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6.精霊の愛し子と守護者
「帰っちゃったねぇ……」
「そうだねぇ」
「また会えるかなぁ……」
「うん、きっとまた会えるよ」
血だらけのレオにぃを連れて来てくれた、フェリお兄ちゃん。最初は何だかお元気なかったけど、最後は笑ってくれて、その笑った顔がちょっとだけレオにぃに似ている気がした。
じぃじとばぁばもうれしそうだったから、また遊びに来てくれるといいなぁ。
「――さて、今日のことですが……まずは、心配かけてしまってごめんなさい。きっと、すごく驚かせてしまいましたよね」
突然レオにぃが背筋を伸ばして、そう言いながら頭を下げた。確かに心配もしたし、ビックリしたけれど、でも。
「レオにぃは、フェリお兄ちゃんを助けたんでしょ?」
「うん、そうだけど……」
「危ないことをするのはだめだけど、人助けはいいこと。フェリお兄ちゃんを助けられて良かったねぇ」
「そうだぞ。これがまた1人で危ないことをしたって言うならばぁさんの説教タイムだったがな。よく、頑張ったな」
「無事に帰って来てくれて良かったわ。レオは本当に勇敢な子ね」
誰も、レオにぃを怒ったりなんてしない。だって、魔物はこわいのに、誰かを助けるために動けるなんてかっこいいもんね。さすがレオにぃ。
「ありがとうございます。……それで、俺は結構大きい傷を負ったはずだったんですけど、今はどこにも傷がありません。フェリが言っていた“緑色の光”っていうのは、もしかしてルゥの……?」
「?さっき、レオにぃが光ってたんだよ?」
「いや、あれはルカから出た光だった。それがレオを包み、みるみる傷を治していったんだ。それも、傷だけじゃなく破れた服と血の跡までな」
「そうだったんだ……。ルゥ、ありがとうね」
「ううん!ぼくもよくわからないの。ただ、レオにぃが死んじゃうって思ったらブワーッてなっただけ。でも、元気になって良かった」
へへ、と笑うと、レオにぃも笑ってくれた。うれしい。
「治癒魔法は光魔法だったかしら……?ルカは光属性なのかしらね」
「いや、あれは光魔法とも違う気がしたが……」
「それについては我が説明しよう」
「ニクス!」
フェリお兄ちゃんがいる間、どこかに行っていたニクスがいつの間にか戻ってきていた。今度フェリお兄ちゃんにもニクスのことをご紹介しないと。
「ルカ、傍を離れてすまない。あまり近しくない者には我の存在を知られたくなくてな」
「フェリお兄ちゃん、いい人だったよ。今度はニクスもご挨拶しよーね」
「ああ、ルカがそう言うのならば是非とも」
「ニクス、説明って何?」
ニクスと話してるとレオにぃがぼくに「ごめんね」と言いながらニクスに声をかける。そうだ、お話の途中だったんだ。
レオにぃ、じぃじ、ばぁばが真剣な顔でニクスの言葉を待ってる。
「まず――そうだな。我は精霊獣・シルヴァルプス。精霊王の遣いだ」
「精霊獣……」
「レオは薄々気付いておったろう?」
「……そうだね。昔読んだ本で精霊獣のことは何となく知っていたから、ニクスはそういう存在なのかな、とは思っていたよ。ただ、精霊王様の遣いっていうのは、さすがに驚いたかな」
「うむ。では、“精霊の愛し子”の存在は知っておるか?」
「うん、聞いたことある。……え?まさか、ルゥが……?」
「そうだ。正しくは“精霊王の愛し子”だがな。そして、レオ。お主は“愛し子の守護者”だ」
「――っ!?」
「レオが……守護者だと……?」
「あの、お話の途中でごめんなさいね。“精霊王様”や“愛し子”の存在は、私たち平民の間でも物語として知られているわ。でも“守護者”っていうのは、どういう存在なのかしら」
