異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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「メ、メグル! やったのにゃ!」
「なになに? 何か良い特典でも貰えたの?」
「色々貰えたけど、一番はこれなのにゃ!」

 ニャルバンが最初に手渡してくれたもの、それは金色に輝くチケットが二枚。
 廻はごくりと唾を飲み込むと、恐る恐る手に取り表面に書かれた文字を確認する。

「……嘘、マジで、本当に、レアガチャチケットってことなの!」
「その通りなのにゃ!」
「ひゃっほーっ! ねえねえ、色々って言ってたけど、他には何があったの?」

 レアガチャチケットを早く使いたいのは山々なのだが、その気持ちを必死に押さえ込んで廻はまず特典で手に入った物を確認することにした。

「経験値の実やオブジェクト、それに大工が移住したことで家を建てる為の材料が手に入ったのにゃ!」
「まさに今欲しい物ばかりじゃないのよ!」

 レアガチャチケットに家の材料、さらに経験値の実まであるとなれば住居とモンスターのレア度、そしてレベルアップまで可能である。
 あまりにも一気に欲しい物が手に入ってしまったので廻は何から手をつけていいのか分からなくなっていた。

「まずはガチャかしら? でもでも二枚あるから落ち着いてガチャしたいわねー。だったら換金所に戻って報告かな? あっ、そういえばカナタ君達を待たせたままだった! 先に材料が手に入ったことを知らせなきゃだね!」
「その方がいいと思うのにゃ」
「そうだね! ニャルバン、本当にありがとう!」
「僕は何もしていないのにゃ」
「またまたー。すぐに戻ってくるから、またね!」

 本日何度目になるか分からなくなった移動を繰り返し、換金所に移動した廻。

「嬉しいのは分かるけどにゃー。少しは落ち着いてほしいのにゃー」

 そう言っているニャルバンの表情も笑顔だった。

 ※※※※

 戻って早々に廻は口を開いた。

「色々と手に入りましたよ! ひゃっほー!」
「おう、分かった。とりあえず色々じゃ分からんから落ち着け」
「むふふ、むふふーっ!」
「……こりゃダメだ」

 頭を抱えてしまったアルバス。
 その様子を眺めていた移住組はぽかんとしている。
 廻はというと嬉しさを堪えようとしてプルプルと震えているのでいまだ落ち着いていないことが一目瞭然だ。
 その後、一〇分以上何も報告できない時間が続き、ようやく落ち着きを取り戻した廻が一つずつ、ゆっくりと口に開いた。

「ま、まずはですね! ボッヘルさん!」
「んっ? なんだい?」

 ここまでの様子を見ていたボッヘルは廻に対する態度に一定の線引きを引いてフランクに応えている。
 リリーナも特に指摘することはなく次の言葉を待っていた。

「家を建てる材料が手に入りましたよ!」
「おおっ! こんなにもすぐに手に入るなんて、経営者様は違うんだな!」
「大工さんが移住してくれたからって言ってましたから、次からはちゃんと調達しないといけないかもしれませんが、とりあえずは問題なさそうです!」
「これでお仕事ができますね、あなた」
「久しぶりの大きな仕事だからな! 腕がなるぞー!」

 意外にも熱い男であったボッヘルにカナタ達が苦笑している。
 廻は次にアルバスに向き直って報告を続けた。

「そしてそして! レアガチャチケットが手に入りましたよ!」
「……なんだそりゃ?」
「なんだそりゃって、それは……あー、そっか。ガチャは私にしかできないんですもんね」

 アルバスの素っ気ない返事を聞いて一気に落ち着きを取り戻した廻。
 冷静になれたのはよかったのだが、何故だか釈然とせず頬を膨らませてしまった。

「分からんものは分からん。説明しろ……って、ガチャ? ガチャって、モンスターが手に入るあのガチャか?」
「そうですよ! 何度か話もしてたじゃないですか!」
「いや、いきなり言われたら分かんねえよ。それで、そのチケットがどうしたんだ?」
「レア度の高いモンスターが確定したチケットなんです! レアなガチャチケットなんですよ!」

 そこまで説明を受けて、その貴重性を理解したアルバスは顎に手を当てて考え始めた。

「そのチケットは何枚あるんだ?」
「なんと二枚ですよ!」
「レア度の高いモンスターって言ってたが、実際にはどのレア度が出るんだ?」
「それは! ……あれ、どうなんだろう?」
「分からねえのかよ!」

 レアガチャチケットと聞いて喜んでいたが、実際にどのレア度が出るのかは聞いていなかった。
 考えても廻では答えを出せないので、後でニャルバンに聞いてみると伝えると、アルバスが口を挟んできた。

「その時は俺も連れて行け」
「いいですけど、どうしてですか?」
「すぐにモンスターの配置や階層についての話をしたいからな」
「……確かに、時間はないですもんね」
「そういうことだ。なのにお前は浮かれやがって!」
「し、仕方ないじゃないですか! こんな凄いことが起きたら誰だって浮かれますよ!」
「……あのー」

