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1章 召喚先でも仲良く
016 ハロウィンパーティー 前編
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※これは体育祭の翌日の代休の出来事です。
「起きてください、コウスケさん。今日はハロウィン? とやらなの、おわっ」
今日は10月31日。
ハロウィンである。
いくら異世界に呼ばれたからといって、ハロウィンを楽しまないわけがないだろうという意気で、僕たちは前日から準備に勤しんでいた。
部屋を飾りつけたりお菓子を買い占めたりした。
あー小遣いが減った。
「飛び起きないでください。痛いです」
「ごめんごめん」
だが、ハロウィンと聞いたら誰しも飛び起きるだろう。
それは僕の責任ではない。
ハロウィンという行事を作ったキリスト教の責任だ。
「じゃあ早く着替えてください。朝食に遅れますよ」
「ん」
それにしてもハロウィンなんて言葉を異世界で聞くとは思わなかった。
朝食ついでに今日について話しておこう。
昨日は体育祭だったから今日は代休で、終日ハロウィンパーティーの予定だ。
ハロウィンパーティー実行委員会がつくられて、20名ほどの会員が行程や飾り付け、ハロウィンらしい食事などを決めて、率先してパーティーを盛り上げていた。
下手したら、10月31日20時の渋谷スクランブル交差点での熱気さえも上回っている。
「おはよう」
ご近所組のみんながエレベーターの前に集まっていた。
「「おはよー」」
6人分の挨拶が見事にシンクロする。
僕は掛け声を投げた。
「せーの!」
「「ハッピーハロウィン! トリックorトリート!!」」
そして6人分のハロウィン挨拶までもがシンクロする。
特に示し合わせたわけではないのだが、久しぶりに挨拶が全員シンクロした。
「お菓子は夜に貰えるもんね」
そう、今夜はお菓子交換タイムがあって、なけなしの小遣いをはたき僕も人数分のお菓子を買ったのだ。
みんなは僕よりもここにいるから小遣いもよく貯まっているだろうけど、2ヶ月で貯められるお金は雀の涙なのだ。
20円チョコスティックで我慢してほしい。
「でもまあ………イタズラしちゃおうかな~」
と言って暇柱がサクラにこしょこしょ攻撃を炸裂させる。
ギャーと大変な悲鳴を上げてサクラは逃げ回るが、暇柱は負けずに追いかけている。
すると夜久が後ろから音もなく近付いて暇柱の肩を叩いた。
彼は後ろが弱いようでサクラに劣らず叫んだ。
「ありがとう夜久」
「ふふっ」
彼女らの背後には万象がいて、仕掛ける前に夜久に見つかっていた。
その後は想像に固くない。
朝食はいつもと違ってジュースが付いていた。
しかし思っていたより変化が小さかった。
乾杯のときの実行委員長によると、予算の関係で夕食で盛り上げることになったそうだ。
美味しければなんでもいいけども。
それからはホームルームクラスごとの出し物を回る時間だった。
僕たちは同じ時間に受付をすることになっていた。
Anneと中佐さんがいなかったら遅れていたかもしれない。本当に危なかった。
僕が見ておけよと思うかもしれないけど、絶えず誰かと喋っていたから時計を見る瞬間がなかったのだ。
………やっぱり見ておくべきだったかもしれない。他力本願はよくないな。
それで夕食の時間。本日最大の盛り上がりを見せる予定の夜の始まりだ。
………前々日に何があったのかも知らなかった。
罪なき少年の人生に多大な影響を与えることになる処分など。
彼の優しい姉にも少なからず影響をもたらすのだが………。
このツケは必ず僕らに。
「「いただきまーす!」」
大広間の異世界人の声が揃う。
ここでも飾りつけがされていた。
まず、正面に大きく“HAPPY HALLOWEEN!”という横断幕が掲げられている。
そして、中央の天井にはシャンデリア………某ディズニー映画の氷使いの女王が作った城のシャンデリアに似ている………がキラキラ輝いている。
シャンデリアはいつも通りなのだが、これを引き立てるように普段はある装飾がほとんど取り去られたので一層綺麗に見えるのだ。
赤いカーペットとのコントラストのせいもある。
食事のときに使っている長テーブルが端の方に置かれて、浮かれまくったリカメンテ育成場の生徒がひしめきあっている。
いくらハロウィンとはいえはしゃぎすぎでは………と懸念したところで、僕が何を言っても変わらないのだから仕方ないと切り捨てる。
「「かんぱーい!」」
ご近所組9人と、その補佐役4人の声が揃う。残りの5人の補佐役は来れなかったのだ。
カツンとグラスを合わせてくはっと一気飲み。
やっぱり一気飲みに限るよね、と風呂の後はビールに限るとほざくおっさんみたいなことを考える。
王国に来てからどんどん老けていないだろうか。
夕食はバイキング形式だ。
丸いテーブルが10、全てに料理が置かれている。
ハロウィンらしいものもあるが、大半は贅沢品だ。
例えばすき焼き。僕の家では年に1回しか食べられなかった。
………あれ? あれって………。笑っていいか?
「急に笑わないでくださいよ」
「いや………だってさ」
あれビフテキくんだよ?
