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第18話
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俺がレソの家に戻ると、レソがやってきて、
「用事は済みましたか?何やら物音がしてましたけど。」
と聞いてきた。いつの間にか私服に着替えていた。どこまであざといんだコイツ。
「ああ、スッキリしたよ。」
と答えた。するとレソが、
「それで、イーギさんはどうされたんですか?」
と疑問を投げかけた。俺は、
「用事があるって言って、どっか行っちまったよ。」
と言った。イーギを殴り続けたらイーギが動かなくなったので、とりあえず近くの森林にそいつを投棄したことは隠しておこう。
レソはそれを聞いてうなずきながら、
「そうですか。ところで、先ほど私の家に泊まってほしいと言ったんですけど、その部屋の支度ができましたので、案内してもいいですか?」
と言ってきた。俺はレソについて行った。
案内された部屋は二階にあり、俺とイーギの二人が大の字で寝れるくらいの大きさがあった。あるのはベッドとちょっとした本棚くらいしかなかった。
部屋の大きさに感心していると、レソに聞きたいことがあったのを思い出した。
「そういえば、アンタって夫と子供がいるって言ってたよな?なんで家にいないんだ?」
「私の主人は・・・結構忙しい人で、各地を転々としています。そして、主人が子供を連れていくことで少しでも我が子の見聞を広めようとしているので、今はどちらも家にいません。」
未亡人じゃないのか。
「じゃあ、家に帰っても一人なのか。こんなデカい家で一人って、寂しくなかったのか?」
「言われてみればそうですけど、家に帰っても、寝るだけしかやることが残ってないので・・・。」
この一言でハッとした。この世界に来る前の俺もそうだった。家に帰っても、何もしなかった。それに抗おうとしてスマホをいじっていた時もあったが、やめた。空しく疲れるのだ。
「・・・何か考えてるんですか?」
とレソに言われ、俺は少し驚きながら、
「いやあ、やっぱりどこでも皆同じなんだな、って思ってただけだ。」
と返した。すると、
「エッ?シイマさんもそうだったんですか?」
と言われた。
「そりゃそうよ。痛いほど分かるぜ。」
「じゃあ、どうやってシイマさんはこの環境を克服したんですか?」
・・・。
「簡単な話だ。あの時の自分をぶっ壊したのさ。」
「どういうことですか?」
「どんなに環境が変わろうとも、自分っていう状況は変わらないもんだ。自分を変えるのは、結局は自分自身なんだよ。だから、昔の自分を粉々にして、本来の自分に戻ったのさ。とは言っても、俺はまだ戻り切ってないけどな。」
「でも、それじゃ昔の自分も環境も変わってしまうじゃないですか。それって怖くないですか?」
「確かにな。けど、いつも通りを変えたいんだろ?だったら前だけ向けばいい。それに、大事なもんはいつでも横で走ってくれるから、案外はぐれないもんだぜ?」
「・・・。」
「・・・なあレソ。アンタは知ってたんだろ、このやり方。」
「実は、頭では分かってました。でも、今よりも悪い環境になるかもしれないって思うと、やらない方がいいんじゃないかって考えてしまって・・・。」
「だったら、いいことを教えてやるよ。」
「な、何ですか?」
「悩んだら、最初の意思に従っちまえ。悩むってことは、後からついてくる何かが邪魔してるってことだ。しかもその何かってのは、大抵は感情のこじつけか屁理屈だ。だって、真っ当な理由があったらすぐそっちに従うはずだろ?」
「・・・。」
「ここまで言ったんだ。あとは全部そっちに任せるわ。さて、俺はイーギを探しに行ってくるとするよ。」
そう言って、俺はレソの家を出た。出る前に、
「せめて、自分のことを褒めてやれよ。」
と言ってやった。
イーギを捨てたはいいものの、また拾わなきゃいけないのがめんどくさい。
そう思いながら、自分の記憶を頼りにイーギを捜索していると、遠くの方から風の音が聞こえた。
その方向を向くと、黒い何かが俺に向かって飛んできたのが分かった。悪魔の姿をしたイーギだ。
イーギは俺に躊躇のない体当たりをかまし、俺は足で地面を抑えながら飛ばされた。
「おいシイマ、ここまで俺をボコりやがっテ!覚悟しやがレ!」
「当然の報いに抗議すんじゃねえよ!」
それから俺とイーギはその場でちょっとしたケンカを始めた。
ケンカはすぐ終わり、俺とイーギは近くの岩に腰を掛けた。
「シイマ、レソはどうなっタ?」
「やはりお前も気になってたか。・・・まあ、どうにかなったんじゃないのか?」
「流石ダ。やっぱお前はこの俺に選ばれただけのことはあるナ。」
と言われたので、
「そうだな。」
とテキトーに相槌を打った。・・・ん?
