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第1章:異世界転生
新しいスキルとつるはし
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あまりの近さに顔を若干引いてしまったものの、指摘すると悪いのでそのままの体勢で確認をする。
「な、なんか、空間収納ってスキルが、出てきたんです」
「空間収納? ……聞いたことがないわね」
「そうなんですか? でも、この感じだと……」
先ほど話に出ていた空間魔法の一種ではないだろうか。
マンガやラノベとかでも、収納と名の付くものは大抵なんでも入ったわけだし。
「空間収納スキルは……うげー、スキルポイントが足りないなぁ」
「いくつ必要なんだ?」
「……15ポイント。さっき重力制御スキルで12使ったから残りが6ポイントしかないんだよ」
最低でも二回のレベルアップが必要になりそうだ。
「仕方ない、こいつらは諦めるか」
「いいの?」
「あぁ。木材があればいつでもどこでも作れるし、その時に空間収納を習得していたら、そいつを持ち運びしたらいいからな……愛着もあってもったいないけど」
そう、こいつらは俺が木材加工スキルを習得して一番最初に作った作品なのだ。
スキルレベルが1の時だったから未熟も未熟な作品だけど、やっぱり最初の作品には愛着が湧いてしまう。
「……レ、レベル上げに、付き合ってやってもいいぞ?」
「でも、時間が掛かるんじゃないのか? 最低でも二回のレベルアップが必要なんだが」
「10から12なら、それほど時間も掛からないわよ。それに、アマカワをセルジュラーダに連れていくって約束だものね」
リリアーナ、マジで優しいなぁ。
だけど、それなら早速行動に移すべきだな。
約束を守ってくれるのは本当にありがたいけど、それはリリアーナの時間を貰ってるってことでもあるんだし。
「ありがとう。それじゃあ、早速森の中に行ってくるよ!」
「ちょっと、一人で行く気?」
「そうだけど……もしかして、一緒に来てくれるのか?」
「一緒にいるんだもの、そりゃ行くわよ」
そ、そこまでしてもらっていいのだろうか。俺にバチが当たったりしないだろうか。
「……それに、離れたくもないし?」
「えっ、何か言いましたか?」
「な、ななな、なんでもないわよ! ほら、さっさと行きましょう!」
「……? そ、そうだな、ありがとう」
よく分からないが、やっぱりリリアーナも時間がないんだろう。
俺はナイフを持ってすぐに森の中へ入っていった。
レベル上げがメインだけど、つるはしを使ってみたいというのも本音なので、とりあえずは岩場を目指すことにした。
今回はでか兎やでか豚を積極的に狩っていく。
そんなすぐにレベルが上がるわけではないので、見つけ次第片っ端から狩る、狩る、狩る。
途中、リリアーナが声を掛けてきたのだがでか蛇を見つけたこともあり、俺は一目散に駆け出して首を落としてしまった。
「よし! これで蛇革の小物が作れるぞ!」
「……なんだか、おかしなものを見てる気分よ」
そんな呟きが聞こえてきたが、意味が分からずに俺はその場で蛇の皮を剥いでいく。
必要な量だけを鞄に入れて、再び岩場へと向かう。
「──よし、ここですよ、ここ!」
「……なるほど、確かに鉱石が眠っているようね」
「リリアーナも採掘スキルを持っているのか?」
「一応、採取系統のスキルはスキル書を使って習得したわ。こっちの系統は値段も比較的安価だからね」
ふむふむ、系統によっては値段がはね上がる、ということか。
そう考えると、リリアーナが言うようにスキルをポイントで習得できる事実こそが、賢者と言われても不思議ではないかもしれないな。
「さーて、それじゃあ試してみますか!」
俺はナイフを鞘に戻して、肩から下げていたつるはしを両手で構える。
採掘スキルのおかげで、この辺にあるという感覚を信じてピックを岩場へ叩きつけた。
──ドゴンッ!
