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第42話
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なんとか追ってくる人々を撒いた俺は、ホテルのベランダから自分の部屋に入った。すでにイーギがくつろいでいた。
「よう!帰ってきたか、シイマ。ヒーローになった気分はどうダ?」
「やっぱり俺の性に合わないな。」
「とか言っちゃっテ、ホントはチヤホヤされたいからあんなことしたんだろぉ、オ?」
「んな馬鹿な。ただ助けようとしただけだっての。」
「おうおう、かっこいーなァ、お前ってやつハ!」
「いじるなぁ、お前。」
などと冗談を言い合って、俺はやっと落ち着いた環境に戻ってこれた。俺は冒険者免許に書いてある実績を眺め、勝利の余韻に浸って眠りについた。
「おい、シイマ!これ見てみろヨ!」
そんなイーギの驚く声にせかされて、俺は目覚めた。
「うるせーなぁ。そんなに騒いで、どうしたんだよ。」
「だから、これ見ろっテ!」
そう言って、イーギは俺に一枚の紙を渡してきた。俺はイーギに少し怪訝そうな顔をしながらそれを受け取り、書いてある内容に目を通した。
「拝啓 シイマ様 イーギ様 実力と功績の観点から、あなた方お二人に依頼を申し上げたいと思います。引き受ける意思がありましたら、こちらにお越しください。」
紙にはそんな文章が書いてあり、さらに地図と日時が記されていた。
「なんだ、ただの依頼書的なヤツじゃねーか。そんなに騒ぐほどでもあるか?」
「いや、ここ見てみろよ、ココ!」
そう言ってイーギが俺から紙を取り上げて指さしたところを見てみると、
「敬具 レ・ヴォスマ・ル王国 ラディーア」
とあった。
「ん?じゃあこれって・・・。」
「そうなんダヨ!国から直接の依頼なんだヨ!すごくね、コレ?」
「言うほどすごいか?」
「そりゃスゲーだロ!なんかサ、かっこよくネ?ラノベで読んだことあんだよ、こんなシチュ。そのラノベの名前忘れたけド。」
「なんじゃそりゃ・・・。」
そんなイーギのハイテンションに半ば押し切られるようにして、俺達はこの依頼書の書いてある場所に向かうことにした。
指定された場所はラベンチル峡谷のある1地点だった。
そこに俺達が時間通りに向かうと、そこには1人の騎士が木に寄っかかっていた。今まで見た中で1番重そうな鎧をしていた。なかなかの大男だった。
その騎士は俺達に気づくと、兜を外し、頭を下げてきた。ごついフェイスだった。
「お前達が、シイマとイーギだな?」
「ああ。」
「よく来てくれた。私が近衛騎士団の騎士長、ラディーアだ。」
そう言って、依頼主が右手を差し出してきた。俺がそれに応じて右手を出そうとすると、
「握手をするのは、お前の話を聞いてからにするゼ。」
とイーギが依頼主に話しかけた。なんかもう心理フェイズが始まってるみたいだったので、こういう場面に不向きな俺はこの顛末をイーギに委ねることにした。
「依頼の内容を伝える前に、1つ約束をしてもらいたい。これから私が話す内容は、それが完了するまで他言無用にできるか?」
すべてをイーギに任せた俺は、返事をせずにイーギの方を見た。イーギはラディーアの方を向き直し、俺より一歩前に出た。
「もちろン。お前ほどの奴が直接依頼するんダ。相当なシロモノだってことぐらい、すぐに分かル。で、さっさと教えてくれ、その内容をヨ。」
イーギがそう返したので、ラディーアは少し間を作り、それから口を開いた。
「私が君達に頼みたいのは、我が国の姫、クリプッセン様の機密護衛だ。シノアからレ・ヴォスマ・ル王国まで、ずっと護衛してもらう。」
それを聞いた俺はかなりビックリした。初対面で駆け出しの冒険者に、こんな大仕事を任せるのか?コイツ、バカじゃねーの?
そんな俺の驚きとは対照に、イーギはさらっとして質問を投げかけた。
「ホウ。お前らも過保護だなァ。そんなにそいつが心配カ?」
・・・え?そりゃそうだろ。一国の姫だぞ?
