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第四章
第184話:アッシュの謝罪
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王城に戻ってきた楓たちは、アッシュの目覚めを待つことになった。
鈴音はアッシュが捕らわれていた小屋に留まり、操られていた人たちの容体を見守っている。アリスとティアナ、レクシアも一緒だ。
「スズネ様がこちらでなくてよかったのだろうか?」
アッシュのことを誰よりも心配しているケイルがそう口にした。
「ケイルの心配も分かるけど、僕たちにとっては民を守ることが何より重要だ。だからこそ、スズネ様に民たちを任せたんだ。理解してくれ」
「それは……いえ、失礼いたしました。その通りですね」
そんなケイルへレイスが声を掛けた。
ケイルもアッシュならばそのようにするだろうと心の中で自分に言い聞かせ、謝罪と共に大きく頷いた。
「カエデ様、ヴィオンさん。この度は兄上の救出に手を貸していただき、誠にありがとうございました」
続けてレイスは楓とヴィオンへ顔を向け、お礼と共に頭を下げた。
「私たちは自分から手を上げただけですから、お気になさらず」
「そうですよ、レイス様。アッシュ様を無事に助けることができて、本当によかったです」
楓の言葉にヴィオンが続き、二人とも笑顔でそう答えた。
「本日はこちらに部屋を用意しております。騎士を小屋に派遣しましたので、すぐにスズネ様たちも戻ってこられるでしょう」
「いいんですか?」
「もちろんです。恩人を追い出すようなことをしてしまえば、僕が父上や母上に叱られてしまいますから」
遠慮がちに口を開いた楓に対して、レイスは冗談交じりに答えた。
そこまで言われてしまえば、楓も断ることはできない。
「分かりました。それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
この日、アッシュが目を覚ますことはなく、楓はアリスや鈴音、ティアナと同部屋で一日を過ごした。
ヴィオンはレイスのお願いを聞き、ケイルと共に遅い時間まで話し込んでいた。
この時点でケイルの容疑は晴れており、彼は恐縮しきりだったのは言うまでもない。
◆◇◆◇
そして、翌早朝。
使いの者からアッシュが目を覚ましたと報告が入り、楓たちは身支度を整えてから、彼が療養している部屋へと向かう。
既にレイス、ヴィオン、ケイル、ミリアは到着しており、楓たちと合流してから部屋に入った。
「兄上……」
最初に口を開いたのは、レイスだった。
レイスは心の底からアッシュのことを心配していた。
だからこそ現場へと足を運び、クロウと共にアッシュを助けることを選択した。
そのおかげもあり、アッシュを無傷で助け出すことができたのだ。
「レイスか。それに、みんなも……」
部屋を訪れた面々を見ながら、アッシュはまだ動きづらい体をずらし、ベッドの端に座る。
すぐにレイスが駆け寄り、アッシュの背中に手を回した。
「……この度は、未熟な私のせいで多大な迷惑を掛けてしまった。本当に、すまなかった」
いつも凛々しく、自信に満ち溢れていたアッシュが、申し訳なさそうに頭を下げた。
その姿が楓には驚きでもあり、彼が心身から弱っているのだと伝わった。
「……アッシュ様は悪くないと思います」
だからこそ、楓はアッシュにそのような言葉を掛けた。
「カエデ様……」
「アッシュ様はご自身の役割をしっかりと果たそうとされただけではありませんか? その想いを利用されただけです」
「……利用されそうになれば、それを見抜くことも王族としては大事なことなのです」
「ですが、誰もが失敗をしないわけではないでしょう? 失敗しない人間なんて、私は見たことも聞いたこともありません。それはこの世界でも、元いた世界でも同じことです」
楓の言葉に、アッシュは顔を上げてから、苦笑を浮かべる。
「……あなたは本当に、心の清らかなお方なんだな」
「そんなことありませんよ。もしも本当に心清らかな人だったら、自分のためだけにさっさと王城を出て行くようなこと、しないと思いませんか?」
最後の方は冗談半分に、笑いながら口にした楓。
そんな彼女の気遣いに気づいたアッシュは、表情を笑みに変えて、口を開く。
「……カエデ様。私はあなたは酷い態度を取っていた。そのことについても、謝罪をしなければならない。申し訳なかった」
「ですから、謝罪は必要ない――」
「そして、感謝の言葉を。……助けてくれて、本当にありがとう。どちらも心からの言葉だ」
楓の言葉を遮りながら、アッシュは最も伝えたかった想いを口にした。
その想いを聞いた楓は驚いたものの、すぐに笑顔を浮かべる。
「……それでは、感謝の言葉だけ受け取らさせていただきますね。謝罪は必要ありませんから」
「あぁ、分かった」
楓とアッシュのやり取りから、部屋の雰囲気は穏やかなものに変わった。
だが、話をそこで終わらせるわけにはいかない。
楓たちには、アッシュに確認しておかなければならないことがあるのだ。
「兄上。目を覚ましてすぐで申し訳ないのですが、お話をよろしいでしょうか?」
「あぁ、分かっている。エレーナと、ミチナガ様のことだな?」