「“守護者”とは、その名の通り“愛し子を守護する者”。レオは、ルカを守るための人間として精霊王に選ばれた存在ということだ」
「ルゥを、守るための……」
「そうだ。現に、ルカはこうしてお主に守られているだろう?ルカが元気に笑っていられることが精霊王の望み。お主は、知らずとも役目をしっかり果たしていたのだ」
「うん!ぼく、レオにぃだいすきだよ!」
「ありがとう、ルゥ。俺も大好きだよ。……じゃあ、あの緑色の光は?ウルルスを仕留めたとき、俺の矢にも緑色の光が纏っていて、そのお陰で助かったんだけれど……」
「それはルカの力だ。ルカの作った弁当を食べたのであろう?」
「あ、じゃあ、ルゥのご飯を食べると元気が出る気がしていたのは気のせいじゃなかったってこと……?」
「そういうことだ。ちなみにルカの力は治癒魔法なんかじゃない。ルカの“願い”を叶える力だ」
「ルゥの、“願い”……?」
「そうだ。ルカ、先ほどレオが光ったとき、何を思った?」
「え、っと、レオにぃ死んじゃやだーって。服が破れてて血だらけで、そういうの全部やだって思ったの」
「では、レオの弁当を作るときは何を思う?」
「『おいしくなぁーれ』って。あと、お弁当食べて元気になってほしいなって思ったり、レオにぃの弓はかっこいいから、あれで強い魔物もやっつけられたらいいなーって」
「と、いうことだ。理解できたか?」
「――うん。まだ整理が追いつかないところもあるけれど、よくわかったよ」
そう言ったレオにぃはぼくを抱き上げて、やさしい笑顔を見せてくれる。
「ルゥは、俺の命の恩人で。可愛い可愛い、俺の大切な子ってことだね」
ギュッてしてくれるレオにぃが、何だかうれしそうでぼくもうれしい。
「大切な子」だって。ぼくは、レオにぃの「大切な子」なの。へへ
「そうだねぇ」
「また会えるかなぁ……」
「うん、きっとまた会えるよ」
血だらけのレオにぃを連れて来てくれた、フェリお兄ちゃん。最初は何だかお元気なかったけど、最後は笑ってくれて、その笑った顔がちょっとだけレオにぃに似ている気がした。
じぃじとばぁばもうれしそうだったから、また遊びに来てくれるといいなぁ。
「――さて、今日のことですが……まずは、心配かけてしまってごめんなさい。きっと、すごく驚かせてしまいましたよね」
突然レオにぃが背筋を伸ばして、そう言いながら頭を下げた。確かに心配もしたし、ビックリしたけれど、でも。
「レオにぃは、フェリお兄ちゃんを助けたんでしょ?」
「うん、そうだけど……」
「危ないことをするのはだめだけど、人助けはいいこと。フェリお兄ちゃんを助けられて良かったねぇ」
「そうだぞ。これがまた1人で危ないことをしたって言うならばぁさんの説教タイムだったがな。よく、頑張ったな」
「無事に帰って来てくれて良かったわ。レオは本当に勇敢な子ね」
誰も、レオにぃを怒ったりなんてしない。だって、魔物はこわいのに、誰かを助けるために動けるなんてかっこいいもんね。さすがレオにぃ。
「ありがとうございます。……それで、俺は結構大きい傷を負ったはずだったんですけど、今はどこにも傷がありません。フェリが言っていた“緑色の光”っていうのは、もしかしてルゥの……?」
「?さっき、レオにぃが光ってたんだよ?」
「いや、あれはルカから出た光だった。それがレオを包み、みるみる傷を治していったんだ。それも、傷だけじゃなく破れた服と血の跡までな」
「そうだったんだ……。ルゥ、ありがとうね」
「ううん!ぼくもよくわからないの。ただ、レオにぃが死んじゃうって思ったらブワーッてなっただけ。でも、元気になって良かった」
