異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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第3章:外の世界

新たな剣

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 アークスの鍛冶屋にはすでにロンドもおり、廻が到着するのを待ってくれていた。

「ごめんね、二人とも!」
「仕事ですから仕方ありませんよ」
「経営者が仕事してる方がおかしいんだけどね」

 笑顔のロンドと苦笑するアークス。
 廻は頬を掻きながら照れ隠しで笑っている。

「と、とにかく! まずはロンド君の剣ですね!」
「あっ、ごまかしましたね?」
「仕事をすることはいいことですよ!」
「な、何を言い合ってるんですか」
「そうだよ! 早く剣を見ましょうよ!」
「はいはい」

 アークスが笑いながら奥にある作業場へと移動する。
 しばらくして、布に包まれた一振りの剣を大事そうに抱えて戻ってきた。

「ライガーの親爪と魔石、それにミスリルを混ぜて作った一品だよ」

 ゴクリと唾を飲み込んだロンドが、ゆっくりと布の包みを外してその姿を顕にする。

「……うわあ! すごくきれいな剣ですね」
「……こ、これが、僕の剣?」
「そのとおりだよ。銘はライズブレイド、等級で表すと二等級品になるだろうね」
「に、二等級品ですか!」
「なにそれ、すごいんですか?」

 驚きの声を上げるロンドとは異なり、廻はそのすごさが分からずに質問を口にする。

「武器の良し悪しは等級で表されるんです。最高の品だと特級、そこから一等級、二等級、三等級、四等級、五等級まであります」
「それじゃあ、二等級は半分より上ってことじゃないですか! すごいよロンド君!」
「……」
「ロンド君?」
「……す、すごすぎますよ! ぼ、僕が持つにはまだ早すぎますって!」

 ロンドが使っていた剣は中古の五等級品。
 それが新品の二等級品ともなれば断りたくなるのも無理はない。
 しかし、これはアークスがロンドの為に打った剣である。ということはロンド以外に使い手はいないのだ。

「ヤニッシュさんに合わせて打ったので、使わないとなると飾る以外にやりようがなくなるんですよね」
「ほ、他にも欲しいと思う人はいると思いますよ?」
「それは鍛冶師の矜持が許しません」
「ぐっ! ……でも、二等級品ですよ? 僕は新人冒険者ですよ?」
「新人って、もう冒険者になってから結構な日数が経ってますよね? それにフェロー様に師事しているわけですから、もう新人って言葉に逃げるのはどうかと思いますよ?」
「に、逃げているわけじゃないですよ!」
「アークスさんも言いますね」

 驚きを口にした廻だったが、内心ではアークスの意見に賛成だった。
 冒険者のことをあまり知らない廻から見ても、今のロンドの実力は高い方だと思っている。それはジーエフにやってきた多くの冒険者と比べてみても変わらない。
 ならば、もう一段階上に行くにはそれ相応の武器は必要になるはずだ。

「ロンド君なら冒険者ランキングでもどんどん上に行けるって信じてるから、この剣を受け取るべきだと思うな!」
「ちなみに今は何位なんだい?」
「……6512位です」
「……それって、低くない?」

 ダンジョンランキングに関してはニャルバンから話を聞いている廻だったが、冒険者ランキングに関しては全く分からない。
 さらに元1位や現1位がいたり、さらに1000位以内の冒険者が周囲に多くいたこともありロンドの順位が低く感じてしまう。

「その順位なら真ん中くらいだね」
「6512位って真ん中くらいなんだ。ってことは、冒険者って10000人以上いるってこと! 競争率高すぎないかな!」

 冒険者の人数は徐々にではあるがいまなお上昇を続けている。
 徐々に、というのは命のやり取りをしている冒険者であることも原因の一因となっていた。

「だけどヤニッシュさんの歴でその順位は相当上にいると思うよ。同期の中ではトップなんじゃないかな」
「そうなんだ! ロンド君、この勢いでトップを取っちゃいなさいよ!」
「む、無理ですよ! それに僕以上に優秀な同期の冒険者はいますからね!」

 謙遜するロンドだが、実際にはアークスの言葉が正しかった。
 ロンドと同期、そして同年代と比べてもその実力は抜きん出ており、それがランキングに反映されている。
 誰がどのように決めているのかは分かっていないものの、冒険者達はランキングを素直に受け止めておりとても重視していた。

「だけど、自分で新人って言っていて真ん中の順位なら本当にすごいことだと思うよ! やっぱりロンド君がこの剣を使うべきだよ!」
「……アークスさん、本当にいいんですか?」
「ヤニッシュさんが使わなかったら、ライズブレイドは本当に飾るだけの剣になってしまいますから使って欲しいですね」
「……あ、ありがとうございます!」

 頭を深く下げてお礼を口にするロンドはとても高揚していた。
 ロンドの中では徐々に装備を整えていく予定だった。それも廻と契約する前の話だ。
 それが廻と契約したことでアルバスに師事することができ、アークスと出会い、そして二等級品のライズブレイドを手にしている。
 ロンドが思い描いていた未来予想図からは大きく飛躍した現実に、高揚せずにはいられなかった。

「だけど、一つだけ注意をいいかな」

 そんなロンドに向けてアークスが声を掛ける。

「等級の高い武器を手にしただけで強くなったと錯覚する冒険者は多い。そして、それは新人冒険者により多くみられる傾向が高い。ヤニッシュさんがそうなるとは思わないけど、鍛冶師としてそれだけは忠告させてもらうよ」

 アークスの忠告に、ロンドは内心でどきりとしていた。
 自分ではそのように思っていなくても、心の深層ではそう思ってしまうのも仕方がない。
 だからこそアークスは口にした。ロンドがそのように思っていないと分かっていても、誰にでも錯覚してしまう部分があるというのも分かっていたから。

「……はい、肝に銘じます」
「うん、それでこそヤニッシュさんだ」
「んっ? んっ? ……とりあえず、ロンド君が剣を受け取ってくれたから解決ってことでいいんだよね!」

 アークスの忠告をよく理解していなかった廻は、とにかくロンドがライズブレイドを受け取ってくれたことに安堵していた。
 廻にとって、ロンドの装備が充実することで生き残る確率が上がってくれる。その事実が一番重要な部分だったからだ。

「あの、ライズブレイドをアルバス様に見せてきてもいいですか?」
「もちろんだよ。それと、そっちの剣の使い心地はどうだったかな?」

 そういってアークスが指差したのはロンドに貸し与えていた既製品の剣。

「とても使いやすかったです! それにアークスさんが言っていたみたいにライズブレイドとサイズもほとんど同じですし本当にすごいですね!」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」

 そしてロンドは既製品の剣をアークスに返すと、すぐに換金所へ駆け出していった。

「アークスさん、よかったですね」
「そうだね。それに、俺もこいつをヤニッシュさんに使ってもらえてよかったです」

 ロンドから受け取った剣を鞘から抜いてそう口にするアークス。

「その剣にも何かあったんですか?」
「これかい? これは俺が新しく取り入れている素材を使った剣の一作目なんだ。使い心地も良かったみたいだし、これで本格的に作品へ取り入れられるかな」
「……アークスさんもそつがないですねー」
「せっかくだからねー」

 二人は顔を見合わせると、最後には大声で笑っていた。
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