人の心、クズ知らず。

木樫

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甘話 ハルとデート。

04(side春木)※

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「ハルは俺に抱かれたくて、俺はハルを抱くとハルの中の温度がわかるからよくて、利害の一致ってやつ」

「んっ……体べったり、へばりつくの、最高……あっ…は、っ……」

「それならなるべく気持ちくシたいじゃん。ハルが感じると俺も感じる」

「お前の汗で、んっ……イケちまう……」

「友達じゃなくて恋人だから、感じ合うんでしょ? ハル。好きだよ」

「ぁあ……っぉ、俺も好きだぜ……っ好き……っさきすきぃ……っ」


 好きだよ、と。

 囁きながら愛されると、脳みそなんて跡形もなく溶けてしまう。

 そんな俺だから、咲は俺とのセックスで滅多に趣向を凝らしたエンターテインメント的なプレイをしないのだ。

 抱かれる行為に慣れていない俺に合わせて、ひたすらわかりやすいシンプルな快楽を与え続ける。


「ぃい……あっ……さいっ、こぉ……っ」


 だけどカンタンな快感は順応しやすいだけに、俺のカラダを咲専用のメスに変えていった。

 時折体位は変えながら、けれど一定のテンポで太く長い怒張が出入りを繰り返し、俺はウブな襞を摩擦されて肉悦に喘ぐ。

 これがもう、ずっとだ。三時間だぜ? ケツがバカになっちまうよ。

 たぶん俺の脳みそもナカも、とっくに咲っていうシェフのこだわりシチュー的な感じに煮崩れてんだろ。

 じっくりとろとろ、ずっとずーっと、俺は痛みや苦痛とは無縁な深い快楽であやされるだけ。

 それがちっとも不快じゃない。
 むしろ永遠に続けばいいとさえ祈れる。余裕で。

 このままお互いの体温で溶け合ってお互いの体液が混ざりあって、この愛しい肉棒が肉穴から抜けなくなっちまったらイキ死ぬほど幸せだ。

 一生咲のペ‪✕‬スホルダーになったって俺は全然構わねぇ。
 咲を咥え込む専用の穴でもいい。お前と結合できるならなんでもいい。


(っあ……クる……)


 そんなことを本気で考えていると、打ち寄せる官能の波が高まり、腰がブルリと震えた。


「ンっ…咲……またイきそ……」

「あぁ……いーよ」


 俺がイク時は、咲に報告する。
 そういうルールだ。


「ちゃんと中食い締めて、血管の動きまで感じるくらい、俺のにケツでしゃぶりつくんだぜ? ハルちゃん」

「ゥフっ……ゔっ…ゔっ!」


 報告すると、咲は尻肉を押しつぶすように両手で押さえながらクンッ、と角度を整え、エラでゴリュッゴリュッと前立腺を小刻みに往復しすり潰した。

 それだけでも腰が震えて足先がバタつくのに、イク時は尻に力を入れて咲の律動にしがみつかなければならない。

 ミッチリ絞った腹の裏を、硬い男根がドス、ドスッ、とノックする。
 絞っているのに強引に逃げていく。壁の凹凸をゾリッ、と擦りながら。

 だがすぐにまた深々と押し込まれて、腹が突っ張る錯覚を覚える。


「あッ…はあッ…ぁわッ…!」


 ぶちゅ、と潰れるなにか。
 半分くらい抜いて、挿れて。
 ずっとその繰り返し。

 汗と精と熟れきった汁にまみれた体で抱き合い、激しすぎず丁寧に、されどハイテンポな律動を機械のように正確に与えられ続けるのだ。


「ひっ…ぉ、ぐっ…ぅンっ……」

「覚えろな。ケツで感じるの、すっごい気持ちいいでしょ?」

「さきっ…きっ…きもちっ……」

「うん。気持ちいい気持ちいい。腹の中気持ちいい。絶対気持ちいい。なんでも気持ちいい。全部いい。ほら」

「こんな、ぁっすぐっ…イくっ……」

「そ。すぐイけんね。だから覚えて」

「イク…っイくぅ…っく、イク……っ」

「ここで感じるとハルはすぐイケる」

「はぁッ…あッ、アッ! アッッ……!」


 そう耳元でボソリと囁かれた直後──ビクンッ、と背骨が弓なりにしなり、俺の体はもう何度目かの絶頂を迎えた。

 ピンッ、と引き攣る足先。
 喉を押し出すように仰け反る肢体。
 開けっ放しの口端から流れる唾液。


「ん゛ん──……っ!」


 ビクビクビクビク……ッ、と痙攣して縮む尻穴の中の怒張に裏から精液を押し上げられるが、ガチガチに勃起したモノは射精できないまま真っ赤に腫れて震える。

 出さないままイッた。ケツに突っ込まれてドライイキ。

 それが最高だろって耳から洗脳されて? 体重かけて前立腺ゴリゴリすり潰されて? 逃がさねぇって腰捕まったまま? ガチの中だけイキ?

 やっべ。終わってんな、俺。


「っぁ…へ……へひっ…っ……ひっ」


 目の奥が白くなる。
 一瞬の浮遊感とたゆたう恍惚感に支配され、意識が遠くなった。


「こぇ……ひぬぅ……っ」

「おっと」


 呂律、回んねぇ。

 痙攣する身体に力が入らずグダッ、と後ろへ脱力するが、咲が腰と背を支えてくれたので倒れることはない。

 ケツの中が愉快なほどヒクヒクと収縮し、盛大にイキながら咲の肉棒にむしゃぶりつく。俺の意思じゃやめらんねぇんだよ。おかげで余韻が収まらない。


「は…あっ……ぁ…ぁ~……ぁ~……」


 その余韻でずっとイッてる。
 直腸が絞るたびに前立腺がひしゃげ、ビクッ、ビクッ、と腹筋が波打つ。

 クラリと淫蕩する瞳で天井を見上げて仰向けに仰け反ったまま両腕をブラブラと揺らし、バカみたいに原始的な声を上げて肉悦に溺れる。
 あー気持ち。脳みそトロトロ。気持ちぃ。死ぬほど気持ちぃ。咲にバグらせられながらイクのクソ気持ちぃ。




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