悪魔とダラダラ異世界道中

灯籠

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第40話

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 「ジ、ジュラグ選手、ここで降参!!初心者トーナメントの優勝者は、シイマ選手だぁ!」

 司会が興奮してそう言うと、観客の歓声がドッと押し寄せてきた。同時に、花火のようなものが打ちあがってきたり、俺達に向かって何かを投げ入れてくる観客もいた。そーいやこれ、大会だったな。

 そんな周りの様子を見ていると、ガキが立ち上がった。

 「シイマ。お前と交わることはもうないだろう。だからせめて、その名を覚えておこう。」

 「もう会えない、ってことはないだろ。どっかでひょっこり顔を合わせることくらい、あんじゃねーの?」

 「前向きだな、お前は。そう言われると、またいつか会える気がするものだ。その時が来るまで、腕を磨いておけ。今度は私が、お前を超える番だ。」

 「分かったよ。お前も達者でな。・・・あ、一つ言い忘れてたわ。」

 「何だ?」

 「止めを刺す時には、やったか、なんて言わないようにな!」

 「・・・フッ、覚えておこう。」

 そう言って、俺とジュラグと別れを済ませた。



 闘技場のロビーを歩き、出口に向かっていると、イーギがやってきた。

 「よう、シイマ。ごくろーサン。」

 「ああ。ってか、なんでここで待ってたんだ?」

 「忠告しに来たんだヨ。あの戦いで、この街中が大騒ぎしてんダ。どこもかしこもお前とあのガキンチョのことで持ちきりサ。だから帰り道に気をつけろヨ。」

 「マジかよ、めんどくせーなぁ。」

 そう嘆いていると、俺を案内してくれた兵士が俺のところに来て、話をしてきた。

 「シイマ選手ですね。・・・って、そんな堅苦しい敬語使ってられるかってんだ。アンタ、サイコーだったぜ。なんかさ、握手してくんねーか?」

 そう言うと、兵士が兜と手の鎧を外し、右手を差し出してきた。

 「あ、ああ・・・。」

 俺は戸惑いながらも、それに応じた。やっぱり人気者扱いは俺のガラに合わないな。

 「うおおおお!ありがと!一生大事にするぜ、ヒーロー。」

 「そんなに興奮しなくてもいいんじゃねーか?」

 「何言ってんだよ!あんな戦い、燃えない訳がねーよ!中級者トーナメントと比べても、見劣りしない迫力だったぜ。しかも、最後の殴り合い!シビれたぜぇ!」

 「おう、分かった。でもよ、何でそんなにテンション高いんだ?中級者トーナメントってやつでも、こんなのがみれるんだろ?」

 「あーゆうのはセレブ向けになって、生で見ようとするととんでもなく金がかかるんだよ。そんな戦いをタダで見れたんだから、こうならない訳がねーだろ!」

 「お、おう・・・。」

 俺は徐々に、自分がとんでもない戦いをしたことを認識してきた。



 兵士と別れ、出口を出る寸前に、イーギに質問をされた。

 「なあ、シイマ。お前、どうして雷魔法を出し渋ったんダ?それを使えば楽勝だったんじゃねーのカ?」

 「いや、なんかさ、じめんにでんきは効果がないと思ってな。」

 「ゲーム脳すぎるだろ、ソレ・・・。」
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