397 / 454
第九話 先輩後輩ごった煮戦線
21
◇
今日も今日とて、ここは戦場だ。
備品や在庫ストックを調達して受け取りに走る竹本がいない露店内で、俺と接客メンバーの三人はせっせと働く。
「担当さん、レジおねしゃーす」
「はいッ」
いつの間にやらレジ担当になっていた俺は、ゴミ回収の時間になってゴミ箱を片付けていた途中で、レジに向かう。
ゴミ回収の時間は母体に決められているのに、こうも忙しければなかなか進まない。
それに毎日俺が朝礼で細かいことを言うからか、接客メンバーは竹本がいないとどうも動きが遅くなるのだ。
竹本は気が付いていない。
というか、忙しくなった時からアイツはあまりここにいない。
データで売り上げや時間帯客数等を確認するだけだ。じっくり見ている暇がないんだろう。
だからここでは俺が一人でどうにかしなければならなくて、余計気張ってしまう。
はぁ。怖がらせねぇようになるべく穏やかに言ってんのに、上手くいかねぇ。
自分の部下ならキツく言える。
自分の企画なら大胆にできる。
自分が接客もプロなら厳しく指導できる。
しかしヘルプのバイトで、竹本の考えた企画で、俺は接客もレジも拙く素人となれば、上から物を言えないのは当然だ。
(あぁ、クソ。竹本がいねぇ時だけなんかこう、やたら仕事増えんのって、俺の仕事が遅いからか……?)
行列のレジを処理しきって、ぐるぐると考える。
客が引いた僅かな隙間時間にゴミを集め、俺はバックヤードへ袋を担いで早歩き。
客が引いて時間が空いても、やることは無限だ。準備、補充、入れ替え、各メンバーの休憩。
できれば売上の悪いものを売り込む工夫をしたいが、そんな暇はないので最後になる。
たくさんあるのに、顧客がいるのでフロアでは走ってはいけない。
目の前に現れる自分の仕事をこなすだけで精一杯の俺は、自分がしている仕事が誰のものかなんて考える余裕がない。
俺がゴミ回収をして持って行っている間に二人のどちらかが補充をしてくれればいいが、教えたものの、やってくれたことはなかった。
二人が一人ずつ休憩する二時間は俺は雑務がなにもできないし、マジでままならねぇよ。
やり方を教えても必要な時に動いてくれねぇってのは、自分の後輩ならぶん殴る。
でも客に見えるところで叱責するのはだめ。始業と終業の前後はすぐ帰ってしまう。
昨日はついに接客態度に対してのクレームがきた。
うちの一人が、客を怒らせてしまったのだ。
もちろん俺が頭を下げたが、対応している間もそのスタッフはずっと俺の隣で立っていたから、他の客を長く待たせてしまって、そちらからもクレームだ。
当然後で指導はした。
しかし俺だって接客は下手くそで愛想笑いが固くて怖いらしく、説得力皆無でぐうの音も出ない。
終業後にクレーム報告書を作成しながら、ため息を吐いたという苦い話。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。