104 / 195
第三章
第104話:冒険者ギルドのギルマス来店
「聞いたぞ、オルダナ! お嬢さんを取り込んだらしいな!」
「人聞きの悪いことを言うな、バルバス! 俺と嬢ちゃんは手を組んだんだ!」
冒険者ギルドのギルマス――バルバスの言葉に、オルダナは声を大にして反論した。
「同じようなものだろう! 久しぶりだな、お嬢さん!」
「あ、はい。えっと、楓です」
「おっと! 確かに自己紹介がまだだったな! 俺は冒険者ギルドのギルドマスターをしているバルバスだ! よろしくな!」
「よ、よろしくお願いします」
ぐいぐいと話しかけてくるバルバスに、楓はやや押され気味になってしまう。
「おい、バルバス。悪い癖が出てるぞ」
「そうか? まあ、いいじゃないか! 今日の俺は客だからな!」
「え! お客様できてくれたんですか!」
バルバスが客だと口にしたことで、初めてのお客様だと気づいた楓はパッと笑顔を浮かべた。
「オーダーメイドを頼みたい! お嬢さんならできるって、セリシャに聞いてきたぞ?」
「セリシャ様にですか?」
まさかバルバスからセリシャの名前が出てくるとは思わず、楓は問い返した。
「ギルドマスター会議があってな。そこでお嬢さんの話を聞いてみたら、オーダーメイドをしてみたらどうかと勧められたんだ」
「そうなんですね! ありがとうございます!」
ギルドマスター会議がいったいなんなのか気になったものの、今はバルバスを一人の客として見るべきだと頭を切り替え、楓はお礼を口にした。
「いいってことよ! それに、俺もこいつにオシャレな服をプレゼントしてあげたかったからな!」
「……オシャレな服、ですか?」
強面のギルマスからオシャレという言葉が出てくるとは思わなかった楓は、きょとんとした顔で呟いてしまう。
するとバルバスの足元に一匹の従魔がひょこっと姿を現した。
「……ニー?」
「…………か、可愛いいいい~!」
見た目が完全なネコの従魔が、可愛い声で鳴いた。
その美しい純白の毛色も相まって思わず声を上げた楓を見て、バルバスはニヤニヤが止まらない。
「おいおい。おじさんのニヤニヤなんて、誰も求めてねえぞ?」
「うるせえな! 俺のピーチは最高に可愛い従魔なんだぞ!」
「確かにピーチは可愛いが、おじさんのニヤニヤを求めたないって言ってんだよ」
「仕方ないだろう! ピーチが褒められたんだからな!」
「そうですよ! 仕方ないですよ!」
「嬢ちゃんはバルバスの味方かよ!」
「私は従魔の味方です!」
「「そっちかい!?」」
まさかオルダナだけではなく、バルバスからもツッコミを入れられるとは思わなかったが、それでも楓は胸を張って何度も頷く。
「当然です! 私は従魔のために従魔具を作っているんですからね!」
「……面白いお嬢さんだな!」
「まあ、面白いことに違いはねえな」
「どういうことですか!?」
今度は楓がツッコミを入れると、オルダナとバルバスは同時に笑った。
楓たちのやり取りを聞き、ミリーとリディが奥の作業場から顔を出す。
「お客様ですか?」
「うおっ! でかっ!」
「ちょっと、リディ君!」
「あ! やべっ!」
言葉遣いは楓が何度も注意していたことで、リディは思わず口を両手で塞ぐ。
「構わないさ! 確かに俺はでかいからな!」
バルバスは二メートルに迫る身長をしている。
大人の楓から見ても大きいのだから、子供のリディから見たらさらに大きく感じたことだろう。