 二人の言い合いをただ眺めていた移住組を代表してアークスが声を掛ける。

「すいません、俺達はどうしたらいいですかね?」
「……ご、ごめんなさい! そうだよね、ここに立たせたままじゃ疲れちゃうよね! と、とりあえず泊まる家に行きますか? それとも腹ごしらえしますか?」
「腹ごしらえだな!」
「もう、あなたったら。でも、確かにお腹は空きましたね」
「ニーナさんの料理はとても美味しんですよ!」
「そうなのね。アリサちゃんが言うなら間違い無いわね」
「家で出た料理よりも美味しかったな」
「貴族の料理も大したことなかったんだよなー」
「……カナタは一言多いんだよ!」

 一気に喋りだしたカナタ達に今度は廻がぽかんとしていたが、この楽しい雰囲気が好きだと改めて実感することができた。
 ここからアルバスとアークスが抜けることは許されない。絶対に守るのだと、心の中で強く決意する。

「……とりあえず食堂だな。その後に経営者の部屋マスタールームに行くとするか」
「はい!」

 カナタ達を食堂に連れて行くと、机の合間をロンドが駆けずり回っていた。
 その様子を見てアークスも手伝うと言い出してロンドに声を掛けている。
 カナタ達とジレラ夫妻には食事を楽しんでもらう為に空いている席に腰掛けてもらい、廻が注文を受けてニーナに声を掛けていた。
 アルバスはというと、できあがっている冒険者から声を掛けられてその相手をしている。自身が酒を飲むわけではなく、ただ相手をしているだけだ。
 この後のことを考えてなのかもしれないが、これがアルバスにとっての手伝いだった。
 酔った冒険者が廻やロンドに絡まないよう相手をして、さらに問題を起こしそうな冒険者がいれば一言声を掛けて軽い脅しをかける。
 ニーナしか気づいていなかったが、アルバスも実は自分にしかできないことをやっていたのだ。

 廻とアークスが手伝い始めてから一時間くらいが経った時に注文も落ち着いてきた。
 食堂の様子を見ていたアルバスは立ち上がって廻に声を掛ける。

「今なら大丈夫じゃないか?」
「うーん、そうですねぇ……ニーナさん、私が出ても大丈夫そうですか?」
「えぇ、これくらいなら大丈夫ですよ。大事な用があるのでしょう、いってらっしゃい」
「すみません、ポチェッティノさん」
「気にしないでください。メグルさんのことをよろしくお願いしますね」

 いつもの笑顔でそう言ってくれたニーナに甘え、廻はアルバスとともに経営者の部屋に移動した。

 ※※※※

 移動早々、廻はニャルバンが用意してくれた冷えた水を一気に飲み干した。

「…………ぷはーっ! 生き返るわー!」
「アルバスも飲むといいにゃ」
「後でな。まずは小娘が言っていたチケットのことだ」
「レアガチャチケットかにゃ?」

 そこでアルバスからニャルバンにレア度についての質問が飛ぶ。

「どのレア度が出るのか分かるのか?」
「最低でもレア度3、最高でレア度5が出るのにゃ!」
「最低でも3なのね! ここでレア度4とか5が出たら、絶対にオレノオキニイリに勝てるわよ!」
「出たらな。小娘の運じゃあ厳しいんじゃないか?」
「酷い! 絶対にレア度4か5を出してみせるんだから!」
「確率はレア度3の方が出やすいから、あまり絶対とか言わない方がいいのにゃ」
「……だからニャルバンは現実主義なのね」

 溜息をつきながらニャルバンにジト目を送る廻だったが、特に気にした様子もないので仕方なくレアガチャチケットを取り出した。

「いいですか? 引きますよ? 見ていてくださいね?」
「さっさと引け」
「……分かりましたよ! オープン!」

 金色のレアガチャチケットは、金色の光の粒子に変わっていくと目の前に六芒星の魔法陣を描いていく。
 ノーマルガチャだと白から青、青から黄に色が変化していったのだが、今回は金色の魔法陣のまま弾けてモンスターのシルエットに姿を変える。
 ドキドキしながら一匹目のモンスターがその姿を露わにした。

「レア度3のクイーンピクシーなのにゃ!」
「綺麗なモンスターだね! ……でもレア度3かぁ」
「次のモンスターが何かだな」

 アルバスもガチャの結果を待ちわびている。この結果次第で明日からの動き方も全て変わってくるからだ。
 二匹目のシルエットがその姿を露わにした。

「レア度3のグランドドラゴンなのにゃ!」
「…………またレア度3なの!」

 結局、二匹ともレア度3だったことに廻は頭を抱えてしまった。
 初めてのレアガチャチケットだったのでとても期待していたことは否定できない。せめて一匹はレア度5とは言わないものの、レア度4が出てきてほしいと思っていた。
 そのショックは相当なものだった──ただ、アルバスは違っていた。

「……グ、グランドドラゴンだと?」

 その表情には獰猛な笑みが浮かんでいた。
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