「てかこれ、お前の仕事に入ってないだろ。」
「ン?何ガ?」
「なんかこう、人の悩みを解決する系のやつだよ。」
「まあそうだナ。でも、困ってる人がいたら助けたくなっちまうダロ?」
「今回に関しては、それ以上のことまで踏み込んだがな。でもまあ、悪い気分じゃないな。」
「ダロ?やっぱり人を救うっテ、めっちゃ気持ちいいんだよナ!」
「悪魔って、ホントに何なんだよ・・・。」
俺は悪魔に対するイメージと現実の違いにより一層戸惑いながら、イーギと共にレソの家に戻った。
「用事は済みましたか?何やら物音がしてましたけど。」
と聞いてきた。いつの間にか私服に着替えていた。どこまであざといんだコイツ。
「ああ、スッキリしたよ。」
と答えた。するとレソが、
「それで、イーギさんはどうされたんですか?」
と疑問を投げかけた。俺は、
「用事があるって言って、どっか行っちまったよ。」
と言った。イーギを殴り続けたらイーギが動かなくなったので、とりあえず近くの森林にそいつを投棄したことは隠しておこう。
レソはそれを聞いてうなずきながら、
「そうですか。ところで、先ほど私の家に泊まってほしいと言ったんですけど、その部屋の支度ができましたので、案内してもいいですか?」
と言ってきた。俺はレソについて行った。
案内された部屋は二階にあり、俺とイーギの二人が大の字で寝れるくらいの大きさがあった。あるのはベッドとちょっとした本棚くらいしかなかった。
部屋の大きさに感心していると、レソに聞きたいことがあったのを思い出した。
「そういえば、アンタって夫と子供がいるって言ってたよな?なんで家にいないんだ?」
「私の主人は・・・結構忙しい人で、各地を転々としています。そして、主人が子供を連れていくことで少しでも我が子の見聞を広めようとしているので、今はどちらも家にいません。」
未亡人じゃないのか。
「じゃあ、家に帰っても一人なのか。こんなデカい家で一人って、寂しくなかったのか?」
「言われてみればそうですけど、家に帰っても、寝るだけしかやることが残ってないので・・・。」
この一言でハッとした。この世界に来る前の俺もそうだった。家に帰っても、何もしなかった。それに抗おうとしてスマホをいじっていた時もあったが、やめた。空しく疲れるのだ。
「・・・何か考えてるんですか?」
とレソに言われ、俺は少し驚きながら、
「いやあ、やっぱりどこでも皆同じなんだな、って思ってただけだ。」
と返した。すると、
「エッ?シイマさんもそうだったんですか?」
と言われた。
「そりゃそうよ。痛いほど分かるぜ。」
「じゃあ、どうやってシイマさんはこの環境を克服したんですか?」
・・・。
「簡単な話だ。あの時の自分をぶっ壊したのさ。」
「どういうことですか?」
「どんなに環境が変わろうとも、自分っていう状況は変わらないもんだ。自分を変えるのは、結局は自分自身なんだよ。だから、昔の自分を粉々にして、本来の自分に戻ったのさ。とは言っても、俺はまだ戻り切ってないけどな。」
「でも、それじゃ昔の自分も環境も変わってしまうじゃないですか。それって怖くないですか?」
「確かにな。けど、いつも通りを変えたいんだろ?だったら前だけ向けばいい。それに、大事なもんはいつでも横で走ってくれるから、案外はぐれないもんだぜ?」
「・・・。」
「・・・なあレソ。アンタは知ってたんだろ、このやり方。」
「実は、頭では分かってました。でも、今よりも悪い環境になるかもしれないって思うと、やらない方がいいんじゃないかって考えてしまって・・・。」
「だったら、いいことを教えてやるよ。」
「な、何ですか?」
「悩んだら、最初の意思に従っちまえ。悩むってことは、後からついてくる何かが邪魔してるってことだ。しかもその何かってのは、大抵は感情のこじつけか屁理屈だ。だって、真っ当な理由があったらすぐそっちに従うはずだろ?」
「・・・。」
「ここまで言ったんだ。あとは全部そっちに任せるわ。さて、俺はイーギを探しに行ってくるとするよ。」
そう言って、俺はレソの家を出た。出る前に、
「せめて、自分のことを褒めてやれよ。」
と言ってやった。
イーギを捨てたはいいものの、また拾わなきゃいけないのがめんどくさい。
そう思いながら、自分の記憶を頼りにイーギを捜索していると、遠くの方から風の音が聞こえた。
その方向を向くと、黒い何かが俺に向かって飛んできたのが分かった。悪魔の姿をしたイーギだ。
イーギは俺に躊躇のない体当たりをかまし、俺は足で地面を抑えながら飛ばされた。
「おいシイマ、ここまで俺をボコりやがっテ!覚悟しやがレ!」
「当然の報いに抗議すんじゃねえよ!」
それから俺とイーギはその場でちょっとしたケンカを始めた。
ケンカはすぐ終わり、俺とイーギは近くの岩に腰を掛けた。
「シイマ、レソはどうなっタ?」
「やはりお前も気になってたか。・・・まあ、どうにかなったんじゃないのか?」
「流石ダ。やっぱお前はこの俺に選ばれただけのことはあるナ。」
と言われたので、
「そうだな。」
とテキトーに相槌を打った。・・・ん?
「てかこれ、お前の仕事に入ってないだろ。」
「ン?何ガ?」
「なんかこう、人の悩みを解決する系のやつだよ。」
「まあそうだナ。でも、困ってる人がいたら助けたくなっちまうダロ?」
「今回に関しては、それ以上のことまで踏み込んだがな。でもまあ、悪い気分じゃないな。」
「ダロ?やっぱり人を救うっテ、めっちゃ気持ちいいんだよナ!」
「悪魔って、ホントに何なんだよ・・・。」
俺は悪魔に対するイメージと現実の違いにより一層戸惑いながら、イーギと共にレソの家に戻った。
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