アッシュの言葉に、レイスは無言で頷く。
そしてアッシュは小さく息を吐き出してから、口を開いた。
鈴音はアッシュが捕らわれていた小屋に留まり、操られていた人たちの容体を見守っている。アリスとティアナ、レクシアも一緒だ。
「スズネ様がこちらでなくてよかったのだろうか?」
アッシュのことを誰よりも心配しているケイルがそう口にした。
「ケイルの心配も分かるけど、僕たちにとっては民を守ることが何より重要だ。だからこそ、スズネ様に民たちを任せたんだ。理解してくれ」
「それは……いえ、失礼いたしました。その通りですね」
そんなケイルへレイスが声を掛けた。
ケイルもアッシュならばそのようにするだろうと心の中で自分に言い聞かせ、謝罪と共に大きく頷いた。
「カエデ様、ヴィオンさん。この度は兄上の救出に手を貸していただき、誠にありがとうございました」
続けてレイスは楓とヴィオンへ顔を向け、お礼と共に頭を下げた。
「私たちは自分から手を上げただけですから、お気になさらず」
「そうですよ、レイス様。アッシュ様を無事に助けることができて、本当によかったです」
楓の言葉にヴィオンが続き、二人とも笑顔でそう答えた。
「本日はこちらに部屋を用意しております。騎士を小屋に派遣しましたので、すぐにスズネ様たちも戻ってこられるでしょう」
「いいんですか?」
「もちろんです。恩人を追い出すようなことをしてしまえば、僕が父上や母上に叱られてしまいますから」
遠慮がちに口を開いた楓に対して、レイスは冗談交じりに答えた。
そこまで言われてしまえば、楓も断ることはできない。
「分かりました。それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
この日、アッシュが目を覚ますことはなく、楓はアリスや鈴音、ティアナと同部屋で一日を過ごした。
ヴィオンはレイスのお願いを聞き、ケイルと共に遅い時間まで話し込んでいた。
この時点でケイルの容疑は晴れており、彼は恐縮しきりだったのは言うまでもない。
◆◇◆◇
そして、翌早朝。
使いの者からアッシュが目を覚ましたと報告が入り、楓たちは身支度を整えてから、彼が療養している部屋へと向かう。
既にレイス、ヴィオン、ケイル、ミリアは到着しており、楓たちと合流してから部屋に入った。
「兄上……」
最初に口を開いたのは、レイスだった。
レイスは心の底からアッシュのことを心配していた。
だからこそ現場へと足を運び、クロウと共にアッシュを助けることを選択した。
そのおかげもあり、アッシュを無傷で助け出すことができたのだ。
「レイスか。それに、みんなも……」
部屋を訪れた面々を見ながら、アッシュはまだ動きづらい体をずらし、ベッドの端に座る。
すぐにレイスが駆け寄り、アッシュの背中に手を回した。
「……この度は、未熟な私のせいで多大な迷惑を掛けてしまった。本当に、すまなかった」
いつも凛々しく、自信に満ち溢れていたアッシュが、申し訳なさそうに頭を下げた。
その姿が楓には驚きでもあり、彼が心身から弱っているのだと伝わった。
「……アッシュ様は悪くないと思います」
だからこそ、楓はアッシュにそのような言葉を掛けた。
「カエデ様……」
「アッシュ様はご自身の役割をしっかりと果たそうとされただけではありませんか? その想いを利用されただけです」
「……利用されそうになれば、それを見抜くことも王族としては大事なことなのです」
「ですが、誰もが失敗をしないわけではないでしょう? 失敗しない人間なんて、私は見たことも聞いたこともありません。それはこの世界でも、元いた世界でも同じことです」
楓の言葉に、アッシュは顔を上げてから、苦笑を浮かべる。
「……あなたは本当に、心の清らかなお方なんだな」
「そんなことありませんよ。もしも本当に心清らかな人だったら、自分のためだけにさっさと王城を出て行くようなこと、しないと思いませんか?」
最後の方は冗談半分に、笑いながら口にした楓。
そんな彼女の気遣いに気づいたアッシュは、表情を笑みに変えて、口を開く。
「……カエデ様。私はあなたは酷い態度を取っていた。そのことについても、謝罪をしなければならない。申し訳なかった」
「ですから、謝罪は必要ない――」
「そして、感謝の言葉を。……助けてくれて、本当にありがとう。どちらも心からの言葉だ」
楓の言葉を遮りながら、アッシュは最も伝えたかった想いを口にした。
その想いを聞いた楓は驚いたものの、すぐに笑顔を浮かべる。
「……それでは、感謝の言葉だけ受け取らさせていただきますね。謝罪は必要ありませんから」
「あぁ、分かった」
楓とアッシュのやり取りから、部屋の雰囲気は穏やかなものに変わった。
だが、話をそこで終わらせるわけにはいかない。
楓たちには、アッシュに確認しておかなければならないことがあるのだ。
「兄上。目を覚ましてすぐで申し訳ないのですが、お話をよろしいでしょうか?」
「あぁ、分かっている。エレーナと、ミチナガ様のことだな?」
アッシュの言葉に、レイスは無言で頷く。
そしてアッシュは小さく息を吐き出してから、口を開いた。
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