43 / 55
第42話
しおりを挟む
なんとか追ってくる人々を撒いた俺は、ホテルのベランダから自分の部屋に入った。すでにイーギがくつろいでいた。
「よう!帰ってきたか、シイマ。ヒーローになった気分はどうダ?」
「やっぱり俺の性に合わないな。」
「とか言っちゃっテ、ホントはチヤホヤされたいからあんなことしたんだろぉ、オ?」
「んな馬鹿な。ただ助けようとしただけだっての。」
「おうおう、かっこいーなァ、お前ってやつハ!」
「いじるなぁ、お前。」
などと冗談を言い合って、俺はやっと落ち着いた環境に戻ってこれた。俺は冒険者免許に書いてある実績を眺め、勝利の余韻に浸って眠りについた。
「おい、シイマ!これ見てみろヨ!」
そんなイーギの驚く声にせかされて、俺は目覚めた。
「うるせーなぁ。そんなに騒いで、どうしたんだよ。」
「だから、これ見ろっテ!」
そう言って、イーギは俺に一枚の紙を渡してきた。俺はイーギに少し怪訝そうな顔をしながらそれを受け取り、書いてある内容に目を通した。
「拝啓 シイマ様 イーギ様 実力と功績の観点から、あなた方お二人に依頼を申し上げたいと思います。引き受ける意思がありましたら、こちらにお越しください。」
紙にはそんな文章が書いてあり、さらに地図と日時が記されていた。
「なんだ、ただの依頼書的なヤツじゃねーか。そんなに騒ぐほどでもあるか?」
「いや、ここ見てみろよ、ココ!」
そう言ってイーギが俺から紙を取り上げて指さしたところを見てみると、
「敬具 レ・ヴォスマ・ル王国 ラディーア」
とあった。
「ん?じゃあこれって・・・。」
「そうなんダヨ!国から直接の依頼なんだヨ!すごくね、コレ?」
「言うほどすごいか?」
「そりゃスゲーだロ!なんかサ、かっこよくネ?ラノベで読んだことあんだよ、こんなシチュ。そのラノベの名前忘れたけド。」
「なんじゃそりゃ・・・。」
そんなイーギのハイテンションに半ば押し切られるようにして、俺達はこの依頼書の書いてある場所に向かうことにした。
指定された場所はラベンチル峡谷のある1地点だった。
そこに俺達が時間通りに向かうと、そこには1人の騎士が木に寄っかかっていた。今まで見た中で1番重そうな鎧をしていた。なかなかの大男だった。
その騎士は俺達に気づくと、兜を外し、頭を下げてきた。ごついフェイスだった。
「お前達が、シイマとイーギだな?」
「ああ。」
「よく来てくれた。私が近衛騎士団の騎士長、ラディーアだ。」
そう言って、依頼主が右手を差し出してきた。俺がそれに応じて右手を出そうとすると、
「握手をするのは、お前の話を聞いてからにするゼ。」
とイーギが依頼主に話しかけた。なんかもう心理フェイズが始まってるみたいだったので、こういう場面に不向きな俺はこの顛末をイーギに委ねることにした。
「依頼の内容を伝える前に、1つ約束をしてもらいたい。これから私が話す内容は、それが完了するまで他言無用にできるか?」
すべてをイーギに任せた俺は、返事をせずにイーギの方を見た。イーギはラディーアの方を向き直し、俺より一歩前に出た。
「もちろン。お前ほどの奴が直接依頼するんダ。相当なシロモノだってことぐらい、すぐに分かル。で、さっさと教えてくれ、その内容をヨ。」
イーギがそう返したので、ラディーアは少し間を作り、それから口を開いた。
「私が君達に頼みたいのは、我が国の姫、クリプッセン様の機密護衛だ。シノアからレ・ヴォスマ・ル王国まで、ずっと護衛してもらう。」
それを聞いた俺はかなりビックリした。初対面で駆け出しの冒険者に、こんな大仕事を任せるのか?コイツ、バカじゃねーの?
そんな俺の驚きとは対照に、イーギはさらっとして質問を投げかけた。
「ホウ。お前らも過保護だなァ。そんなにそいつが心配カ?」
・・・え?そりゃそうだろ。一国の姫だぞ?