本当ならきちんと謝らせるところだが、バルバスが全く気にしていないことが分かり、ひとまずはオーダーメイドの話を進めることにした。
「先ほど軽くお話しされていましたけど、オシャレな服を依頼されるということでいいんですか?」
「もちろんだ!」
楓の問いにバルバスは満面の笑みで答えたが、彼女の質問はこれで終わりではない。
「分かりました。それでは次は、ピーチさんに話を聞きたいと思います」
「もちろんだ! ……ん? ピーチに、話を聞く?」
勢いで返事をしたバルバスだったが、その内容に違和感を覚えて困惑の声を漏らした。
「私のサブスキル〈翻訳〉は、従魔の声を聞くことができるんです。なので、ピーチさんにも話を聞いて、お二人の意見がズレていないかを確認し、そのうえでオーダーメイドする従魔具を決めたいと思っています」
楓がサブスキル〈翻訳〉について説明すると、バルバスは目を大きく開き、その視線をカエデからオルダナへ向ける。
「言っておくが、本当のことだぞ? 嬢ちゃんは従魔の声を聞けるんだ」
「……なんだよ、それは。最高じゃないか! ピーチの声を聞けるってことだろ? マジで最高じゃないか!」
同じことを二回繰り返して言うくらいに、バルバスは感動していた。
「ただ、声を聞くには従魔に触れなければならないんです。なので、ピーチさんに触れる許可をいただけますか?」
「もちろんだ! 構わないよな、ピーチ?」
バルバスは念のため、ピーチにも確認を取る。
するとピーチはコクリと頷き、ゆっくりと楓に近づいていく。
「ありがとうございます、ピーチさん。それでは、触りますね」
お礼と共に断りを入れながら、楓はピーチに触れる。
「人聞きの悪いことを言うな、バルバス! 俺と嬢ちゃんは手を組んだんだ!」
冒険者ギルドのギルマス――バルバスの言葉に、オルダナは声を大にして反論した。
「同じようなものだろう! 久しぶりだな、お嬢さん!」
「あ、はい。えっと、楓です」
「おっと! 確かに自己紹介がまだだったな! 俺は冒険者ギルドのギルドマスターをしているバルバスだ! よろしくな!」
「よ、よろしくお願いします」
ぐいぐいと話しかけてくるバルバスに、楓はやや押され気味になってしまう。
「おい、バルバス。悪い癖が出てるぞ」
「そうか? まあ、いいじゃないか! 今日の俺は客だからな!」
「え! お客様できてくれたんですか!」
バルバスが客だと口にしたことで、初めてのお客様だと気づいた楓はパッと笑顔を浮かべた。
「オーダーメイドを頼みたい! お嬢さんならできるって、セリシャに聞いてきたぞ?」
「セリシャ様にですか?」
まさかバルバスからセリシャの名前が出てくるとは思わず、楓は問い返した。
「ギルドマスター会議があってな。そこでお嬢さんの話を聞いてみたら、オーダーメイドをしてみたらどうかと勧められたんだ」
「そうなんですね! ありがとうございます!」
ギルドマスター会議がいったいなんなのか気になったものの、今はバルバスを一人の客として見るべきだと頭を切り替え、楓はお礼を口にした。
「いいってことよ! それに、俺もこいつにオシャレな服をプレゼントしてあげたかったからな!」
「……オシャレな服、ですか?」
強面のギルマスからオシャレという言葉が出てくるとは思わなかった楓は、きょとんとした顔で呟いてしまう。
するとバルバスの足元に一匹の従魔がひょこっと姿を現した。
