたちはその様子を見て、呆気に取られていた。
「……なんだったのだ、今のは?」
「……魔導具って言ってたし、魔導具師なんじゃねぇか?」
「……領主相手に、すごい態度だったわね」
確かに、ミシャさんが言ったように領主に対しての態度ではないよな。
でもまあ、あれがリディアルでの普通なわけで、俺も特段文句を言うつもりはない。
……素材を確保するかどうかは別としてね。
「とりあえず、行きましょうか」
気を取り直した俺は、振り返りながらガズンさんに声を掛けた。
「いいのか?」
「大丈夫です。レオとルナもよろしくな」
「ガウ!」
「ミー!」
レオとルナからも元気な返事をもらえたところで、そのまま屋敷を出ようとする。
「気をつけてね、リドル!」
「あぁ! 行ってくるよ、ティナ!」
最後まで見送ってくれたティナに手を振りながら、俺たちは魔の森へと向かった。
魔の森の魔獣は強いものの、村の周囲に関しては正直、そこまで強い魔獣はいないと思っている。
レオとルナと一緒に定期的に魔獣狩りをしているのだが、二匹が警戒するような魔獣には、村の周辺では出会ったことがないからだ。
ガズンさんたちがどれだけ強いのかは分からないが、様子を見ながらなら、多少森の奥に入っても大丈夫だろう。
そんなことを考えながら歩いていると、先頭を進んでいたレオとルナが立ち止まる。
「……どうやら魔獣を発見したようです」
レオとルナの様子からガズンさんたちに伝えると、彼らは驚きの表情をしていた。
「……どうしたんですか?」
「いや、マジで? 俺の索敵範囲にはまだ引っ掛かってないんだけど?」
特に驚いた表情をしていたオルフェンさんが声を掛けてきた。
「そうだと思います。だよな、レオ?」
「ガウアッ!」
俺の問い掛けにレオが元気よく返事をしたので、ガズンさんたちはすぐに臨戦態勢を整える。
三人を見てみると、ガズンさんは腰に提げていた大剣を、オルフェンさんは短剣を、そしてミシャさんは杖を構え始めた。
この世界の冒険者がどのような戦い方をするのかは分からないけど、武器から察するに、ガズンさんが前衛、オルフェンさんが中衛、ミシャさんが後衛って感じかな。
「……おいおい、マジで来たぞ! こっちに向かってすごい勢いで近づいてきてる! あと五秒もしたら見えるぞ!」
おぉ、すごいな、オルフェンさん。
レオとルナは魔獣だから、同じ魔獣の気配を感じ取れていても不思議じゃないけど、人間のオルフェンさんも何かしらの手段で魔獣との距離を正確に把握しているようだ。
「…………見えたぞ! ミシャ!」
「はいはーい! アイスショット!」
ガズンさんが叫ぶと同時に、ミシャさんが杖を振り上げる。
すると、杖の先端にはめられている青色の宝玉が光を放ち、その上空に氷の塊が現れた。
「おぉっ! これはもしかして、魔法!」
俺が感動の声を上げていると、ミシャさんが杖を振り下ろした。
「いっけー!」
同時に氷の塊が、見えてきた魔獣めがけて飛んでいく。
近づいてきていたのは鹿に似た中型魔獣、ワイルドディアだ。
額から生えた巨大な二本の角で敵を薙ぎ払い投げ飛ばす魔獣で、強靭な脚力も備えている。
氷の塊は、そんなワイルドディアの眉間に命中し、止まりはしなかったが、突進の勢いがやや減退した。
「オルフェン、いくぞ!」
「あいよ!」
直後、ガズンさんとオルフェンさんが前に出た。
中衛だと思っていたオルフェンさんが一番前に飛び出すと、華麗な身のこなしでワイルドディアの右の前足と後ろ足を、すれ違いざまに短剣で切りつける。
『ギャルフフゥゥッ⁉』
傷を負ったことで右側にバランスを崩したワイルドディアは、そのまま地面に跡を残しながら転がっていく。
そこへ大剣を上段に構えたガズンさんが飛び掛かると、一気に振り下ろす。
「うおおおおおおおおっ‼」
――ザシュッ!
鋭く振り下ろされた大剣によって、ワイルドディアの首が一振りで切り落とされた。
「……おぉ……おおっ! すごいですね、皆さん‼」
冒険者の戦い方を初めて目の当たりにした俺は、思わず歓喜の声と共に拍手を送った。
「どーよ、俺たちの連係は!」
「ワイルドディア、仕留めたりー! ってね!」
「あまり調子に乗るなよ。すぐに解体をするぞ」
ドヤ顔のオルフェンさんとミシャさんを諫めながら、ガズンさんは手際よくワイルドディアの解体を始めていく。
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