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第1話 ☆はじまりの冒険者試験☆
☆冒険者ギルドとパーティ結成
時間は少しだけさかのぼり――
オルドリアと呼ばれる街の冒険者ギルドは活気に満ち溢れていた。多種多様な種族が冒険者たちが依頼の張り紙を眺め、品定めする商人のように見定めている。
あるいは自らの武勇伝を語り合い、戦利品の武器を自慢していた。
その喧騒の中、田舎の村からやってきたエルムは緊張しながらギルドの中へと入る。
「わぁ」
まだまだあどけなさの残る少年に、ギルド内のいくつかの視線が飛んでくる。屈強な男たちがエルムを見て、ニヤニヤと笑みを浮かべた。
そんな視線におどおどしつつエルムは奥のカウンターにある受付へと向かう。カウンターの向こうにいたのは冒険者ギルド職員である女性。
深い色の緑色の長い髪は綺麗であり、優しげな雰囲気の女性だった。きっちりとした職員の制服に身を包んでいるが豊満な胸がイヤでも目立つ。
しかし、それ以上に目立つのが彼女の耳。まるで尖った葉っぱのような耳は、彼女がエルフだということを示していた。
エルフはエルムを見ると、ふわりと微笑んだ。
「いらっしゃい、坊や。冒険者ギルドへようこそ。何か御用かしら?」
エルムはごくりと唾を飲み込んだ。
「あ、あの…僕、冒険者になりたくて…」
エルフは目を細め、エルムをじっと見つめる。頭の先、顔、胸、腰、足、そして腰に装備している剣を見て、再びエルムの顔に視線を戻す。
その視線に、エルムの頬が微かに熱くなった。
エルフに会うのは初めてなのに加えて、びっくりするほどの美人。しかも胸が大きいので、どこに視線を向けていいのか困ってしまう。
エルムの視線が定まらないのを見て、エルフは少し考えるような素振りを見せてから、くすくすと笑った。
「冒険者志望なのね。素敵よ。でも、冒険者になるには、それなりの覚悟と実力が必要。誰でも簡単になれるわけじゃないわ。坊や、名前は?」
「エルムです!」
「エルムくん、ね。私はリリア。ここで受付を担当しているわ」
よろしく、とリリアが微笑む。
エルムも、よろしくお願いします、と丁寧に返した。
「おりこうさんね。乱暴者、荒くれ者が多い冒険者の中では、珍しいタイプかも」
「そ、そうなんですか……?」
エルムは思わず後ろを振り返る。
そこには、こちらを見ていた冒険者の先輩たちがニヤニヤとした視線を送ってきていた。新人をバカにするような視線なのか、それとも豊満なリリアを見て楽しんでいるのかは定かではない。
「さて、エルムくん。冒険者になるための試練を受けてもらうわよ」
リリアはそう言うと、カウンターの引き出しを開ける。中に入っていた書類の山から一枚の羊皮紙を取り出した。
「新人さんは適性を見ないといけない。誰でも彼でも冒険者にしてしまって、すぐに死なれたら困るのは依頼者よ。なので、エルムくんにはまずパーティを組んでもらって、指定されたダンジョンを攻略してもらうわ」
「パーティ……」
エルムは思わずつぶやく。
僕みたいな新人を受け入れてくれるパーティなんているんだろうか? 後ろでニヤニヤと笑っている冒険者たちに、それを頼むのは相当に勇気がいることかもしれない。
少し不安そうな表情を浮かべたエルムに、リリアはくすくすと笑った。
「大丈夫、心配しないで。今回あなたと組むのは、他の新人の子たちよ。ちょうど今、冒険者志望の子がいるの。あのテーブルにいる子たちだから、あちらへどうぞ」
リリアが指し示した先には三人の少女がいた。一人は銀色の甲冑を身につけた凛々しい少女、もう一人は白いローブを儚げな少女、そして最後の一人は、いかにも魔法使いといったとんがり帽子と黒いマントを身に付けた少女だった。
エルムはドキドキしつつ、彼女たちの方へ足を踏み出す。エルムが近づくと、三人の少女は一斉にエルムを見た。三人はかなりの可愛さで、エルムはほっぺが赤くなるのを自覚した。
銀色の甲冑の少女が、まっすぐにエルムを見つめ立ち上がる。
「きみも冒険者志望か。私はリリアン。騎士だ」
リリアンはそう言って、騎士らしく堂々とした態度で一礼した。続いて、白いローブの少女が、はにかむように微笑む。
「私はフローラ。僧侶です。神に仕える神官をやっています。よろしくお願いします」
彼女の透き通るような声に、エルムは心が洗われるような気がした。そして、とんがり帽子の少女が、興味津々といった様子でエルムを見上げている。
「あたしはルナ! 魔法使いだよ! 君も冒険者になりたいんだね! よろしく!」
