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1章 召喚先でも仲良く
001 事故で大切なものを失った僕
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「大丈夫?名前言え………」
頭がガンガンして非常に痛くてたまらない。夢の世界に逃げようとしても、身体の痛みが全力で逃さぬとばかりに通せんぼする。そして全身の悲鳴だけでは収まらず次第に熱を帯びてきた。暑さと痛みが混ぜ合わさりもう何が何だが分からない。周りに人がいて何か言っているのは分かるが、集中できなくて具体的なことは分からない。
すると段々呼吸が苦しくなってきた。荒くなっていく呼吸を聞きつけたのか、誰かが口周りに何かを置き頭を持ち上げてゴムをかけた。多少は呼吸しやすくなったがそう大して変わらない。僕、どうしてこうなったんだっけ………。このまま死ぬのかな。
「血圧低下!」
その言葉からどんどん騒がしくなっていった。熱はいくらか引いていったが逆に寒い。それに比例するように意識がボヤけていった。
ピーッピーッ。ベッドサイドモニター(心電図や心拍数が表示される機械)が今日も元気に稼働している。
今日からみんなは夏休みかなあ。もう戻れないんだろうな。彼女は………、考えると辛いからもう忘れるべきなのかな。
色々大事なモノを失ったあの事故から1週間になる。あのときトラックに轢かれてしまった僕らは、運転手の所属する会社から賠償金をもらえると聞いた。恨んでいないと言えば嘘になるが事故だと割り切れるよう努力している。
被害が重大だった。例えば僕の足。ちょん切った訳ではないけどもう動かない。痙攣ぐらいはするだろうがもう自分の意思で動くことはないという。神経がガチョビーンと切れてしまったのだ。変な擬態語を使っているがまだ普通に何でもないようには語れないから許してほしい。今も、動け動け~と念じているが反応はない。本当にない。1ミリだって動いた試しはない。そして治る可能性もゼロ。もう僕の人生は終わりだと言ってもあながち間違っていない。
あれから2ヶ月後、体調が安定してきたので病院から抜け出すことにした。病院に飽き飽きしてきたし新鮮な空気を吸いたい。僕も本来なら部活に励んでいる身である。外に出たいという欲求がほとばしるのも時間の問題だと言えよう。ならば誰かから許可を得ればいいと考えるだろう。だがあの事故以降両親が過保護になっていて許可を得られるとは万に一つでもあり得ない。以上の理由で僕はちょっとだけ病院を抜け出そうと思う。すぐ戻るさ。
病院抜け出し決行日。無事2ヶ月ぶりに外に出られた僕は空を堪能しようと目を向けた。うっかり失念していた日光に片目を瞑る。
「やっぱり外はいいなぁ」
深呼吸をすると思わず口から出てしまった本音。
しかしその幸福も束の間、次の瞬間この世界にはいなかった。
頭がガンガンして非常に痛くてたまらない。夢の世界に逃げようとしても、身体の痛みが全力で逃さぬとばかりに通せんぼする。そして全身の悲鳴だけでは収まらず次第に熱を帯びてきた。暑さと痛みが混ぜ合わさりもう何が何だが分からない。周りに人がいて何か言っているのは分かるが、集中できなくて具体的なことは分からない。
すると段々呼吸が苦しくなってきた。荒くなっていく呼吸を聞きつけたのか、誰かが口周りに何かを置き頭を持ち上げてゴムをかけた。多少は呼吸しやすくなったがそう大して変わらない。僕、どうしてこうなったんだっけ………。このまま死ぬのかな。
「血圧低下!」
その言葉からどんどん騒がしくなっていった。熱はいくらか引いていったが逆に寒い。それに比例するように意識がボヤけていった。
ピーッピーッ。ベッドサイドモニター(心電図や心拍数が表示される機械)が今日も元気に稼働している。
今日からみんなは夏休みかなあ。もう戻れないんだろうな。彼女は………、考えると辛いからもう忘れるべきなのかな。
色々大事なモノを失ったあの事故から1週間になる。あのときトラックに轢かれてしまった僕らは、運転手の所属する会社から賠償金をもらえると聞いた。恨んでいないと言えば嘘になるが事故だと割り切れるよう努力している。
被害が重大だった。例えば僕の足。ちょん切った訳ではないけどもう動かない。痙攣ぐらいはするだろうがもう自分の意思で動くことはないという。神経がガチョビーンと切れてしまったのだ。変な擬態語を使っているがまだ普通に何でもないようには語れないから許してほしい。今も、動け動け~と念じているが反応はない。本当にない。1ミリだって動いた試しはない。そして治る可能性もゼロ。もう僕の人生は終わりだと言ってもあながち間違っていない。
あれから2ヶ月後、体調が安定してきたので病院から抜け出すことにした。病院に飽き飽きしてきたし新鮮な空気を吸いたい。僕も本来なら部活に励んでいる身である。外に出たいという欲求がほとばしるのも時間の問題だと言えよう。ならば誰かから許可を得ればいいと考えるだろう。だがあの事故以降両親が過保護になっていて許可を得られるとは万に一つでもあり得ない。以上の理由で僕はちょっとだけ病院を抜け出そうと思う。すぐ戻るさ。
病院抜け出し決行日。無事2ヶ月ぶりに外に出られた僕は空を堪能しようと目を向けた。うっかり失念していた日光に片目を瞑る。
「やっぱり外はいいなぁ」
深呼吸をすると思わず口から出てしまった本音。
しかしその幸福も束の間、次の瞬間この世界にはいなかった。
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