「……ニー?」
「…………か、可愛いいいい~!」
見た目が完全なネコの従魔が、可愛い声で鳴いた。
その美しい純白の毛色も相まって思わず声を上げた楓を見て、バルバスはニヤニヤが止まらない。
「おいおい。おじさんのニヤニヤなんて、誰も求めてねえぞ?」
「うるせえな! 俺のピーチは最高に可愛い従魔なんだぞ!」
「確かにピーチは可愛いが、おじさんのニヤニヤを求めたないって言ってんだよ」
「仕方ないだろう! ピーチが褒められたんだからな!」
「そうですよ! 仕方ないですよ!」
「嬢ちゃんはバルバスの味方かよ!」
「私は従魔の味方です!」
「「そっちかい!?」」
まさかオルダナだけではなく、バルバスからもツッコミを入れられるとは思わなかったが、それでも楓は胸を張って何度も頷く。
「当然です! 私は従魔のために従魔具を作っているんですからね!」
「……面白いお嬢さんだな!」
「まあ、面白いことに違いはねえな」
「どういうことですか!?」
今度は楓がツッコミを入れると、オルダナとバルバスは同時に笑った。
楓たちのやり取りを聞き、ミリーとリディが奥の作業場から顔を出す。
「お客様ですか?」
「うおっ! でかっ!」
「ちょっと、リディ君!」
「あ! やべっ!」
言葉遣いは楓が何度も注意していたことで、リディは思わず口を両手で塞ぐ。
「構わないさ! 確かに俺はでかいからな!」
バルバスは二メートルに迫る身長をしている。
大人の楓から見ても大きいのだから、子供のリディから見たらさらに大きく感じたことだろう。
本当ならきちんと謝らせるところだが、バルバスが全く気にしていないことが分かり、ひとまずはオーダーメイドの話を進めることにした。
「先ほど軽くお話しされていましたけど、オシャレな服を依頼されるということでいいんですか?」
「もちろんだ!」
楓の問いにバルバスは満面の笑みで答えたが、彼女の質問はこれで終わりではない。
「分かりました。それでは次は、ピーチさんに話を聞きたいと思います」
「もちろんだ! ……ん? ピーチに、話を聞く?」
勢いで返事をしたバルバスだったが、その内容に違和感を覚えて困惑の声を漏らした。
「私のサブスキル〈翻訳〉は、従魔の声を聞くことができるんです。なので、ピーチさんにも話を聞いて、お二人の意見がズレていないかを確認し、そのうえでオーダーメイドする従魔具を決めたいと思っています」
楓がサブスキル〈翻訳〉について説明すると、バルバスは目を大きく開き、その視線をカエデからオルダナへ向ける。
「言っておくが、本当のことだぞ? 嬢ちゃんは従魔の声を聞けるんだ」
「……なんだよ、それは。最高じゃないか! ピーチの声を聞けるってことだろ? マジで最高じゃないか!」
同じことを二回繰り返して言うくらいに、バルバスは感動していた。
「ただ、声を聞くには従魔に触れなければならないんです。なので、ピーチさんに触れる許可をいただけますか?」
「もちろんだ! 構わないよな、ピーチ?」
バルバスは念のため、ピーチにも確認を取る。
するとピーチはコクリと頷き、ゆっくりと楓に近づいていく。
「ありがとうございます、ピーチさん。それでは、触りますね」
お礼と共に断りを入れながら、楓はピーチに触れる。
あなたにおすすめの小説
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!
