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第1話 ☆はじまりの冒険者試験☆
☆第1トラップ・乙女のくちづけ
「ここがトラップダンジョンの入口……?」
手渡された地図のとおりに進んだエルムたちは、マジマジと『ダンジョン』の入口を見つめた。
ダンジョンと言えば、なにかしら建物や遺跡などを思い描いていたエルムだったが、そこにあるのはぽっかりと岩肌にあいた穴。
「ダンジョンっていうより洞窟だね」
魔法使いのルナがエルムの肩から地図を覗き込んできた。今まで異性とそこまで触れあったことのないエルムは、ひゃっ、と驚く。
「ここで間違いなさそうですよ」
反対側からはフローラも覗き込んでくる。両サイドを女の子に囲まれたような気がして、エルムはドキドキした。
男兄弟ばかりで末っ子のエルムが身近な女性と言えば母親だけ。同年代の女の子とは触れあってこなかったので、新鮮な気持ちと共に女の子って丸くて柔らかいんだなぁ、と思った。
男兄弟ばかりを育て上げた母親は、まさに男勝りといった感じ。それでなくとも田舎の村では体力勝負の生活ということもあってか、大柄な女性が多かった。
そんな村の女性と比べたらフローラは正反対。無邪気なルナでさえも小柄で可愛らしく、ステキに思えるエルムだった。
「ここで間違いなさそうだ。ご丁寧に看板まである」
地図とにらめっこしている三人に振り返りながらリリアンは洞窟前にあった木の看板を甲冑の手甲でガンガンと叩いた。その看板には『トラップダンジョン(冒険者ギルド管理)』と書かれている。
トラップダンジョンの入口は、じめじめとした薄暗い洞窟のようだった。エルムたちは、それぞれ準備を整え、意を決して足を踏み入れる。
洞窟の中は、ひんやりとした空気が漂っていた。壁には奇怪な模様が描かれ、それがほのかに光っていた。
「魔法の明かりだ。すごいすごーい」
魔法使いのルナにはそれが分かるらしく、はしゃいでいたが……エルムには不気味な雰囲気に思える。田舎育ちゆえ、あまり魔法を見たことがないからかもしれない。
エルムは剣の柄を握り、警戒しながら進んだ。
しばらく進むと、開けた空間に出る。岩壁ではなく綺麗に整えられた石の壁になっていて、そこには、床に大きな紋様が描かれていた。
「罠?」
トラップダンジョンという名前が付けられているくらいだから、罠かもしれない。
エルムは気をつけながら紋様を迂回して部屋の中を見渡す。
先へ進むための扉が奥にひとつ。それ意外は何もない平凡な部屋だった。
「開かないな」
一通り調べ終わりリリアンが扉を開けようとするが、開かない。となれば、みんなの視線は床の紋様に向いた。
「ルナさん、分かりますか?」
「あたしのことはルナって呼んでよ。仲間でしょ、仲間」
「わ、分かった」
「では私のこともリリアンと呼んでくれ」
「わたしもフローラでお願いします」
今さらながら呼び方を決めるのも変な感じだな、とエルムは苦笑した。
「とりあえず魔力が流れてるのは分かる。踏んだら何か起こるのは確かっぽい」
「じゃ、じゃぁ僕が踏むよ」
女の子には任せられない、とエルムは紋様の中心に進む。すると、ゴゴゴ、と何かが動くような音がして、前方に三体の像が床からせり上がってきた。
「なんだ!?」
警戒する一同だが、像が攻撃してくる様子はない。
「あ、扉を見てください」
フローラが指差す扉には、さっきまでは無かった文字が浮かんでいた。ゆらゆらと魔法で書かれたような文字が揺れている。
「なになに……『乙女のくちづけを捧げよ』か」
扉に書かれていた文字をリリアンが読み上げる。
「キスするってことか? 誰に? エルムかな」
「え!?」
ルナの言葉にエルムは驚いた声をあげてしまい、フローラがくすくすと笑った。
「どう考えてもあの像にキスするんだろう。乙女のキスってことは私たちでする必要があるようだ」
それぞれ三体の像の前にリリアン、フローラ、ルナは立つ。
「罠の可能性があるからな。私からやってみる」
兜のバイザーを開けてリリアンが像に顔を近づける。像は中性的な顔立ちをしており、リリアンはゆっくりと像にキスをした。
「んっ!?」
そこで声をあげたのはエルムだった。
何かが自分のくちびるに触れてきた気がする。まるでリリアンがキスをした像と自分の感覚が繋がってしまっているような感じだった。
「お、反応があったな」
エルムの足元の紋様の色が変わる。像にキスするので合ってるみたいだ。
「次はわたしがしてみますね」
フローラがゆっくりと像に近づきくちづけをした。
「……うあ」
またしてもエルムのくちびるに感触が伝わる。リリアンとは違って、少しだけおずおずとしたゆっくりなキス。
足元の紋様が更に色が変わる。
「最後はあたしだ!」
いくよ~、とルナは顔を近づけるとちゅっちゅっちゅと何度もキスをした。そのたびにエルムのくちびるに感触が伝わってきて、わわわ、と声をあげてしまう。
無邪気なルナのキスを味わってるうちに扉からはガチャンと音が聞こえて、自然と扉が開いた。
「よし、これで進めるな……どうしたエルム?」
振り返ったリリアンは自分の口をおさえているエルムを見て首を傾げた。
「い、いや、なんでもないよ」
なんだか言うのは恥ずかしい気がして、エルムはないしょにしておく。
まさか全員とキスをした感触を味わうなんて。
「キスって気持ちいいんだな……」
