俺TUEEE出来るって常識だよね？

第一章

プロローグ

『ごめんなさい⋯⋯』

　⋯⋯ッ？ ⋯⋯はっ！

　目覚めると見覚えのない場所だった。

　ズキンッ。いたっ、急に頭痛がした。

　ここはどこだ？ 木の下にいるって事だけはわかったが⋯⋯

　夢の中か？ 頬をつねってみたが痛い⋯⋯

『ごめんなさい』⋯⋯幻聴か、それともここに誰かいたのか？


　思い出せる記憶を必死に思い出す。
　今のような昼下がりの陽気とは違って夜だっはず。
　昨晩も寒くてコタツに入りながら、ゲームして、漫画読んで、アニメを見て。
　のんびりいつも通りの満喫した夜を過ごしていたよな。
　何時も通りの日常を過ごし、眠くなったので電気を消してベッドに入って寝た。
　何度思い返しても、家を出た記憶はない。

　⋯⋯いや、まさかな。


　馬鹿馬鹿しい考えが頭に浮かんだ。
　それは昨晩見ていたアニメで友人が

「これ、面白いから絶対見て見ろって！」


　といって進めてきたやつだ。
　そこまで面白くはなかったが、異世界物って事でだらだらと見てしまった。


　⋯⋯なわけあるかっ！

　そんなこと現実にあるはずがない。

　しかし俺は、この現実とは言い難いこの状況にそんな妄想に捕らわれていたのだ。

　アニメとは違って不親切なこの状況に戸惑いながら、ここがどこなのか探るべく俺は歩き始めた。

　何があるかわからないので、少しでも体力を維持しようと思い、木々の日陰を歩いていたのだが何か妙だ。

　自分や木々の影がおかしい⋯⋯。

　影の何がおかしいのかは、上手く説明できないのだが、何か気になる。何気なく、ふっとを見上げた時──


　俺は今いるここが今までとは違うっていうことがわかった。わかってしまった⋯⋯

　いや、わからされた。



　──太陽が二つあったのだ。


　自分が知っている太陽とほとんど同じ大きさの物と、それよりはやや小さい、だが強い光を放つ球体。

　こんなものは、今まで住んでいた場所にはなかった。

　これを見た今、認めるしかない。

　そうここは違う場所⋯⋯違う世界だ。

　俺はそれを表す言葉を、一つしか知らなかった。



「はぁ～マジで、【異世界】なのか⋯⋯」