俺TUEEE出来るって常識だよね?

チガーイ

文字の大きさ
84 / 96
第四章

再び塔へ

しおりを挟む
 もうこれで暫くは走らなくて済む。

 ディグナルドに着いてから、
「近いうちに塔の中でも会えると思いますので、その時は宜しくお願いしますね」
 と、精一杯強がって笑顔でギアさん達と、別れた。

 そう言ってはみたものの疲労困憊なので、早々に宿屋へ行き一日ゆっくりと休息を取った。

 次の日からは本格的に塔攻略を始める―――

 80階からが厳しくなのであれば逆を言えばそこまでは何とかなるはずだ。⋯⋯マイコの言葉を信じるのであればだけれど。

「無茶しすぎない程度で79階まで進むのを目標として、そこから一旦考えるっていうのが良いんじゃないか?」

 同意を求めるためにユキに相談してみる。

「今度は進むことを優先するんですか?」

「先に何があるかわからないし、進むことで見えてくるものもあるだろ?  その方が対策しやすいしさ」

「そうかもしれませんが⋯⋯。わかりました。ですが、ボス戦の前で一旦は対策を練ることだけはしますからね」

「はいよ」

 悩んだようだがユキはすんなり了承してくれた。

 ―――。

 そんなわけで一日でも早く、まずはギアさん達に追い付くことを目標として、塔攻略を再開した。

 サクラビまでの往復で経験した事や、獲得したスキルのおかげで、日が沈む前までの攻略が連日攻略に切り替わり、攻略スピードは圧倒的に早くなった。

 時間をあけないで戦闘し続けることで、戦闘慣れする速度も上昇している。体力が持つのであれば殺り続けた方が効率が良いのだろうな―――


 ~~~~~


 現在71階層―――。


「なぁ、前に言ってたけど、偶数階っていうのは、箸休めじゃなかったけ?」

「私もそれは疑問だったんですよね?  もしかしたら上層階は全くの別物になっている可能性があるのかもしれませんね」

 ボスとの戦闘に勝利し、そのまま71階層攻略をスタートさせながら疑問をユキにぶつけてみた。

「なにそのクソゲー?  急に難易度が上がるとか別ゲーだぞ⋯⋯」

「私に言われても知りませんよ!  可能性の話しですから」

「ん~⋯⋯。70階ボスだって攻略法さえしっかりやればそんな苦労もせずに倒せたっていうのに、どうなってんだろうな?」

「⋯⋯苦労せず?  どこがですか?  死にかけた事をもう忘れました?」

 ヤバい怒っている。凄く睨んでくる。

「そうだけど⋯⋯。でもユキだって死にかけたじゃんか」

「そうですね。私も死にかけました。なんで私がそうなったか覚えていないのですか?」

 さっきまで戦闘をしていたんだ。忘れる方がどうかしている。しかし、答え方を間違えれば火に油を注ぐこととなる。

「⋯⋯俺のせい?」

「そうです!  瀕死のヒデさんを助けに行ったからです!  そもそもですよ。なんでボス戦で油断するんですか?」


 ―――70階ボス。それは、女性だった。精霊のような女性。武器を振り回す血走った女性なら警戒し続けるのだが、そうではなく目をつぶり穏やかな顔をしていた。⋯⋯まぁ、一番の問題は薄緑色のレース姿っていうことなんだけれども。

 彼女いない=年齢の俺には、刺激が強すぎたのだ。それは、【魅了】という攻撃ではないだろうか?

 そのせいで戦闘が始まってすぐに、ボスの一ヶ所・・・に刮目してしまった。するとモンスター判別が発動してしまい、濃い緑色しか見えなくなってしまった。

『クソが!』と思い一度リセットするために目をつぶった。そうなるのは俺だけでは無いはずだ。

 その目をつぶった瞬間に風魔法で吹き飛ばされた―――。

 と、言うわけだがそんなことを言えば間違いなくビンタが飛んでくる⋯⋯。俺だって学習しているんだ。


「すまない。気持ちに余裕を持ちすぎたんだろうな。これからは気を抜かず戦っていこうと思う」

 完璧だ!  誠心誠意の謝罪だ。




 その結果が、ビンタである⋯⋯。


「おっぱいを凝視してるからでしょ!?」

 ははっ、バレてるわ―――。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

処理中です...