ルナは元気いっぱいに自己紹介をした。
三者三様の少女たちに囲まれ、エルムは少し戸惑いを覚えた。
「僕はエルムです。えっと、剣士です。よろしくお願いします」
エルムはなんとか自己紹介を終えて頭を下げた。するとリリアンが、ふむ、と顎に手を当てた。
「剣士か。では、バランスの取れたパーティになりそうだ。私とエルムが前衛、フローラとルナが後衛だな。できれば中衛でシーフがいれば完璧なのだが……」
「え~、もうまちくたびれちゃったよ! あたしなんて三日も待ちぼうけなんだから!」
試験を受けるのにパーティは必須らしい。どうやらルナは運悪く三日も足止めをくらっているようだ。
「そうだな。では中衛がいない分、ルナが頑張ってくれるか」
「任せといて! フローラも手伝ってね」
「もちろんです」
にっこりと笑うフローラ。
「ではパーティ結成だ」
リリアンの差し出す手をエルムはおずおずと握る。握手するその上にルナが手を重ね、それを見たフローラも手を置いた。
「冒険者になるぞー!」
ルナの無邪気な声が冒険者ギルドに響き渡る。
そこへリリアが戻ってきた。
「みんな、自己紹介は済んだかしら? それじゃあ、今回の試験について説明するわね。あなたたちには『トラップダンジョン』を攻略してもらうわ」
その名を聞いた瞬間、エルムは目を丸くした。
試験内容は討伐でも採取でもなく、攻略だなんて!
「トラップダンジョン……ですか。それは、どのようなもので?」
リリアンの問いに、リリアはにこやかに答えた。
「ふふ、それは行ってからのお楽しみよ。でも、心配しなくても大丈夫。ギルドが管理しているダンジョンだから、命に別状はないわ」
エルムはホッと胸を撫でおろす。
「ただ…ちょっと、意識を改めてもらう必要がある。冒険者として『当たり前』の意識に慣れてもらうわ」
リリアは豊満な胸を抱え上げるようにしてエルムを見た。その視線に思わず、ドキッ、としてしまうエルム。
「ダンジョンを攻略できたのなら、見事冒険者として認めるわ」
リリアの言葉に、エルムは唾を飲み込んだ。
一体どんなトラップがあるのだろうか。リリアンは静かにうなずき、フローラは緊張するように息を飲み、ルナは期待に胸を膨らませていた。
「では、健闘を祈るわ。これがダンジョンへの地図よ。準備ができたら向かってちょうだい」
地図を受け取り、四人は冒険者になるべく出発するのだった。
オルドリアと呼ばれる街の冒険者ギルドは活気に満ち溢れていた。多種多様な種族が冒険者たちが依頼の張り紙を眺め、品定めする商人のように見定めている。
あるいは自らの武勇伝を語り合い、戦利品の武器を自慢していた。
その喧騒の中、田舎の村からやってきたエルムは緊張しながらギルドの中へと入る。
「わぁ」
まだまだあどけなさの残る少年に、ギルド内のいくつかの視線が飛んでくる。屈強な男たちがエルムを見て、ニヤニヤと笑みを浮かべた。
そんな視線におどおどしつつエルムは奥のカウンターにある受付へと向かう。カウンターの向こうにいたのは冒険者ギルド職員である女性。
深い色の緑色の長い髪は綺麗であり、優しげな雰囲気の女性だった。きっちりとした職員の制服に身を包んでいるが豊満な胸がイヤでも目立つ。
しかし、それ以上に目立つのが彼女の耳。まるで尖った葉っぱのような耳は、彼女がエルフだということを示していた。
エルフはエルムを見ると、ふわりと微笑んだ。
「いらっしゃい、坊や。冒険者ギルドへようこそ。何か御用かしら?」
エルムはごくりと唾を飲み込んだ。
「あ、あの…僕、冒険者になりたくて…」
エルフは目を細め、エルムをじっと見つめる。頭の先、顔、胸、腰、足、そして腰に装備している剣を見て、再びエルムの顔に視線を戻す。
その視線に、エルムの頬が微かに熱くなった。
エルフに会うのは初めてなのに加えて、びっくりするほどの美人。しかも胸が大きいので、どこに視線を向けていいのか困ってしまう。
エルムの視線が定まらないのを見て、エルフは少し考えるような素振りを見せてから、くすくすと笑った。
「冒険者志望なのね。素敵よ。でも、冒険者になるには、それなりの覚悟と実力が必要。誰でも簡単になれるわけじゃないわ。坊や、名前は?」
「エルムです!」
「エルムくん、ね。私はリリア。ここで受付を担当しているわ」
よろしく、とリリアが微笑む。
エルムも、よろしくお願いします、と丁寧に返した。
「おりこうさんね。乱暴者、荒くれ者が多い冒険者の中では、珍しいタイプかも」
「そ、そうなんですか……?」
エルムは思わず後ろを振り返る。
