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甘話 ハルとデート。
05(side春木)※
しおりを挟むとはいえ俺が大満足でイキ散らかしていようが、咲には関係ないらしい。
「あぶねー、出そうだった」
「ッひ」
不意にベッドへ身体を横向きに押し倒され片足を横倒しにし、拗られた中がグリュッと擦れた。
「あぁッ……!」
「恋人同士って、ガマンもオソロっしょ。たぶんさ」
「咲おま、ッン、ンン……ッ」
──ガマンって、お前が俺のをシリコンリングで縛ったからするハメになってんだっつの……!
男としてではなく抱かれる快楽でイクことを覚えさせるために、俺の性器は赤黒く腫れたまま一度も射精していない。
柔らかい中を強かに突き上げられ、俺はシーツを引っ掻いてもがく。
真っ直ぐ伸びた足は咲の下に組み敷かれていた。
松葉崩しであげた足を腹の横へ押し倒したような体勢だ。
腹側に倒された足のせいで内部が窮屈になり、太い怒張がより鮮明に味わえる。
「あぁ、もっ……絶倫すぎじゃねっ……はぁっ……っ」
「あは、ちげーよ。ガマンしてるだけだって言ったじゃん」
「ぁっ…あっ…!」
小首を傾げた咲は萎えない凶器を抜ける寸前まで退かせ、また根元まで一息に押し込んだ。
ビクッ、と反射的に弾む体。
続き、トン、トン、とスローで大振りなストロークが送られる。
「でもそろそろ男でイキてーかな」
「んっ……バーカ……はっ……もっと俺の中、お前のオンナにしろよ……っ」
ニヤリと笑って、甘い声で囁いた。
本心からのオネダリだ。
俺が前でイキてーって言えばすぐイカせてくれるつもりの咲に、この俺が遠慮なんかさせるわけねぇんだよ。
ケツん中に挿れて出して。
用法用量を正しく踏み外して。
心の底からメスの器官みたいに犯されたいと望んでいる。
全ては愛のなせる技ってか?
ったく、やっぱ俺ってマジに世界一お前を愛しちゃってンな。イキそ。
妄想が現実になる未来を想像しただけで背筋がゾクゾクと粟立ち、勃起したモノから透明な粘液が漏れるようにジュク……と滲む。──だけど。
「ありゃ? ハルってば、俺の女になりてーの?」
「ふぁ…っ」
そんな俺を見つめる咲が、不思議そうにニマといつも通りの笑みを浮かべながら俺の耳の穴に舌を突っ込んだ。
ヌルヌルとヌメった舌が耳の穴をまさぐる。
驚く間もなく、薄い鼓膜が篭った音を受け取る。
「俺は別にいいけど、ハルはそういうの趣味じゃねーかなって。だって……ハルが女なら子どもができて、俺の時間と五感を多少はそっちに割かねーとじゃん」
「ぁ……?」
「ハルの取り分が、減るんじゃね?」
コドモ? 減る?
──……〝俺の咲〟が?
「っ殺す、ぜってぇ殺すっ……!」
そう尋ねられた直後、ブワッッ……! と得体の知れない烈しい感情が足の先から頭の先までを稲妻のように湧き上がり、焼けた脳が狂ってしまった。
だってそうだろ?
せっかくどこの誰ともしれねぇやつと咲が添い遂げるバッドエンド回避して俺が咲と結合してんのに、なんで咲の種を他人に持ってかれなきゃなんねぇんだ?
一滴でも腹に注がれた咲のセーシを俺から奪うのがガキなら、生まれた瞬間絞め殺して食らう。
「ああああ、ああ咲、咲咲、咲咲さきさきぃ……っ」
「? どしたのハルちゃん」
俺は力の入らない足をもがかせて仰向けに転がり、キョトンとする咲の首に両腕を伸ばしてしがみついた。
「お腹減ったの? ハル」
「うぅ、うぅぅ」
「食べてもいいよ」
そのまま咲の白い肩に肉を食いちぎりそうなくらいの力で噛みつくと、咲は俺にハメたまま抱き寄せて、真っ赤な頭をなでてくれる。
それだけで泣きそうになった。
「咲、咲野、俺の咲野」
「ん。なぁに。俺のハルキ」
そうだ。俺は咲の春木。
青黒い歯型のついた肩を離す。
顔を上げて咲の頬を手のひらで包み込み、眉を八の字に垂らして懇願する。
「咲ちゃん、咲ちゃん。俺の咲ちゃん。いいこだからよくお聞き」
「俺が女になったら即卵巣潰そうぜ? ガキなんかに、一匹たりとも咲のセーシはやらねぇ。一生子宮で飼い殺す」
「だって、俺ぁ散々お前を譲ったろ……? 笑って譲ってやったよな……?」
「咲が愛するアイツらはいいぜ……? ムカつくけどマジで咲を愛してるわけだし……? でもさ、子どもって勝手に生まれてきたよな……? せーぜー三千グラムいくらの肉塊、たかが生まれてきただけでお前が愛するわけねーだろ……? お前はそんなふうに愛せない……ダイスキな俺のコドモでも、付属品は対象外、愛の及ばない他人、ピンポイントで俺個人だけがお前の愛する人間……ちゃんとわかってんだぜ……? じゃあダメだよな……? 要らねえよな……? そうだろ……? なぁ……」
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