そうやって心の中でツッコミを入れていると、ラディーアが詳しい説明をしだした。
「・・・このような依頼をした要因が3つある。1つは、今回の移動が、姫にとっては初めてのものであること。2つ目に、性格上、姫がイレギュラーな行動を行いうること。最後に、この周辺に要注意人物が潜んでいるとの情報が入っていることだ。これらを踏まえて、お前達にやってもらうことを説明する。まずは・・・」
「要するに、外部にバレないように姫の行動を観察して護衛しろってことだロ?虫のいい野郎だな、ホント・・・。」
「・・・理解が早くて助かる。」
「質問なんだけどサ、これって他に引き受けた奴とかいンノ?」
「まだいない。もしお前達が引き受けたら、他には依頼しない。断れば、別の者に依頼するだけだ。」
「ほーん、少人数ねェ・・・。」
・・・いやいや、これ、俺達には重すぎる内容だろ。こんなペーペーの冒険者が、姫を護衛するだと?そんなん責任とれねーし、何より引き受ける理由がねえよ。
「あ、そうダ。報酬はどうなるんダ?それなりのものを用意してるんだろうナ?」
「・・・お前ら、借金を背負っているらしいな?」
「「・・・おお。」」
俺とイーギは思わず口をそろえてそう唸った。
「よう!帰ってきたか、シイマ。ヒーローになった気分はどうダ?」
「やっぱり俺の性に合わないな。」
「とか言っちゃっテ、ホントはチヤホヤされたいからあんなことしたんだろぉ、オ?」
「んな馬鹿な。ただ助けようとしただけだっての。」
「おうおう、かっこいーなァ、お前ってやつハ!」
「いじるなぁ、お前。」
などと冗談を言い合って、俺はやっと落ち着いた環境に戻ってこれた。俺は冒険者免許に書いてある実績を眺め、勝利の余韻に浸って眠りについた。
「おい、シイマ!これ見てみろヨ!」
そんなイーギの驚く声にせかされて、俺は目覚めた。
「うるせーなぁ。そんなに騒いで、どうしたんだよ。」
「だから、これ見ろっテ!」
そう言って、イーギは俺に一枚の紙を渡してきた。俺はイーギに少し怪訝そうな顔をしながらそれを受け取り、書いてある内容に目を通した。
「拝啓 シイマ様 イーギ様 実力と功績の観点から、あなた方お二人に依頼を申し上げたいと思います。引き受ける意思がありましたら、こちらにお越しください。」
紙にはそんな文章が書いてあり、さらに地図と日時が記されていた。
「なんだ、ただの依頼書的なヤツじゃねーか。そんなに騒ぐほどでもあるか?」
「いや、ここ見てみろよ、ココ!」
そう言ってイーギが俺から紙を取り上げて指さしたところを見てみると、
「敬具 レ・ヴォスマ・ル王国 ラディーア」
とあった。
「ん?じゃあこれって・・・。」
「そうなんダヨ!国から直接の依頼なんだヨ!すごくね、コレ?」
「言うほどすごいか?」
「そりゃスゲーだロ!なんかサ、かっこよくネ?ラノベで読んだことあんだよ、こんなシチュ。そのラノベの名前忘れたけド。」
「なんじゃそりゃ・・・。」
そんなイーギのハイテンションに半ば押し切られるようにして、俺達はこの依頼書の書いてある場所に向かうことにした。
指定された場所はラベンチル峡谷のある1地点だった。
そこに俺達が時間通りに向かうと、そこには1人の騎士が木に寄っかかっていた。今まで見た中で1番重そうな鎧をしていた。なかなかの大男だった。
その騎士は俺達に気づくと、兜を外し、頭を下げてきた。ごついフェイスだった。
「お前達が、シイマとイーギだな?」
「ああ。」
「よく来てくれた。私が近衛騎士団の騎士長、ラディーアだ。」
そう言って、依頼主が右手を差し出してきた。俺がそれに応じて右手を出そうとすると、
「握手をするのは、お前の話を聞いてからにするゼ。」
とイーギが依頼主に話しかけた。なんかもう心理フェイズが始まってるみたいだったので、こういう場面に不向きな俺はこの顛末をイーギに委ねることにした。
「依頼の内容を伝える前に、1つ約束をしてもらいたい。これから私が話す内容は、それが完了するまで他言無用にできるか?」
すべてをイーギに任せた俺は、返事をせずにイーギの方を見た。イーギはラディーアの方を向き直し、俺より一歩前に出た。
「もちろン。お前ほどの奴が直接依頼するんダ。相当なシロモノだってことぐらい、すぐに分かル。で、さっさと教えてくれ、その内容をヨ。」
イーギがそう返したので、ラディーアは少し間を作り、それから口を開いた。
「私が君達に頼みたいのは、我が国の姫、クリプッセン様の機密護衛だ。シノアからレ・ヴォスマ・ル王国まで、ずっと護衛してもらう。」
それを聞いた俺はかなりビックリした。初対面で駆け出しの冒険者に、こんな大仕事を任せるのか?コイツ、バカじゃねーの?
そんな俺の驚きとは対照に、イーギはさらっとして質問を投げかけた。
「ホウ。お前らも過保護だなァ。そんなにそいつが心配カ?」
・・・え?そりゃそうだろ。一国の姫だぞ?
そうやって心の中でツッコミを入れていると、ラディーアが詳しい説明をしだした。
「・・・このような依頼をした要因が3つある。1つは、今回の移動が、姫にとっては初めてのものであること。2つ目に、性格上、姫がイレギュラーな行動を行いうること。最後に、この周辺に要注意人物が潜んでいるとの情報が入っていることだ。これらを踏まえて、お前達にやってもらうことを説明する。まずは・・・」
「要するに、外部にバレないように姫の行動を観察して護衛しろってことだロ?虫のいい野郎だな、ホント・・・。」
「・・・理解が早くて助かる。」
「質問なんだけどサ、これって他に引き受けた奴とかいンノ?」
「まだいない。もしお前達が引き受けたら、他には依頼しない。断れば、別の者に依頼するだけだ。」
「ほーん、少人数ねェ・・・。」
・・・いやいや、これ、俺達には重すぎる内容だろ。こんなペーペーの冒険者が、姫を護衛するだと?そんなん責任とれねーし、何より引き受ける理由がねえよ。
「あ、そうダ。報酬はどうなるんダ?それなりのものを用意してるんだろうナ?」
「・・・お前ら、借金を背負っているらしいな?」
「「・・・おお。」」
俺とイーギは思わず口をそろえてそう唸った。
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