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第二章:護衛依頼
第88話:VSラコスタ②
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最高のタイミングで放ったバードスラッシュだったが、ラコスタは最後のあがきなのか翼から血を撒き散らしながら急上昇した。
「ちいっ!」
『ギャギョギャアアアアアアアアッ!』
だが、さらに深く翼を傷つける事に成功していた。
急上昇した直後からバランスを崩したラコスタは、頭を下にして錐もみしながら地面に落下したのだ。
「よし! 後は止めを――」
「止まれぇ! Fランクゥ!」
俺が駆け出そうとした直後、エリカでもレミーでもない人物の声が聞こえてきた。
そいつは俺に止まれと言った。そして、Fランクとも言っている。この時点で俺の頭の中には一人の人物の顔が浮かび上がっていた。
くそっ! こいつは本当に面倒事を持ち込んできやがるな!
「……何のつもりだ――ザック!」
「何のつもりだって? 見りゃあ分かるんじゃねぇか?」
「……すまないねぇ、レインズ」
振り返って見た光景に、俺は不快感しかなかった。
武器を持たないレミーの喉元に刃を当て、下卑た笑みを浮かべているザックの姿に。
「レミーが謝る必要はない。それに……エリカもか」
横目でエリカを見たのだが、あちらには別の冒険者が三人で武器を向けて囲んでいる。……俺たちに、選択肢はないか。
「……俺に何をさせるつもりだ?」
「何もしないさ。ただ、手柄を頂ければな」
「ラコスタの首って事か? だったらさっさと落としてしまえばいいだろう」
「俺がレミーから離れた直後に攻撃されるかもしれないだろう?」
「……これでいいか?」
言いたい事を理解した俺は、迷う事なくブルーレイズをザックの足元に放り投げた。
「……分かってるじゃねぇか。だがなぁ、後からギルマスに告げ口をされてもいけねぇよなぁ」
「言わないさ。二人の命と比べれば、ラコスタの首なんて痛くも痒くもないからな」
「そう言われてもなぁ……うーん……あぁ、やっぱり信用ならねぇなぁ!」
……こいつ、本当に最悪な性格をしてやがるぜ。
『ギギャアアアアアアアアッ!』
「おぉおぉ、うるせぇなぁ。おい、てめぇら! そっちの女をしっかりと抑えておけよ!」
「「「へいっ!」」」
「お前も動くなよ、レミー。武器を持たないお前なら、俺でも倒せるんだからな」
「……分かってるよ」
ザックはラコスタに止めを刺すつもりなのだろう。まあ、話をしている後ろでギャーギャー騒がれていたら殺したくもなるか。
「てめぇもどけ!」
「……分かった」
レミーが素直に従っているのなら俺も従うしかないかな。
「てめぇに止めを刺させてやってもいいが、いきなり切り掛かられても面倒だ。こいつもどうせ瀕死なわけだし、俺が英雄様になってやるぜ!」
曲がりなりにもCランク冒険者だ。だが、こいつは大きな勘違いを犯している。
魔獣というのは瀕死だからこそ危険であり、むやみに近づく事は良しとされていない。これは魔獣を相手にする者であれば知っていて当然の事である。
だが、こいつはその当然の事を怠ったんだ。
『ギュルララアアアアアアアアッ!!』
「ふえ?」
「避けろ! レミー!」
「はいよ!」
こうなる事をレミーも予想していたからこそ、素直に従って何もしなかったのだ。
レミーほどの実力の持ち主なら、武器がなくてもザック程度なら簡単に倒す事ができるはずだもんな。
そんな事を考えている間にも風のブレスはザックに直撃し、その肉体を引きちぎり森の中に撒き散らした。
「ひ、ひいいいいぃぃっ!?」
「ザ、ザックさああああん!?」
「やべぇ、やべぇよぉっ!?」
ザックの上半身が失われ、残った下半身から血が噴き出している姿を見た三人の冒険者は悲鳴を上げて尻もちをつく。
「エリカ!」
「はい!」
その隙を見逃すエリカではなかった。俺が口にする前からすでにこちらへ動いていたのだ。
『ギュルララアアアアアアアアッ!』
「や、止めろ! こっちを見る――」
ザックを仕留めた風のブレスが残りの冒険者にも直撃して一瞬のうちに肉塊へと変わってしまう。
これが途中で躓いてしまった冒険者の末路、という事だろうか。
俺やエリカ、レミーがこうなっていてもおかしくはなかった。
今回はたまたま間に合って、作戦が上手くいっただけだ。
「……魔獣キラーに胡坐をかくわけにはいかないな」
ザックには申し訳ないが、今回の一件は俺自身が気を引き締めるきっかけになってくれるだろう。
「レインズ!」
「やっちゃってください!」
「あぁ、任せろ!」
俺は拾い上げたブルーレイズを手にラコスタへ迫ると、風のブレスを回避して懐に潜り込み、一振りでその首を落とした。
「ちいっ!」
『ギャギョギャアアアアアアアアッ!』
だが、さらに深く翼を傷つける事に成功していた。
急上昇した直後からバランスを崩したラコスタは、頭を下にして錐もみしながら地面に落下したのだ。
「よし! 後は止めを――」
「止まれぇ! Fランクゥ!」
俺が駆け出そうとした直後、エリカでもレミーでもない人物の声が聞こえてきた。
そいつは俺に止まれと言った。そして、Fランクとも言っている。この時点で俺の頭の中には一人の人物の顔が浮かび上がっていた。
くそっ! こいつは本当に面倒事を持ち込んできやがるな!
