悪魔とダラダラ異世界道中

灯籠

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第16話

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 それから俺とイーギはレソの下についていくことになり、シイゼテと別れた。

 俺とイーギはレソから少し距離を置き、緊急会議を行うことにした。

 「おいイーギ。やっぱりこれってさ・・・。」

 「ああ、間違いねェ。誘ってるナ。・・・ククッ。」

 イーギの笑いは無視して、俺は話を進めた。

 「そこで一つ確認したいんだけど、異世界で子供ができても大丈夫なのか?」

 「いや待テ。お前、この下界に侵入した奴をぶっ倒したら元の下界に帰るんだゼ?まさか、子供作っといて逃げるとか、頭おかしいんじゃねえカ?」

 「アホか。定期的にこの世界に来て面倒を見るんだよ。つまり、現地妻にするってことだな。」

 そう言うと、イーギが吹き出した。

 「現地妻って発想はズルいワ。やっぱお前、二次元の摂りすぎで頭がイカレちまってんナ。」

 と存在自体が二次元の奴に言われた。そして、

 「ま、まあ、頑張るんだナ。・・・プッ。」

 と抑えきれない笑いを漏らした。こいつは後でシバこう。



 シイゼテと別れ、レソについて行ってから数分も経たないうちに、レソが

 「ここが私が組合から支給された住居です。」

 と言われた。ちょっとした一軒家で、支給された家とは到底思えない。俺の住んでる寮部屋がゴミのように思えてくる。開いた口がふさがらなかった。

 「これ、デカくないすか?」

 とクソ狭い寮暮らしの俺が言うと、

 「まあ、そうですね。一人で暮らすには、少し広すぎますね。」

 とレソが言った。つまり、俺と住みたいってことだ。そして、

 「じゃあ、家に入りましょうか。」

 と言った。よし、攻略スタートだ。

 そうして俺とイーギはレソにの住んでる家に入った。入ってみて意外と嬉しかったのは、靴を脱ぐスペースがあったことだ。なんだかホッとした。

 俺とイーギはレソに案内され、部屋に入った。

 「座っていいカ?」

 とイーギが聞くと、

 「どうぞ、くつろいでください。」

 と言われた。俺もあぐらをかくことにした。



 生まれて初めて異性の部屋に入ったので、結構ソワソワしている。一周回って無表情だ。

 そうやってカチコチでいると、レソが、

 「飲みたいものはありますか?」 

 と聞いてきた。この世界の飲み物にもトラウマのある俺は、

 「なんでもいいです。」 

 と答えた。イーギは俺の思い出を察したのか、腕で口を塞いでいた。レソは飲み物の準備をしに部屋を出た。

 レソが部屋にいない間、イーギが俺に、

 「シイマ、先に謝っておくワ。こーゆう面白くなるときは約束破っちまうんダ。」

 と言ってきた。何の話かさっぱり分からなかったので、気にしないことにした。

 しばらくして、レソが飲み物を持ってきてくれた。中身をのぞいてみると、それは不透明な緑色の液体であった。ドロドロしていた。流石に俺達の苦い思い出を知っててやってるだろと思った。

 しかし飲んでみると、スライムとは違い甘かった。

 そんな発見に驚いていると、

 「あの、イーギさん、そしてシイマさん・・・。」

 とレソが話を切り出した。

 「改めまして、今日の件はありがとうございました。私一人では、何もできず・・・。」

 「もう過ぎた話じゃないですか。気にしなくていいんですよ。」

 「それで、あの時に私に話してくれたことなんですけど・・・。」

 あの時、というのは間違いなく村に戻った時の発言だろう。古傷をほじくり返される感じがしてとても恥ずかしい。

 「自分の行動を振り返ってみたら、なんでこうなっていたのかが分かったんですよ。」

 「教えてもらっていいですか?」

 「私、この村に勤める前はもっと大きな都市のギルドで働いていたんです。そこが私の初めての職場でした。そこではギルドを利用する人や冒険者が多く、何人かで一緒に冒険者組合で働いていました。」

 「へえ。」

 とイーギが相槌を打った。レソは話を続けた。

 「私はまだ新人で、その場にいたまとめ役や経験者が仕事を教えてくれました。ですが、私はその人たちに何かあるごとにお礼と謝罪をするように強制され、どんな指示にもすぐに従うようにされました。もしその人たちの機嫌を損ねたりするときは、許してもらうまで何度も謝りました。暴力を振るわれるときもありました。」

 「訴えたりとかすればいいんじゃネ?」

 とイーギが質問すると、

 「そのときには既にそんな発想ができないほどに私は委縮していました。」

 とレソが返した。

 「そのような状況で働いていたある日の夜に、盗賊が襲ってきました。その場に居合わせた私とその上司は応援を呼んで迎撃にあたりました。しかし、上司と迎撃をしようとした瞬間、私は横から何者かに襲われました。」

 え?何で?

 「後で分かったことですが、その犯人は上司で、盗賊にギルドの金を渡して、帰ってもらうようにしたのです。そしてその上司はうまく取り計らい、私にその責任を押し付けました。そうして私はここに左遷という形でやってきました。」

 ここまでの話を聞き、俺は茫然とした。頭が真っ白になった。レソはその続きを語った。

 「私がここで働き始めて一番衝撃的だったのは、この村の人々が私に親切だったことです。信じられませんでした。そこで私は初めて、今までの環境が地獄だと認識しました。」

 「それじゃあ、少しは救われたってことですか?」

 と俺が聞くと、

 「はい、そうなりますね。」

 とレソがうなずいた。

 「しかし、私はその親切が、この私の態度によるものだと思っていました。ですから、もし私がその親切に甘んじた日には、私は村の人々を裏切ってしまうのではないかと気が気でありませんでした。ですから、私はこの姿勢を変えるわけにはいきませんでした。」

 そうか・・・。それが俺が感じた違和感の原因だったんだ。

 「・・・ですが、そんな私からを取り戻してくれた方が現れました。それがあなたです、シイマさん。」

 「へへ・・・。」

 俺はそう言われ、照れ笑いをするしかなかった。
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