へへ、と笑うと、レオにぃも笑ってくれた。うれしい。
「治癒魔法は光魔法だったかしら……?ルカは光属性なのかしらね」
「いや、あれは光魔法とも違う気がしたが……」
「それについては我が説明しよう」
「ニクス!」
フェリお兄ちゃんがいる間、どこかに行っていたニクスがいつの間にか戻ってきていた。今度フェリお兄ちゃんにもニクスのことをご紹介しないと。
「ルカ、傍を離れてすまない。あまり近しくない者には我の存在を知られたくなくてな」
「フェリお兄ちゃん、いい人だったよ。今度はニクスもご挨拶しよーね」
「ああ、ルカがそう言うのならば是非とも」
「ニクス、説明って何?」
ニクスと話してるとレオにぃがぼくに「ごめんね」と言いながらニクスに声をかける。そうだ、お話の途中だったんだ。
レオにぃ、じぃじ、ばぁばが真剣な顔でニクスの言葉を待ってる。
「まず――そうだな。我は精霊獣・シルヴァルプス。精霊王の遣いだ」
「精霊獣……」
「レオは薄々気付いておったろう?」
「……そうだね。昔読んだ本で精霊獣のことは何となく知っていたから、ニクスはそういう存在なのかな、とは思っていたよ。ただ、精霊王様の遣いっていうのは、さすがに驚いたかな」
「うむ。では、“精霊の愛し子”の存在は知っておるか?」
「うん、聞いたことある。……え?まさか、ルゥが……?」
「そうだ。正しくは“精霊王の愛し子”だがな。そして、レオ。お主は“愛し子の守護者”だ」
「――っ!?」
「レオが……守護者だと……?」
「あの、お話の途中でごめんなさいね。“精霊王様”や“愛し子”の存在は、私たち平民の間でも物語として知られているわ。でも“守護者”っていうのは、どういう存在なのかしら」
「“守護者”とは、その名の通り“愛し子を守護する者”。レオは、ルカを守るための人間として精霊王に選ばれた存在ということだ」
「ルゥを、守るための……」
「そうだ。現に、ルカはこうしてお主に守られているだろう?ルカが元気に笑っていられることが精霊王の望み。お主は、知らずとも役目をしっかり果たしていたのだ」
「うん!ぼく、レオにぃだいすきだよ!」
「ありがとう、ルゥ。俺も大好きだよ。……じゃあ、あの緑色の光は?ウルルスを仕留めたとき、俺の矢にも緑色の光が纏っていて、そのお陰で助かったんだけれど……」
「それはルカの力だ。ルカの作った弁当を食べたのであろう?」
「あ、じゃあ、ルゥのご飯を食べると元気が出る気がしていたのは気のせいじゃなかったってこと……?」
「そういうことだ。ちなみにルカの力は治癒魔法なんかじゃない。ルカの“願い”を叶える力だ」
「ルゥの、“願い”……?」
「そうだ。ルカ、先ほどレオが光ったとき、何を思った?」
「え、っと、レオにぃ死んじゃやだーって。服が破れてて血だらけで、そういうの全部やだって思ったの」
「では、レオの弁当を作るときは何を思う?」
「『おいしくなぁーれ』って。あと、お弁当食べて元気になってほしいなって思ったり、レオにぃの弓はかっこいいから、あれで強い魔物もやっつけられたらいいなーって」
「と、いうことだ。理解できたか?」
「――うん。まだ整理が追いつかないところもあるけれど、よくわかったよ」
そう言ったレオにぃはぼくを抱き上げて、やさしい笑顔を見せてくれる。
「ルゥは、俺の命の恩人で。可愛い可愛い、俺の大切な子ってことだね」
ギュッてしてくれるレオにぃが、何だかうれしそうでぼくもうれしい。
「大切な子」だって。ぼくは、レオにぃの「大切な子」なの。へへ
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