「牛肉って地球ではビーフっていうんだよ」
「はあ………ッ」
早くも何か掴んだようだ。
目を逸らしている。
にやけは止まらないが大真面目に最終宣告。
「で、ああいう感じに焼いた肉をステーキという」
「………やっぱり。もう分かりましたから言わなくていいですよ」
「そういうこと。笑ってもいいでしょ」
「………まあ僕でも笑っちゃうかもしれません。非常に不服ですが」
「起きてください、コウスケさん。今日はハロウィン? とやらなの、おわっ」
今日は10月31日。
ハロウィンである。
いくら異世界に呼ばれたからといって、ハロウィンを楽しまないわけがないだろうという意気で、僕たちは前日から準備に勤しんでいた。
部屋を飾りつけたりお菓子を買い占めたりした。
あー小遣いが減った。
「飛び起きないでください。痛いです」
「ごめんごめん」
だが、ハロウィンと聞いたら誰しも飛び起きるだろう。
それは僕の責任ではない。
ハロウィンという行事を作ったキリスト教の責任だ。
「じゃあ早く着替えてください。朝食に遅れますよ」
「ん」
それにしてもハロウィンなんて言葉を異世界で聞くとは思わなかった。
朝食ついでに今日について話しておこう。
昨日は体育祭だったから今日は代休で、終日ハロウィンパーティーの予定だ。
ハロウィンパーティー実行委員会がつくられて、20名ほどの会員が行程や飾り付け、ハロウィンらしい食事などを決めて、率先してパーティーを盛り上げていた。
下手したら、10月31日20時の渋谷スクランブル交差点での熱気さえも上回っている。
「おはよう」
ご近所組のみんながエレベーターの前に集まっていた。
「「おはよー」」
6人分の挨拶が見事にシンクロする。
僕は掛け声を投げた。
「せーの!」
「「ハッピーハロウィン! トリックorトリート!!」」
そして6人分のハロウィン挨拶までもがシンクロする。
特に示し合わせたわけではないのだが、久しぶりに挨拶が全員シンクロした。
「お菓子は夜に貰えるもんね」
そう、今夜はお菓子交換タイムがあって、なけなしの小遣いをはたき僕も人数分のお菓子を買ったのだ。
みんなは僕よりもここにいるから小遣いもよく貯まっているだろうけど、2ヶ月で貯められるお金は雀の涙なのだ。
20円チョコスティックで我慢してほしい。
「でもまあ………イタズラしちゃおうかな~」
と言って暇柱がサクラにこしょこしょ攻撃を炸裂させる。
ギャーと大変な悲鳴を上げてサクラは逃げ回るが、暇柱は負けずに追いかけている。
すると夜久が後ろから音もなく近付いて暇柱の肩を叩いた。
彼は後ろが弱いようでサクラに劣らず叫んだ。
「ありがとう夜久」
「ふふっ」
彼女らの背後には万象がいて、仕掛ける前に夜久に見つかっていた。
その後は想像に固くない。
朝食はいつもと違ってジュースが付いていた。
しかし思っていたより変化が小さかった。
乾杯のときの実行委員長によると、予算の関係で夕食で盛り上げることになったそうだ。
美味しければなんでもいいけども。
それからはホームルームクラスごとの出し物を回る時間だった。
僕たちは同じ時間に受付をすることになっていた。
Anneと中佐さんがいなかったら遅れていたかもしれない。本当に危なかった。
僕が見ておけよと思うかもしれないけど、絶えず誰かと喋っていたから時計を見る瞬間がなかったのだ。
………やっぱり見ておくべきだったかもしれない。他力本願はよくないな。
それで夕食の時間。本日最大の盛り上がりを見せる予定の夜の始まりだ。
………前々日に何があったのかも知らなかった。
罪なき少年の人生に多大な影響を与えることになる処分など。
彼の優しい姉にも少なからず影響をもたらすのだが………。
このツケは必ず僕らに。
「「いただきまーす!」」
大広間の異世界人の声が揃う。
ここでも飾りつけがされていた。
まず、正面に大きく“HAPPY HALLOWEEN!”という横断幕が掲げられている。
そして、中央の天井にはシャンデリア………某ディズニー映画の氷使いの女王が作った城のシャンデリアに似ている………がキラキラ輝いている。
シャンデリアはいつも通りなのだが、これを引き立てるように普段はある装飾がほとんど取り去られたので一層綺麗に見えるのだ。
赤いカーペットとのコントラストのせいもある。
食事のときに使っている長テーブルが端の方に置かれて、浮かれまくったリカメンテ育成場の生徒がひしめきあっている。
いくらハロウィンとはいえはしゃぎすぎでは………と懸念したところで、僕が何を言っても変わらないのだから仕方ないと切り捨てる。
「「かんぱーい!」」
ご近所組9人と、その補佐役4人の声が揃う。残りの5人の補佐役は来れなかったのだ。
カツンとグラスを合わせてくはっと一気飲み。
やっぱり一気飲みに限るよね、と風呂の後はビールに限るとほざくおっさんみたいなことを考える。
王国に来てからどんどん老けていないだろうか。
夕食はバイキング形式だ。
丸いテーブルが10、全てに料理が置かれている。
ハロウィンらしいものもあるが、大半は贅沢品だ。
例えばすき焼き。僕の家では年に1回しか食べられなかった。
………あれ? あれって………。笑っていいか?
「急に笑わないでくださいよ」
「いや………だってさ」
あれビフテキくんだよ?
「牛肉って地球ではビーフっていうんだよ」
「はあ………ッ」
早くも何か掴んだようだ。
目を逸らしている。
にやけは止まらないが大真面目に最終宣告。
「で、ああいう感じに焼いた肉をステーキという」
「………やっぱり。もう分かりましたから言わなくていいですよ」
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