剣士エルムくんと3人の女の子たちの冒険者生活(H)

風喜舞

文字の大きさ
3 / 46
第1話 ☆はじまりの冒険者試験☆

☆第1トラップ・乙女のくちづけ

「ここがトラップダンジョンの入口……?」

 手渡された地図のとおりに進んだエルムたちは、マジマジと『ダンジョン』の入口を見つめた。
 ダンジョンと言えば、なにかしら建物や遺跡などを思い描いていたエルムだったが、そこにあるのはぽっかりと岩肌にあいた穴。

「ダンジョンっていうより洞窟だね」

 魔法使いのルナがエルムの肩から地図を覗き込んできた。今まで異性とそこまで触れあったことのないエルムは、ひゃっ、と驚く。

「ここで間違いなさそうですよ」

 反対側からはフローラも覗き込んでくる。両サイドを女の子に囲まれたような気がして、エルムはドキドキした。
 男兄弟ばかりで末っ子のエルムが身近な女性と言えば母親だけ。同年代の女の子とは触れあってこなかったので、新鮮な気持ちと共に女の子って丸くて柔らかいんだなぁ、と思った。
 男兄弟ばかりを育て上げた母親は、まさに男勝りといった感じ。それでなくとも田舎の村では体力勝負の生活ということもあってか、大柄な女性が多かった。
 そんな村の女性と比べたらフローラは正反対。無邪気なルナでさえも小柄で可愛らしく、ステキに思えるエルムだった。

「ここで間違いなさそうだ。ご丁寧に看板まである」

 地図とにらめっこしている三人に振り返りながらリリアンは洞窟前にあった木の看板を甲冑の手甲でガンガンと叩いた。その看板には『トラップダンジョン(冒険者ギルド管理)』と書かれている。
 トラップダンジョンの入口は、じめじめとした薄暗い洞窟のようだった。エルムたちは、それぞれ準備を整え、意を決して足を踏み入れる。
 洞窟の中は、ひんやりとした空気が漂っていた。壁には奇怪な模様が描かれ、それがほのかに光っていた。

「魔法の明かりだ。すごいすごーい」

 魔法使いのルナにはそれが分かるらしく、はしゃいでいたが……エルムには不気味な雰囲気に思える。田舎育ちゆえ、あまり魔法を見たことがないからかもしれない。
 エルムは剣の柄を握り、警戒しながら進んだ。
 しばらく進むと、開けた空間に出る。岩壁ではなく綺麗に整えられた石の壁になっていて、そこには、床に大きな紋様が描かれていた。

「罠?」

 トラップダンジョンという名前が付けられているくらいだから、罠かもしれない。
 エルムは気をつけながら紋様を迂回して部屋の中を見渡す。
 先へ進むための扉が奥にひとつ。それ意外は何もない平凡な部屋だった。

「開かないな」

 一通り調べ終わりリリアンが扉を開けようとするが、開かない。となれば、みんなの視線は床の紋様に向いた。

「ルナさん、分かりますか?」
「あたしのことはルナって呼んでよ。仲間でしょ、仲間」
「わ、分かった」
「では私のこともリリアンと呼んでくれ」
「わたしもフローラでお願いします」

 今さらながら呼び方を決めるのも変な感じだな、とエルムは苦笑した。

「とりあえず魔力が流れてるのは分かる。踏んだら何か起こるのは確かっぽい」
「じゃ、じゃぁ僕が踏むよ」

 女の子には任せられない、とエルムは紋様の中心に進む。すると、ゴゴゴ、と何かが動くような音がして、前方に三体の像が床からせり上がってきた。

「なんだ!?」

 警戒する一同だが、像が攻撃してくる様子はない。

「あ、扉を見てください」

 フローラが指差す扉には、さっきまでは無かった文字が浮かんでいた。ゆらゆらと魔法で書かれたような文字が揺れている。

「なになに……『乙女のくちづけを捧げよ』か」

 扉に書かれていた文字をリリアンが読み上げる。

「キスするってことか? 誰に? エルムかな」
「え!?」

 ルナの言葉にエルムは驚いた声をあげてしまい、フローラがくすくすと笑った。

「どう考えてもあの像にキスするんだろう。乙女のキスってことは私たちでする必要があるようだ」

 それぞれ三体の像の前にリリアン、フローラ、ルナは立つ。

「罠の可能性があるからな。私からやってみる」

 兜のバイザーを開けてリリアンが像に顔を近づける。像は中性的な顔立ちをしており、リリアンはゆっくりと像にキスをした。

「んっ!?」

 そこで声をあげたのはエルムだった。
 何かが自分のくちびるに触れてきた気がする。まるでリリアンがキスをした像と自分の感覚が繋がってしまっているような感じだった。

「お、反応があったな」

 エルムの足元の紋様の色が変わる。像にキスするので合ってるみたいだ。

「次はわたしがしてみますね」

 フローラがゆっくりと像に近づきくちづけをした。

「……うあ」

 またしてもエルムのくちびるに感触が伝わる。リリアンとは違って、少しだけおずおずとしたゆっくりなキス。
 足元の紋様が更に色が変わる。

「最後はあたしだ!」

 いくよ~、とルナは顔を近づけるとちゅっちゅっちゅと何度もキスをした。そのたびにエルムのくちびるに感触が伝わってきて、わわわ、と声をあげてしまう。
 無邪気なルナのキスを味わってるうちに扉からはガチャンと音が聞こえて、自然と扉が開いた。

「よし、これで進めるな……どうしたエルム?」

 振り返ったリリアンは自分の口をおさえているエルムを見て首を傾げた。

「い、いや、なんでもないよ」

 なんだか言うのは恥ずかしい気がして、エルムはないしょにしておく。
 まさか全員とキスをした感触を味わうなんて。

「キスって気持ちいいんだな……」

 ぼそり、とつぶやきながら。
 エルムは先へ進むのだった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。