そうやって心の中でツッコミを入れていると、ラディーアが詳しい説明をしだした。
「・・・このような依頼をした要因が3つある。1つは、今回の移動が、姫にとっては初めてのものであること。2つ目に、性格上、姫がイレギュラーな行動を行いうること。最後に、この周辺に要注意人物が潜んでいるとの情報が入っていることだ。これらを踏まえて、お前達にやってもらうことを説明する。まずは・・・」
「要するに、外部にバレないように姫の行動を観察して護衛しろってことだロ?虫のいい野郎だな、ホント・・・。」
「・・・理解が早くて助かる。」
「質問なんだけどサ、これって他に引き受けた奴とかいンノ?」
「まだいない。もしお前達が引き受けたら、他には依頼しない。断れば、別の者に依頼するだけだ。」
「ほーん、少人数ねェ・・・。」
・・・いやいや、これ、俺達には重すぎる内容だろ。こんなペーペーの冒険者が、姫を護衛するだと?そんなん責任とれねーし、何より引き受ける理由がねえよ。
「あ、そうダ。報酬はどうなるんダ?それなりのものを用意してるんだろうナ?」
「・・・お前ら、借金を背負っているらしいな?」
「「・・・おお。」」
俺とイーギは思わず口をそろえてそう唸った。
「よう!帰ってきたか、シイマ。ヒーローになった気分はどうダ?」
「やっぱり俺の性に合わないな。」
「とか言っちゃっテ、ホントはチヤホヤされたいからあんなことしたんだろぉ、オ?」
「んな馬鹿な。ただ助けようとしただけだっての。」
「おうおう、かっこいーなァ、お前ってやつハ!」
「いじるなぁ、お前。」
などと冗談を言い合って、俺はやっと落ち着いた環境に戻ってこれた。俺は冒険者免許に書いてある実績を眺め、勝利の余韻に浸って眠りについた。
「おい、シイマ!これ見てみろヨ!」
そんなイーギの驚く声にせかされて、俺は目覚めた。
「うるせーなぁ。そんなに騒いで、どうしたんだよ。」
「だから、これ見ろっテ!」
そう言って、イーギは俺に一枚の紙を渡してきた。俺はイーギに少し怪訝そうな顔をしながらそれを受け取り、書いてある内容に目を通した。
「拝啓 シイマ様 イーギ様 実力と功績の観点から、あなた方お二人に依頼を申し上げたいと思います。引き受ける意思がありましたら、こちらにお越しください。」
紙にはそんな文章が書いてあり、さらに地図と日時が記されていた。
「なんだ、ただの依頼書的なヤツじゃねーか。そんなに騒ぐほどでもあるか?」
「いや、ここ見てみろよ、ココ!」
そう言ってイーギが俺から紙を取り上げて指さしたところを見てみると、
「敬具 レ・ヴォスマ・ル王国 ラディーア」
とあった。
「ん?じゃあこれって・・・。」
「そうなんダヨ!国から直接の依頼なんだヨ!すごくね、コレ?」
「言うほどすごいか?」
「そりゃスゲーだロ!なんかサ、かっこよくネ?ラノベで読んだことあんだよ、こんなシチュ。そのラノベの名前忘れたけド。」
「なんじゃそりゃ・・・。」
そんなイーギのハイテンションに半ば押し切られるようにして、俺達はこの依頼書の書いてある場所に向かうことにした。
指定された場所はラベンチル峡谷のある1地点だった。
そこに俺達が時間通りに向かうと、そこには1人の騎士が木に寄っかかっていた。今まで見た中で1番重そうな鎧をしていた。なかなかの大男だった。
その騎士は俺達に気づくと、兜を外し、頭を下げてきた。ごついフェイスだった。
「お前達が、シイマとイーギだな?」
「ああ。」
「よく来てくれた。私が近衛騎士団の騎士長、ラディーアだ。」
そう言って、依頼主が右手を差し出してきた。俺がそれに応じて右手を出そうとすると、
「握手をするのは、お前の話を聞いてからにするゼ。」
とイーギが依頼主に話しかけた。なんかもう心理フェイズが始まってるみたいだったので、こういう場面に不向きな俺はこの顛末をイーギに委ねることにした。
「依頼の内容を伝える前に、1つ約束をしてもらいたい。これから私が話す内容は、それが完了するまで他言無用にできるか?」
すべてをイーギに任せた俺は、返事をせずにイーギの方を見た。イーギはラディーアの方を向き直し、俺より一歩前に出た。
「もちろン。お前ほどの奴が直接依頼するんダ。相当なシロモノだってことぐらい、すぐに分かル。で、さっさと教えてくれ、その内容をヨ。」
イーギがそう返したので、ラディーアは少し間を作り、それから口を開いた。
「私が君達に頼みたいのは、我が国の姫、クリプッセン様の機密護衛だ。シノアからレ・ヴォスマ・ル王国まで、ずっと護衛してもらう。」
それを聞いた俺はかなりビックリした。初対面で駆け出しの冒険者に、こんな大仕事を任せるのか?コイツ、バカじゃねーの?
そんな俺の驚きとは対照に、イーギはさらっとして質問を投げかけた。
「ホウ。お前らも過保護だなァ。そんなにそいつが心配カ?」
・・・え?そりゃそうだろ。一国の姫だぞ?
そうやって心の中でツッコミを入れていると、ラディーアが詳しい説明をしだした。
「・・・このような依頼をした要因が3つある。1つは、今回の移動が、姫にとっては初めてのものであること。2つ目に、性格上、姫がイレギュラーな行動を行いうること。最後に、この周辺に要注意人物が潜んでいるとの情報が入っていることだ。これらを踏まえて、お前達にやってもらうことを説明する。まずは・・・」
「要するに、外部にバレないように姫の行動を観察して護衛しろってことだロ?虫のいい野郎だな、ホント・・・。」
「・・・理解が早くて助かる。」
「質問なんだけどサ、これって他に引き受けた奴とかいンノ?」
「まだいない。もしお前達が引き受けたら、他には依頼しない。断れば、別の者に依頼するだけだ。」
「ほーん、少人数ねェ・・・。」
・・・いやいや、これ、俺達には重すぎる内容だろ。こんなペーペーの冒険者が、姫を護衛するだと?そんなん責任とれねーし、何より引き受ける理由がねえよ。
「あ、そうダ。報酬はどうなるんダ?それなりのものを用意してるんだろうナ?」
「・・・お前ら、借金を背負っているらしいな?」
「「・・・おお。」」
俺とイーギは思わず口をそろえてそう唸った。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる