本日のディナーは勇者さんです。

木樫

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十二皿目 卵太郎、改め

11

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 ──夜。

 名前はリティタロット・ナイルゴウン。
 通称タロー。血は繋がらないが、公式的に俺たちの娘となった。

 住居は俺とアゼルの部屋で。
 服以外のものは、魔界の施設からある程度貰ってきて、足りないものは後日用意する。

 種族や両親が俺たちということは一部の者以外には秘密にして、健康で文化的な生活を送ること。

 ママゼンさんと決めた物事はこうだ。

 そのうちに学校にも行かせるが、まずは俺とアゼルで言葉や生活の基本を教えるのだ。
 育児そのものである。

 ちなみにアゼルは俺の臨時教師一週間を根に持っていて、学校があまり好きじゃない、

 なのでタローを学校に行かせるのは、反対気味なのだ。

 アイツはだいたい自分一人で勉強した上でだいたい理解してきた、ある意味での無頼漢だからな……。

 歳の近い友達がいないと、一人じゃ寂しいだろう? と言い聞かせると、少し揺らいでいた。
 寂しいのもよく知っているからだ。

 少し言葉を教えてみているが、今のところ難航している。

 タローは鳴き声がピィピィなので、いくら学習能力が高くても、他の声を出すのは多少苦労していた。

 こればっかりは、一朝一夕では難しい。
 少しずつ頑張ろう。

「違う。それだと橋が崩壊するじゃねぇか。ここをこうして補強して、それからここを可動式にすれば橋が分割されるから、流れが早くなった時に水流を受け流してだな……」
『なんでそんなことするの~?』
「大雨が降ったら水の勢いが激しくて、橋が壊れるだろうが。……ドーンッ! ってなって、ドバァン! だ!」
『ほほう、わかった! しゃる、私わかった!』
「橋の仕組みがわかったらしいぜ」
「そうか、いい子だなタロー」
『えへ、えへへ……! しゃるは橋、どうやって作る~?』
「シャルの橋の作り方を聞いてるぜ」
「ん? 俺? ……俺はこのくらいの川幅なら、跳ね橋式にしたほうがいいと思う。可動する魔石が二つで済むぞ」
「あぁなるほど、それはアリだな……。なら雨季が長い地域の街、アマアメアムトの辺りはそれとこれの使い分けで……」
「そうだな。とすれば経費がこのくらい浮くから、畑や稲田に防風結界魔法陣を敷くと、獲れ高の低下を防ぐことになって……」
『はねばし、ってこんなのかな~』
「翼は生えてねぇよ」

 それから──現在。

 タローと俺たちは食事も終え、お風呂にも入ってしっかりと歯を磨き、眠る前に積み木で遊んでいた。

 さっきの会話は、橋を作ったタローにアゼルが政治的意見を取り入れた橋作りを教えていただけだぞ。

 堅物な俺と、子どもの扱いがよくわからないアゼルとでは、なにかと難しい。

 なのでタローにちゃんと教育ができているのか不安だが、なかなかちゃんとできているんじゃないか?

 タローはライゼンさんに貰った魔石をあしらった積み木で、翼の生えた立体的な橋を作っていた。

 なんて独創的なんだ。
 うちの子は天才かもしれないぞ。

 翼が邪魔にならないように注意しながらも、俺の膝に座って積み木で遊ぶタローの凶器的なかわいさに、すっかり一日でやられてしまった。

 しかも存分に頭をなでてもタローは喜ぶばかりで、嫌がらない。

 いいこすぎる。かわいい。

 先程からベッドで横になって手を伸ばし、カーペットの上の積み木を積んでいるアゼルがなにやら物申したげだが、タローを抱っこしたいんだろうな。

 離しがたいかわいさなので、俺はタローをぎゅっと抱きしめ、アゼルにピースしてみる。

『わーっ! しゃるぎゅーしてる? あったかい~っもっとしていいよ~っ!』
「俺がタローのこれからのことをライゼンさんと考えている間、アゼルはたくさんタローと遊んでいたから、俺にも癒やされる権利はあると思うんだ。ふふふ……羨ましいか?」
「!? うっ、うぐぅっ、羨ましい!」
『うへへ、私もしゃるぎゅー! まおちゃんよりぎゅーするよ~』
「おっ? タローもぎゅーしてくれるのか? ようし、これは俺の本気を見せる時が来たみたいだな……ぎゅー、だぞ」
『きゃ~っ! あはははっ!』
「ううう羨ましいぃぃぃ……ッッ!!」



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