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第二章:護衛依頼
第54話:ヒロからのお願い
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こんな感じで日々を過ごしてきたある日、俺の家を訪ねてきた人物がいた。
「ヒロさんじゃないですか。どうしたんですか?」
足が悪いので営んでいるよろず屋でしか見かけなかったのだが、珍しいな。
「こんにちは。実は、レインズ君にお願いがありまして」
「俺にですか? とりあえず中に入ってください」
立たせたままでは申し訳ないので、俺は家の中に案内する。
「何もないところですが、どうぞ」
「いえいえ、お構いなく」
「それで、俺にお願いってのは何なんですか?」
椅子に案内すると、俺は壁にもたれ掛かり話を促す。
「えぇ。実は、シュティナーザという大都市までの護衛をお願いしたいんですよ」
「護衛ですか?」
「はい。実は――」
ヒロさんの話をまとめると、最近になって時間を見つけては作っていた皮製品が溜まってきたので、それを知り合いの商会に卸しに行きたいという。
また、先日大量に確保できたオーガ種の素材も売却したいのだとか。
「実を言うと、レベッカ君だけでは解体が間に合わないのですよ」
「あの数ですし、そうでしょうね」
「それともう一つ問題が」
「数以外にも?」
「実は……SSSランクのハイオーガエンペラーを解体できなかったのですよ」
……解体、できなかった?
「それは、レベッカさんがですか?」
「えぇ。彼女の解体の腕は一級品ですが、それでもSSSランクの解体はまだ早かったようです」
解体スキルにも熟練度はあるだろうけど、レベッカさんは自己申告だが何百と言う数の解体を行っていたはずだ。
それでも解体できなかったって事は、相当高い熟練度が必要になるのだろう。
「それで、大きな都市の冒険者ギルドで買い取ってもらおうと思ったのです。このままでは、魔法袋の肥やしになってしまいますからね」
「レベッカさんの熟練度が上がるのを待つ事はできないんですか?」
「それもできるんですがね……これは、レベッカ君からのお願いでもあるんですよ」
「……そうですか」
レベッカさんにも何か思うところがあるのだろう。
自分の腕が上がるまで肥やしにしていては、それだけ村への還元が遅くなってしまう。それを嫌ったのかもしれないな。
「一応、村長にはレインズさんの意思次第ではありますが、受けてくれるなら許可は頂いています」
「仕事が早いですね」
「これでも昔は皮製品で商売をしていましたからね」
ガジルさんとエリカが来てくれたし、自警団の実力も上がってきている。
村長の許可も出ているのであれば、俺が断る理由はないか。
「わかりました。俺もウラナワ村以外のサクラハナ国を見てみたいですしね」
「おぉっ! ありがとうございます! では、私は早速準備をしてきましょう! 出発は三日後、二週間くらいを目途にしていますので、よろしくお願いします!」
「あっ! ちょっと! ……もう行っちまったよ」
そう早口に告げると、ヒロさんは足が悪いとは思えない速さでよろず屋の方へと歩いていってしまった。
「……まあ、村長が知っているって事はギレインたちも知ってるだろうけど、報告しておくか」
そう思って自警団本部に向かおうと家を出たのだが……そこで何をしているんだ?
「わ、私も連れて行ってください!」
「……はい?」
家の前にはリムルが立っており、俺を見つめながらそう口にしたのだ。
「……俺に決定権はない。ヒロさんに聞いて来てくれ」
「わかりました! ヒロさんが良いと言えば、ついていきますからね!」
そう口にすると、リムルは駆け足でよろず屋の方へ行ってしまった。
……正直、何が起きているのか俺にはさっぱりである。
「……こ、今度こそ、自警団本部に」
「レインズー!」
「うえぇ。今度はバージルかよ」
何なんだ、今日は。厄日か何かか?
「ちょっと、その顔は何よ!」
「あー、悪い。ちょっとバタバタしててな」
「それって、シュティナーザに行くからでしょ?」
「……そういう事だな」
この流れはあれだろ。リムルと同じ流れになるだろう。
「私も連れて行って!」
……だと思った。
「俺に決定権はない。ヒロさんに――」
「すでに許可は取ってるわ!」
「……そうなのか?」
「もちろん! シュティナーザの鍛冶師の仕事を見学したいって言ったら、すぐに同行を許可してくれたわ!」
バージルはリムルと違って手際が良いし、同行したい理由がはっきりしているな。
「仕事のためなら許可を出さざるを得ないか」
「何よそれ! まるで同行して欲しくなかったみたいな言い方じゃないのよ!」
「まあ、護衛対象が増えるからな。だが、バージルも行くとなればもう一人くらいは護衛が必要かもしれないな」
どちらにしても、結局は自警団本部に行く必要があるみたいだ。
……こうなると、ヒロさんがリムルの同行を何としても却下してくれる事を祈るのみだな。
「頼みましたよ、ヒロさん」
リムルが無理を通してしまわないよう祈りながら、俺はバージルに断りを入れて自警団本部へと歩き出す。
「……あれ? そういえば、なんでリムルは同行を申し出てきたんだろう」
……まあ、考えたところでわかるはずもないか。
「ヒロさんじゃないですか。どうしたんですか?」
足が悪いので営んでいるよろず屋でしか見かけなかったのだが、珍しいな。
「こんにちは。実は、レインズ君にお願いがありまして」
「俺にですか? とりあえず中に入ってください」
立たせたままでは申し訳ないので、俺は家の中に案内する。
「何もないところですが、どうぞ」
「いえいえ、お構いなく」
「それで、俺にお願いってのは何なんですか?」
椅子に案内すると、俺は壁にもたれ掛かり話を促す。
「えぇ。実は、シュティナーザという大都市までの護衛をお願いしたいんですよ」
「護衛ですか?」
「はい。実は――」
ヒロさんの話をまとめると、最近になって時間を見つけては作っていた皮製品が溜まってきたので、それを知り合いの商会に卸しに行きたいという。
また、先日大量に確保できたオーガ種の素材も売却したいのだとか。
「実を言うと、レベッカ君だけでは解体が間に合わないのですよ」
「あの数ですし、そうでしょうね」
「それともう一つ問題が」
「数以外にも?」
「実は……SSSランクのハイオーガエンペラーを解体できなかったのですよ」
……解体、できなかった?
