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第四話 後輩たちの言い分
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「うッ、ッ、……ッゲホッゲホッ、飲んだッ、オェェ……!」
余すところなく全て飲み込まされたあと、ようやくズル、と喉から引き抜かれ呼吸を許された俺は、体を横に捻ってシーツの上でゲホゲホと嘔吐いた。なにも出てはこないが気持ちの問題だ。
なんで俺が男のアレを飲まなきゃなンねぇんだよ……!? 意外と飲めたけどよッ! ……いやそうじゃねぇ。有り得ん。
三初じゃなければ途中で噛みちぎっていたはずだ。三初でも噛みちぎろうかと思った。つかしゃぶらされてる時点で思ってた。
それほど俺の価値観が狂う不本意な暴挙なのに、当の三初はアハハと笑う。
しかも涙目で何度も咳き込む俺の上からさっさと降り、素知らぬ顔で自分のモノ(俺にとっては核弾頭に等しい凶器だ)をティッシュペーパーでキレイに拭った。
いや、待てコラ。もう終わったな的な空気出してンじゃねぇぞ。
俺のこの不完全燃焼と憤りをどうしてくれんだチクショウ。どうにかしろよ。具体的には自分で抜くからどっか行け。
殺意しか湧かない俺は、ティッシュを手に取って口元を乱雑に拭き取る。
「ゥゲェ……ッテメェ、もうちょっと初心者に気を遣えッ」
「遣ってるじゃないですか。むしろ遣ってるが故に根元まで挿れなかったことをまず褒めてほしいですよねぇ」
「ふざけんなもう二度としねェしお前のことは信じねぇ……! 一人で抜くからどっかいけや鬼畜系ケダモノ野郎ッ」
「まぁまぁそれはちゃんと手伝う手伝う。ケツ出してそこに寝てくれればサクッと潮吹きするぐらい悦くしてあげますって」
「二度としねェんだよそれもこれもどれもッ!」
なんで普通にできねぇんだクソが!
なんで俺を調教しねェと気がすまねぇんだコイツ! 呪われてンのか!?
とにかくイキたい俺を無視して、三初はワキワキと手を動かしスッキリとした顔で迫ってくる。ホラーすぎる。
三初に身を任せるとどうしたって嫌な予感しかしないのだ。
たぶんここで流されたら俺はもっと焦らされる。散々酷い目に合わされて、前後不覚になるまでグズグズにされるだろう。
じりじりと角に追い詰められ俺は必死にガルルル! と唸るが、大魔王にそんな威嚇が効いた試しなどない。コイツ、情はねぇのか。
なんだか目が覚めてから何度も自問自答しているが、俺はなんでコイツを好きになったんだ。
これのどこがイイんだよ。ジャイヤン効果じゃねぇかコノヤロウ。
せっかく遠回りしまくってノンケの身ながら男の三初(しかも性格破綻気味の万年クソ野郎な後輩だ)を好きになってしまったことに気づいても、こいつには俺に人並みの優しさを向ける情すらないらしい。
そう思うと男泣きしたい気分になった。
散々苛められてコロコロと転がされるばかりだ。俺の言うことは聞きやしねぇ。
ちなみに悲しみは微塵もない。
悔しさオンリーである。
風邪から復活した俺はンな繊細な男じゃねぇからな。感情の温度が高いのでキレやすく泣きやすく上下が激しい自覚はあるものの、基本は簡単に弱ったりしない。
弱ったとしてもある程度我慢ができる。ヘタレと思われんのは癪だぜ。そこんとこ大事だろ。
とはいえ男泣きは別。
こんなイカレたサド男に惚れた日には、先々今までどおりいいようにオモチャとして弄ばれるだけだろう。
どれだけ想ったところで、飽きたらあっさり捨てられるに決まって──
「あらら。もしかして泣きそうですか? そういうのはダメでしょ。先輩が泣くと、俺、ちょっと困るんだよなぁ……」
「な……っ」
そう言いながら眉を下げ、んー、と小首を傾げる姿に、ドキッと胸が高鳴った。
やめろ、マジでやめろ。
ここに来て引くんじゃねぇ。
そんなことされたらちょっとトキメくだろうがブチ殺すぞ。
こちとら男泣き寸前のやけっぱちだったっつのにクソが。これだからお前は、大嫌いなんだよ。
「アンタの泣き顔、せっかく抜いたのにだいぶ興奮するんですよね。困るわ」
「これだから大嫌いなんだよこのロマンスブレイカーがッ!」
泣かせたいのか泣かせたくないのかどっちなのか分からない三初に、俺は布団を被って断固拒否を示した。
ちょっとキュンとした俺の気持ちを返してほしい。そしてできれば殴りたい。蹴りでもいい。しばかせろいっぺん。
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