あけちともあき
ファンタジー
無能テイマーとしてSランクパーティをクビになったオース。
モフモフテイマーという、モフモフモンスター専門のテイマーであった彼は、すぐに最強モンスター『マーナガルム』をテイムするが……。
実はオースこそが、Sランクパーティを支える最強メンバーだったのだ。
あらゆるモンスターへの深い知識。
様々なクラスを持つことによる、並外れた器用さ。
自由になったオースは、知識の力で最高の冒険者へと成り上がっていく。
降って湧いた凶悪な依頼の数々。
オースはこれを次々に解決する。
誰もがオースを最高の冒険者だと認めるようになっていく。
さらに、新たなモフモフモンスターが現れて、仲間も増えて……。
やがて、世界を巻き込む陰謀にオースは関わっていくのだ。
極うま魔獣肉に魅了されたおっさん冒険者は辺境の町で訳あり美少女エルフと癒し食堂を始めたようです
夢幻の翼
ファンタジー
長き期間を冒険者として過ごした俺――グラードは四十五歳を迎えるにあたって冒険者を引退、かつてから興味のあった料理人へと転職を決意した。調理は独学だが味に自信のあった俺は店舗経営の知識修得の為に王都の人気料理店で修行を始めるも横柄なオーナーのせいで店はおろか王都からも追放されてしまった。しかし、魔物の素材に可能性を見いだしていた俺は魔物が多く住むと言われる北の魔樹海側の町を拠点とし、食堂経営に乗り出すことに。
旅の途中で出会った変わり者の魔白猫や呪いのために一族から追放されたエルフの少女と共に魔物素材を使った料理で人々を幸せに癒す。冒険者を引退した料理好きのおっさんが繰り広げるほのぼのスローライフ開幕です。
『なでなで』しかできないと追放されたテイマー少女、無自覚に神獣をワンコ化して無双する
葉山 乃愛
ファンタジー
「お前の『なでなで』なんてゴミスキル、戦闘じゃの役にも立たねえんだよ!」
冒険者パーティーを無情にクビにされたテイマーの少女・ミレーヌ。
彼女の持つスキルは、対象を優しく撫でるだけの、攻撃力ゼロ、射程距離ゼロのハズレ枠。
行く当てもなく、命の保証もない『迷いの森』へ迷い込んだ彼女が出会ったのは、一匹の「大きな黒いワンちゃん」だった。
「わあ、フワフワ! よしよし、寂しかったの?」
空腹で死にかけ、ただモフモフに癒やされたかったミレーヌは、持ち前のスキルでその巨体を撫で回す。
だが、彼女は知らなかった。
そのワンちゃんの正体が、かつて世界を終焉に導きかけた伝説の神獣『フェンリル』であることを。
そして、ミレーヌの「なでなで」は、ただの愛撫ではなかった。
どんな凶悪な魔物も一瞬で野生を失い、絶対の忠誠を誓う「神の愛撫」だったのだ!
「次は大きな赤いトカゲさん? 鱗がツヤツヤで綺麗だね!」
伝説の赤竜(レッドドラゴン)さえも「アカくん」と名付けてペットにし、ミレーヌは危険地帯のど真ん中に、世にも恐ろしい(本人は幸せな)モフモフ・スローライフを築き上げていく。
一方、彼女を捨てた元パーティーや、異常事態を察知した王国騎士団は、ミレーヌの背後に控える「終末の軍団(※ただのペット)」を見て、泡を吹いて絶望することになるのだが……。
「みんな、とってもいい子ですよ?」
本人はどこまでも無自覚。
最強の神獣たちを従えた、少女ののんびり無双劇が今、幕を開ける!
もふもふ村へようこそ〜パーティを追放されたペットショップ店長、最強のもふもふ村を作る。獣も傷ついた冒険者も暖かいご飯を食べて安心できる居場所
積野 読
ファンタジー
勇者パーティを「足手まとい」として追放された、前世ペットショップ店長のショウ。
彼の持つスキル【ペット飼育】は、Eランク以下の小動物しかテイムできない外れスキルだった。
しかし、危険な「嘆きの森」で保護した犬のポチ、猫のタマ、スライムのプルン、ヒヨコのヒナたちは、鑑定不能なステータスや不思議な力を持つ規格外の存在だった。
ショウは前世の知識を活かした手作りご飯を振る舞い、ペットたちと穏やかな生活を築いていく。
やがてその温かな居場所には、モフモフ中毒のエルフの森番、教会から逃げてきた元聖女見習い、食いしん坊な魔族の少女、剣が握れなくなった元Sランク冒険者など、ワケありな人々が次々と集まってくる。
これは、ただ動物を愛するだけの男が、美味しいご飯とモフモフの力で傷ついた人々を癒やし、時には森の脅威すらも退けてしまう、優しくて賑やかなスローライフの物語。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。