異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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ランキング対策

念願の

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 その後、戻ってきたアルバスに対してもソロでダンジョンの下層まで潜ることは禁止となった。
 軽い返事だけで終わらせようとしたアルバスだったが、廻の真剣な眼差しを受けて誤魔化すことができず、渋々了承するしかなかった。
 そうなるとロンドもソロでは五階層までしか潜れず、アルバスも同じとなれば六階層より深いモンスターのレベル上げは他の冒険者に委ねられることになる。
 あと三日でダンジョンランキングが更新されることもあり、廻は今まで以上に頭を下げながら冒険者達にダンジョンに潜ってもらえるようお願いをし続けた。
 そしてその日の夜──念願の来訪者が訪れた。

「おかえりなさい、カナタ君! トーリ君! アリサちゃん!」
「ただいま戻りました」
「ようやく着いたな」
「楽しい道のりだったねー」

 場所は換金所である。アルバスと一緒になって冒険者をさばいている中で、ロンドからカナタ達の到着が報告されたのだ。
 それぞれが感想を口にする中、同行していた大工のジレラ夫妻は廻の容姿を見て驚いていた。

「……えっと、君が経営者様なのかい?」
「……ちょっとあなた! その言葉遣いは!」
「全然普通で構いませんよ!」
「「……は、はぁ」」

 廻と出会った誰もが通る道をジレラ夫妻も通り、自己紹介が行われた。

「俺はボッヘル・ジレラ、です。大工をしてます」
「私はリリーナ・ジレラです。私も旦那と同じで大工をしています」
「私は三葉みつばめぐると言います。お二人をお待ちしていました!」

 ウキウキ気分の廻は、その場にいたアルバスとアークスも紹介した。

「俺は換金所の管理人だ」
「それでいてカナタ君達の師匠でもあります!」
「仮のな」
「ちゃんとやってくださいねー」

 久しぶりに二人のやりとりを見たカナタ達は苦笑を浮かべる。

「俺は鍛冶師をしてます。皆さんと同じで最近移住してきました」
「おっ! そうなんだな。新参者同士よろしく頼むよ!」
「よろしくお願いしますね」

 移住組が握手を交わすと、挨拶もそこそこにアルバスが口を開いた。

「それでだ。疲れているところ申し訳ないんだが、大工の二人には明日から早速仕事をしてもらいたい」
「い、いきなりだな」
「何かあるのですか?」
「……ちょっと問題がありまして」

 怪訝な表情を浮かべるジレラ夫妻に対して口を開いたのはアークスだった。

「すいません。その問題って、俺のせいなんです」

 そしてジーエフが陥っている状況について説明がなされると、ジレラ夫妻は憤慨したようでアークスの手を再び握った。

「そんな経営者がいる都市なんて出てきて当然だ! 俺でよかったら力になるぞ!」
「私も微力ながら協力いたしましょう」
「あ、ありがとうございます!」

 自分達も経営者に目をつけられたことで都市を出てきたんだと理由を説明し、お互い頑張ろうと話をしていた。
 廻はアルバスに声を掛けると、移住の手続きをする為に経営者の部屋マスタールームへ移動した。

 ※※※※

 カナタ達が戻ってきたことを知っていたニャルバンは、廻が来ることを今か今かと待ちわびていた。

「メグル! カナタ達が戻ってきてくれてよかったにゃ!」
「本当だよー。大工さんを二人も連れてきてくれたし、これなら二〇階層まで深くしたオレノオキニイリにも負けないわね!」
「それは分からないのにゃ」
「……ニャルバンって現実主義なのね」

 ジト目を向ける廻にニャルバンは首を傾げているが、こんなことをしている時間も勿体無いと悟り廻は単刀直入に目的を告げることにした。

「早速なんだけど、五人を移住させましょう」
「準備できてるのにゃ! これが移住申請の用紙なのにゃ!」
「すごい! もう五枚とも準備しているのね!」
「えへへ、ありがとうだにゃ」

 頬を掻きながら照れているニャルバンに笑みを浮かべながら、廻は大事に五枚の移住申請用紙を受け取った。

「それじゃあ、また換金所に戻るね!」
「いってらっしゃいなのにゃ!」

 忙しなく移動を繰り返す廻を見送り、ニャルバンも笑みを浮かべる。

「こんな働き者の経営者はいないのにゃ」

 ジーエフが大きな都市になる日を夢見るニャルバンだった。

 ※※※※

 移住申請用紙への記入は恙無く行われた。
 五人は全員が経営者から移住の許可をもらっていると聞いていたアークスは少し落ち込んでいたが、廻はこれで二杉に負けるはずがないと声を掛けて励ましていた。
 あとは移住申請用紙を再び経営者の部屋に持っていき処理を終わらせるだけなのだが、換金所に待たせ続けるのも悪いと思い泊まる場所を決めることにした。
 宿屋は満室になっており、ジレラ夫妻はニーナの家に泊まることになった。
 カナタとトーリはアルバスの家、アリサは女性ということでポポイの家に泊まる。
 家が建てばそれぞれの家に帰ることになるのだが、ここで一つの問題が発覚した。

「ところで、ここは砂漠のど真ん中だが材料はどこにあるんだ?」

 ボッヘルの何気ない質問に、廻は顔を青ざめてしまう。
 大工がいれば家が建つわけではない。必要な材料を調達するところから始まるのだ。

「ど、どどどど、どうしましょう!」
「いや、それはさすがに俺でもどうしようもないぞ」

 いつも何かしら助言をくれるアルバスに慌てて声を掛けたのだが、アルバスでもできないことはある。
 そして材料がなければジレラ夫妻もどうしようもない。

「……あぅぅ、とにかく移住申請用紙をニャルバンに届けてきます」
「……何か特典でも貰えることを祈ってるぞ」
「本当に、本当に強く祈っててください! 私も祈りながら渡してきますから!」

 泣きそうになる気持ちを抑えながら、廻は再び経営者の部屋へと戻っていった。

「毎回こんな感じなのかい?」
「あぁ、すまないな」
「ですが何故でしょう、憎めませんね」

 リリーナの言葉通り、ボッヘルも同じことを思っていたようで大きく頷いている。

「これなら俺も楽しく仕事ができそうだ!」
「本当ですね」

 ジレラ夫妻が感じた廻の印象は好感触だった。
 その様子を見ていたアルバスは表情には出さなかったが、内心ではホッとしていた。

 ※※※※

 ニャルバンに移住申請用紙を手渡した廻は、有効活用できる特典が出てこないかと強く祈っていた。
 今までも度々あった特典なのだが、その種類は二つに分けられている。
 都市を豪華に見せるオブジェクトか、経験値の実。
 廻が待望しているレアガチャチケットは一向に出てこないので怒り心頭なのだが、今回はレアガチャチケットよりも家を建てる為の材料が欲しいと思っていた。

「……そもそも、材料が手に入る特典ってあるのかしら?」

 材料が手に入るなら家をプレゼントしてくれた方が嬉しいかも、と飛躍した考えをしているとニャルバンが笑顔で戻ってきた──それも興奮気味で。
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