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第二章:護衛依頼
第55話:同行者
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自警団本部に赴き事情を説明すると、ギレインはあっさりと許可を出してくれた。
なんでも、村長が許可を出しているのであれば当然であり、ヒロさんがシュティナーザに向かう事は今までもちょこちょことあったようだ。
以前の話では行商人の馬車に乗せてもらったり、帰りは冒険者ギルドに依頼して送ってもらったりしているようだが、タイミングが合わなければ自警団が護衛をして向かう事もあったらしい。
「それで、護衛対象が二人になるからもう一人かぁ」
「もしかしたら、もう一人増えるかもしれないが」
「いや、それはないだろうな」
「……そうなのか?」
ヒロさんも護衛の有無がどれだけ大事かを知っている。
非戦闘員が増えれば増える程、護衛の負担は大きくなっていく。さらに言えば数も必要となってくるだろう。
バージルに関しては仕事のためだからとヒロも許可を出し、護衛についても自警団が協力すると考えたはず。
だが、リムルの同行の理由は全く予想がつかない。となれば、許可は下りないという事か。
「それなら、ギレインを信じてもう一人だけ護衛を見繕ってくれないか?」
「護衛かぁ。女性がいるなら、女性の護衛も必要だろう。っとなるとメリースかカリー、もしくは他の女性自警団から――」
「私に行かせてちょうだい!」
「「……え?」」
声のした方へ顔を向けると、そこにはどこで聞きつけてきたのかエリカが息を切らして立っていた。
「エリカ、どうしたんだ?」
「護衛を探しているんでしょ? 私が行きます!」
「ってかお前、どこから聞いてきたんだ? レインズがここに来てからそこまで時間も経ってないぞ?」
「そこはどうでもいいんですよ! 私もサクラハナ国を見て回りたいんです! いいですよね、ギレインさん!」
一歩、また一歩と目力を強めながら近づいてくるエリカに、ギレインが後退る。
「お、おい、落ち着け。とりあえず一度落ち着け!」
「どうなんですか! 護衛に私を選んでくれるんですよね! そうですよね!」
「だー! わかった、わかったからマジで落ち着けって! 近い、近いってんだよ!」
「よーし! ありがとうございます、ギレインさん!」
「なあ、エリカ。どうしてそこまで護衛をしたいんだ? こっちにいた方が楽だと思うんだが?」
俺がそう口にすると、もの凄い勢いでこちらを向いてきたのだが……うーん、もの凄く睨まれている。
これって、俺のせいなのか? 心当たりが全くないんだが?
「とにかく! 私が護衛としてついていくからね! いいわね!」
「……ま、まあ、バージルもいるから女性の護衛は必要だったし、いいんじゃないか?」
「そうですよね! よし、ありがとう! それじゃあ私は準備してくるわね!」
「出発は三日後だからな!」
「はーい!」
先ほどとは打って変わり上機嫌になったエリカが自警団本部から去っていった。
「……と、という事で、護衛はエリカになりましたが、いいですか?」
「……ここでダメって言ったら大暴れするだろうが。だがまあ、人選としてはいいんじゃねえか? 門番はこっちで何とかするさ。ガジルだけじゃ休めないだろうしよ」
「助かる」
その後からは俺とエリカが抜けた時の門番の代わりについて話し合われた。
二週間という期間だ、仕事を変わるには結構長い気もするがギレインはあっさりと決めてくれた。
「早いんだな」
「誰も文句を言う奴がいないからな」
「そうなのか?」
「あぁ。こんな辺境にある村だ、協力し合わないと仕事も成り立たないからな」
「……それもそうか」
ジラギースでもそう言った話は多々あった。……まあ、俺が勝手に変えられる事しかなかったが。
それでも、大きな都市でもあった事だ。ギレインの言う通り、辺境の村であれば当然の事だろう。
「ガジルさんはいいのかな。一緒に外に出たかったんじゃ」
「あの人はいいんじゃないか? こっちで自警団を指導している時、生き生きとしているぜ?」
「……確かに、あの人は後輩の面倒とかよく見ていたか」
俺もだいぶ世話になったし、俺以外の兵士もそうだろう。
だからこそ兵士長という立場になれたわけで、尊敬している人だ。
「土産くらいは買って帰らないといけないな」
「おっ! んじゃあ俺は美味い酒でもお願いするぜ」
「ギレインにじゃないからな?」
「いいじゃねえか! ……お前とガジルに負けたせいで、酒が飲めない期間もあったんだからよぅ」
「それは自業自得だろうに」
頭を掻きながらそう口にすると、ギレインは大きく肩を落としてしまった。
……まあ、酒の一本くらいは買ってやってもいいか。ここでの給金は使う当てもなくて、貯まる一方だったからな。