ぼそり、とつぶやきながら。
エルムは先へ進むのだった。
手渡された地図のとおりに進んだエルムたちは、マジマジと『ダンジョン』の入口を見つめた。
ダンジョンと言えば、なにかしら建物や遺跡などを思い描いていたエルムだったが、そこにあるのはぽっかりと岩肌にあいた穴。
「ダンジョンっていうより洞窟だね」
魔法使いのルナがエルムの肩から地図を覗き込んできた。今まで異性とそこまで触れあったことのないエルムは、ひゃっ、と驚く。
「ここで間違いなさそうですよ」
反対側からはフローラも覗き込んでくる。両サイドを女の子に囲まれたような気がして、エルムはドキドキした。
男兄弟ばかりで末っ子のエルムが身近な女性と言えば母親だけ。同年代の女の子とは触れあってこなかったので、新鮮な気持ちと共に女の子って丸くて柔らかいんだなぁ、と思った。
男兄弟ばかりを育て上げた母親は、まさに男勝りといった感じ。それでなくとも田舎の村では体力勝負の生活ということもあってか、大柄な女性が多かった。
そんな村の女性と比べたらフローラは正反対。無邪気なルナでさえも小柄で可愛らしく、ステキに思えるエルムだった。
「ここで間違いなさそうだ。ご丁寧に看板まである」
地図とにらめっこしている三人に振り返りながらリリアンは洞窟前にあった木の看板を甲冑の手甲でガンガンと叩いた。その看板には『トラップダンジョン(冒険者ギルド管理)』と書かれている。
トラップダンジョンの入口は、じめじめとした薄暗い洞窟のようだった。エルムたちは、それぞれ準備を整え、意を決して足を踏み入れる。
洞窟の中は、ひんやりとした空気が漂っていた。壁には奇怪な模様が描かれ、それがほのかに光っていた。
「魔法の明かりだ。すごいすごーい」
魔法使いのルナにはそれが分かるらしく、はしゃいでいたが……エルムには不気味な雰囲気に思える。田舎育ちゆえ、あまり魔法を見たことがないからかもしれない。
エルムは剣の柄を握り、警戒しながら進んだ。
しばらく進むと、開けた空間に出る。岩壁ではなく綺麗に整えられた石の壁になっていて、そこには、床に大きな紋様が描かれていた。
「罠?」
トラップダンジョンという名前が付けられているくらいだから、罠かもしれない。
エルムは気をつけながら紋様を迂回して部屋の中を見渡す。
先へ進むための扉が奥にひとつ。それ意外は何もない平凡な部屋だった。
「開かないな」
一通り調べ終わりリリアンが扉を開けようとするが、開かない。となれば、みんなの視線は床の紋様に向いた。
「ルナさん、分かりますか?」
「あたしのことはルナって呼んでよ。仲間でしょ、仲間」
「わ、分かった」
「では私のこともリリアンと呼んでくれ」
「わたしもフローラでお願いします」
今さらながら呼び方を決めるのも変な感じだな、とエルムは苦笑した。
「とりあえず魔力が流れてるのは分かる。踏んだら何か起こるのは確かっぽい」
「じゃ、じゃぁ僕が踏むよ」
女の子には任せられない、とエルムは紋様の中心に進む。すると、ゴゴゴ、と何かが動くような音がして、前方に三体の像が床からせり上がってきた。
「なんだ!?」
警戒する一同だが、像が攻撃してくる様子はない。
「あ、扉を見てください」
フローラが指差す扉には、さっきまでは無かった文字が浮かんでいた。ゆらゆらと魔法で書かれたような文字が揺れている。
「なになに……『乙女のくちづけを捧げよ』か」
扉に書かれていた文字をリリアンが読み上げる。
「キスするってことか? 誰に? エルムかな」
「え!?」
ルナの言葉にエルムは驚いた声をあげてしまい、フローラがくすくすと笑った。
「どう考えてもあの像にキスするんだろう。乙女のキスってことは私たちでする必要があるようだ」
それぞれ三体の像の前にリリアン、フローラ、ルナは立つ。
「罠の可能性があるからな。私からやってみる」
兜のバイザーを開けてリリアンが像に顔を近づける。像は中性的な顔立ちをしており、リリアンはゆっくりと像にキスをした。
「んっ!?」
そこで声をあげたのはエルムだった。
何かが自分のくちびるに触れてきた気がする。まるでリリアンがキスをした像と自分の感覚が繋がってしまっているような感じだった。
「お、反応があったな」
エルムの足元の紋様の色が変わる。像にキスするので合ってるみたいだ。
「次はわたしがしてみますね」
フローラがゆっくりと像に近づきくちづけをした。
「……うあ」
またしてもエルムのくちびるに感触が伝わる。リリアンとは違って、少しだけおずおずとしたゆっくりなキス。
足元の紋様が更に色が変わる。
「最後はあたしだ!」
いくよ~、とルナは顔を近づけるとちゅっちゅっちゅと何度もキスをした。そのたびにエルムのくちびるに感触が伝わってきて、わわわ、と声をあげてしまう。
無邪気なルナのキスを味わってるうちに扉からはガチャンと音が聞こえて、自然と扉が開いた。
「よし、これで進めるな……どうしたエルム?」
振り返ったリリアンは自分の口をおさえているエルムを見て首を傾げた。
「い、いや、なんでもないよ」
なんだか言うのは恥ずかしい気がして、エルムはないしょにしておく。
まさか全員とキスをした感触を味わうなんて。
「キスって気持ちいいんだな……」
ぼそり、とつぶやきながら。
エルムは先へ進むのだった。
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