「……何のつもりだ――ザック!」
「何のつもりだって? 見りゃあ分かるんじゃねぇか?」
「……すまないねぇ、レインズ」
振り返って見た光景に、俺は不快感しかなかった。
武器を持たないレミーの喉元に刃を当て、下卑た笑みを浮かべているザックの姿に。
「レミーが謝る必要はない。それに……エリカもか」
横目でエリカを見たのだが、あちらには別の冒険者が三人で武器を向けて囲んでいる。……俺たちに、選択肢はないか。
「……俺に何をさせるつもりだ?」
「何もしないさ。ただ、手柄を頂ければな」
「ラコスタの首って事か? だったらさっさと落としてしまえばいいだろう」
「俺がレミーから離れた直後に攻撃されるかもしれないだろう?」
「……これでいいか?」
言いたい事を理解した俺は、迷う事なくブルーレイズをザックの足元に放り投げた。
「……分かってるじゃねぇか。だがなぁ、後からギルマスに告げ口をされてもいけねぇよなぁ」
「言わないさ。二人の命と比べれば、ラコスタの首なんて痛くも痒くもないからな」
「そう言われてもなぁ……うーん……あぁ、やっぱり信用ならねぇなぁ!」
……こいつ、本当に最悪な性格をしてやがるぜ。
『ギギャアアアアアアアアッ!』
「おぉおぉ、うるせぇなぁ。おい、てめぇら! そっちの女をしっかりと抑えておけよ!」
「「「へいっ!」」」
「お前も動くなよ、レミー。武器を持たないお前なら、俺でも倒せるんだからな」
「……分かってるよ」
ザックはラコスタに止めを刺すつもりなのだろう。まあ、話をしている後ろでギャーギャー騒がれていたら殺したくもなるか。
「てめぇもどけ!」
「……分かった」
レミーが素直に従っているのなら俺も従うしかないかな。
「てめぇに止めを刺させてやってもいいが、いきなり切り掛かられても面倒だ。こいつもどうせ瀕死なわけだし、俺が英雄様になってやるぜ!」
曲がりなりにもCランク冒険者だ。だが、こいつは大きな勘違いを犯している。
魔獣というのは瀕死だからこそ危険であり、むやみに近づく事は良しとされていない。これは魔獣を相手にする者であれば知っていて当然の事である。
だが、こいつはその当然の事を怠ったんだ。
『ギュルララアアアアアアアアッ!!』
「ふえ?」
「避けろ! レミー!」
「はいよ!」
こうなる事をレミーも予想していたからこそ、素直に従って何もしなかったのだ。
レミーほどの実力の持ち主なら、武器がなくてもザック程度なら簡単に倒す事ができるはずだもんな。
そんな事を考えている間にも風のブレスはザックに直撃し、その肉体を引きちぎり森の中に撒き散らした。
「ひ、ひいいいいぃぃっ!?」
「ザ、ザックさああああん!?」
「やべぇ、やべぇよぉっ!?」
ザックの上半身が失われ、残った下半身から血が噴き出している姿を見た三人の冒険者は悲鳴を上げて尻もちをつく。
「エリカ!」
「はい!」
その隙を見逃すエリカではなかった。俺が口にする前からすでにこちらへ動いていたのだ。
『ギュルララアアアアアアアアッ!』
「や、止めろ! こっちを見る――」
ザックを仕留めた風のブレスが残りの冒険者にも直撃して一瞬のうちに肉塊へと変わってしまう。
これが途中で躓いてしまった冒険者の末路、という事だろうか。
俺やエリカ、レミーがこうなっていてもおかしくはなかった。
今回はたまたま間に合って、作戦が上手くいっただけだ。
「……魔獣キラーに胡坐をかくわけにはいかないな」
ザックには申し訳ないが、今回の一件は俺自身が気を引き締めるきっかけになってくれるだろう。
「レインズ!」
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