「……いいじゃねえかよぅ。美味い酒、飲ませてくれよぅ」
大の大人がいじけている姿は見ていて心が痛むが、自業自得は変わらないので秘密にしておこう。……なんか面白いし。
なんでも、村長が許可を出しているのであれば当然であり、ヒロさんがシュティナーザに向かう事は今までもちょこちょことあったようだ。
以前の話では行商人の馬車に乗せてもらったり、帰りは冒険者ギルドに依頼して送ってもらったりしているようだが、タイミングが合わなければ自警団が護衛をして向かう事もあったらしい。
「それで、護衛対象が二人になるからもう一人かぁ」
「もしかしたら、もう一人増えるかもしれないが」
「いや、それはないだろうな」
「……そうなのか?」
ヒロさんも護衛の有無がどれだけ大事かを知っている。
非戦闘員が増えれば増える程、護衛の負担は大きくなっていく。さらに言えば数も必要となってくるだろう。
バージルに関しては仕事のためだからとヒロも許可を出し、護衛についても自警団が協力すると考えたはず。
だが、リムルの同行の理由は全く予想がつかない。となれば、許可は下りないという事か。
「それなら、ギレインを信じてもう一人だけ護衛を見繕ってくれないか?」
「護衛かぁ。女性がいるなら、女性の護衛も必要だろう。っとなるとメリースかカリー、もしくは他の女性自警団から――」
「私に行かせてちょうだい!」
「「……え?」」
声のした方へ顔を向けると、そこにはどこで聞きつけてきたのかエリカが息を切らして立っていた。
「エリカ、どうしたんだ?」
「護衛を探しているんでしょ? 私が行きます!」
「ってかお前、どこから聞いてきたんだ? レインズがここに来てからそこまで時間も経ってないぞ?」
「そこはどうでもいいんですよ! 私もサクラハナ国を見て回りたいんです! いいですよね、ギレインさん!」
一歩、また一歩と目力を強めながら近づいてくるエリカに、ギレインが後退る。
「お、おい、落ち着け。とりあえず一度落ち着け!」
「どうなんですか! 護衛に私を選んでくれるんですよね! そうですよね!」
「だー! わかった、わかったからマジで落ち着けって! 近い、近いってんだよ!」
「よーし! ありがとうございます、ギレインさん!」
「なあ、エリカ。どうしてそこまで護衛をしたいんだ? こっちにいた方が楽だと思うんだが?」
俺がそう口にすると、もの凄い勢いでこちらを向いてきたのだが……うーん、もの凄く睨まれている。
これって、俺のせいなのか? 心当たりが全くないんだが?
「とにかく! 私が護衛としてついていくからね! いいわね!」
「……ま、まあ、バージルもいるから女性の護衛は必要だったし、いいんじゃないか?」
「そうですよね! よし、ありがとう! それじゃあ私は準備してくるわね!」
「出発は三日後だからな!」
「はーい!」
先ほどとは打って変わり上機嫌になったエリカが自警団本部から去っていった。
「……と、という事で、護衛はエリカになりましたが、いいですか?」
「……ここでダメって言ったら大暴れするだろうが。だがまあ、人選としてはいいんじゃねえか? 門番はこっちで何とかするさ。ガジルだけじゃ休めないだろうしよ」
「助かる」
その後からは俺とエリカが抜けた時の門番の代わりについて話し合われた。
二週間という期間だ、仕事を変わるには結構長い気もするがギレインはあっさりと決めてくれた。
「早いんだな」
「誰も文句を言う奴がいないからな」
「そうなのか?」
「あぁ。こんな辺境にある村だ、協力し合わないと仕事も成り立たないからな」
「……それもそうか」
ジラギースでもそう言った話は多々あった。……まあ、俺が勝手に変えられる事しかなかったが。
それでも、大きな都市でもあった事だ。ギレインの言う通り、辺境の村であれば当然の事だろう。
「ガジルさんはいいのかな。一緒に外に出たかったんじゃ」
「あの人はいいんじゃないか? こっちで自警団を指導している時、生き生きとしているぜ?」
「……確かに、あの人は後輩の面倒とかよく見ていたか」
俺もだいぶ世話になったし、俺以外の兵士もそうだろう。
だからこそ兵士長という立場になれたわけで、尊敬している人だ。
「土産くらいは買って帰らないといけないな」
「おっ! んじゃあ俺は美味い酒でもお願いするぜ」
「ギレインにじゃないからな?」
「いいじゃねえか! ……お前とガジルに負けたせいで、酒が飲めない期間もあったんだからよぅ」
「それは自業自得だろうに」
頭を掻きながらそう口にすると、ギレインは大きく肩を落としてしまった。
……まあ、酒の一本くらいは買ってやってもいいか。ここでの給金は使う当てもなくて、貯まる一方だったからな。
「……いいじゃねえかよぅ。美味い酒、飲ませてくれよぅ」
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