そこには、こちらを見ていた冒険者の先輩たちがニヤニヤとした視線を送ってきていた。新人をバカにするような視線なのか、それとも豊満なリリアを見て楽しんでいるのかは定かではない。
「さて、エルムくん。冒険者になるための試練を受けてもらうわよ」
リリアはそう言うと、カウンターの引き出しを開ける。中に入っていた書類の山から一枚の羊皮紙を取り出した。
「新人さんは適性を見ないといけない。誰でも彼でも冒険者にしてしまって、すぐに死なれたら困るのは依頼者よ。なので、エルムくんにはまずパーティを組んでもらって、指定されたダンジョンを攻略してもらうわ」
「パーティ……」
エルムは思わずつぶやく。
僕みたいな新人を受け入れてくれるパーティなんているんだろうか? 後ろでニヤニヤと笑っている冒険者たちに、それを頼むのは相当に勇気がいることかもしれない。
少し不安そうな表情を浮かべたエルムに、リリアはくすくすと笑った。
「大丈夫、心配しないで。今回あなたと組むのは、他の新人の子たちよ。ちょうど今、冒険者志望の子がいるの。あのテーブルにいる子たちだから、あちらへどうぞ」
リリアが指し示した先には三人の少女がいた。一人は銀色の甲冑を身につけた凛々しい少女、もう一人は白いローブを儚げな少女、そして最後の一人は、いかにも魔法使いといったとんがり帽子と黒いマントを身に付けた少女だった。
エルムはドキドキしつつ、彼女たちの方へ足を踏み出す。エルムが近づくと、三人の少女は一斉にエルムを見た。三人はかなりの可愛さで、エルムはほっぺが赤くなるのを自覚した。
銀色の甲冑の少女が、まっすぐにエルムを見つめ立ち上がる。
「きみも冒険者志望か。私はリリアン。騎士だ」
リリアンはそう言って、騎士らしく堂々とした態度で一礼した。続いて、白いローブの少女が、はにかむように微笑む。
「私はフローラ。僧侶です。神に仕える神官をやっています。よろしくお願いします」
彼女の透き通るような声に、エルムは心が洗われるような気がした。そして、とんがり帽子の少女が、興味津々といった様子でエルムを見上げている。
「あたしはルナ! 魔法使いだよ! 君も冒険者になりたいんだね! よろしく!」
ルナは元気いっぱいに自己紹介をした。
三者三様の少女たちに囲まれ、エルムは少し戸惑いを覚えた。
「僕はエルムです。えっと、剣士です。よろしくお願いします」
エルムはなんとか自己紹介を終えて頭を下げた。するとリリアンが、ふむ、と顎に手を当てた。
「剣士か。では、バランスの取れたパーティになりそうだ。私とエルムが前衛、フローラとルナが後衛だな。できれば中衛でシーフがいれば完璧なのだが……」
「え~、もうまちくたびれちゃったよ! あたしなんて三日も待ちぼうけなんだから!」
試験を受けるのにパーティは必須らしい。どうやらルナは運悪く三日も足止めをくらっているようだ。
「そうだな。では中衛がいない分、ルナが頑張ってくれるか」
「任せといて! フローラも手伝ってね」
「もちろんです」
にっこりと笑うフローラ。
「ではパーティ結成だ」
リリアンの差し出す手をエルムはおずおずと握る。握手するその上にルナが手を重ね、それを見たフローラも手を置いた。
「冒険者になるぞー!」
ルナの無邪気な声が冒険者ギルドに響き渡る。
そこへリリアが戻ってきた。
「みんな、自己紹介は済んだかしら? それじゃあ、今回の試験について説明するわね。あなたたちには『トラップダンジョン』を攻略してもらうわ」
その名を聞いた瞬間、エルムは目を丸くした。
試験内容は討伐でも採取でもなく、攻略だなんて!
「トラップダンジョン……ですか。それは、どのようなもので?」
リリアンの問いに、リリアはにこやかに答えた。
「ふふ、それは行ってからのお楽しみよ。でも、心配しなくても大丈夫。ギルドが管理しているダンジョンだから、命に別状はないわ」
エルムはホッと胸を撫でおろす。
「ただ…ちょっと、意識を改めてもらう必要がある。冒険者として『当たり前』の意識に慣れてもらうわ」
リリアは豊満な胸を抱え上げるようにしてエルムを見た。その視線に思わず、ドキッ、としてしまうエルム。
「ダンジョンを攻略できたのなら、見事冒険者として認めるわ」
リリアの言葉に、エルムは唾を飲み込んだ。
一体どんなトラップがあるのだろうか。リリアンは静かにうなずき、フローラは緊張するように息を飲み、ルナは期待に胸を膨らませていた。
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