「いえあっ!?」
すると、一発で大穴が空いてアースレイロッグがゴロゴロと転がり落ちてきた。
その量は俺の両手では抱えきれないほどの量で、さすがにこれらを置いて去るというのは考えられない。
「……ほ、本格的に、レベル上げが必要になりましたねー」
「……」
「……あれ、リリアーナ?」
「……」
なぜだろう、アースレイロッグを見つめたまま固まってしまい、反応がないんだが。
「……おーい、リリアーナー。……リリアーナ!」
「はっ! ……あ、あぁ、ごめんね、アマカワ」
「いや、いいんだけど、どうしたんだ?」
「……そっか、そうよね。うん、知らなくて当然なのか」
いや、そんな独り言みたく言われても何が何やら分からないんだけど。
「アマカワ、この鉱石がなんだか知ってる?」
「アースレイロッグだろ? 鑑定スキルで名前は分かってるよ」
「そう、やっぱりそうなのね」
「……もしかして、これって!」
俺が全てを告げる前に、リリアーナは頬をひくつかせながらはっきりと教えてくれた。
「アースレイロッグは──超一級品の鉱石なのよ!」
……えっと、俺はそんな高価な鉱石でつるはしのピックと鍋を作っちゃったみたいです。
「な、なんか、空間収納ってスキルが、出てきたんです」
「空間収納? ……聞いたことがないわね」
「そうなんですか? でも、この感じだと……」
先ほど話に出ていた空間魔法の一種ではないだろうか。
マンガやラノベとかでも、収納と名の付くものは大抵なんでも入ったわけだし。
「空間収納スキルは……うげー、スキルポイントが足りないなぁ」
「いくつ必要なんだ?」
「……15ポイント。さっき重力制御スキルで12使ったから残りが6ポイントしかないんだよ」
最低でも二回のレベルアップが必要になりそうだ。
「仕方ない、こいつらは諦めるか」
「いいの?」
「あぁ。木材があればいつでもどこでも作れるし、その時に空間収納を習得していたら、そいつを持ち運びしたらいいからな……愛着もあってもったいないけど」
そう、こいつらは俺が木材加工スキルを習得して一番最初に作った作品なのだ。
スキルレベルが1の時だったから未熟も未熟な作品だけど、やっぱり最初の作品には愛着が湧いてしまう。
「……レ、レベル上げに、付き合ってやってもいいぞ?」
「でも、時間が掛かるんじゃないのか? 最低でも二回のレベルアップが必要なんだが」
「10から12なら、それほど時間も掛からないわよ。それに、アマカワをセルジュラーダに連れていくって約束だものね」
リリアーナ、マジで優しいなぁ。
だけど、それなら早速行動に移すべきだな。
約束を守ってくれるのは本当にありがたいけど、それはリリアーナの時間を貰ってるってことでもあるんだし。
「ありがとう。それじゃあ、早速森の中に行ってくるよ!」
「ちょっと、一人で行く気?」
「そうだけど……もしかして、一緒に来てくれるのか?」
「一緒にいるんだもの、そりゃ行くわよ」
そ、そこまでしてもらっていいのだろうか。俺にバチが当たったりしないだろうか。
「……それに、離れたくもないし?」
「えっ、何か言いましたか?」
「な、ななな、なんでもないわよ! ほら、さっさと行きましょう!」
「……? そ、そうだな、ありがとう」
よく分からないが、やっぱりリリアーナも時間がないんだろう。
俺はナイフを持ってすぐに森の中へ入っていった。
レベル上げがメインだけど、つるはしを使ってみたいというのも本音なので、とりあえずは岩場を目指すことにした。
今回はでか兎やでか豚を積極的に狩っていく。
そんなすぐにレベルが上がるわけではないので、見つけ次第片っ端から狩る、狩る、狩る。
途中、リリアーナが声を掛けてきたのだがでか蛇を見つけたこともあり、俺は一目散に駆け出して首を落としてしまった。
「よし! これで蛇革の小物が作れるぞ!」
「……なんだか、おかしなものを見てる気分よ」
そんな呟きが聞こえてきたが、意味が分からずに俺はその場で蛇の皮を剥いでいく。
必要な量だけを鞄に入れて、再び岩場へと向かう。
「──よし、ここですよ、ここ!」
「……なるほど、確かに鉱石が眠っているようね」
「リリアーナも採掘スキルを持っているのか?」
「一応、採取系統のスキルはスキル書を使って習得したわ。こっちの系統は値段も比較的安価だからね」
ふむふむ、系統によっては値段がはね上がる、ということか。
そう考えると、リリアーナが言うようにスキルをポイントで習得できる事実こそが、賢者と言われても不思議ではないかもしれないな。
「さーて、それじゃあ試してみますか!」
俺はナイフを鞘に戻して、肩から下げていたつるはしを両手で構える。
採掘スキルのおかげで、この辺にあるという感覚を信じてピックを岩場へ叩きつけた。
──ドゴンッ!
「いえあっ!?」
すると、一発で大穴が空いてアースレイロッグがゴロゴロと転がり落ちてきた。
その量は俺の両手では抱えきれないほどの量で、さすがにこれらを置いて去るというのは考えられない。
「……ほ、本格的に、レベル上げが必要になりましたねー」
「……」
「……あれ、リリアーナ?」
「……」
なぜだろう、アースレイロッグを見つめたまま固まってしまい、反応がないんだが。
「……おーい、リリアーナー。……リリアーナ!」
「はっ! ……あ、あぁ、ごめんね、アマカワ」
「いや、いいんだけど、どうしたんだ?」
「……そっか、そうよね。うん、知らなくて当然なのか」
いや、そんな独り言みたく言われても何が何やら分からないんだけど。
「アマカワ、この鉱石がなんだか知ってる?」
「アースレイロッグだろ? 鑑定スキルで名前は分かってるよ」
「そう、やっぱりそうなのね」
「……もしかして、これって!」
俺が全てを告げる前に、リリアーナは頬をひくつかせながらはっきりと教えてくれた。
「アースレイロッグは──超一級品の鉱石なのよ!」
……えっと、俺はそんな高価な鉱石でつるはしのピックと鍋を作っちゃったみたいです。
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