「それは、レベッカさんがですか?」
「えぇ。彼女の解体の腕は一級品ですが、それでもSSSランクの解体はまだ早かったようです」
解体スキルにも熟練度はあるだろうけど、レベッカさんは自己申告だが何百と言う数の解体を行っていたはずだ。
それでも解体できなかったって事は、相当高い熟練度が必要になるのだろう。
「それで、大きな都市の冒険者ギルドで買い取ってもらおうと思ったのです。このままでは、魔法袋の肥やしになってしまいますからね」
「レベッカさんの熟練度が上がるのを待つ事はできないんですか?」
「それもできるんですがね……これは、レベッカ君からのお願いでもあるんですよ」
「……そうですか」
レベッカさんにも何か思うところがあるのだろう。
自分の腕が上がるまで肥やしにしていては、それだけ村への還元が遅くなってしまう。それを嫌ったのかもしれないな。
「一応、村長にはレインズさんの意思次第ではありますが、受けてくれるなら許可は頂いています」
「仕事が早いですね」
「これでも昔は皮製品で商売をしていましたからね」
ガジルさんとエリカが来てくれたし、自警団の実力も上がってきている。
村長の許可も出ているのであれば、俺が断る理由はないか。
「わかりました。俺もウラナワ村以外のサクラハナ国を見てみたいですしね」
「おぉっ! ありがとうございます! では、私は早速準備をしてきましょう! 出発は三日後、二週間くらいを目途にしていますので、よろしくお願いします!」
「あっ! ちょっと! ……もう行っちまったよ」
そう早口に告げると、ヒロさんは足が悪いとは思えない速さでよろず屋の方へと歩いていってしまった。
「……まあ、村長が知っているって事はギレインたちも知ってるだろうけど、報告しておくか」
そう思って自警団本部に向かおうと家を出たのだが……そこで何をしているんだ?
「わ、私も連れて行ってください!」
「……はい?」
家の前にはリムルが立っており、俺を見つめながらそう口にしたのだ。
「……俺に決定権はない。ヒロさんに聞いて来てくれ」
「わかりました! ヒロさんが良いと言えば、ついていきますからね!」
そう口にすると、リムルは駆け足でよろず屋の方へ行ってしまった。
……正直、何が起きているのか俺にはさっぱりである。
「……こ、今度こそ、自警団本部に」
「レインズー!」
「うえぇ。今度はバージルかよ」
何なんだ、今日は。厄日か何かか?
「ちょっと、その顔は何よ!」
「あー、悪い。ちょっとバタバタしててな」
「それって、シュティナーザに行くからでしょ?」
「……そういう事だな」
この流れはあれだろ。リムルと同じ流れになるだろう。
「私も連れて行って!」
……だと思った。
「俺に決定権はない。ヒロさんに――」
「すでに許可は取ってるわ!」
「……そうなのか?」
「もちろん! シュティナーザの鍛冶師の仕事を見学したいって言ったら、すぐに同行を許可してくれたわ!」
バージルはリムルと違って手際が良いし、同行したい理由がはっきりしているな。
「仕事のためなら許可を出さざるを得ないか」
「何よそれ! まるで同行して欲しくなかったみたいな言い方じゃないのよ!」
「まあ、護衛対象が増えるからな。だが、バージルも行くとなればもう一人くらいは護衛が必要かもしれないな」
どちらにしても、結局は自警団本部に行く必要があるみたいだ。
……こうなると、ヒロさんがリムルの同行を何としても却下してくれる事を祈るのみだな。
「頼みましたよ、ヒロさん」
リムルが無理を通してしまわないよう祈りながら、俺はバージルに断りを入れて自警団本部へと歩き出す。
「……あれ? そういえば、なんでリムルは同行を申し出てきたんだろう」
……まあ、考えたところでわかるはずもないか。
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